森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
花・髪切と思考の
浮游空間
カレンダー
2006年12月 | ||||||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||
1 | 2 | |||||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | ||
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | ||
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | ||
31 | ||||||||
|
goo ブログ
最新の投稿
8月6日(土)のつぶやき |
8月5日(金)のつぶやき |
6月4日(土)のつぶやき |
4月10日(日)のつぶやき |
2月10日(水)のつぶやき |
11月12日(木)のつぶやき |
10月26日(月)のつぶやき |
10月25日(日)のつぶやき |
10月18日(日)のつぶやき |
10月17日(土)のつぶやき |
カテゴリ
tweet(762) |
太田光(7) |
加藤周一のこと(15) |
社会とメディア(210) |
◆橋下なるもの(77) |
◆消費税/税の使い途(71) |
二大政党と政党再編(31) |
日米関係と平和(169) |
◆世相を拾う(70) |
片言集または花(67) |
本棚(53) |
鳩山・菅時代(110) |
麻生・福田・安倍時代(725) |
福岡五輪幻想(45) |
医療(36) |
スポーツ(10) |
カミキリムシ/浮游空間日記(77) |
最新のコメント
Unknown/自殺つづくイラク帰還自衛隊員 |
これお・ぷてら/7月27日(土)のつぶやき |
亀仙人/亀田戦、抗議電話・メールなど4万件突破 |
inflatables/生活保護引き下げ発言にみる欺瞞 |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/国民の負担率は低いというけれど。 |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/[橋下市政]健康を奪い財政悪化招く敬老パス有料化 |
最新のトラックバック
ブックマーク
■ dr.stoneflyの戯れ言 |
■ machineryの日々 |
■ えちごっぺのヘタレ日記 |
■ すくらむ |
■ 代替案 |
■ 非国民通信 |
■ coleoの日記;浮游空間 |
■ bookmarks@coleo |
■ 浮游空間日記 |
過去の記事
検索
URLをメールで送信する | |
(for PC & MOBILE) |
2007年こそ護憲勢力の前進を
野党第一党である民主党への素朴な、あるいは純粋な期待はとても大きいと考えることができる。しかし、先の国会で民主党のとった態度はすくなからず同党へ期待を寄せる人の思いを結果的にふみにじったともいえる。
この民主党の現状について「石橋を叩いても渡らないかも?」のゲゲゲのイチロー さんが考察されている。このイチローさんの結論に、私は賛成である。
そしてイチローさんの考察にたいして、私はつぎのコメントを寄せた。
管理人さんの主張に賛成です。
たとえば、民主党にたいする期待は、この間の2つの衆院補選がピークだったような気がします。議論されていたのは選挙協力であったと記憶しますが、その際、私は2つの点が欠落されて議論されていたと思います。1つは、民主党そのものの、自民党となんらかわらない性格です。この点では、共産党が指摘するように、まさに同党誕生の経過をみても明白ですが、権力側の二大政党づくりに乗っかった政党です。これを脱したとは今もいえない。いま1つは、政党そのものの存在意義です。自らの社会的要請を明確にしてこそ政党です。ここをあいまいにしたまま選挙協力などありえないと私は考えるのです。1人を争うから野党はすべて一本化せよという主張は、正しいようにみえますが、根幹の政策が一致しないのに共闘など政党としてはありえません。少なくとも選挙政策での一致が必要でしょう。
来年参院選の目標は、護憲勢力が改憲勢力を上回ることだと考えます。野党が与党を上回ることでも、ましてや民主党が自民党を上回ることでもない。
護憲勢力が前進するこそ課題にする必要があります。拙ブログで、民主党に言及しましたが、同党への善意の期待が広くあることは否めません。しかし、同党が自民党にとってかわりうるなんてとんでもないと現状では私は考えるのです。
回顧趣味ではむろんありませんが、かつての社会党の役割を果たしうるとは私は考えないのです。私は社会党を支持したことはありませんが、それでも護憲を旗頭にした同党が、国民の期待も受け革新勢力の有力な部分であったこともまた事実でしょう。
護憲を軸にした国民的共同の構築、ここに全力をあげる必要があるでしょう。
民主党にたいする私の評価は以上に尽きている。
参院選を前に、マスメディアでは自民党の「苦戦」が伝えられているが、私はそううまく事は運ばないのではないかと思っている。だからこそ、自民党政治をうちやぶる勢力の前進を願ってやまないのだが。
教育基本法が改悪された。その具体化をどう現場で跳ね返すかということが当面、課題となる。それとともに、こんどは憲法改悪にたいする国民の共同が不可欠だと考えている。幸い「九条の会」が大きく広がっているが、いまの局面で国民の護憲共同がいかに前進するか、そのもとで各党が参院選をたたかうことが必要ではないかと考えている。
そこで、はたしていまの民主党がイニシャチブをとれるかどうかだが、残念ながらその可能性は少ない。それは、同党内で依然として改憲派が厳然たる発言権をもっているからだ。つまり民主党をただちに護憲の党だと考えてはならない。むろん護憲を主張する同党議員がいて、同党内にそうした勢力が一定の地位を占めていることも承知している。だが、この点では、自民党のゆさぶりにかかって、同党が事実上、雲散霧消する可能性すら残していると私は考えている。悲観的にすぎるが、民主党に関してこのように私は思う。
だから視野を国会内に、あるいは国会内の政党配置にとどめるのではなくて、地域から、そしてそれぞれの立場で護憲の声を広げ、国民の共同を一歩ずつ広めていくことがどうしても必要だと思う。そうして国会を包囲する、政党を包囲する、民主党をも拘束しうるような、強固で幅広い共同が進んでいくことが不可欠だと思うのだ。2007年はそうあってほしいと考えている。
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
「醜聞」まみれの安倍内閣
年の瀬が押し迫って、安倍内閣の基盤がゆらいでいる。
発足後まだ3カ月を超したにすぎないが、これだけうんぬんされるのは理由がある。郵政復党問題、TMやらせ質問問題であまりの対応ぶりに国民の支持を急速に失っただけではない。
この間、マスメディアが追及した閣僚にまつわる事件やくすぶっている問題を、『週刊朝日』(1・5/12)がとりあげている。別表をごらんいただければ明らかなとおり、多くの閣僚が「醜聞」にまみれている。真偽がいまだにさだかではないものがあるにせよ、これだけ並び、その一つひとつの解明がすすみ事件に閣僚本人が無縁であることが明らかにされていない以上、安倍晋三首相の任命責任を問わざるをえなくなる。すでに安倍5月退陣のニュースが報じられたが、安倍政権の力量も品位もここに極まれりという感じだ。
07年は参院選の年。この選挙で護憲派が多数を占めるよう頑張りたいものだが、その前に安倍政権追及の手を緩めないことだ。
(右表をクリックしてください。表が拡大されます)
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
年収500万円以下は破産する?
