ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

オペラ『ファルスタッフ』@新国立劇場

2015-12-04 22:44:54 | オペラ
昨日(3日)新国立劇場・オペラ劇場で公演された『ファルスタッフ』(初日)を観てきた。音楽はジュゼッペ・ヴェルディ。演出はジョナサン・ミラー。指揮はイヴ・アベル。管弦楽は東京フィルハーモニー管弦楽団。主な出演者は下記の通り。

ファルスタッフ:ゲオルグ・ガグニーゼ
フォード:マッシモ・カヴァレッティ
フェントン:吉田浩之
医師カイウス:松浦 健
バルドルフォ:糸賀修平
ピストーラ:妻屋秀和
フォード夫人アリーチェ:アガ・ミコライ
ナンネッタ:安井陽子
クイックリー夫人:エレーナ・ザレンバ
ページ夫人メグ:増田弥生
《19時00分開演、21時40分終演》休憩1回

あらすじは、老騎士ファルスタッフが二人の女性に同文の恋文を送ったのがバレて、その仕打ちを2度にわたって受ける。ただし、最後はみんなで「この世はすべて冗談」という、まるで「毎度馬鹿馬鹿しいお話でした」というようなストーリー。下地はシェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』。

タイトルロールのファルスタッフを演じたゲオルグ・ガグニーゼは、見事なまでに役に成りきっている上に、声量豊かな歌唱力で他を圧倒。昨今の新国立劇場で観た主役のなかでは抜きん出た存在といえよう。そして、相手役のアリーチェを演じたアガ・ミコライも喜劇の面白さを十二分に熟知しているようで、いたずらっ子(いたずらっ夫人)ぶりを軽妙に演じていた。他の助演陣もそつがなく十二分に楽しませてもらった。

舞台美術および衣装はフェルメールの絵画をモチーフにしたと思われる。装置が機能的で好感が持てる。演出や照明もシンプルながらも、観ていて飽きることなく展開される。そして、今回の舞台の最大の功績者はなんといっても指揮のイヴ・アベルだ。彼の軽快かつ緩急を取り混ぜた指揮は、オペピの東フィルを明晰にして高揚感のある音に仕立てあげ、テンポのよい舞台を展開させていった。

これまでに新国立劇場のオペラを何回観たか解らないが、イヴ・アベルほど納得のいく指揮者はあまりいない。彼が初登場だった2011年の『蝶々夫人』は鮮明に覚えている。そして、今年5月の『椿姫』にしても洗練された輝きが印象に残っている。今後も新国立劇場には彼を指揮者として招聘してもらいたいが、先々のことを考えると彼はファビオ・ルイージのように売れっ子指揮者になりかねないので、客演指揮者として最低でも年に1回か2回は振るという契約を結ぶべきではないだろうか。さもないと、忙しくなって来なくなってしまうような気がしてならない。新国立劇場の英断に期待したい。


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