夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ボーダーライン』

2016年04月17日 | 映画(は行)
『ボーダーライン』(原題:Sicario)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エミリー・ブラント,ベニチオ・デル・トロ,ジョシュ・ブローリン,
   ヴィクター・ガーバー,ジョン・バーンサル,ダニエル・カルーヤ他

西天満で晩ごはんを食べることになっていた月曜日、
もはやすっかりクセになっている午後休をまたしても取りました。
晩にたらふく飲んで食べる予定の日も、私は車で通勤。
お酒をほとんど飲めないダンナが帰りは運転してくれるからラッキーです。(^O^)

で、お昼のチャイムと同時に車で職場を出発。
晩ごはんまでに映画を2本ハシゴすることができそう。
観る作品と劇場の候補はいろいろあり、いつもなら効率を重視するところですが、
この日は「はたして私が本当に観たいのはどれなのか」を考えました。
その結果、まずはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督がどうしても気になる本作を選択。
昼間は空き空きの新御堂筋をすいすいと走り、なんばパークスシネマへ。

FBIの誘拐即応班のリーダーで女性捜査官のケイト・メイサーは、
ある日の現場で部下2名を失う。
上層部が顔を並べる会議の席に呼び出され、
てっきり処分を言い渡されるかと思いきや、
彼女の確かな腕と経験を買われて、特殊部隊にスカウトされる。

目的はメキシコの麻薬組織“ソノラ・カルテル”を潰し、
最高幹部のマヌエル・ディアスを拘束すること。
任命ではなく、あくまでケイトの意思で志願という形が必要らしい。
ケイトは躊躇したものの、麻薬組織の壊滅を望んで志願する。

ケイトの上司となったのはCIAに属するとおぼしきマット・グレイヴァー。
チームに同行することになったのはアレハンドロというコロンビア人で、
いったいどこに所属しどこから派遣されているのかがわからない謎の男。
ケイトが尋ねても、マットもアレハンドロも教えてくれない。

チームは国境を越えてメキシコのフアレスへと向かう。
ところがそこでケイトが目にしたものはチームの違法行為ばかり。
正義や法のいっさいを無視したやり方にケイトは異議を唱えるのだが……。

原題の“Sicario”はスペイン語で「殺し屋」の意。
冒頭でその説明があり、観終わって納得。
邦題の『ボーダーライン』はいささか凡庸な気がしますが、
物理的な国境だけでなく、善悪の境を意図するものとしては良いですね。

『プリズナーズ』(2013)では、犯人のみならず被害者の父親も囚人と化してしまう、
その境界はいったいどこにあるのかを描いた監督。
本作では悪を潰すために違法行為もいとわないチームの中で
正義とは何なのかを考えて苦しむケイトの様子が痛々しい。

『エスコバル/楽園の掟』で麻薬王を演じたベニチオ・デル・トロ
今回は麻薬組織を壊滅させる側のアレハンドロ役。
悲しい過去を背負う彼の冷徹な姿は観る価値があります。

楽しい話ではないけれど、とても惹きつけられる作品でした。

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