声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

黄金のアデーレ

2017-11-24 06:50:43 | 映画・ドラマ
クリムトの名画に纏わる実話がテーマだが、

主人公の老女マリアが

戦時下のユダヤ人に対するナチスの迫害を回想するシーンや


“オーストリアのモナリザ”と言われた
『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』 を

本来の相続すべき持ち主の手に取り戻すために
若き弁護士の悪戦苦闘するシーンが印象に残る映画。


その中で、

訴訟を起こすためにオーストリアを弁護士とともに訪れた原告の老女が呟く

「 ヒトラーが美術学校に受かっていれば…」

という短い一言が、

何故か頭にこびりついて離れない。



そういえば、

一昨日の午後もNHKでやっていたが

戦中戦後に没収された多くの美術品の行方がわからなくなっているというのは、

あの“松方コレクション”も同様らしい…



この映画の場合は、
“アデーレ”一点だけを取り戻すための訴訟だったが、

それが複数ともなると、とんでもない時間と労力が必要になるのだろう…。


“国”を相手取って美術品返還の裁判を起こし勝訴することなど普通はないように思う…



“アデーレ”返還訴訟の場合、

オーストリアでは裁判費用がかかり過ぎる事で一旦は諦め、

その後、アメリカで裁判を起こして勝訴し

オーストリアの美術館にあったものをアメリカに持ち帰り、

売却後に美術館に展示するというストーリーで終わったが、

肖像画のモデルでもあり、本来の持ち主であった伯母“アデーレ”の姪である原告の老女と同じユダヤ人の血を引く若き米弁護士が

ホロコースト記念館のトイレで悔しさに涙を流すシーンに

その複雑で一見、不可能と思わせる訴訟を成功させる鍵があるのだが、

残念なのは、

彼の試行錯誤するシーンのカット編集が単調で、その苦悩が伝わって来づらいところだ。


それにしても、

2006年当時、史上最高価格と言われた

クリムトの“アデーレ”の177億4000万円だが

現在の高額絵画ランキングでは、12位。


1位は、先日話題になったばかりの

ダ・ビンチの
“サルバトール・ムンディ”の508億円。


絵画の価値は買取価格で決まるわけではないけれど、


そんな金額を聞くだけで、

関わってきた多くの人間の“欲”や“業”が絵の中に映り込んでいるような気がして

恐ろしくなるのであります。


よく観ると“アデーレ”も『怖い絵』かも…。💦



しみずゆみ













コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« モスクワ郊外の夕べ | トップ | エレメントが違う »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (たにむらこうせつ)
2017-11-24 17:55:58
芸術、美術は人類の種別を越えた宝です。
見つかっていないものは早く見浸かると良いですね!
みんなのブログからきました。
詩を書いています。
返信する