夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ファミリー・ツリー』

2012年05月22日 | 映画(は行)
『ファミリー・ツリー』(原題:The Descendants)
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ジョージ・クルーニー,シャイリーン・ウッドリー,アマラ・ミラー,
   ボー・ブリッジス,ロバート・フォスター,マシュー・リラード他

封切り日、仕事帰りに近所のシネコンへ駆け込んで。
『サイドウェイ』(2004)の監督の作品です。

ハワイのオアフ島に妻と娘たちとともに暮らす弁護士マット。
カメハメハ大王の末裔である先祖からカウアイ島の広大な原野を受け継ぎ、
幼少の頃から慣れ親しんだこの美しい土地を管理してきた。

しかし、法の改正で7年後には土地の信託期限が切れるため、
その前に土地を売却して利益を分配しようと親戚たちの間で話が進む。
すべての決定権はマット一人にあるのだが、どこの誰に売却すべきか、
親戚の意見が一致するとも思えず、島民の気持ちも考えると頭が痛い。

そんな折り、妻のエリザベスがボート事故で昏睡状態に。
妻との会話はここのところほとんどなく、
娘2人のことも任せっきりだったから、どう接してよいかわからない。
特に次女で10歳のスコッティの行動には戸惑うばかり。

途方に暮れるマットは、私立高校で寮生活を送る長女アレックスのもとへ。
エリザベスの意識は戻らないまま最期を迎えるであろうことを伝え、
アレックスを実家へ連れ帰る。

そして、アレックスから知らされる、エリザベスの浮気の事実。
憤慨しつつも、妻の状態をとりあえずは知らせたいと、
浮気相手を突き止めることにするのだが……。

監督としての手腕にはガッカリだったトム・ハンクスに対して、
ジョージ・クルーニーは監督作の『スーパー・チューズデー 正義を売った日』もよかったし、
役者に専念した本作もやっぱりイイ。
男前のオッサンがうろたえたり悪態をついたりする姿は好印象。
妻の浮気相手へのちょっとした仕返しもサマになっています。
トム・ハンクスが白シャツでジュリア・ロバーツを出迎える姿には
ドン引きしたんですけれど。すんません。

もうちとイケメンを使ってほしかったのは、
その妻の浮気相手ブライアンを演じるマシュー・リラード。
『サマーリーグ』(2001)や『トレジャー・ハンターズ 進め!笑撃冒険王』(2004)に出演していますが、
如何せん、『スクービー・ドゥー』(2002)の印象が強すぎて、
本作のような浮気相手の色男は似合わない。
ま、アレックスが「なんでこんな男と」とぼやく点に同感ですから、そういう意味ではピッタリか。
彼が20代の頃の主演作『デッドマンズ・カーブ』(1998)は、
自殺者が出ればルームメイト全員がオールAを貰えるというシステムを悪用する話で、
どちらかといえばこういうブラックな話のほうが彼の容貌には合っている気がします。

それから、アレックスのボーイフレンドを演じるニック・クロース。
初めて見る役者さんですが、なんかダイコンっぽい。
ところがそれがいい味になっていて、外し具合に笑いました。

家族はどうなるのかに加え、土地問題もどうなるのか。
やはり男前な決断で、とっても小気味よいです。

予告編でさんざん目にしたシーンをそこへ持ってきたのですね。
派手さはないけれど、目も心も癒される作品でした。

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