夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『パイオニア』

2014年06月09日 | 映画(は行)
『パイオニア』(原題:Pionér)
監督:エーリク・ショルビャルグ
出演:アクセル・へニー,ウェス・ベントリー,スティーヴン・ラング,ステファニー・シグマン,
   アーネ・ダール・トルプ,ヨルゲン・ラングヘーレ,ジョナサン・ラパリア他

『アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー』と同じく、
ちょっと前に“未体験ゾーンの映画たち 2014”で上映されて、先月半ばに早くもDVD化。
実話を基とする2013年のノルウェー作品です。

1970年代が終わろうとする頃、北海で莫大な石油とガスが発見される。
しかし、深海に囲まれたノルウェーでは、石油の運搬が非常に困難。
1980年代に入り、政府は一大プロジェクトに取りかかることに。
それは、海底に石油を運搬するためのパイプラインを開通させるプロジェクト。

水深500メートルでの作業は本当に可能なのか。
それを確かめるため、ノルウェーとアメリカのプロダイバーが集められる。
ノルウェーのメインダイバーとして抜擢されたのは、
ペッターとその兄クヌート、そしてまだ若いヨルダン。

実際に海に潜り、無事に作業できることを世界中に知らしめるため、
国の期待を一身に背負って彼らは実験ダイブへ。
“ベル”と呼ばれる釣り鐘形の装置で海底に降りると、
ペッターとクヌートが作業にかかり、ベルの守りをヨルダンが担当。
万事順調だったはずが、ペッターが一瞬失神してミスを犯す。
そのせいで、クヌートがはじき飛ばされて命を落としてしまう。

最愛の兄を亡くし、悲しみに暮れるペッターだったが、
自分のミスだったとは到底認められない。
失神したのは自分の体調以外の理由があるはずだと考える。

事故後、欠勤したヨルダンの様子を見に行くと、
彼がしばしばてんかん発作を起こしていることを知る。
自分たちの不在時にベル内でヨルダンが発作を起こしたのではないか。
そう上層部を問い詰めたところ、ヨルダンが自分のミスを認めたと言う。

それでもまだ何かおかしい。
巨額が動くこのプロジェクトの裏に、やがて国をあげての陰謀が見えてきて……。

なんというのか、ハリウッド映画とは異なるタッチ。
主人公はなんぼ凄いダイバーと言っても、見た目はイケてないオッサンだし、
そんなオッサンが兄貴が死んだ直後から俺のせいじゃないと言い張るのですから、とてもイヤ~な感じ。
窓ガラスを叩き割ってダイバーの個人情報を盗みに入ったり、
とにかく誰彼なしに喧嘩腰で話したりするのもなんだかなぁ。

テンポも良いとは言えません。
ただ、これはどういう方向へ進むんだろうと気になって目が離せません。

それと、『宇宙兄弟』(2012)で驚いた、宇宙飛行士の選抜試験同様、
海底に潜るダイバーが受ける試験は実に過酷で興味を惹かれます。
減圧されたタンク状の部屋で水圧に体を慣らし、10時間ほどかけて部屋全体を加圧。
この加圧が凄くて、ときに幻覚を見たりするダイバーたち。
あきらかに気が変になっている状態です。
こうして加圧された状態で海へ潜り、海底から戻ってきたときには何日もかけて減圧。
すぐに外へ出ると命に危険が及ぶこともあるそうです。

あまり馴染みのない北欧の映画にのめり込めない部分はありますが、
じゅうぶんにおもしろい社会派のサスペンス作品でした。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『わたしのハワイの歩きかた』 | トップ | 『フィンランド式残酷ショッ... »

映画(は行)」カテゴリの最新記事