井上陽水のアルパム「ライオンとペリカン」に「ワカンナイ」という曲がある
自分が大学に通っていたころの曲で、宮澤賢治の詩をモティーフにした詩に惹かれた
いま、これと同じくらいワカンナイ
仕事でも、家庭でも、自分自身がワカンナイ
もう職場であれ、家庭であれ、誰かといるだけでモヤモヤしたものを感じてしまう
特に職場はひどい
ミドルエイジになる女性の部下がいるのだが、うまくコミュニケーションがとれない
彼女は一見「クソ」がつくほどまじめな発言を繰り返すのだが
それがゆえに、取引先との間では表面的なコミュニケーションしかとれない
そしてどうでもよいようなトラブルを抱えてしまう
大したトラブルではなくとも、トラブルの解決は上司の仕事だとして
直ちに丸投げしてくるので、こっちは困ってしまう
ただただ「どうしたらよいか」と訊いてくるのだが、「少し落ち着いて、
何ができるか、どうしたら解決するか、まずは自分の考えまとめなさい」と
諭すと「自分にはワカンナイ」と受け取らない
私にはあなたがワカンナイ
頭の中が「ワカンナイ」でいっぱいになってしまい、今朝も早朝に目覚めてしまった
こういう状態は精神的にあまりよくない
防衛策として、ここ数年ワカンナイときには歩きにでかけている
音楽を聴きながら無心に歩いていると少し落ち着いてくる
写真のアサギマダラはそんな散歩の中で現れたもの
ただボーっと歩いているだけのところにフラフラと舞い降りてきた
まるで誰かに、この男を癒してやってはどうかと誘われたように
初冬の弱い陽の下、南の国に渡らずにここで一生を終える個体になぜか癒され
少し気持ちを整理してその日を過ごす
こんな気持ちは誰にもワカンナイ
こんなふうに仕事や家族を感じているので、老後は独り田舎で暮らすことを
想像するのだが、これはなかなか実現しそうにない
これから死ぬまで何年いるのか何十年なのか
結局、ワカンナイ