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人類史上2機目! 探査機“ボイジャー2号”はいつ恒星間空間へ旅立つのか

2018年11月03日 | 宇宙 space
木星、土星、天王星、海王星のグランドツアーを初めて実現した探査機が、1977年に打ち上げられた“ボイジャー2号”です。

今年の8月下旬頃、“ボイジャー2号”に搭載されている装置が、太陽系の外からやってくる宇宙線の増加を検出したんですねー

もう少しで“ボイジャー2号”は、太陽圏の外に脱出して恒星間空間へ旅立つようです。
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太陽圏と恒星間空間の境目に向けて飛行する“ボイジャー2号”

1977年に打ち上げられた探査機“ボイジャー2号”は、現在地球から約177億キロ(太陽から地球までの約120倍)も離れたところを飛行しています。

2007年から“ボイジャー2号”は、太陽起源の物質と磁場に支配されている大きな泡のような構造“太陽圏(ヘリオスフィア)”の最も外側の領域“ヘリオシース”に入っていて、さらに外側に向かって旅を続けてきました。

今年の8月下旬には、探査機に搭載されている2つの装置によって、探査機へ衝突する宇宙線の割合が8月初旬に比べて約5%増加したことが確認されていました。

宇宙線は太陽系の外を起源とする高速の粒子で、その一部は太陽圏によって遮られています。

つまり、その量が増加したということは、“ボイジャー2号”が太陽圏と恒星間空間の境界になる“ヘリオポーズ”に近づいていることを示しているんですねー
  “ヘリオポーズ”は、太陽から放出された太陽風が
  星間物質や銀河系の磁場と衝突して完全に混ざり合う境界面のこと。
  太陽風が届く範囲を太陽圏(ヘリオスフィア)と呼ぶ。



通過ルートが異なる“ボイジャー2号”と“ボイジャー1号”

これまでに“ヘリオポーズ”を超えて恒星間空間へと達した探査機は、1977年9月に打ち上げられた“ボイジャー1号”だけでした。
  “ボイジャー1号”は姉妹機になる“ボイジャー2号”より後に打ち上げられた。
  “ボイジャー2号”は土星接近の際に“ボイジャー1号”と異なる軌道を取り、
  衛星タイタンへの接近をせずに、土星でのスイングバイを行って天王星と海王星に向かっている。


“ボイジャー1号”は2012年5月に宇宙線の増加を観測し、その約3か月後に“ヘリオポーズ”を通過。

“ボイジャー2号”が“ヘリオポーズ”を超えれば、人類史上2機目の恒星間空間を飛行する探査機(人工物)になるんですねー
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太陽圏に対する“ボイジャー1号”と“ボイジャー2号”の位置を示したイラスト
ただ、宇宙線の増加は、“ボイジャー2号”が間もなく“ヘイリポポーズ”を通過することを示す決定的な兆候というわけではないようです。

それは、“ボイジャー2号”と“ボイジャー1号”とでは“ヘリオポーズ”を通過するルートが異なるから。
このルートの違いが、探査機が“ヘリオポーズ”を通過するタイミングの違いにつながる可能性があるということです。

また、“ボイジャー1号”が通過してからの6年の間に、太陽活動の勢いが変化していることもあります。
それにより太陽圏の大きさが変わると、“ヘリオポーズ”の位置も変わってしまうはずです。

この6年という時間差により、“ボイジャー2号”が“ヘリオポーズ”を通過するタイミングがどう違ってくるのか?

ただ、“ボイジャー2号”の周りの環境が変化しているのは間違いはないはず。
確かなことは、まだ到達していない っということです。

今後数か月間で多くのことが分かってくるはずなので待つしかないですね。


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