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『メタルヘッド』

2011年08月21日 | 映画(ま行)
『メタルヘッド』(原題:Hesher)
監督:スペンサー・サッサー
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット,ナタリー・ポートマン,レイン・ウィルソン,
   デヴィン・ブロシュー,パイパー・ローリー,ジョン・キャロル・リンチ他

前述の『海洋天堂』を含め、お盆休みに劇場で観た4本はどれも大当たり。
それぞれに味わいがちがうので、どれがNo.1かは決めづらいですが、
DVD化されたときにどれか1本だけ買うとしたら、私はこれを買うでしょう。

原題は“Hesher”。
パンフレットによれば、“ヘッシャー”はメタル好きを表す俗語だそうです。
原題も邦題も、ヘヴィメタバンド“メタリカ”のロゴをパクったもの。
もちろん、作品中ではメタリカの曲(しかも初期のアルバム4枚から)が使用され、
ほかには“モーターヘッド”の曲も効果的に使われています。

両親とともに車で出かけた少年TJ。
家族そろっての楽しいドライブだったはずが事故に遭い、
母親だけが死亡してしまう。

あれから2カ月。
悲しみに打ちひしがれたままのTJと父親のポールは、祖母の世話になっている。
精神安定剤を多用し、日がな一日ソファで眠り続けるポールは、
ある日、事故に遭った車を見るのはつらいと廃車にする。
母親の思い出がいっぱい詰まった車を、どうしてパパは売ってしまうの。
中古車ディーラーに引き取られてゆく車を追いかけるTJ。

車にまとわりつくTJは、ディーラーの息子である悪ガキに追い払われる。
以降も執拗にいじめられ、久しぶりの学校も憂鬱なだけ。
鬱憤を晴らそうと、空き家のガラス窓をめがけて石を投げ込むと、
長髪、半裸、しかもヘタウマ風の刺青が胸にも背中にもある男が出て来て、
TJの首根っこをつかむ。驚いて声も出せずにいると、パトカーが。
男はバンでどこかへ去ってしまう。

数日後、TJの前に再び現れた男は“ヘッシャー”と名乗り、
祖母宅に居座るようになるのだが……。

TJがいじめられている場面にことごとく登場するヘッシャー。
普通なら、この変人がTJを救い出してくれると思うところ。
ところが、ヘッシャーはいじめられているTJを放置。
それどころか、勝手にいじめっ子のもとへ乗り込んでは
あり得ないいたずらをするものだから、
いじめっ子はTJの仕返しだと思い込み、さらに酷くいじめられます。

けれど、喪失感をぬぐいきれないTJ一家にヘッシャーがもたらすもの。
このラストシーンは、今年観た映画の中でいちばん好き。
おまけのオチにもニヤリ。

『ブラック・スワン』(2010)のナタリー・ポートマンが、
TJが淡い想いを寄せるスーパーの「おばちゃん」役で登場。必見です。
『(500)日のサマー』(2009)や『インセプション』(2010)の優男が
こんなヘヴィメタ男を演じているのも実に愉快。

来月は早くもDVDが発売されるので、やはり買いましょうかね。
と思うけれど、悪ガキの鼻が削がれるシーンが痛すぎて躊躇するなぁ。

ばあちゃんと、散歩しよう。

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