ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

オペラ『椿姫』@新国立劇場

2015-05-14 22:24:53 | オペラ
昨日(13日)新国立劇場・オペラ劇場で公演された『椿姫』(2日目)を観てきた。音楽はジュゼッペ・ヴェルディ。演出はヴァンサン・ブサール。指揮はイヴ・アベル。管弦楽は東京フィルハーモニー管弦楽団。主な出演者は下記の通り。

 ヴィオレッタ:ベルナルダ・ボブロ
 アルフレード:アントニオ・ポーリ
 ジェルモン:アルフレード・ダザ
 フローラ:山下牧子
 ガストン子爵:小原啓楼
 ドゥフォール男爵:須藤慎吾
 ドビニー侯爵:北川辰彦
 医師グランヴィル:鹿野由之
 アンニーナ:与田朝子
 合唱:新国立劇場合唱団
 《14時00分開演、16時50分終演》休憩1回

舞台はセンター近くから下手側(左側)にかけては全面鏡張りの壁。一方の上手側(右側)は書割だったり紗幕だったりと変化する。そしてフロアは光沢のある材質を使い、少しだけだが舞台がオケピまで張り出している。新国立劇場で張り出し舞台を見たのは初めてかも。あと天井から大きなシャンデリアが吊るされている。舞台美術はシンプルながらも多角的であり立体感もある。そして、このシンプルな舞台美術が歌い手にとっては大きな反響板にもなり、出演者に安心感を与えている。

さて、出演者ではヴィオレッタを演じたベルナルダ・ボブロは文句なしに及第点だ。伸びと艶やのある歌声はヒロインとしての存在感をしっかり出している上、その振る舞いも社交界の裏ヒロイン(高級娼婦)を見事に演じていて、十二分に観客を魅了する力をもっている。それに対して、アルフレードのアントニオ・ポーリは少し非力だ。この役はヴィオレッタの引き立て役で辛い役なのだが、歌声は悪くないのだからもう少し演技力で存在感を出して欲しかった。逆にその父親であるジェルモン役のアルフレード・ダザの方がそれなりの存在感を示してくれた。

指揮のイヴ・アベルは2011年の『蝶々夫人』のときも上手い指揮者だなあと思ったが、今回はそのときを上回るような指揮ぶりで、先日の『運命の力』では散々だった東京フィルから本当に同じオケなの?と思うぐらい、メリハリと輝きのある音色を引き出していた。また、プロンプター・ボックスがない舞台美術にもかかわらず出演者に出す指示も常に的確のように思えた。

オペラが指揮者によってこうも変わるものかということを実感させてくれた公演だった。新国立劇場が今後も彼を多用することを強く望みたい。


最新の画像もっと見る