夜な夜なシネマ

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『神様からひと言』

2008年07月11日 | 映画(か行)
『神様からひと言』
監督:古厩智之
出演:伊藤淳史,陣内孝則,原沙知絵,田山涼成,嶋田久作,
   小倉一郎,脇知弘,野村宏伸,犬塚弘他

2006年にWOWOWで放映されたTV映画。
原作は荻原浩の同名小説です。
今まさにタイムリーな話題。

大手広告代理店を辞め、
中堅食品会社「珠川食品」に中途入社した佐倉。
経歴を買われて、新製品のパッケージデザインを任され、
自信を持って役員会議でのプレゼンに臨む。

しかし、古参の役員の言い分がすべてであるこの会社では、
佐倉の話になど誰も耳を貸そうとせず、一蹴される。
納得が行かない佐倉は言葉を返すが、
その態度が許されず、会議室はえらい騒ぎに。
翌日、佐倉はリストラ要員収容所と陰で呼ばれている、
「お客様相談室」への異動を言い渡される。

それは「会社」というにはほど遠い一軒家で、
玄関先には、ぱっち姿の爺さんが店番をする漬物屋。
相談室のメンバーは、保身に走る室長の本間をはじめとし、
元社長秘書でワケありの宍戸。
ストレスで首が曲がらず、声も出せない体育会系の神保。
健康オタクの山内、フィギュアオタクの羽沢。
やる気はゼロでも、謝罪させたら天下一品の篠崎。

クレーム処理が仕事だというのに、
電話が鳴っても誰も取ろうとしない。
電話を取っては謝り続けるはめになった佐倉だったが……。

クレーム処理という言葉に興味を惹かれて借りました。
ヤクザが難癖をつけてきたり、
博打で生活に困っている男が謝罪金狙いでやってきたり、
ヒマなお婆ちゃんが息子と話すつもりで電話してきたり、
多少の脚色はあったとしても、そう嘘ではなさそうです。

話が進むにつれて、会社の乗っ取りや偽装問題なども出てきて、
まさに「今」の映画。
謝罪会見の模様は、こんな経営者がいればと思わなくもありません。
謝るときは胸に手を当てて。
この人のためになら謝れると思う人を思い浮かべて。
ただ、こんなふうに謝れる人は、
最初からこんなこと、しないんですよね。

人気のラーメン店とのコラボレーション企画の話では、
頑固な店主を豊原功補が好演。その言い分もなるほど。
また、恋人が自分の元を去った理由がわからない佐倉に
啓示を与えるホームレスに扮するセイン・カミュもハマっています。
ピザのアスパラの話は実に興味深いです。

会社なんて「おでん鍋」。
グツグツ煮込まれて、どれだけ煮詰まらずにやっていけるか。

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