年収500万円以下は「破産の危機」という刺激的な見出しの記事を、『週間朝日』(1・5/12)が掲載している。大げさでも何でもなく、この見出しが現実のものになる可能性は高い。そう実感する。
その資格を問われ辞任した本間正明が会長を務めてきた政府税制調査会は、基本的方向を、大企業優遇とその一方での庶民への増税において検討してきた。また、すでに小泉政権時代に度重なる増税によって「痛み」が押しつけられてきた。この方向でいけば、税制の面からも格差が拡大する。
近著『サラリーマンは2度破産する』で藤川太氏(家計の見直し相談センター)は、「中の上」に位置する会社員が高価な家や車を背伸びして買うなどの無理を重ね、子供の教育費がかさむ時期と退職後の2回、家計が「破産」する危険があると指摘していた。そんな事態が訪れることは、これからの庶民に押し寄せる負担増を考えると、たちまち推測がつく。07年以降、税や年金保険料などの負担がさらに重くなることがすでに決まっている。事情はいっそう厳しくなるのだ。
「ムダ造いしなくても、『中流』から『貧乏スパイラル』に転落する人が多くなる恐れが出てきました」と藤川氏は指摘している。
私たちにおおいかぶさる負担増は以下のとおりだ。
①所得税の定率減税(10%)を07年1月に廃止
②住民税の定率減税(7.5%)を07年6月に廃止
③厚生年金の保険料を07年10月に0.354%幅引き上げ(労使で折半)
④国民年金の保険料を07年も月額280円引き上げ
⑤一般的な収入の70-74歳の医療費自己負担割合を08年4月に1割から2割に引き上げ
では、これらの負担増はいったいどの程度、家計に影響するのか、それを『週間朝日』は試算している。 (図はクリックすると拡大します)
ニッセイ基礎研究所の篠原哲研究員のまとめによると、07年度の家計全体に及ぼす負担増は①と②を合わせて1兆5000億円、③で2500億円、④で400億円という。
== 以下、引用 ==
「会社員世帯」では、年収に占める負担増の割合でみると「夫婦のみ」で0.51~1.14%、「子供2人」で0.19~0.98%となる。月額に直すと、「子供2人・年収300万円」を除いて、1千円を超える計算だ。
それを上回るペースで給料が高くなれば、苦痛も少しは和らぐが、「物価上昇を勘案すると、収入の伸びは実質的に止まっているイメージです」と、ニッセイ基礎研の篠原氏はクギを刺す。厚生労働省の統計によると、規模5人以上の企業では現金給与総額の伸びが06年に入ったころから鈍り始めた。このうちサービス業では06年8~10月、3カ月連続で前年を割り込んだ。
そうなると、支出を抑えるしかなくなる。冒頭で紹介した相談者のように、「年収500万円以下の層では、もう削れる出費は削ってしまっています。『子供2人・年収300万円』では負担増分が月460円余りとなる計算ですが、これを捻出するのすら楽ではない。『中流』層で何か突発的な出費があれば、『破産』の危機に直面しかねません」(藤川氏)
お父さんは、すでに晩酌を割安な「第3のビール」にして、小遣いも大幅カット。そのうえ07年になったら、家族旅行をあきらめ、子供の習い事も減らさなけ札ばといった苦境に追い込まれるというのだ。
「そうなれば、何の楽しみもない人生ですよ」
と、藤川氏はため息をつく。
楽しみが薄れるのは「年金世帯」でも同じだ。== 引用終わり ==
自民党税制調査会の津島雄二会長が消費税率の引き上げ法案を早ければ08年の通常国会に提出するとの見通しを示した。政府・与党は09年度に消費税率を7~8%に上げるシナリオを練っているようだ。
仮に消費税率が3%幅上がり、8%になったとしたら、家計はどうなるか。『週間朝日』は以下のように試算している。
それが下図(図はクリックすると拡大します)で、所得税と住民税の定率減税廃止の影響なども含めると、「中流」の年収500万円では年11万4千円、年収700万円では年16万5千円の負担増になるという。消費税分だけでも、年間でそれ6万3千円、8万4千円が新たに財布から消えることになる。負担全体が年収に占める割合では、どの区分でも2%幅を超えるほど増える。
消費税率が3%幅も上昇すれば心理的な抑制が働く、同誌は「高価な製品から買い控えることになるでしょう」という。
早大教授・宮島洋(財政学)は、「少子高齢化は経済成長を妨げ、社会保障費もふくらます『怪物』なのに、国の対策の方向性が見えてこない。消費税ばかりに焦点が・当たっているようですが、海外に資産を移しつつあるような富裕層への課税強化なども含めた制度の検討が必要では」と指摘している(同誌)。
当ブログでは、夫婦+子ども2人の標準世帯の生活保護費300万円と比較して、これを下回る働いても、働いても生活が苦しいワーキングプアに言及してきたが、まさに『週間朝日』が指摘するように500万円以下の世帯は「破産」に追い込まれかねない事態にあるといえるだろう。税制改正の面でみていくと、このように庶民いじめの実態が浮き彫りになる。
注;2つの図のうち上の図はつぎの条件で試算。1円未満は切り捨て、金額の表示は千円未満を切り捨て。どの世帯も東京23区に住むと想定。「会社員世帯」では、会社員の夫(45歳)、専業主婦の妻(43歳)、子供(16歳と14歳)で、「年金世帯」では「70~74歳」「75歳以上」ともに、夫婦いずれもその年齢範囲に属し、2人で年金を半額ずつもらっていると仮定。負担は世帯あたりで、「会社員世帯」では所得税、住民税、社会保険料(政府管掌健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険)の合計。「年金世帯」では、「70~74歳」で医療費の自己負担分を加えた(1年のうち9カ月は外来のみ、3カ月は入院と外来を想定)。ただし、国民健康保険の保険料は今後、算出方法が変わるとみられる。
【関連エントリー】
野口悠紀雄 -税制改革で庶民は潤わない
大企業へのバラマキではないか -庶民の増税で大企業減税3兆円
法人税優遇は必要 -政府税制調査会新会長が語る
この上に増税か-消費税増税たくらむ07年税制改革
納税者よ、反乱を起こせ! -新自由主義考
消費税2ケタ増税は既定の路線 ― 政府税調会長
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
ついに安倍退陣説が飛び出す
いよいよ安倍退陣説が飛び出した。3カ月くらいの期間で、郵政組復党問題、TMやらせ質問事件、税調会長・本間の辞任、そして行革担当大臣・佐田の辞任とつづいてくれば、もはや求心力も失われるというものだろう。もとよりそれもあったかどうかは疑わしい。
しかし、この手の退陣説は真偽のほどは定かではないにしても、出てきてもおかしくない時期に必ず出てくるし、おそらく与党内から発信されているのだろう。
そういえば、すでに立花隆は引用にある小泉の復活を主張していた((『文藝春秋』10月号)。
== 以下、ゲンダイネットから引用 ==
支持率の下落が止まらない安倍首相に「退陣論」が急浮上してきた。来年7月の参院選の直前、5月に総辞職する可能性があるという。すでに自民党内は「ポスト安倍」で動き始めている。
「復党問題、道路特定財源、本間スキャンダルと、まったくリーダシップを発揮せず、支持率を下げたことで、党内から『安倍首相では参院選を戦えない』という声が噴出しています。『選挙の顔として選んだのに、ここまでお粗末だったとは……』という議員も多い。年明けから『安倍早期退陣』というキーワードが政界で飛び交うのではないか」(政治評論家・有馬晴海氏)
そんな自民党内の空気を察知して、民主党の渡部恒三・最高顧問も先週、講演で「来年は自民党のなかから『ポスト安倍』という言葉が出てくる」「後継は福田康夫元官房長官が取り沙汰されるだろう」と参院選前の安倍退陣を予言してみせた。
麻生外相が新派閥「為公会」を結成し、武部前幹事長が「新しい風」というグループを立ち上げたのも、ポスト安倍に備えた動きとみられている。
●「参院選の顔」はムリ
「安倍首相が退陣を迫られるかどうか、焦点は4月の統一地方選と補選でしょう。ここで大惨敗したら、安倍降ろしの動きは止められない。5月の連休明けに退陣を表明させ、通常国会の会期末に新首相と代わる。01年、参院選の直前に不人気の森首相から小泉首相にバトンタッチした時と同じパターンです。参院選で勝利するためには、それしかない。これなら安倍内閣として予算を成立させ、通常国会をこなしたということでメンツも保てる。後任は小泉首相の再登板でしょう」(政界関係者)
