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『石内尋常高等小学校 花は散れども』

2009年07月10日 | 映画(あ行)
『石内尋常高等小学校 花は散れども』
監督:新藤兼人
出演:柄本明,豊川悦司,六平直政,川上麻衣子,大竹しのぶ他

日本映画界では現役最高齢の監督となる、97歳。
それだけで尊敬に値し、観るべき作品だと思われます。
でも、それだけじゃありません。
どうしたらこんなに活力溢れる作品を撮れるんでしょ。

大正12(1923)年頃の広島の田舎町にある石内尋常小学校。
心優しい熱血教師、市川が担当する5年生クラスは笑いが絶えない。
授業中に居眠りをする三吉を市川は叱り飛ばすが、
居眠りの理由が稲刈りで疲れきっていたからだと知り、
豪快に泣きながら「すまんかった。なんぼでも寝ろ!」と言う。
そんなやりとりを見て、みんな大笑い。
いつも明るく楽しいクラス。

しかし、経済的に圧迫された生活を送っている者も多い。
級長の良人もそのひとり。貧しさゆえに進学を断念。
母親も亡くして、ひそかに広島市内へと出て行く。
良人に想いを寄せていたみどりは、
いつか良人と再会できると信じたまま、月日が経つ。

それから30年。
東京で売れない脚本家となっていた良人のもとへ、
石内村の役場に勤務する三吉から電話が入る。
定年を迎えた市川を祝うために同窓会を企画したとのこと。
会場は、みどりが女将を務める料亭。
そこに集った同級生たちが、卒業後の人生を思い思いに語り始める。

大正末期から昭和前半にかけての情景など、
私は知る由もないのですが、それでもなんだか懐かしい。
同級生たちと過ごした時代の楽しいエピソードがてんこ盛り。

修学旅行では活動写真の撮影現場に居合わせ、
珍しさに見入る市川先生がスタッフと揉めて大喧嘩。
先生の奥さんで同僚の道子先生が
「公開されても絶対観ませんから!」と啖呵を切るシーンには大笑い。

また、良人とみどりがお互いの気持ちを打ち明けられず、
自転車に二人乗りするシーンは甘酸っぱい。
その直後には離ればなれになってしまい、みどりは良人を想い続けて30年。
15年前には一応料亭に嫁いだものの、
同窓会で良人に会える日を待ちわびていました。
こんな初恋物語を100歳近くなっても描けるのって、いいなぁ。

ケチをつけるとすれば、みどり役の大竹しのぶが、
小学校時代の美少女の30年後というにはツライ。
良人役のトヨエツもチト違うけれど、そこはひいき目。(^^;
三吉役の六平直政はピッタシ。市川先生役の柄本明は言うことなし。

古くさくても、瑞々しさいっぱいの作品です。
新藤監督に敬礼。

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