宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

純アメリカ産の新型ロケット“ヴァルカン”

2015年05月18日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
新開発の再使用可能なメタンエンジンや、
長時間運用できる新型の第2段などの特長を持つロケット。

この新型ロケット“ヴァルカン”が、
ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社から発表されました。
初打ち上げは2019年になるようです。

ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社は、
現在、軍事衛星やNASAの科学衛星などを、
打ち上げるための基幹ロケットとして、
デルタIVとアトラスVを運用しています。

でも両機ともコストが高く、
またアトラスVの第1段には、ロシア製のロケットエンジンが使用されています。

ただ、最近のアメリカとロシアの関係悪化により、今後も安定した入手ができるか不安が残るんですねー

“ヴァルカン”では、機体の一部を再使用することでコストを下げ、
また、機体やエンジンを全てアメリカで開発・生産することで、
安価に、なおかつ高い信頼性と運用の確実性を持ったロケットになるようです。

“ヴァルカン”は第1段に、BE-4というロケットエンジンを2基装備。
BE- 4は、液体酸素と液体メタンの組み合わせを使用し、
2400kNの推力を出すことができます。
最大の特長は再使用が可能な点。
打ち上げ後に、第1段機体からエンジン部分だけが分離され、
パラシュートで降下、ヘリコプターによって空中で捕まえられ、
回収されることになります。

そして整備が行われた後、また別の打ち上げで使用。
っという流れが、繰り返されるんですねー

BE-4の開発は、
Amazon.comの創業者によって立ち上げられた宇宙企業“ブルー・オリジン社”が担当。

また保険として、エアロジェット・ロケットダイン社が開発するAR1も、
選択肢として残されています。

第1段の周囲には、固体ロケットブースターを装備も可能。

このブースターは、
アトラスVで使われているものから20%ほど推力を高めたもので、
装着本数も必要に応じて、0本~6本まで変えることができるんですねー

第2段には、ACESと呼ばれる新規開発の機体を装備。

エンジンは、まだ決まっていないのですが、
第1段と同じブルー・オリジン社が開発しているBE-3Uというエンジンや、
従来からアトラスやデルタで使われているRL10、
もしくはXCOR社が開発しているエンジンが搭載できるようです。

装着数は、どのエンジンを装備するか、
また、ミッションによってかわるのですが、1~4基になるとのこと。

さらに、モータースーポーツ“NASCAR”に参戦している、
ラウシュ・フェンウェイ・レーシングと協力して新機構を開発。
推進剤から発生した水素ガスを使い、
タンクの加圧や発電、姿勢制御、エンジンの再点火が行えるんだとか。

これにより、軌道上で運用可能な時間が数週間単位まで伸び、
今までより複雑なミッションに使うことが可能になるようです。

開発は、まず第1段周りが優先され、2019年の打ち上げではACESは使用されず、
アトラスVの第2段になるセントールをそのまま搭載。

ACES搭載は、は2023年の打ち上げになるようなので、まだ当分先になりますね。



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