HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

さよなら冬のリビエラ

2008-01-31 | 旅・イベント
 今日で南仏ともお別れです。といっても、滞在中ずっと会場内が殆どだったので、せっかくの太陽も拝めないままでした。今朝はチェック・アウトの前に海岸まで足を運び、束の間の南国気分を味わいました。
 それにしても暖かい。日差しの中にいると汗ばむほどです。まさかとは思いましたが、泳いでいる人の姿も見かけました。
 この海岸でカクテル片手に、のんびりと読書でもしながら過ごす、というのがこちらの人のヴァカンスの典型なんでしょうね。

 さて、パッキングにかかったら、随分絞ったつもりでいたのに、カタログとサンプルCDが溜まってしまい、バッグに収まらなくなりました。幸いホテルの横にお店があったので、安物のバッグを買いました。
 2つのバッグのあまりの重量に音をあげて、節約のつもりのバスからタクシーに切り替えようと思ったら、なんとタクシーがストライキに入って動いていません。仕方なくバス乗り場まで、重い荷物を引っ張って行きました。

 ところが今度は、ストライキの影響か自家用車が増えすぎていて、空港の近くになると渋滞でバスが全然前に進みません。運転手はイライラして怒りまくるし、乗客は時間に間に合うかとそわそわしています。
 結局空港の近くで降ろされて、空港まで歩けと言われました(!)かくしてスーツケースを持った人の長い行進です。

 空港に着いたら着いたでパスポート・コントロールがこれまた長い列なのです。イギリスはEUに加盟しているものの、シェンゲン協定(協定加盟国間では検問がありません)に調印していないので、イギリス行きのゲートの前だけ検問があるのです。
 音楽の展示会なので当然イギリスからの参加者は多く、帰りの人達で長い列になっています。ところが係員はひとりだけ。普段だったら事足りるのかもしれませんが…

 こんな時は色々重なると覚悟しなければなりません。飛行機はまともに到着したものの、今度は地下鉄が来ません。隣に並んでいたインド系の女性が不満を僕に述べるのですが、もちろんどうしようもありません。
 やっと来た地下鉄、重たい荷物で痛む腰をさすりながら座り込んだと思ったら、次の駅で老人夫婦が乗り込んで来ました。
 もちろん席を譲りましたよ。おかげで今晩は腰痛との戦いです。

ニースの夜

2008-01-30 | 旅・イベント
 今日のコンファランスはインディペンデント・レーベルのビジネスがテーマでした。質問者の中には各国のシンガー&ソング・ライターも多く、僕もついHOBNOBの身になって聞いてしまいました。
 ずっと元気だったのですが、夕方になって頭痛がしてきました。睡眠を削っての連日参加だったので、ちょっと堪えたみたいです。今晩はあまり得意じゃないクラシックのコンサート中心なので、早めに切り上げて、ホテルを取っているニースで夕食を取ることにしました。

 ニースではもうすぐカーニヴァルが始まるとあって、飾り付けの準備が始まり、海沿いの道にはパレード見物用の客席がセットされていました。直接カーニヴァルとは関係ないのでしょうが、マセナ広場では観覧車がお祭り気分をそそっています。
 ところがこの観覧車、回る速度の速いこと!落っこちるんじゃないかと思えるほどです。僕は高い、狭い、速い、が苦手なので、これだけ三拍子揃ったものは絶対ダメです(笑)

 南仏には旧市街と呼ばれる、昔ながらの狭く入り組んだ通りがありますが、ニースの旧市街は特に大きく複雑で、初めて行くと迷ってしまうんじゃないでしょうか。
夏の観光シーズンには遅くまでにぎやかなこの地区も、今は夜ともなると人通りもまばらで、同じ通りとは思えないほどです。食事の後ここをぶらぶらと歩いて感傷に浸りました。洗濯物がたくさん干されているのはご愛敬です(笑)
 多分いつかこの晩をテーマに曲ができるでしょう。

レッド・カーペット

2008-01-29 | 音楽
 ヨーロッパのホテルの料金は、大抵ハイ・シーズンとオフ・シーズンの二通りに分かれますが、カンヌではさらにハイ・シーズンよりも高い期間が存在します。
 そうです、カンヌ映画祭の期間中なんですね。僕が昔泊まったホテルは、その期間がべらぼうに高かった記憶があります。もちろん高級ホテルは皆スターや業界の偉い人たちが押さえるのでしょうから、いくら高くても問題はないのでしょうが。

