夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヘルタースケルター』

2012年07月24日 | 映画(は行)
『ヘルタースケルター』
監督:蜷川実花
出演:沢尻エリカ,大森南朋,寺島しのぶ,綾野剛,水原希子,新井浩文,
   鈴木杏,寺島進,哀川翔,窪塚洋介,原田美枝子,桃井かおり他

先週、帰り道にあるシネコンで、『海猿』としばし迷ってこっちに。
後日、まだ顔を合わせたことのない知人が斜め後方の席にいらっしゃったことを知り、ウケました。

なんとも言えぬ客層が可笑しい。
私のような女一人もいれば、おっちゃんの一人客にカップル、おばちゃん三人連れも。
思い返せばこのうちの一人が知人だったわけで。(^o^;

原作は、交通事故に遭って一時は植物状態となった波乱の漫画家、岡崎京子の同名コミック。
ビートルズにも“Helter Skelter”という曲があり、
「滑り台」という意味とともに、「しっちゃかめっちゃか」の意味があるそうです。
日常生活でまず使わない言葉だと思っていましたが、
十数年前、同僚が「もうしっちゃかめっちゃかだわ」と言っているのを聞き、
「普通に使う人がおるんや」とかなり衝撃を受けた覚えがあります。

話題性で人を呼びまくっている本作、あらすじは今さらですけれど。

完璧な容姿で芸能界の頂点に君臨するファッションモデル、りりこ。
素性を明らかにしていないことから、その謎がさらに人気に呼ぶ。
しかし、実は彼女には全身整形が施されていた。
もとのパーツがほとんどないほどの整形で、免疫抑制剤の服用が欠かせない。
事実を知っているのは彼女がママと慕う事務所の社長と、
メイクを担当するオカマのキンちゃんこと錦二だけ。

整形の後遺症がりりこの身体を蝕み、部分的な皮膚の変色がはじまった頃、
都内で整形手術を受けた女性が次々と自殺。
美容クリニックの違法な医療行為を調査中の検事、麻田は、
りりこも自殺者と同じクリニックで施術を受けているとにらみ、
証言を得るべく彼女のもとを訪れる機会をはかる。

移り変わりの激しい芸能界。
りりこがすべての雑誌の表紙を飾った日々も束の間、
同じ事務所の後輩で、整形など受けていないこずえに取って代わられる。
次第に追い詰められたりりこは……。

とってもイタイです。
沢尻エリカはどこまでが演技なのかわからず、
ひょっとして素(ス)もこれなのかと思ってしまうので、余計にイタイ。

原色がちりばめられ、大音量で流れる不協和音。
“第九”と“美しく青きドナウ”にも不穏を感じ、
普通なら不穏に思えそうな戸川純で落ち着かされる始末。
女子高生のキンキン声には頭が痛くなってしまいました。

沢尻エリカのハダカを見たというネタだけならば良し。
それ以外は、映像としてオシャレなイメージはあるものの、
深みがないので心に訴えかけては来ず。
表情から心中を察するなどという部分がほとんどなくて、
結局、検事役の大森南朋に全部しゃべらせています。

若さは美しさである。けれども美しさは若さではない。
この台詞を大森南朋が鈴木杏に向かって言ったので、
『軽蔑』(2011)で沢尻エリカとは対照的なハダカを披露した彼女を思い出し、
なんだか気の毒になってしまいました。

よかった点を挙げるならば、マジメに静かに話す大森南朋や、いつものノリの寺島進
ドMな付き人を演じる寺島しのぶが可笑しかったところ。
私のツボはキンちゃん役の新井浩文。彼の大躍進は嬉しいかぎり。
『愛と誠』の生徒会長、斎藤工のカメオ出演にもニタッ。メガネはなくとも、あの唇は特徴的。
江口のりことMEGUMIの出演はエンドロールを見るまで気づかず、悔しい思い。

『絶対の愛』(2006)と併せてみると、整形の恐ろしさ倍増。

『海猿』にしときゃよかったなぁと、独り言。イタイよぉ。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« パルナス繋がりで、最近読んだ本 | トップ | 『おおかみこどもの雨と雪』 »

映画(は行)」カテゴリの最新記事