鳴り物入りで登場した安倍首相だったが、1年も持たずにクビになるのか。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2919683/detail?rd
反改憲賛歌・9条をもつ国として日本は役割を発揮すべき
安倍某は10月、自分の任期中に改憲したい旨、インタビューにこたえて発言したことはよく知られている(発言内容はここ)。
そのインタビューで、安倍は改憲しなければならない理由をつぎのようにのべている。
日本国憲法を改正すべきだと考える理由は三つあります。第一、現行憲法は日本が戦後独立を回復する前に書かれたものであること。第二点は、60年を経過して、憲法の中にはもはや時代の現実にそぐわないあれこれの条文があること。第三に、その後もろもろの新しい価値観が生まれていること。わたしは、これらの価値観を取り上げ、日本人自身の憲法を書こうとする精神を励ますことによって、日本の新時代を開くことができると信じています。 ==以上、引用終了==
安倍が「現行憲法は日本が戦後独立を回復する前に書かれたもの」というとき、それはこれまでの改憲論者の主張、「押しつけられた」憲法論にほかならない。また、「現実にそぐわない」「新しい価値観が生まれている」という意見は、安倍自身がのべているように環境権やプライバシー権をとりあげてそのようにいうものだが、弊ブログではその主張(の不当性)についても検討した(国民投票法をめぐる「民主党の限界」)。
日本は、改憲するのではなく、9条の存在意義を世界にむけて発信することこそ求められている。
李修京(イ・スゥギョン)東京学芸大学助教授が、北東アジアの中での日本の果たすべき役割を明快にのべている(以下)。李の発言に賛成する。
当ブログでは、憲法や平和について語る著名人の発言を連続して紹介してきた。先の安倍の発言がある以上、2007年も、この基本的な運営方向をかえる必要は少しもない。ひきつづき当ブログは、平和を願い、日本国憲法の存在を高らかに謳っていく。
== 以下、引用 ==
北朝鮮のミサイル発射や核実験以来、日本の政治家から核武装化や改憲を促す発言が相次いていますが、むしろ日本は今、核を持つか否かではなく、核兵器をなくすことがいかに大事か、議論すべきです。日本も、韓国、そして台湾も、核をもっていないからこそ、「核をもつな」と北朝鮮に強く言えるのです。
「核をもつことが抑止力になるという考えは危険」と国際社会に訴えられるのも、われわれ非核の国々です。
一方で、繰り返される閣僚の靖国神社参拝や従軍慰安婦をはじめとする加害の歴史をきちんと伝えない歴史教科書問題、改憲のうごきなど、アジア周辺諸国は日本に対して不信と疑念を強めています。侵略戦争の歴史を「過ち」として総括し、アジア諸国と連携しないかぎり、日本は孤立します。アジアを無視して日本は存在できない時代になっているのです。平和を構築することは困難ですが、非核化にむけ冷静な議論を始めること、周辺諸国との地道な対話、協調、連携を築いていくことが平和への道です。戦争の加害国であり、被害も受け、しかも世界で唯一の被爆国という国は他にはありません。世界に説得力をもって"反戦"をとなえられる、その明文となっているのが、憲法9条です。日本が世界に通用する言葉が発信できるのは、憲法9条があるからこそです。
日本が62年間、平和を維持してきたのは大きな財産であり、世界に誇れる平和の文化です。核をもたない、軍隊をもたない、戦争をしないというのは理想主義だと言う人がいますが、理想に近づくために努力するのが人間です。理想に反する行動をとったとき、どんな悲惨な運命にみまわれるか、私たちは歴史から学んでいます。
2007年こそ、アジア諸国が歩みより、譲り合い、人の命を大切に思う共存社会を模索する努力を強めたい。温かな人情と他者への配慮、支えあう精神を大事にしてきたアジア社会は現在、環境、高齢化、福祉、人権問題なとたくさんの共通問題を抱えています。だからこそ日本は、北東アジア全域の発展を考え、諸問題解決のイニシアチブを発揮するべきです。
憲法9条を持つ国として国際社会に影響力を与え、さまざまな文化を生み出している。そんな日本こそ、理想的な国、美しい国であるように私は思います。(新婦人しんぶん、1・1)
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
四面楚歌の日本外交 -2006年回顧その2
一昨日のエントリーで、ル・モンド・ディプロマティーク編集総長・イグナシオ・ラモネは、「米国に次ぐ世界第2位の軍事予算を持つ日本は、世界の危険地域のひとつで開始された軍備競争を加熱させるおそれがある」と率直に懸念を表明していた。西欧の言論人にこう受けとられる日本の国際的な役割はいやがおうにも高まる。
そこで、日本がどのような貢献を果たしうるのか。常に紛争の絶えない地球上で、憲法9条をもつ日本にとって、国際的貢献で最も大事なのは、日本国憲法の立場をあらためて世界的に発信していくことだろう。小熊英二が語ったように、日本国憲法は、少なくともその出発点において「国の誇り」だったのである。それはいまも変わらないと私は思う。ところが、いまの日本政府、与党自民党は同党にとって「悲願」ともいわれる憲法改定をたくらみ、すでに改憲案をつくった。そして、野党第一党である民主党までが、いまやこれに組み込まれ、改憲にむけて確実に動き出している。先の国会では、継続審議になったものの、ついに改憲手続法案の審議に入ってしまった。改憲を志向する勢力は、国際貢献といえば、すなわち軍事的貢献を視野にいれざるをえないものとあたかも映るらしい。しかし、どの紛争地域でも、真に国際的貢献と評価しうるものは軍事的行動ではなく、さまざまなNGO活動など非軍事的な行動であることをすでに我われは知っている。被爆国であり、9条をもつ日本にとって、ほんとうに国際的に評価されるのは、日本国憲法の精神の発信以上のものはない。
国際的貢献という言葉を常々ふりかざす政府与党が、それでは2006年、諸外国との外交にふさわしい役割を担えたのかどうかを考えてみた場合、否といわざるをえない。小泉政権の末期にもあたる2006年は、日本外交がまさにゆきづまった1年でもあったといえる。とくに東アジアでは、北朝鮮のミサイル発射や核実験が世界の怒りを買ったが、同じ東アジアの「大国」と目される日本は、その解決においてリーダーシップを果たしえたとはとてもいえないだろう。我々が目にしたものは、アメリカの顔色をうかがい、中国の外交力に頼らざるをえずに、手をこまねいている日本の姿だった。
ましてやこの年、中東で起こったレバノン紛争で国際的にも評価されるような役割を日本が果たすことなど、とうていかなわぬものであった。
さらに、小泉が靖国参拝をするにいたって、アジア諸国の日本への批判と怒りはさらに高まらざるをえなかったのだ。
その一方で、いまの自民・公明政権のもとでいっそう明らかになったのは、アメリカへの従属の姿勢だろう。それは、米軍基地再編にかかわる政府の姿勢に端的に表れている。さらに具体的にいえば、それは、来年度予算案のなかにも組み込まれたように、法外な米軍駐留経費に示されている。
極論すれば日本は外交上、四面楚歌ともいえる孤立状態にある。唯一、アメリカの傘のもとで動いているのである。分かりやすくいえば、アメリカの属国として、国内の米軍駐留経費に法外な税金をつかい、そして毎年、「規制緩和」の名のもと国内市場をあれもこれもと開放していくみじめな姿にほかならない。
ゆがんだナショナリズムと私がよんでいるのは、諸外国と、アメリカとにたいする日本の態度の差だ。安倍のいう「美しい国」とはこんな姿にほかならない。
注;外務省ホームページには、65頁におよぶ「日米間の『規制改革及び競争政策イニシアティブ』に関する日米両首脳への第5回報告書」が公開されている。以下に前文のみあげておく。ちなみに2006年の「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」(英文)、いわゆる年次改革報告書 が在日米国大使館のホームページで公開されている。
日米間の「規制改革及び競争政策イニシアティブ」に関する
日米両首脳への第5回報告書
2006年6月29日