 さて、その映画祭の時にレッド・カーペットが敷かれる会場の中に毎日足を運んでいます。残念ながら、あの階段が入口にはなってはいませんが。
 今日は業界人によるコンファレンスにずっと続けて出席しました。U2のマネージャーの Paul McGuinness氏や、コカ・コーラ社のブランド・マーケティングをやっているMark Mathieu氏の興味深い話を聞きましたが、何と言ってもハイライトはピーター・ガブリエル Peter Gabrielが対談を行ったことです。足を怪我して松葉杖で現れました。そのせいか残念ながらパフォーマンスはなかったのですが、すぐ眼の前で話を聞けて感動ものでした。

 今日の夜はイギリス勢によるライヴ・パフォーマンス。6時からアコースティック、8時半からロックやアーバン・ミュージック(その他ジャズも別の会場で)が披露されたのですが、さすがにUKのアーティストの底力を感じます。昨年はこの催しでエイミー・ワインハウスが演奏したと思うと興奮します。

 最後まで見たかったのですが、実は今カンヌに宿が取れなくてニースのホテルに泊まっています。最終電車で帰るのもリスキーなので、昨晩も10時半の電車に乗ったのですが、なんと今日はその電車が動かなくてバスで帰る羽目になりました。おかげでホテルに着いたのは深夜過ぎです。疲れました。

音楽の多様性

2008-01-28 | 音楽
 パリからカンヌに移動しました。同じ国なのに、どうしてこんなに気候が違うのでしょう。昨日は“重装備”でも震えていたのに、今日は夕方になってもコートが要らないくらいです。
 この暖かい気候のせいか、コート・ダジュールの人のフランス語の発音はパリの人よりのんびりしているような気がします。

 今日は音楽関連のエクシビションで、各国から集まった人がCDやライセンスの売買をこの地でします。そのためこれから売り出す若手らを中心にライヴも何箇所かで行われます。メインのホールだったり、特設のテント内だったり、ホテルのボール・ルームだったり。この他に音楽市場に関するコンファレンスもあったりするので、うまくスケジュールを組まないと、見落としてしまいます。

 今日はヨーロッパ各国の若手ミュージシャンのライヴを見たのですが、中には本当に才能もあって面白い音楽をやっている連中もいました。殆どが英米のロックやラップを基本にはしているのですが、その枠から気持ちよく抜け出して、自分の音楽にまで昇華しています。
 考えてみたら、これだけ異なる言語を音楽に組立ようとすると、当然メロディーやリズムも変わってくるはずです。
 
 今年はオリンピックの影響もあってか、オープニング・ナイトを飾ったのは中国の音楽でした。世界の音楽市場の地図も変わってくるような予感がします。

思い出のサンジェルマン

2008-01-27 | 旅・イベント
 パリのホテルで書いています。昨日・今日とこちらで仕事です。
 毎回ホテルで苦労することではあるのですが、昨晩は結局インターネットへの接続が出来ずに更新できませんでした。

 昨日は地下鉄がスムーズに空港に着いたまでは良かったのですが、肝心の飛行機がなかなか出発しません。結局2時間近く遅れての到着です。ロンドン~パリ間なんて、飛行機に乗っている時間自体は40分くらいのものなので、何だかすごく損した気分でした。
 おまけに空港からのタクシーが渋滞に巻き込まれて、のろのろ運転。おかげで仕事のスケジュールが遅れてしまい、夜の8時まで何も口に入れることができませんでした。

 とにもかくにも夕食を済ませ、疲れてはいるものの、このままホテルに帰るのも味気ないので、サンジェルマン・デ・プレまで出かけました。僕の初めてのヨーロッパ体験はパリでした。その時ひとりでぶらぶらと歩いたこの界隈が一番印象に残っています。
 街のシンボル的なロマネスク様式の教会を見上げながら、ベル・エポック時代の面影を残すカフェで恋人たちが語らい、洒落たプチ・ホテルが軒を連ねる横で、センスのいい油絵や彫刻を並べたギャラリーがディスプレイを競います。横道に迷い込むこと自体が楽しくて何時間も飽きずに過ごしました。
 その当時のことを思い出しながら、もう遅い時間で閉まっている画廊を、薄明かりを頼りに歩いて回りました。

