夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『JUNO/ジュノ』

2008年11月20日 | 映画(さ行)
『JUNO/ジュノ』(原題:Juno)
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:エレン・ペイジ,マイケル・セラ,J・K・シモンズ,
   ジェニファー・ガーナー,ジェイソン・ベイトマン他

今のところ、「観れば元気になる度」、今年いちばん。

16歳の女子高生ジュノは、妊娠したらしく、呆然。
相手である同級生のポーリーにとりあえず報告し、
親友のリアに相談する。

中絶を決意して病院へ向かうが、
病院前で「中絶反対」のプラカードを振る知り合いに、
「胎児にはもう爪まで生えている」と言われてギクッ。

ジュノは、父親と継母に妊娠の事実を打ち明け、
出産すること、生まれる子どもは養子に出すこと、
すでにタウン誌で見つけた夫婦に連絡したことを話す。

数日後、ジュノは父親に付き添われて、その夫婦に会いに行く。
誠実そうな夫のマークと、美しい妻のヴァネッサ。
CMソングで一発当てたマークは裕福で、
里親としてこれ以上理想的な夫婦はいない。

以来、赤ん坊の発育状況を報告しがてら、
気軽に夫婦のもとを訪問するようになるジュノだったが……。

高校生の予期せぬ妊娠というと、
なんだか説教臭い展開になりがちですが、
それが微塵もありません。
かと言って、ふざけているわけでもありません。
でも、何度もクスッと笑わされます。

ジュノは特に可愛いい子ではなく、
しかも自他共に認める変わり者。
相手のポーリーはと言えば、
ジュノの父親が「あいつにそんなことできたのか」と思わず苦笑いするような、
脛(スネ)つるっつるの童顔。ここからもう可笑しい。

脚本は元ストリッパーの女性で、そのせいだからかどうなのか、
ジュノが訪れる店や病院での、客vs店側の会話のテンポが絶妙。
そして、そこここに温かさが感じられて心地いいです。
変わり者ならではのジュノの態度は堂々たるものですが、
彼女を取り巻く大人の落ち着きっぷりも壮快。
イヤミな超音波検査士を一喝する継母も超カッコイイ。
誰も投げやりじゃないんです。

コソッといい味を出しているのは、ジュノの父親。
「永遠に一緒にいられるふたりはいないの?」と
ジュノから尋ねられた父親は、「僕は(離婚を経験しているから)
その道では失敗した者だけど」と前置きをして、こう答えます。
「おまえの綺麗なときも醜いときも、機嫌の良いときも悪いときも、
おまえのことを好きでいてくれる人を見つけなさい。
そうすればきっと、上手く行く」。

すごいアドバイスだと思いました。

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