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「飛び込み出産」という貧困の表現。
「飛び込み出産」昨年は301人、経済苦などで健診受けられず |
妊娠中に定期的な健診を受けず、産まれそうになってから病院に駆け込む「飛び込み出産」をした未受診妊婦が、全国の主な病院で、昨年1年間に計301人いたことが、読売新聞社の調査で明らかになった。
最大の原因が経済苦であることもわかった。飛び込み出産について全国の実態が明らかになるのは初めて。 調査は、高度な産科機能を持つ総合周産期母子医療センターとして指定されている医療機関と、今後指定される予定の医療機関計73か所に対して郵送で行い、67か所から回答を得た。 回答によると、昨年1年間に「飛び込み出産」をした未受診妊婦は計301人に上った。未受診の理由は「経済的困難(費用負担ができない)」が最も多く146人と49%を占めた。「健診が不要と考えていた」妊婦も42人いた。 実際、98人(33%)が、出産にともなう医療費を一部もしくは全額払わなかった。また、107人(36%)は未婚だった。 |
地域から産科が撤退し、お産ができなくなっていることを、これまでメディアが伝えてきた。医師の労働環境の過酷さが病院から医師が去っていく要因にあげられ、「医療崩壊」とよばれる実態が日本の各地に広がるようになってきた。もちろん、根底には政府厚労省が医療費抑制に血道をあげるあまり、そもそもの医師の絶対数が足りない実態をうみ出してきたのである。だから、ただちに医師の絶対数をふやすことが、医療崩壊を解消していくいわば前提ともいえる。端的にいえば産科の病棟閉鎖など地域からの子どもを産めないような実態もつきつめていえば医師不足にたどりつく。
そこで、こんな事態がうまれうる。
地域から産科が撤退しはじめる。すると、こんどは産科をつづけている病院はどうなるのか。残った病院は出産数が急増するだろう。だから、ここでは医師や助産師のいっそうの過重労働を招く。悪循環である。もっといえば、医師不足と産科の撤退が、残された産科受け入れ可能な医療機関の出産数の急増を招く。つぎにその医療機関の医師、医療従事者の過重労働を招くという具合に、負のサイクルを描く。描かざるをえない。過重労働がすすめば、結果的に医療機関側がこんどは出産件数を制限せざるをえなくなる。
こうして描かれる構図が、たとえばメディアをとおして伝えられる患者たらい回しの一因にもなってきた。
ところで、普通分娩は病気とは位置づけらていないため、いったん費用全額を払わないといけない。容易に想像がつくが、低所得者にはこれがかなりのハードルになる。払える人はのちに保険から出産育児一時金が支給されるが、前もって払わなければならない費用を工面できない人がいるという事実。これが問題となっている。
冒頭の記事はこの実態の一端を伝えたものだ。
最近、当ブログでは国民健康保険制度をとりあげた(参照)が、そこで言及した国民保険料の滞納者については、少なくとも私の住む自治体では、この出産育児一時金が支給されないのである。制裁的措置だということもできるだろう。公的な助産制度はあるが、それを利用するにはこれまたハードルが高い。
派遣社員など不安定は立場のものは、妊娠が明らかになればそのことでもって職を失いかねない。リスクが不安定被雇用者を襲う。
低所得者の頭を悩ますのは、出産費用を捻出できるか否かの問題だけではない。そうではなくて、それ以前の妊婦健診すら受けることができないことが推測される。健診は月1回受けることになっていて、すべて自費である。1回に4、5千円かかるというから、たとえば国民保険料を滞納している人びとにとって、この金額は負担に思えるだろう。結果的に健診未受診という事態に至るのである。記事は、この未受診者に注目している。未受診はいうまでもなく出産のリスクをも高めるだろう。
飛び込み出産の背景には、このように厳然として複雑な社会的な問題がからんで存在する。平たくいってしまえば、それは社会の貧困化に深くかかわっているように思えてならない。新しい生を創出するはずの出産という場面をとりまく環境は、快適なものではけっしてなく、とくに貧困に直面する母体にとっては刃をつきつけられたような今日の状況といえるのではないか。それは、社会にとって避けるべき、あるいは解消すべき事態といえないか。
いいかえると、、「飛び込み出産」という、他に変えることのできない事態は、すなわち今日の日本のなかの貧困の広がりを表現しているにちがいない。(「世相を拾う」08027)
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PS;地域で現れる医療崩壊の一端は、たとえばこのような形で表面化しています。
<県立南会津病院>産婦人科、3月末で休診 常勤医2人退職、後任なく /福島
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