 パリは刺激的ですごく好きな街です。でも、いつもどこか感傷的な気分にさせられてしまいます。それに対してロンドンは心をじわじわと温かくさせてくれる街です。
 パリが劇薬成分もある即効薬で(但し副作用あり)、ロンドンは長期で効き目が現れる漢方薬かな(笑)

リンダの写真展

2008-01-25 | アート
 ロンドンでは、オフィスを訪ねても自宅に招待されても、目立つのが壁に飾られた絵です。思い思いに好みの絵が飾りつけられて、その人の性格やらセンスやらが分かる気がします。インテリアのひとつとして定着しているんですね。

 そのせいか街中にも小さなギャラリーが非常に多く存在します。中にはちょっと僕らには手が届きそうにない美術館級のものもありますが、大抵は手頃な値段のものが並べられています。
 その意味で油絵ばかりでなく、水彩画も多いですし、写真(特にモノクロ)を扱っているところも数多くあります。

 飾るのに適しているかどうかはともかく、個人的に興味を持った展覧会のパンフレットをもらいました。リンダ・マッカートニーの写真展です。

 60年代から90年代までの幅広い年月の間にリンダが撮った数多くのショットから、ギャラリーのオーナーとポール・マッカートニーが選んだ28枚が展示されます。
 その中にはポールと家族はもちろんのこと、ジョン・レノン、ミック・ジャガー、ジム・モリソン、ジャニス・ジョプリン、サイモン&ガーファンクル、等々興味深いアーティストのショットが含まれます。

 もちろんこれらの写真は販売されるわけですが、それぞれ25枚のみのプリントです。さらにはこれらの28枚がセットになったデラックス・ボックスが10点作られます。
 しかも全部にポールのサイン入りの証明書が付くんです。

 画廊の人に問い合わせましたが、展覧会が4月末ということもあって、まだ値段等細部は何も決まってないとのことです。
 欲しいなぁ。でも、高いだろうなぁ。

ロンドンのトイレ事情

2008-01-24 | 日常
 別にイギリスに限ったわけじゃないですが(というより他のヨーロッパの国の方がもっと大変かもしれませんが)、観光に来た人が日本にいる時のような感覚でいると、いざトイレに行きたくなった時に苦労することが多いんじゃないかと思います。

 まず地下鉄の駅にはトイレはありません。National Rail(旧国鉄ですね)の大きな駅にはありますが有料です。
 デパートでも、日本のように各フロアにあるというわけではなく、中には有料のものもあります。(ハロッズの高級トイレなんかは昔から有名でした)

 パブは誰でも使えますが、小さな店だったり客があまりいなかったりすると、常連風な人が多い中で、日本人だと目立ちすぎて、トイレだけ利用するのに入りにくいかもしれません。
 マックなどのファースト・フード店は気楽に入れますが、店によっては男女共通だったり、意外と故障が多かったりします。スタバなんかだと、小さなところはトイレのないこともあります。
 
 ホテルなら普通の格好をしている限り大丈夫でしょうが、あまりに高級なところで小汚い格好でいると、さり気なく係員が来て、“お泊まりの方でしょうか”と、(要は)注意されるという話も聞きました。

 お勧めは、ナショナル・ギャラリーのような国営の美術館・博物館です。観光客で一杯だし入場は無料なので、気楽に用を足せます。でも、そんなにあちこちに美術館や博物館があるってわけでもないですしね。

 街中には公衆トイレもあるのですが、あまり数はなく、大抵地下にあるためか目立ちません。
 写真のように箱形のものがドンと通りに置かれていることもあります。ただ、これは有料のうえ何だか目立ちすぎて使い辛い気がします。

 ちなみに昨年、面白い携帯メールサービスが出来ました。80097にToiletと書いてショート・メッセージを送ると、公衆トイレの場所をテキストで知らせてくれるというものです。
 試しにやってみたのですが、通りの名前や広場の名前と使用できる時間帯が送られて来るだけなので、これを見てからまた探すのが大変な気もしました。

 それにしても、トイレがそれほど多くないのは水事情なのか、身体的事情なのか、何か理由があるんでしょうか?こちらの人の方がたくさんビールを飲んでるような気がするんですが(笑)