現在5年目を終えようとしている「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ」は、2001年6月に小泉純一郎内閣総理大臣とジョージ・W・ブッシュ大統領によって始められた。イニシアティブは、規制改革を通じて経済成長を促進するための二国間のフォーラムとして設置された。イニシアティブは毎年、広汎な分野別及び分野横断的な事項を扱い、成果は首脳への報告書を通じて年1回報告される。イニシアティブは、日米両政府間の双方向の対話の原則に基づいている。
2005年12月の両政府間での要望書の交換の後、このイニシアティブの下に設置された作業部会は、知的財産権、流通、特殊法人の民営化、情報技術、競争政策、貿易投資関連措置、商法、電気通信、領事事項及び医療機器・医薬品を含む主要な分野における改革について議論を行ってきた。2006年3月には、このイニシアティブの下に提起された一連の問題を前進させるため上級会合が開催された。イニシアティブでの政府同士の議論を通じて扱われる問題について議論を拡げるために民間部門の代表からのインプットも受けた。作業部会及び上級会合の後、両政府の要望に対応する前進を記録するとともに、将来採られることになる措置を明確にするために、この首脳への報告書は作成された。
今回の首脳への第5回報告書は、規制に関する決定を早めさせ、透明性を高め、市場アクセスを改善させ、競争環境を強固にし、ビジネスの障壁を低減させ、そして個人情報を保護するのに寄与する改革を含む、幅広い問題にわたる前進を提示している。報告はまた、模倣品及び海賊版の問題に対処するため、また、アジア大洋州地域において透明性基準の実施を促進するための共同措置も反映している。両政府は、二国間、地域及び多国間の議論の場における協力を引き続き向上させていく決意を確認する。
両政府は、更に規制改革を促進する決意を再確認するとともに、いずれかの政府の要請に基づき、双方の都合の良い時期に、この報告書に含まれている措置を取り上げるために会合する。
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
年初の妄想から2006年をふりかえる -2006年回顧
2006年のはじめに、ある会合で報告する準備のために、つぎのような文章を残しておいた。読み返してみると、誤りを正し発展させなければならないところはあるにせよ、当時何を考えていたのかが分かって、1年をふりかえることにも役立ちそうに思える。ライブドア事件はこんにちの日本資本主義の一面を映し出すものであったが、事件は現在の政治のあり方と少しも無縁ではなかった。要するにライブドア事件をとおしてわれわれの前にあきらかになった堀江の生き様は、今日の格差社会のいわば集中的な表現だといえなくもない。
安倍政権発足後、3カ月を経過した。政権にとっての、課題山積の現在の状況をみて、おそらくは安倍に懐疑的であった人たちの多くは、さもありなんと思っているだろう。私もそうだ。なかには当時、安倍が政権について短命だと論じた評論家もいた。果たしてそうなるかどうかは措くとして、最後のカードでもあったと以下で表現している、その小泉が辞める際、たとえれば、我が亡きあとに洪水よ来たれの状況であったと私は理解した。そして、替わって安倍が政権についたのだ。
=======
構造改革の後押しをうけて急成長してきたライブドアへの強制捜査は、2006年の幕明けを象徴するものとなった。ライブドアをこれまで率いてきた堀江は小泉首相より40歳若い、1972年生まれである。その彼は、高度成長の末期に生まれ、「行革」、構造改革のレールがしかれた時期に育った世代である。「人の心はお金で買える」「金を持っているやつが偉い」と豪語してきた、その堀江が証券取引法違反の容疑で逮捕された。
この堀江の波長は、構造改革をすすめる小泉、竹中のそれと共鳴しあった。だからこそ、昨年の総選挙では自民党執行部が前面にでて「改革」をかかげた堀江の支援に回ったのだ。小泉がつぎのように語って彼を応援したのをわれわれは忘れない。「新しい時代の息吹というかな、若い感覚をこれからの日本の経営に与えてくれるんじゃないかな」。そして昨年12月にはライブドアは経団連への加入を果たしている。堀江が強制捜査を受けたときの、(加入は)早すぎたという奥田経団連会長の姿に失笑を禁じえない。まさに堀江の政界進出は、一方では自民党の打算があったことも事実であるが、逮捕劇の中であきらかになったように自社の利益確保のための手段にされたのだった。堀江を象徴する先の言葉は、一言でいえば弱肉強食の肯定であり、実際の彼の行動は、これを見事に証明するものだった。
だが、この論理には重大な陥穽がともなう。堀江はこのことに気づくべきであった。それは、堀江のなす1つ1つの商行為-錬金術とよばれている-は必ず犠牲者をつくるという根本的原理に由来する、論理の結末―食べる肉がなくなればどうするか-だ。商行為を重ねるごとに、つぎつぎに犠牲者はふえ、ついには自ら犠牲者になる、犠牲者にかわってしまうのだ。この論理は止まることなく自らをとぎすます以外に、いいかえると自らの身を削りながら周囲を掘り崩していくことなしには存続しえない。より正確にいえば、この論理は、他者を否定しつづけることによってのみ自ら存続し、また自ら費え去るのだ。私たちは同じ構造を、「小さな政府」をめざす構造改革にみることができる。堀江が描き出す弁証法的な構図のなかにあって同業者、ライバルはもとより、系列会社内、そして自社内にすら、これを快しとはしない勢力が存在したことは想像にかたくない。だが、このこと自体はそもそも彼らの競争に不可避のものであり、競争が新たな敵をつくることはいわば承知の上であった。規制緩和と自由競争がもたらす現象とその結末を、われわれは堀江をとおして見せられたにすぎない。まさに今回の逮捕劇は新自由主義のいう規制緩和と競争原理の延長線上にあった。
チャップリンは、フォード(フォーディズム)とヒトラーを解読し、『モダンタイムス』と『独裁者』を世に問うたのだった。それから70年、『モダンタイムス』と『独裁者』をテクストにして、われわれは構造改革と小泉、またはライブドアショックと堀江を、以上のように読み直すことができるだろう。チャップリンの想像力はまさに現代をみすえていたのだ。
話をもとに戻そう。首相の任期切れまで9カ月ほどになり、後継者選びが耳目を集めている。そのなかで後継者の候補者たちが、小泉路線の正統的継承者と目されるものにたいして異論を唱え、主張のちがいを強調し、揺さぶりをかけている。既定の政権末期、それは任期を全うする最終盤という意味であるが、この時点で、今回のライブドアショックを自ら引導したとは、つまり権力の座にある小泉がライブドア捜査の指示を直接だすことは考えにくい。しかも、ライブドアショックだけではなく、耐震偽装問題にも小泉の出身派閥・森派、そして政権与党・公明党が深く関与しており、一面では政権を揺るがしかねない事態に発展してもよい状況にあることをわれわれはすでに知っている。何らかの力が働いている。
ここでいま、私は、堀江の逮捕劇を政局に置き換えて考えをすすめている。つまり、こうである。堀江はこれまで、いくつかの企業を買収、自らの系列におき、またメディアをも巧みに利用した株式分割-捜査がすすむにつれ経営困難時に株式分割などで経営の軌道修正を図っていることも明らかになった-などによって、ライブドアを表面上、成長させてきた。この過程自身が彼の論理に不可分の、そのなせる業であった。逮捕劇はそのなかで演じられた。自民党の退潮のなか、いわば最後のカードの役割を担って登場したのが小泉だった。小泉は、堀江とおなじ論理で政治のかじをとり、堀江が時代の寵児ともてはやされたように、小泉は総選挙をへて「後世に名を残す首相」とおそらくそう自認しているが、ふるまっている。それを裏返しにしてみるならば、ライブドアの成長の陰に幾多の庶民株主らの犠牲があるのと同様に、小泉が断行した構造改革の陰には国民のそれがあった。
ならば、堀江の逮捕を、われわれはどのように置換できるか。耐震偽装事件も、ライブドアショックもその置き換えをうながすアクセルにおそらくなっている。小泉の本意であるかどうかは別にして、再び語らなければならない。我が亡きあとに洪水よ来たれ、と。ライブドアへの強制捜査が2006年の幕明けを象徴するものといったのも、この意味であった。
=======
つまるところ、2006年は格差社会という切り口でまた、振り返ることができるのではないか。
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
