ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

国によって音楽の好みも違う

2015-02-28 21:45:55 | Weblog
先日、あるところでヨーロッパの音楽家と話をする機会があり、その中で話題になったのが「シベリウスはどの曲が好まれるか」ということだった。

たまたまその場にシベリウスの交響曲第4番が流れていて、彼は「これはとても暗い曲なので、今日のような楽しい場に似つかわしくないね」と話をした。それで私は「何番がいいのか」と訊ねると、彼は間髪入れずに「第5番」と。「ドイツでは第5番が一番人気があります。また楽しい場なんだから」と理由も付け加えた。

で、私が「日本では第2番が一番人気がありますよ」と言うと、彼は怪訝そうな顔をした。「ドイツだけでなくヨーロッパでは第5番、その次は第1番が人気で、第2番はさほど人気ないと思う」と。確かに国によってというか国民性によって音楽の好みの違いがあることは分かるが、シベリウスの交響曲第2番がドイツではさほど人気がないという言葉には少し驚かされた。

話は少しズレるかもしれないが、マグロの刺身や寿司にしても日本人は中トロか大トロを好むが、多くの西洋人は赤身を好む。これと同じように音楽の好みも、それぞれの国によって違うのだろう。もちろん個人個人によっても違うことは言うまでもないが、こうした国民性と音楽の嗜好の関係性は結構興味深いことだと思うので、音楽評論家や音楽学者のみなさん、どなたか探究していただけませんでしょうか。

ヤルヴィとN響のR.シュトラウス

2015-02-21 00:57:26 | N響
一昨々日(18日)サントリーホールで開かれたNHK交響楽団第1804回定期公演Bプログラム(1日目)を聴いてきた。指揮はパーヴォ・ヤルヴィ。ピアノはピョートル・アンデルジェフスキ。

【演目】
R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」
モーツァルト/ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503
  〜休 憩〜
R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」
《19時00分開演、21時10分終演》

パーヴォ・ヤルヴィとN響はR.シュトラウスの交響詩全曲録音のプロジェクトを発表している。その初めての録音が行われたのであろうか、舞台のあちこちにマイクが置かれていた。

1曲目。やはり録音初日ということもあったせいか、出だしの金管が不揃いというか波長があっていない。それでも、数小節進むとまるで何事もなかったように揃い、弦の艶やかな音色も加わり、いつもの機動力のあるN響の演奏になる。それにしても関心するのが、N響の弦の表現力の巧みさと団結力である。金管や木管がいくら咆哮していても、N響の弦はまったく負けない。

2曲目。オケは1曲目の16型から10型へと小編成に。モーツァルト音痴の私が言うのもなんだが、ピョートル・アンデルジェフスキの弾き方はかなり現代的だと思う。古典派音楽にありがちな華麗にして弾力性のある弾き方ではなく、かなり思い入れたっぷりの情緒感と強弱および緩急を入れたモダンな演奏だったように思う。これがアンデルジェフスキのスタイルなのだろうか。だとしたら、20世紀以降の作曲家の曲の演奏を聴いてみたい。

3曲目。R.シュトラウスのなかではもっともダイナミックにしてドラマチックな曲。そのことをヤルヴィとN響も意識しているかのように歌心たっぷりに演奏する。ただ録音しているせいもあるかもしれないが、少し自負に満ちていて雄弁過ぎるきらいもあった。そんななかで、この演奏でのMVPはなんといってもコンマスの篠崎史紀だろう。彼の穏やかに奏でる英雄の悲喜こもごもは、ニッカウイスキー(サントリーホールなのに・・・)のラベルの王様を思い浮かべさせるような表現力で、飲兵衛の私としては聴いていてとても気持ちがよかった。そして、1曲目同様に弦楽は金管や木管の圧力に屈することなく徹頭徹尾素晴らしい音色を奏できった。N響の弦は間違いなく世界トップクラスである。

