古墳時代前期・4世紀後半の宮代町には埼玉県でも最高水準の技術・高度の文化を持つ集落があった。その遺構発掘調査結果を展示する企画展「山崎山遺跡展」がこのほど、宮代町郷土資料館企画展コーナーで始まった。7月10日まで。入場無料。
宮代町は旧石器時代約2万年前から人々の暮らしがあり、古くから高度な技術水準・高い文化を持っていたことが、宮代町郷土資料館の学芸員らの地道な発掘調査などで明らかになっており、埼玉県をはじめ全国的にも考古学的に貴重な発掘調査が行われている町として注目されている。
中でも、昭和57年度、63年度、平成2年度、3年度、6年度と5回に渡って発掘調査の行われた山崎山遺跡からは、古墳時代前期4世紀後半のものと見られる鍛冶工房跡が発掘され、考古学的にはもとより、一般的にもその謎解きに多くの関心が寄せられた。
写真のような鉄滓(鍛冶滓=原鉱石や鉄素材から鉄を取り出したあとの滓)や
鉄製品、鍛冶炉跡などが平成2年度の発掘調査で出土した。
鍛冶は当時の最先端技術であり、この頃の鍛冶工房跡は全国的にも例が少なく、関東地区でも4例にとどまり、埼玉県では最古のものとなっている。
この鍛冶を行うための鉄原料は朝鮮半島から伝えられたものと推定され、宮代町がその当時、朝鮮半島までの交易(入手)ルートがあったことを示すもので、鍛冶技術と共に原材料ルートもロマンをかき立てる。
また、同展示では、大規模な集落から1個程度しか出土しないといわれる特大の壺(土師器)も第3号住居跡からの出土品として展示されているほか、鍛冶作業と関連するのではないかと見られる井戸の確認も報告されるなど、これまでの発掘調査の集大成的展示となっている。
宮代町郷土資料館では現在、古墳時代のもう一つの集落拠点であったと見られる道仏遺跡の発掘調査を行っており、数々の考古学的成果を得ており、宮代町にとどまらず関東地方内陸部への文化・技術・生活展開を知る上での注目される発掘となっている。
なお、山崎山遺跡展は7月10日まで、宮代町郷土資料館(宮代町西原289、MAPはこちら、姫宮駅、東武動物公園駅(西口)からいずれも徒歩20分 、町内循環バス停「ふれ愛センターみやしろ」から徒歩1分、東北自動車道 久喜インタ-チェンジより約20分、9時30分~16時30分開館、5/2・6・9~12・16・23・30、6/6・13・20・27、7/4休館)で行われている。常設展とも入場無料。