ルイーズ・ブルジョアの巨大な蜘蛛

2008-01-23 | アート
 地下鉄でセント・ポールの駅を降りて、テームズ川にかかるミレニアム・ブリッジを渡る時の風景は、ロンドンでも指折りの景勝のひとつだと思います。
 東にロンドン・ブリッジ、タワー・ブリッジの勇壮な姿、西にはロンドン・アイ、ビッグ・ベンという新旧の名所を臨み、北側を振り返ればセント・ポール寺院が華麗な姿を見せます。

 そして足を向ける南側には、もともとバンクサイド発電所だった建物を改装した美術館テート・モダンが。建物の真ん中に聳える99mの高さの煙突が目に飛び込んで来ます。

 こちらの入り口から入る時にいやでも目につくのが巨大な蜘蛛のオブジェです。六本木ヒルズにもあるこのMamanと呼ばれる10m近い蜘蛛は、パリ出身のアメリカの彫刻家ルイーズ・ブルジョアの手によるものです。

 この蜘蛛、最近ではテート・モダンの付属物の感さえあるくらい、周りの景色に馴染んでいましたが、実は館内で行われていたブルジョアの展覧会に合わせて展示されていたものなので、今日を以て撤去されました。

 ルイーズ・ブルジョアは1911年生まれですから、もう97歳になったんですね。
 彼女の再評価のきっかけになったのが、1984年のMoMA(ニューヨーク近代美術館)での個展ですから、この時点で既に72歳、Mamanを制作したのは1990年代に入ってからです。

 芸術家は本当に亡くなる間際まで創作活動を続ける人が多いですよね。100歳の記念に何かMamanを超える作品でも残してくれたらいいのに、なんて思っています。

馬用の信号機

2008-01-22 | 日常
 近頃は極端に寒い日もなくなり、あまり真冬という感じはありません。それでも未だに夜が明けるのは遅く、8時頃からだんだん空が白んできます。
 早起きして公園を散歩すると、暗い中からいきなり蹄の音と共に馬が現れて驚くなんてことがあります。

 ハイドパークは非常に大きな公園なので、乗馬には持って来いのところなのですが、中を車が走る道路が走っています。そうなると車と人と馬の進行をコントロールしないといけないわけです。したがって信号もあります。

 押しボタン式の信号機はよく見ますよね。でもハイドパークには普通の人の身長ではちょっと押すのが大変そうな、高い位置にある信号機があります。
 実はこれ、馬に乗った人が押すための信号機なのです。ちなみに歩行者のことはpedestrianと言いますが、これに対して馬に乗る人のことをequestrianと言います。

 そう言えば以前は警官が馬に乗って街中をパトロールしていましたが(馬の落し物もあちこちに)最近はその習慣がなくなったのか、見ることがありません。あの時代錯誤な風景が好きだったんですけどね。

ライカの国

2008-01-21 | 旅・イベント
 ロンドンに帰って来ました。やっぱりこの街の方が僕には落ち着くみたいです。
 ケルンでは結局、滞在中一日も青空を見ることができず、晴れ男を名乗る自信がなくなってしまいました(笑)

 雨の中ショッピング街を歩いていて、ふと目に留まったのが巨大なライカのディスプレイ。そうです、ドイツはライカの発祥の地なのです。僕自身かつてのめり込んで、同時期に4台も持っていたことがあったので、その頃の感情がふっと湧いて来て懐かしく感じました。

 ライカがM3を発表したのが1954年のこと。当時考えられる限りの技術を注ぎ込んで完成された“究極のカメラ”でした。逆に言えば、このカメラの完成度の高さがその後ライカの進む道を狭めたとも言えるでしょう。

 いまやデジタル・カメラ全盛の時代です。ライカも以前から富士フィルムやパナソニックと提携してコンパクトなデジカメを出していましたが、なかなか思うような成果は出ていないようです。
 一発大ヒットがあった歌手が、その後イメージを変えようと色々違うタイプの曲に取り組んでも、代表曲のイメージを追うファンが許してくれずに、結局そこを乗り越えられないみたいなものですかね。

 個人的には好きなブランドだけに、ノスタルジーだけでなく、是非何らかの形でまた成功をおさめて欲しいものです。