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『梅田優子の告白』

2009年04月16日 | 映画(あ行)
『梅田優子の告白』
監督:深井朝子
出演:焼広怜美,本多菊次朗,山口オン,野口かおる,三島ゆたか,
   川村りか,加藤由子,吉田晋一,川田義宗他

タイトルに惹かれて借りた50分の作品。

下北沢にある短編映画専門の異色映画館、トリウッドが、
映画学科や放送学科などを持つ専門学校、東京ビジュアルアーツとともに、
2006年に立ち上げた「学生による商業映画製作プロジェクト」。
過去に学生による2本の作品が製作・上映され、
3本目となったのが本作。監督はまだ20歳です。

梅田優子。
昼は牛丼屋、夜はセクシーキャバクラで働く。
寝た男の名前と評価を手帳に書きとめ、
「男たちを積み重ねて行くこと」がひそかな楽しみ。

そんな優子なのに、
牛丼屋の気になる常連客、山田啓介に対してだけは、
行動に出ることができない。

セクキャバの同僚で親友の真奈美と行きつけのバーで飲んでいると、
後方のテーブル席に女連れの啓介が。
恋する気持ちを真奈美に打ち明けると、
啓介を品定めするように眺めた真奈美は、
「あんな上等なスーツを着ている男が
私たちのような女を相手にするわけがない」とピシャリ。

しかし、募る想いをどうしても抑えきれない優子は、
牛丼屋で自分なりの意思表示を始める。

好きな人の前でだけは素直になれないどころか、
変な人になってしまう優子が憎めません。
紅生姜を山盛りサービスしてしまったり、
色っぽく見えるようにスプーンを舐め回してみたり。
優子に怒りを燃やすパートのおばちゃんのほうが、
好きな人の前で素直な素振りを見せるのが面白いです。
ただし、その素振りは普通の男性ならドン引き。
やはり自分の年齢は考えんと。(^^;

とってもいいな~と思ったのは、
優子がある問いかけを牛丼屋のハゲた店長にしたところ、
店長の答えを聞いて、優子がニッコリするシーン。
店長の答えは「そ、そうなん?」と言いたくなるものでしたが、
優子がそんな店長をカッコイイと評するのを聞いて、
こっちまでニッコリしてしまいました。

実際にセクキャバ勤務経験のある監督が描く店内の様子や、
セクキャバのお局様との笑える修羅場も興味深いもの。
体を張って生きる女たちがそこにはいます。

百年の恋も冷めるとはこのことというオチ。
そして、それでも前向きな優子を応援したくなりました。
若いときはこうでなくちゃ。
年を取ってもこんなところは持ち続けなくちゃ。
痛い目に遭うことをおそれずに。

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