西欧からみた安倍政権
「安倍政権の発足」と題するル・モンド・ディプロマティーク編集総長・イグナシオ・ラモネ(Ignasio Ramonet)の論説文を転載する。西欧の言論界が安倍と安倍政権の今後をどのようにみているのか、うかがい知ることができる。
発足後の3カ月をみると、「予想どおり」ほころびがでて、自民党内の発言を聞いていても安倍の指導力にふれるものが多くなった。発足当初のスマート、若い宰相という素朴な期待感もいまやしぼんでしまったようだ。
だが、すでに米国に次ぐ世界第2位の軍事予算を持つ日本は、世界の危険地域のひとつで開始された軍備競争を加熱させるおそれがある。どうなっていくのか。こんな日本のかじを取る安倍某とその政権について、編集長の目には、「安倍氏がそのナショナリズム路線を変更しない限り(考えにくいことではある)、北東アジアの緊張はほとんど解消されない」と映る。簡潔で明快な論評だ。
== 以下、引用 ==
10月0日に北朝鮮が行った核実験は、北東アジアを激しく揺さぶった。しかしその数日前、9月26日に安倍晋三が日本の新たな首相に就任したことも、それに劣らぬ大きな衝撃であった。
安倍氏は小泉純一郎前首相と同様、自民党に所属している。1955年以来、日本の政治において支配的な地位を占めてきた党だ。52歳の安倍氏は1945年以降で最も若い首相だが、日本の左派からはウルトラリベラル、超保守主義者、ナショナリストとみられ、地域諸国には「タカ派」と警戒する向きもある。
元外相を父に持つ安倍氏は、きなくさい過去を持つ右派の政治家一族の一員であり(1)、その過去と距離を置こうとはしていない。彼の祖父・岸信介は、真珠湾攻撃を仕掛けた東條陸軍大将の戦時内閣で閣僚を務めた人物で、1945年に戦犯容疑者として逮捕されたが、東京軍事裁判(日本の主要な戦犯に対する裁判、ナチス幹部にとってのニュルンベルク裁判に相当)では最終的に不起訴となった。冷戦開始後、アメリカが日本の右派を再建しようとしたためである。岸はその一人であった。1948年に釈放され、1957年と58年に2回、首相に指名された。米国との新安全保障条約への調印を行っている。
安倍氏の遠縁にあたる松岡洋右は、外相として、日本のアジア拡張路線を支持した人物である。彼によって日本は1940年に枢軸国の一員となり、ヒットラー率いるドイツとムッソリーニ率いるイタリアと同盟を結んだ。彼もまた戦争犯罪に問われたが、判決の下る前に獄中で死亡した。
戦争犯罪に関して公式に謝罪をしていない国にあって、安倍晋三はこのような一族の過去を否認したことはない。反対に、「自虐」史観の持ち主を指弾することによって日本の責任を矮小化している。安倍氏は小泉氏と同様、「日本のために命を捧げた」軍人を祀る靖国神社に定期的に参拝している。その中には14人のA級戦犯(松岡洋右も名を連ねる)も含まれる。小泉前首相の場合は、靖国参拝によって「歴史修正主義」「日本の軍事的な過去を賛美している」との非難を呼び、訪中、訪韓を拒絶された。
自民党の中でも最も右の派閥に属する安倍氏は、金日成時代の北朝鮮工作員による拉致事件の生存者の行方を追及することによって、政治家としての地位を確立した。北朝鮮に対するより強硬な姿勢とさらなる制裁措置が必要であると声を上げたが、そこに大衆扇動的な面がなかったわけではない。蔑視的な反朝感情に訴え、多くのメディアがそれに追随した。このようにして安倍氏は支持を得た。7月5日の北朝鮮による弾道ミサイル試射後、安倍氏は新たな制裁を要求し、9月19日にこれを認めさせた(2)。そして、「北朝鮮の脅威」を理由に、国民投票によって平和主義憲法の第9条を改正したいとの意向を明らかにした。1045年に戦勝国によって課せられた制約を外して自衛隊を真の軍隊にするためである(3)。中国を封じ込める強力な軍事同盟国が北東アジアに出現することを望むブッシュ大統領の周辺も、そうした意向を支持する姿勢を示している。
以上の状況から日本の再軍備が懸念される。すでに米国に次ぐ世界第2位の軍事予算を持つ日本が、世界の危険地域のひとつで開始された軍備競争を加熱させるおそれがある。安倍氏は10月10日、米国の核の傘に守られている日本が核保有に乗り出そうというわけではないと、国民の過半数の反対があるなかで明言せざるを得なかった(4)。実際には日本は民間の原子炉で生成されたプルトニウムを少なくとも43.8トン保有しており、数カ月で核爆弾を製造することができるのだ。
安倍氏がソウルに到着した10月9日に北朝鮮が非難されるべき核実験を行ったのは、彼らが日本の新首相をどれほど危険視しているかを知らせるために違いない。この無責任な警告は、全世界に不安を持って受けとめられた。と同時に、この事件は、安倍氏がそのナショナリズム路線を変更しない限り(考えにくいことではある)、北東アジアの緊張はほとんど解消されないだろうことを物語っている。
(1) See Philippe Pons, << Shinzo Abe, "prince" de la droite >>, Le Monde, 21 September 2006.
(2) イグナシオ・ラモネ「朝鮮半島の緊張」(ル・モンド・ディプロマティーク2006年10月号)参照。
(3) See Ichiyo Muto, << Revise the peace constitution, restore glory to empire ! >>, Japonesia Review, No.1, 2006, Tokyo. January 2006.
(4) El Pais, Madrid, 11 October 2006.
(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版2006年11月号)
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
安倍人気急落裏づける世論分析
支持率が9月調査65%から63%、57%、49%と月を追うごとに低下(右図、クリックすると拡大されます)。分析の結果、政権の支持構造が高齢者や男性に頼る「古い自民党」型に回帰していることが浮かび上がった、としている。分析にあたった東大助教授・前田幸男は、この要因を無党派層が離反したことに求めている。小泉以前の自民党は男性の支持率が女性よりも高く、小泉内閣は男女で拮抗。安倍も政権発足当初は女性が男性を支持率で10%程度、上回っていたという。発足当初の「スマートで若い宰相」という女性の期待も、いまとなってはとても滑稽に思える。
前田らによれば、郵政造反組の復党を契機に支持率は低下したとみている。内訳をみると、無党派層の離反が30%減という。そして、支持層が従来の自民党型に変化している点について、「有権者が『古い自民党』の内閣と厳しく判断したからではないか」と分析した。
そのほか、内閣を支持しない理由として「首相に指導力がない」をあげている。
- 9月 5%
- 10月 9%
- 11月 12%
- 12月 16%
支持しない理由でも、「復党問題への対応は、有権者が安倍内閣に対して抱いた強いリーダーシップの期待を一挙にしぼませた」と分析している。
逆に「支持する理由」をみてみると、「外交に期待ができる」も下降している。「行政改革に期待ができる」は低いところで横ばいといえる。
「外交に期待ができる」
- 9月 15%
- 10月 22%
- 11月 15%
- 12月 13%
「行政改革に期待ができる」
- 9月 5%
- 10月 3%
- 11月 5%
- 12月 4%
こんな世論調査結果が影響したのだろうか、安倍はこれまでの1日1回「ぶら下がりインタビュー」に加えて、週1回程度、記者団と「ひざ詰め」で懇談をやることを打ち出した。繰り返しが多いと評判の悪い安倍がどこまで効果をあげられるのか、はなはだ疑問だ。
このように今回の世論分析は特別、新味があるとはいえない。だが、この期間、以下のような契機となる事件や問題が起きている。その結果、安倍政権発足後のわずか3カ月で、これだけ世論の動向が変わることも我々の前に示している。いずれも安倍内閣が国民の声に応えられる打開策や解決策をもちえていなかったことの反映でもある。
9月26日 | 安倍政権発足 |
10月8、9日 | 中韓訪問 |
10月9日 | 北朝鮮が核実験 |
11月1日 | タウンミーティングやらせ質問発覚 |
11月27日 | 郵政造反組復党容認 |
12月8日 | 道路特定財源見直し決着 |
