夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『トランスアメリカ』

2007年02月19日 | 映画(た行)
『トランスアメリカ』(原題:Transamerica)
監督:ダンカン・タッカー
出演:フェリシティ・ハフマン,ケヴィン・ゼガーズ,フィオヌラ・フラナガン,
   エリザベス・ペーニャ,グレアム・グリーン,バート・ヤング他

女性になろうとしている男性を演じた女優フェリシティ・ハフマンが、
どこからどう見ても「女性になろうとしている男性」にしか見えません。
いや、参りました。スバラシイ。

ロサンゼルスでひとり暮らしの中年、ブリー。
幼い頃から自分は男性ではなく、女性であると信じてきた。
女性ホルモンを飲みつづけた結果、一見女性。
しかし、完全な女性になるためには男性器がジャマ。
真面目に働いてコツコツとお金を貯め、
1週間後に念願の性転換手術を受けられることに。

ところが、ニューヨークから電話が入る。
ブリーの息子が万引きで捕まり、警察に拘留中とのこと。
自分の息子の存在を初めて聞かされたブリーは気が動転。
確かに若かりし頃、男として、女性と一度だけ関係を持ったことがある。
その後、実家を飛び出したブリーは、
相手の女性が出産したことを知らずにいたのだ。

息子の名はトビー、17歳。
身元引受人として指定されたブリーは逃げ腰だが、
ブリーの親しい友人でセラピストのマーガレットは
トビーとの問題に何らかのけじめをつけなければ
性転換手術は受けさせないと言う。

仕方なくニューヨークに出向いたブリー。
母親はすでに死亡し、トビーは男娼として生計を立てていた。
しかし、会ったことのない父親と一緒に暮らすのが夢だと語るトビーに
スカートを穿いた自分が父親だとは明かせないブリーは
教会関係者だと偽り、トビーの保釈金を払う。

荒んだ生活を送るトビーを放っておけない。
中古車を購入したブリーは、映画俳優になりたいというトビーを
ロサンゼルスまで連れて行くことにする。
こうしてブリーとトビーの大陸横断の旅が始まる。

性同一性障害(トランスセクシュアル)という、
ここ数年取り上げられている比較的新しい題材でありながら、
古典的なロードムービーという形がハマった秀作。
衝突をくり返しながら絆を深めていくわけですが、
ブリーのことを女性だと信じて疑わなかったトビーが
野宿の途中で用を足すブリーの男性器を見てしまってからが大変。
それでもまだ父親であることは打ち明けられないブリーの
男親として息子を思う気持ちと、
女親として息子を思う気持ちの動きが絶妙。

こんな爽やかなラストも久しぶり。

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