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『メアリー&マックス』

2011年06月06日 | 映画(ま行)
『メアリー&マックス』(原題:Mary and Max)
監督:アダム・エリオット
声の出演:トニ・コレット,フィリップ・シーモア・ホフマン,エリック・バナ他

シネ・リーブル梅田にて、公開初日に。
クレイアニメ(粘土で作られた人形によるストップモーションアニメ)です。
公開記念に配られたのは、オリジナル作り方付き粘土セット。

こんな可愛いプレゼントをもらったうえに、
キャッチコピーは「ある日、しあわせの手紙がやってきた──
不器用だけどあったかい―そんな2人のほんとうにあったお話」、
しかも、予告編を観るかぎりでは、少女とおっちゃんの素敵な文通。
誰がこんなヘヴィーな物語を想像できるでしょう。衝撃的でした。

オーストラリアのメルボルンに住む8歳のメアリー。
牛乳瓶の底のような眼鏡をかけ、額には「poo(=うんち)の色」のあざ。
仕事と趣味以外には無関心の父親と、アル中で万引癖のある母親と三人暮らし。
友だちは拾ってきたニワトリだけ。
コンデンスミルクと「アールグレイ」の響きをこよなく愛す。

アメリカのニューヨークに住む44歳のマックス。
肥満症で、人づきあいも苦手。友だちは金魚。
ロールパンにチョコレートを挟んで食べるのが好き。

ある日、メアリーは誰かに手紙を書こうと思い立つ。
分厚い電話帳から彼女が選んだ相手がマックス。

見知らぬ少女から突然手紙を受け取ったマックスは驚くが、
タイプライターに向かい、メアリーに早速返事を書く。
こうして、ふたりの文通がはじまるのだが……。

物語は20年以上にわたる手紙のやりとりをもとに綴られます。
しかも実話が基だと聞けば、孤独なふたりがお互いの手紙に支えられ、
20年経ったころに初めて会うという展開を予想していました。

それはそうなんですけれど、想像とはまったく異なりました。
成長したメアリーが、マックスのためにという思いから成し遂げた、あること。
それがマックスを酷く傷つけることになり、ふたりの関係は一旦断絶します。

その間のメアリーの姿は見ていられるものではありません。
母親同様に酒浸りになり、薬を大量に飲むと自殺を図ります。
一方、アスペルガー症候群と診断されているマックスは、
メアリーの言動がきっかけで鬱状態に陥ってしまいます。

そんなしばらくの期間を経て、
マックスがメアリーに宛てた手紙のいくつかの言葉に胸が押しつぶされそう。
極めつけは、「許すのは、きみが完璧じゃないから」。

幸せな結末とは言いがたいけれど、
心満たされるエンディングに泣きました。

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