12月21日 | 政府税調会長辞任 |
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
国民投票法をめぐる「民主党の限界」
杉 国民投票法案に関する主要な論点は何でしょうか。
長 まずは、国会での発議から国民投票まで、一定の熟慮期間を置く必要はないか。それから、改正案を一括して投票にかけるのか、それとも個別の論点ごとにするのかというところでしょうか。私自身は、発議から国民投票まで2年以上の熟慮期間を置くべきだと思います。改正の可否について多角的に検討し、国民の間で論議する余裕をとるという意味もありますが、改正案の提案者に、仮に成立するとしても改正されるのはかなり先の話だということを意識させる効果もあります。数年先の政治状況がどうなっているのか、予想はなかなかつかない。現下の政治状況を前提とした、短期的なと党派的利害にもとづく提案は出しにくくなるでしょう。憲法はいったん改正されれば、そのまま何十年かはそれをもとに政治を運営しなければならないわけですから、目先の利害ではなく、党派を超えた長期的な国民の利益にもとづく改正でなければならないことを、意識させることは肝心です。
杉 個別の論点ごとの投票か、一括化という点はどうですか。
長 これは、個別の論点ごとでいくべきだと思いますね。解散・総選挙と国民投票との区別が大事です。解散・総選挙は今後、数年にわたる与党・政府を選ぶもので、各政党は国政上のいろいろな争点に関する政策をまとめたパッケージを有権者に示して、選択してもらうものですよね。ある有権者集団からすれば、この政策について不利になるけど、あちらの政策で取り返せるからやはりこの政党を応援するかという差し引き計算をするのが普通です。2005年の郵政選挙のように、単一の争点で解散・総選挙をやるというのは、そうしたやり方からすれば、邪道といえるでしょう。
他方で、国民投票というのは、個別の論点ごとに有権者の意思を聞くというのが目的のはずで、9条の改正には反対だが、環境権が入るのだったら賛成しようなどと差し引き計算をするよう誘導するというのは妙な話になりますね。憲法は、そうした日常的な党派政治のレベルを超えた、根本的ルールを定めるものです。
杉 でも、外国でも一括投票という例はあるんじゃないですか。
長 たとえば、フランスの第四共和制憲法や第五共和制憲法のように、新たに憲法全体をつくり替えるときに、ウィかノンかを聞くという場合には、全体をまとめて投票にかけるしかありませんね。全体が有機的に連関しているわけですから、一部だけ成立させて他を成立させないというわけにはいきません。有機的に連関している複数の条文の改正をまとめて投票の対象にすることは、論点ごとの投票という考え方と矛盾しません。でも、環境権と九条、あるいはプライバシーと国を守る責務とは全く別でしょう。
杉 護憲論者のなかには、パッケージのほうがまとめて反対しやすいという声もあるようですが。
長 現在の条文を護持すること自体が目的ならそうでしょうけどね。
この対談は憲法学者・長谷部恭男と政治学者・杉田敦の対談である(長:長谷部、杉:杉田、上記の一節は、『これが憲法だ!』から引用)。中見出しは国民投票法案の問題点とある。この中見出しのとおり、2人の対談でいま自民党が提出して先の臨時国会で継続審議になった国民投票法案(とその審議)の問題点が整理されている。
2人の対談では、ある1つの論点について国民に意思を問うのが国民投票であることが明らかにされている。
安倍はすでに任期中の改憲を打ち出し、財界やアメリカにいわば改憲を約束した格好だ。臨時国会の国民投票法特別委員会でも、21人の参考人が意見をのべている。が、成立を主張したのは4人。その4人をふくめて与党案、民主党案の問題点が指摘された。また、上記の対談で語られている「目先の利害ではなく、党派を超えた長期的な国民の利益にもとづく改正」という観点にてらしても、委員会のなかでは「積極的に手続き法を求める国民の声はない」という事実が明らかにされた。
臨時国会の全体の流れの中で、民主党の限界が国民の前に露呈した。とくに私が注目したいのは、改憲にたいする民主党の対応である。この国会では与党案と民主党案の「修正」合意がすすんだ。もともとこの両案に本質的ちがいはないと私は考えるが、「修正」合意そのものがまさに改憲を前にすすめるものだ。なかでも民主党・枝野幸男(写真)にいたっては、「来年5月3日までに手続き法案の成立を」をいいだす始末だ。こうした誘い水発言にも驚くが、民主党は、集団的、個別的とに区別せずに自衛権行使を認める立場を確認しているのだから、こと憲法問題に限っていえば自民党と区別がつかない政党だということである。
追記;枝野は、世界日報社の新春座談会に船田元とともに出席している。船田は自民党憲法調査会長。対談での発言は枝野の「思想」をよく物語っている。
まず、自衛権の問題でも、内閣法制局が勝手に、こっちは「個別的」、こっちは「集団的」という分け方をする議論が間違っています。また、自衛権の話を、集団安全保障や国際貢献の話とごっちゃにして議論していますので、われわれはまずそこをクリアにしようという立場です。
自衛の話と、集団安全保障の話は、分けます。自衛について言いますと、「制約された自衛権」と申し上げていますが、具体的な最終的詰めはこれからですが、個別的自衛権も全部使い分けたらキリがない。
例えば、法制局が言う「急迫不正の武力行使に対して他に選択肢がないなら必要最小限度の武力行使」という点はいいと思いますが、これは「急迫性」が重要です。米国がアフガニスタンを攻撃したのを「個別的自衛権」だと言っていますが、これは「急迫性」がないから自衛権ではダメです。国際法で「個別的自衛権」と言えるのかということもまだ意見が分かれていますが、国際社会を構成している大国アメリカが「個別的自衛権」だと言っているようなものであっても、「急迫性」がないからダメだということで、しっかりと枠組みをつくることです。
いわゆる「集団的」と言われているものについても、全部白か黒かではなくて、現に沖縄の基地があるのは、集団的自衛権に基づく措置で、集団的自衛権の行使ではない。基本的にはわが国のあり方としては、わが国の周辺国において日本を助けてくれる、つまり日本を防衛している米軍に対して、集団的自衛権で助けに行く。これがあると思うのですが、わざわざどこどこへ出掛けて行って、他国の防衛に協力することまではしないということでいい。それは、他国を助けるということについては、集団安全保障の枠組みの中でやればいい話です。
世界日報社(ウィキペディアから)
世界日報(せかいにっぽう)は、※「統一教会」(世界基督教統一神霊協会)系の、韓国至上主義を唱える日本で発行される保守系新聞。統一教会の関連会社、「世界日報社」が発行している。
【関連エントリー】
加藤周一 -未来のために今必要なこと
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
戦争プロパガンダ10の法則
昨年の衆院選は、「思いもよらぬ」自民党の大勝が多くの国民を驚かせた。大勝の要因についてあちこちで議論された。自民党の巧みなマスメディア戦略がそこにあることが明らかにされ、あらためて私たちは情報操作に向き合うことを余儀なくされたわけだ。情報操作は、それまでまったくなかったものではもちろんないが、質と量においてかつてのものではなく、まさに「現代的」なのである。
護憲派にとって、教育基本法が改悪され、安倍某の描く「ロードマップ」による限り、改憲にたいする私たちの抵抗をいかに構築するか、これに無関心でいることは許されない。いまはまた、そんな時期でもあるだろう。
「戦争プロパガンダ10の法則」というものがある。この10の法則とは以下のとおりだ。
- 我々は戦争をしたくはない
- しかし敵側が一方的に戦争を望んだ
- 敵の指導者は悪魔のような人間だ
- われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う
- われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる
- 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
- われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大
