一昨々日(22日)サントリーホールで開かれたNHK交響楽団第1755回定期演奏会に行ってきた。指揮はタン・ドゥン。マリンバは竹島悟史。ハープは早川りさこ。
【演目】
タン・ドゥン/「The Tears of Nature」~マリンバとオーケストラのための(日本の津波犠牲者の追憶に)(2012)[日本初演]
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
~休 憩~
タン・ドゥン/女書:The Secret Songs of Women ~13のマイクロフィルム、ハープ、オーケストラのための(2012/13)[世界初演]
《19時00分開演、21時00分終演》
1曲目のマリンバを主体にした曲だが、これがなんで「日本の津波犠牲者の追憶に」という副題というかコピーが入っているのかも解らない。なんか取ってつけたとような気もしてしまい、少し腹立たしかった。
2曲目になんでこの曲が来るのかと思ったが、「ああ、そうか。中国的メロディが入っているからだなあ」なんだと思った。ただし、タン・ドゥンの指揮はお世辞にも褒められたものではない。彼はやはり指揮者というよりは作曲家だろう。
3曲目。N響、コンセルトヘボウ管、フィラデルフィア管の3つのオケの共同委嘱による作品。今回がそのなかでももっとも早い演奏ということで、正真正銘の世界初演。これまでにも世界初演という曲に遭遇したことはあったと思うが、これほど長い曲は初めて。で、感想として世界初演の演奏としては成功したのではないだろうか。
舞台上には大小3枚スクリーンが吊るされて、そこにはタイトルである「女書」やそれに伴う中国の風景そして、女性の歌う姿が映し出される。つまり、映像と音楽を一体化させた試みなのである。
ステージ上のオケの上には大小3枚の高さを変えたスクリーンが吊るされ、そこに映像が写され、独特の節回しの歌が歌われ、N響が奏でる音楽と共に協奏曲を奏でる。音楽はハープ協奏曲の形態で、早川りさこが奏でるハープは、古琴、二胡、琵琶といった中国の弦楽器をモチーフにしたような音を奏でて、これまでのハープの領域を覆すような音色を醸し出し、この点に関しては大いに評価できるのではないだろうか。
ただ、音楽そのものは環境音楽的であり、中国紀行BGMの域を脱しておらず、いくら映像と音楽の一体化を試みていても、末代まで残る音楽かというと疑問がある。語弊があるかもしれないが、これならばN響は大河ドラマの『利家とまつ』『篤姫』などの音楽を交響曲化もしくは組曲化することを委嘱して独自のレパートリーを作った方がいいのではないだろうか。
最後に苦言を。この演奏会はサントリーホールでなくNHKホールでやるべきだと思う。1曲目のマリンバは妙にハウリングしていたように聴こえたし、3曲目も視覚的にもまた音響的にもNHKホール方が面白いように思える。
【演目】
タン・ドゥン/「The Tears of Nature」~マリンバとオーケストラのための(日本の津波犠牲者の追憶に)(2012)[日本初演]
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
~休 憩~
タン・ドゥン/女書:The Secret Songs of Women ~13のマイクロフィルム、ハープ、オーケストラのための(2012/13)[世界初演]
《19時00分開演、21時00分終演》
1曲目のマリンバを主体にした曲だが、これがなんで「日本の津波犠牲者の追憶に」という副題というかコピーが入っているのかも解らない。なんか取ってつけたとような気もしてしまい、少し腹立たしかった。
2曲目になんでこの曲が来るのかと思ったが、「ああ、そうか。中国的メロディが入っているからだなあ」なんだと思った。ただし、タン・ドゥンの指揮はお世辞にも褒められたものではない。彼はやはり指揮者というよりは作曲家だろう。
3曲目。N響、コンセルトヘボウ管、フィラデルフィア管の3つのオケの共同委嘱による作品。今回がそのなかでももっとも早い演奏ということで、正真正銘の世界初演。これまでにも世界初演という曲に遭遇したことはあったと思うが、これほど長い曲は初めて。で、感想として世界初演の演奏としては成功したのではないだろうか。
舞台上には大小3枚スクリーンが吊るされて、そこにはタイトルである「女書」やそれに伴う中国の風景そして、女性の歌う姿が映し出される。つまり、映像と音楽を一体化させた試みなのである。
ステージ上のオケの上には大小3枚の高さを変えたスクリーンが吊るされ、そこに映像が写され、独特の節回しの歌が歌われ、N響が奏でる音楽と共に協奏曲を奏でる。音楽はハープ協奏曲の形態で、早川りさこが奏でるハープは、古琴、二胡、琵琶といった中国の弦楽器をモチーフにしたような音を奏でて、これまでのハープの領域を覆すような音色を醸し出し、この点に関しては大いに評価できるのではないだろうか。
ただ、音楽そのものは環境音楽的であり、中国紀行BGMの域を脱しておらず、いくら映像と音楽の一体化を試みていても、末代まで残る音楽かというと疑問がある。語弊があるかもしれないが、これならばN響は大河ドラマの『利家とまつ』『篤姫』などの音楽を交響曲化もしくは組曲化することを委嘱して独自のレパートリーを作った方がいいのではないだろうか。
最後に苦言を。この演奏会はサントリーホールでなくNHKホールでやるべきだと思う。1曲目のマリンバは妙にハウリングしていたように聴こえたし、3曲目も視覚的にもまた音響的にもNHKホール方が面白いように思える。