尾高忠明札響音楽監督最終公演

2015-02-20 02:20:08 | 国内オーケストラ
一昨々日(17日)サントリーホールで札幌交響楽団の東京公演を聴いてきた。指揮は尾高忠明。

【演目】(※はアンコール曲)
シベリウス/交響曲第5番変ホ長調
シベリウス/交響曲第6番ニ短調
  〜休 憩〜
シベリウス/交響曲第7番ハ長調
※シベリウス/アンダンテ・フェスティーヴォ
《19時00分開演、21時10分終演》

札幌交響楽団の3年かけてのシベリウス・ツィクルス最終回。一昨年は『フィンランディア』交響曲『第3番』『第1番』。昨年は組曲『恋人』交響曲『第4番』『第2番』。そして今年は交響曲『第5番』『第6番』『第7番』である。

1曲目『第5番』。シベリウの交響曲のなかでも『第2番』と共に好きな曲。というのも、金管の咆哮が一般的な交響曲と違って非常に情緒的だからだ。ただ演奏の方は1曲目ということもあり、金管も木管も少し緊張感が張りすぎというか硬さが抜けず、どことなく余所行きの演奏という感じ。それでもコーダのトランペットとホルンなどによる合奏部分はたっぷりと聴かせてくれて嬉しかった。ただ、後から思うとこの曲を演奏会の最後にもってきても良かったのではないだろうか。

2曲目『第6番』。これまで聴いてきた限りでは札響の弦はかなり控え目という印象だったが、ここではしっかりとしたユニゾンで北欧の風景を思い浮かべさせるような力強さがあり素晴らしかった。そして、なによりも白眉だったのがオーボエの金子亜未。彼女の奏でるオーボエには常に優美さと力強さが兼ね添えられている。彼女は間違いなく在京オケのオーボエ首席奏者レベルというかそれを上回る世界標準ではないだろうか。時間のあるときは、ぜひとも在京オケに客演していただきたい。

3曲目『第7番』。初演時には交響幻想曲と名付けられたが出版時には第7番と変更されたという曲。交響曲としては珍しい単一楽章の構成。ところが、演奏直後に何処からともなく鈴の音が聞こえてきてガックリ。そして、終曲後に今度は2階席センターから、余韻を潰す「よっしゃー!」の声はかかるは、フライング拍手はするはで、観客たちによってぶち壊されてしまった。尾高忠明はこの演奏会をもって11年間務めた札響音楽監督を辞める。いわば、国内最後の有終の美を飾る公演だったのに・・・。ツイッターなどによると「よっしゃー!」男は「この輩、奥様と一緒に7番の時だけ来ていて、演奏中にはエア指揮していた関西人ぽい人」とのこと。ということで、全国のクラシック・ファンの皆さん、今後はシベリウス第7番がかかる演奏会では注意しましょう。

さて、札響は尾高忠明の後任として、マックス・ポンマーが4月から首席指揮者として就任することが決定している。来年の東京公演が彼の指揮による演奏会なのか、それともラドミル・エリシュカによる指揮の演奏会なのか解らないが楽しみにしている。で、その時は開演前にぜひとも「拍手は指揮者がタクトを下ろしてからお願いします」という放送ならびに「フラブラとよっしゃー!は止めましょう」という掲示をしてもらいたい。

パーヴォ・ヤルヴィの統率力と掌握力に驚きのN響

2015-02-15 01:44:15 | N響
一昨日(13日)NHKホールで開かれたNHK交響楽団第1803回定期公演Cプログラム(1日目)を聴いてきた。指揮はパーヴォ・ヤルヴィ。ヴァイオリンは庄司紗矢香。チケットは完売。

【演目】
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
※シベリウス/水滴
  〜休 憩〜
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調
《19時00分開演、20時55分終演》