- 芸術家や知識人も正義の戦いを支持している
- われわれの大義は神聖なものである
- この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である
『戦争プロパガンダ10の法則』を著したアンヌ・モレリは、これが9・11以後、巧妙に使われたとつぎのように分析している。
ブッシュ大統領は、世界貿易センター・ビルへのテロ攻撃は宣戦布告と同じだと断じ、議会とメディアは第二の真珠湾攻撃と位置づけた。
かくして、1カ月もたたないうちに、アメリカはアフガニスタンを空爆。ただし、これは「攻撃」ではなく「報復」だという。言葉の問題は重要だ。
アフガニスタン攻撃に際して、①われわれは戦争をしたくはない、のに、②しかし敵側が一方的に戦争を望んだ、という法則が使用される。さらに、真珠湾を想起させることにより、⑥敵は卑劣な兵器や戦略を用いている、が選びとられるというわけだ。
要するに、真珠湾攻撃という刺激(キュー)によって太平洋戦争時の日本の奇襲攻撃の記憶を蘇らせ、アフガニスタンへの攻撃と第二次世界大戦という「正義」の戦争という結論を結びつける、世界の人々の中に刻まれた記憶(エングラム)を活性化させる手法が用いられているということになる。
これを置き換えた変型がありそうだ。いくらでも応用がききそうだし、現に使われているのではないか。たとえば、日本をふくむ東北アジアの緊張関係を考えればよい。まさに北朝鮮のミサイル発射、核実験への対応はこの変型によって把握することができるように思う。
つまり、権力とマスメディアが私たちに迫ってくるものは、たとえば仮想敵に対し、敵であると表明しないと社会そのものから排除されるという心理であり、その「恐怖」が勝ち組に走る現象を生む。この状況から抜け出すには、1つひとつの事象に対し自分で考え、その原因を選びとることにつきるのではないか。
参考エントリー;
「心脳コントロール」をどう克服するか
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
米軍基地再編経費は別枠扱い、これでよいのか
財務省が防衛庁に内示した07年度防衛関係費予算のうち、今回新たに導入した米軍基地再編経費(エントリー;閑話休題 14 -米軍基地再編の促進に補助金)が従来の防衛関係費とは「別枠」扱いされることが明らかになった。これは何を意味しているのか。
政府の軍事費についてはこれまで国内総生産(GDP)の1%以内に抑えるという原則が適用されてきた。だが、米軍基地再編費(以下、基地再編費と略)はこれとは別にすることで、際限のない費用拡大も今後、予想されるということである。いっそうの軍事費増をある意味では前提としたものとなったといわざるをえないだろう。
振り返ってみると、軍事費1%枠というものは、1976年11月に国民の批判をうけ当時の三木内閣が「当該年度の国民総生産の100分の1に相当する額を超えない」と決定したものだ。この方針は国防会議と閣議で決定され、一貫して守られている(ただし、1989年度は1.006%となっている)。
この1%枠の対象にされてきたのは自衛隊経費と米軍思いやり予算で、沖縄県内の米軍基地たらい回しのためのSACO(沖縄にかんする特別行動委員会)経費は別枠とされこの対象とはされてこなかったいきさつがある。
今回の基地再編費もこの1%枠外となる。
そこで基地再編費だが、初年度の07年度予算案では72億円。ところが、10年間で3兆円にものぼることが想定されている。
この点でつけ加えるならば、これもすでにふれてきた「最終報告」のなかで示されている。「最終報告」の重大な問題は実はここにあるといってもよい。グアム移転をふくめて米軍基地再編移転費用3兆円をアメリカからおしつけられたのだ。「ロードマップ」の上では、米軍再編にかかわる費用は原則日本負担が合意されているのだ。ちなみにグアム移転費用は7100億円といわれている。米軍基地再編協議のアメリカ側代表のローレンス国防副次官(当時)によれば、全体で3兆円規模にのぼるとされたのであった。
アメリカへの思いやり予算こそは対米追随の典型的な姿だと私は思ってきたが、それでもこれまでつづけてきた20年間でほぼ2兆円といわれているのものである。だから、この米軍基地再編にかかわる日本側の経費負担がいかに大きなものか分かるだろう。
しかも、アメリカの態度は、基地再編費の日本側負担にとどまらず、これまでの「思いやり予算」も従来どおり確保せよというのだから唖然とせざるをえない。なぜこれほどまでにひれ伏すののだろうか、日本政府は。
アメリカいいなり政治、まさにこれである。
だから、この米軍基地再編の、理解しがたい日本の負担を考えると、国家予算がゆがめられ、国民生活に直結する、たとえば医療や福祉などの切り捨て、そして定率減税廃止による庶民増税がつぎつぎに打ち出されて実施されていることにもっと国民は怒ってよいはずだ。後年度もふくめて日本が負担するこの基地再編費用総額3兆円は、このように許すことのできない性格をもっている。
07年度予算案にも「歪んだナショナリズム」の一端が見事に表されている。
追記;
国民は3年間で3兆円の負担増をすることになっている(06年度予算で盛り込まれたもの)。
- 定率減税の全廃 1.7兆円
- 介護保険料引き上げ 5000億円
- 医療制度改悪 3400億円
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
上野千鶴子「皇室のミソジニー」を読む (補)
テーマから想像できるようにけっこう面白い文章だった。上野千鶴子のこの文章は今年9月、皇室に男子が誕生したことが契機となっていることは疑いえない。上野の主張には賛否両論があるだろうが、一読してみては。
紀伊国屋書店が発行している小冊子から引用した。各出版社は同じような小冊子を発行している。読み物として面白いもの、そしてアカデミックな内容をもつものと多彩だ。上野のこの文章は、この2つを兼ね備えたものといえるだろう。タイトルに1とあるので連載される予定か。
== 以下、引用 ==
生誕のときから男女で人間の値打ちが違う。これほどわかりやすいミソジニーはない。各紙が掲載した皇族の家系図のなかでは、皇位継承権を持つ男性だけがマークされ、他の女性皇族は男系の血統が通過する媒体(胎は借りもの)のようにしか見なされない。タネが貴種ならば器は出自を問わない、かのように。事実大正天皇の母は明治天皇の側室だが、その母の名前は系図にすらあらわれていない。この21世紀の世の中に、平安時代なみの族譜か、と一瞬気が遠くなる思いだ。だからといってわたしは、天皇制の男女共同参画など、求めているわけではない。
ミソジニー。「女性嫌悪」と訳される。「女嫌い」とも。ミソジニーの男には、女好きが多い。「女嫌い」なのに「女好き」とはふしぎにきこえるかもしれないが、それならミソジニーにはもっとわかりやすい訳語がある。「女性蔑視」である。女を性欲の道具としか見なさないから、どんな女にもハダカやミニスカなどという「女という記号」だけで勃起できる。おどろくべき「パブロフの犬」ぶりだが、このメカニズムが男に備わっていなければ、セックス産業は成り立たない。
== 引用終了 ==
そして、上野は社会学者らしく論を展開している。文章の最後では、つぎのようにいう。
これ(皇室典範=引用者)が女性差別を禁止する国際条約違反であり、男女平等をうたう憲法違反であることははっきりしているのに、それを問題にする者はいない。
ま、でもしょうがない、だって皇族は「国民」じゃないんだから人権を守られなくてもいいんだってさ。日本の国はこうして皇族の女と、そして皇族の男をも、犠牲にして成り立っている。もしかしたら天皇主義者たちは、天皇制を守るためにはヘイカにもギセイになってもらわなければなりませぬ、などと思っているのかもしれない。だからこそ、ワガママは許しませぬ、とも。天皇主義者たちは、自分たちがその実、皇族という名の看板を背負ったファミリーに属する人々の、人権を蹂躙していることを自覚しているんだろうか。そして皇室を「ロイヤル・ファミリー」と呼んで家族のモデルにしているあいだは、皇室に深く埋め込まれたミソジニーから、日本社会は自由ではない。
興味ある方は以下の小冊子でどうぞ。
『scripta』no.2(紀伊国屋書店)
*「カミキリの浮游空間日記」; 上野千鶴子「皇室のミソジニー」を読む 、に一部書き加えました。
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
「歪んだナショナリズム」再論
喜八さんが「属国ナショナリズム」を公開されている。そこでは、まさにアメリカにひれ伏す、おかしなナショナリズムのことが書かれている。弊ブログではこれまで、そのことを「歪んだナショナリズム」とよんできたが、なおいっそうその感を強めているし、喜八さんの指摘に今まったくうなずいている。
一昨日、昨日と米軍基地再編にかかわる問題を弊ブログではとりあげてきた。政府が補助金をだしてまで自治体をこれに呼び込もうとしている姿は、いいかえると日本のアメリカへの隷従を別の表現で置き換えただけにすぎない。喜八さんの言葉でいえば、これが属国なのだ。
昨日の資料をみると、なんと日本一国でNATO各国の負担する駐留経費総額をはるかに上回っているのだ。NATO各国の総計を1とすれば、日本はその1.8倍も負担している。韓国の実に5.3倍もの駐留経費を負担していることになる。ようするに、こんな「独立国」は世界にはないということだ。(昨日エントリー;覚書「米軍基地再編の促進に補助金」の下図をごらんください)
アメリカのいう世界戦略にのこのことついていく、こんな国は世界にはない。そのことは近くでは、アメリカのイラク戦争への日本政府の追随姿勢でもいやというほど見せつけられたはずだ。ところが軍事属国だけではない。関岡英之が著して話題になった拒否できない日本は、いまやあらゆる分野でアメリカいいなりといえる。毎年、この時期にアメリカが要求してくる「年次改革要望書」をみよ。規制緩和というふれ込みで、夥しい-とは少し大げさだが-数のアメリカの要望という名の圧力がかけられているのだ。日本は「独立国」にして属国なのである。
おかしなことは、やはりおかしいといわなければならない。
【関連エントリー】
ゆがんだナショナリスト -安倍晋三の出方2
安倍晋三の語る日米関係 -安倍の出方5
閑話休題 14-「米軍基地再編の促進に補助金」
覚書「米軍基地再編の促進に補助金」
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
中南米の警告 -新自由主義は何をもたらすか
思い起こせば、1973年、チリのアジェンデ左翼政権を軍事力でもって転覆させ、権力の座についたのが独裁者・ピノチェトだった。当時のピノチェト将軍は、憲法を停止し、議会を解散し、政党活動を禁止した。そして労働運動を弾圧し、国家情報局によって国民を監視し、政権についてのち反対者3000人以上を虐殺したといわれている。
当時の米国大統領・ニクソンがこれを支援し、軍事独裁政権誕生を歓迎したことはよく知られている。CIAもつかい社会主義者のアジェンデが大統領になるのを阻止するために動いたのだった。
ピノチェトの政権誕生以来、ピノチェトが経済閣僚としてフリードマンの弟子たちを登用することになる。
経済評論家の内橋克人氏によれば、シカゴ学派とチリとのつながりはとても深いようだ。==以下、引用==
アメリカの大学ではシカゴ大学に限らず、ラテン・アメリカなど外国からの留学生に奨学金を与え、ビジネススクールなどで学ばせ、学位を与えて帰らせるということをしています。
フリードマンが教鞭を執っていたシカゴ大学でも、チリの名門であるカトリック大学との間に交換留学生制度を設けており、この制度によって多数のチリのエリート経済テクノクラートたちが、フリードマンや、シカゴ大学で「ラテン・アメリカ・ファイナンス・ワークショップ」を主宰していたアーノルド・ハーシュバーガーなどの教えを受け、国に戻っていたという。(『悪夢のサイクル』、文藝春秋) ==引用終わり==
つまり、チリの官僚中枢や行政機構の中心を、フリードマンの教えを受けた弟子たちが握っていたというわけだ。ピノチェトはとりわけ75年不況後、そうしたフリードマンの流れをくむ人物に経済政策を委ね、自由主義政策をとったといわれている。ピノチェトが政策として採ったのは、価格規制の撤廃、関税の引き下げ、貿易自由化、税制のフラット化、財政支出の削減、公的年金・医療保険の民営化、公企業の民営化、最低賃金の撤廃など労働法制の規制緩和などなど。いずれも、わが国日本で今の政権がとろうとしている政策に酷似していないか。まさに当時、ピノチェトはフリードマンの教科書どおりの政策を実施したといえる。
チリはその結果、80年代から90年代にかけて順調な経済成長をとげる。安定的経済成長と対外債務の返済を実現したことをもって、チリは「南米経済の優等生」とまでもてはやされることになった。
だが、内橋氏らはこのピノチェトのチリにおける新自由主義の「実験」を実証的に検証、それをラテンアメリカの警告として知らしめようとしたのだった。実際、ピノチェト政権下での人口に占める貧困層の比率は大きく増え、好景気にあった87年でも45%、つまり国民のおよそ半数が貧困層であるという状態だったのだ。最下層20%と最上層20%の所得格差も軍政前は12倍であったものが、軍政末期には20倍以上に広がっていたという。要するにピノチェト政権はこんにちいわれる新自由主義政策を強行した結果、国民の大半を占める勤労者層を貧困に陥れ、一部の富裕層と外国資本のみが富を手に入れることになったといえる。
こんな経過を中南米はたどっている。そしてこんにち、オルテガ(ニカラグア)やルネ(ブラジル)、コレア(エクアドル)、チャベス(ベネズエラ)とつづく反・新自由主義政権の誕生はまさに中南米での新自由主義の失敗が底流にあると私は思う。
中南米の経験は、こんにちの日本のプロトタイプとはいえないだろうか。他山の石としてよいのだろうか。自殺点の趣きが強いが、政府税調会長・本間正明の退陣は、私にはまさに「ラテンアメリカの警告」を意味しているような気がしてならない。
追記;以下は、ピノチェトが人民連合・アジェンデ政権を軍事クーデタで倒したとき、ビクトル・ハラらによってうたわれた歌だ。
Venceremos(ベンセレモス・われらは勝利する)
【作詞】クラウディオ・イトゥラ、セルヒオ・オルテガ
【作曲】セルヒオ・オルテガ Sergio Ortega
【訳詞】田中道子・麦笛の会
Desde el hondo crisol de la patria
Se levanta el clamor popular,
Ya se anuncia la nueva alborada,
Todo Chile comienza a cantar.
Recordando al soldado valiente
Cuyo ejemplo lo hiciera inmortal,
Enfrentemos primero la muerte:
Traicionar a la patria !jamas!
Venceremos, venceremos,
Mil cadenas habra que romper,
Venceremos, venceremos,
La miseria sabremos vencer. (bis)
Campesinos, soldados y obreros,
La mujer de la patria tambien,
Estudiantes, empleados, mineros
Cumpliremos con nuestro deber.
Sembraremos las tierras de gloria,
Socialista sera el porvenir,
Todos juntos seremos la historia,
A cumplir, a cumplir, a cumplir.
Venceremos... (bis)
1.祖国の大地深く 叫びがわき起こる
夜明けが告げられて チリ人民は歌う
勇敢な戦士を われらはおもいおこし
祖国を裏切るより 我らは死をえらぶ
*ベセレモス ベンセレモス
鎖をたち切ろう
ベセレモス ベンセレモス
苦しみをのりこえよう
ベセレモス ベンセレモス
鎖をたち切ろう
ベセレモス ベンセレモス
苦しみをのりこえよう
2.祖国の労働者よ 祖国の婦人もまた
学生よ農民よ 我らとともに進もう
血ぬられた祖国を いつくしみ守り
銃剣のまえに われらは胸をはる
*くりかえし
■blogランキングに仲間入り。あなたのクリックが励みになります。もっとガンバレの声を右記バナーのワンクリックで。⇒
- トラックバックピープル・安倍晋三もよろしかったらご覧ください。
- AbEndフォーラムもあわせてご覧ください。
« 前ページ |