1曲目。庄司紗矢香はいつもながら知的にして骨太にしてダイナミックだ。この曲はどちらかというと高音や弱音を大事にする演奏者が多いが、彼女は真逆といっては失礼かもしれないが低音と強音に重点をおいているような気がする。それゆえに、シベリウスがもつ情景的かつ淡麗な世界に広がりはない。しかしながら、音楽性を追求する叙情的な情熱的な世界が強烈に伝わってくる。そして、それを受け止めるかのように、一糸乱れぬ伴奏(特に弦)のユニゾンも素晴らしかった。

2曲目。久しぶりに少し前のめりに聴いてしまった。(反省)ヤルヴィの指揮はブレない、ズレない、ハズレない。こう書くと何か精密機械のような指揮者という感じに思えるかもしれないが、とにかくその的確な指示と緩急のつけ方の上手さに脱帽。演奏自体はショスタコーヴィチがもつ政治的メッセージよりも多重構造的な音楽性を強調するかのような感じで、開放的かつ快楽的(享楽的?)に満ちたもの。特に打楽器の鳴らし方は半端でなく、NHKホールに地響が起きたかと思うぐらいであった。

それにしても、来シーズンから首席指揮者に就任するヤルヴィのやる気というか、オケのメンバーに対する統率力および観客に対する音楽的オーラともいうべき掌握力の凄さには驚かざるをえない。これだと10月の3定期公演、および来年2月の3定期公演はすべて売り切れるのではないだろうか。ちなみに、今週のB定期はすでに売り切れているが、同演目の21日(土)横浜公演、22日(日)名古屋公演のチケットはまだ残っている。

最後に今回の定期公演をもってソロコンサートマスターの堀正文と第2ヴァイオリン首席の永峰高志が退団。お疲れさまでした。さて、後任は誰になるのだろうか・・・。

映画『マエストロ!』を観る

2015-02-07 02:25:58 | Weblog
もう1つのブログに掲載した原稿ですが、音楽関係の映画ということでこちらにも掲載。

久しぶりに映画を観に行った。いつ以来だろう。(苦笑)公開間もないこともあり、日中にもかかわらず客席は半分近く埋まっていた。そのほとんどが若者かおばさんで、NHKホールにいるような高齢者やクラオタ風の人は皆無だった。

原作はテレビで『のだめカンタビーレ』が話題になっていたころにすでに読んでいる。ただし、内容はうろ覚えで、解散したオケが風変わりなジイサン指揮者のもとで再結成されるという話ぐらいしか覚えていなかった。で、結論だが、大絶賛はできないものの、観て損はない映画だ。なかでも、クラシックに携わっている人およびクラシック好きならば、いろいろな意味で楽しむことができるので、こうした人たちにはオススメである。

演出および映像はこれといって凝ったところはなくいたってオーソドックスだ。撮影もセットはなくすべてオールロケ。主舞台になる練習場は工場跡をそのままうまく利用している。少し脱線するが、演劇の世界では工場跡や倉庫跡に手作りで稽古場を作るのは当たり前。音楽の世界は防音設備があるちゃんとした場所で練習するのが羨ましい、と観ながら思ってしまった。(苦笑)

さて、キャスティングだが、主演の松坂桃李と指揮者の西田敏行は十二分な存在感を出している。松坂はヴァイオリンを1年稽古しただけのことはあって、それなりに様になっている。もっと様になっているのが西田だ。『のだめ』では竹中直人が指揮者役を怪演したが、青年座の先輩である西田の方が圧倒的に指揮者になりきっている。これは指揮指導の佐渡裕の功績によるものなのかもしれないが、西田がもっている音楽センスが半端でないということを感じざるをえなかった。できれば、一度本気で『運命』の第1楽章だけでも何処かのプロオケで振ってもらいたい。その他の出演者では第1ヴァイオリンの大石吾朗とヴィオラの古舘寛治が俊逸だった。特に大石は助演男優賞にノミネートされてもいいぐらいの素晴らしさだった。

ということで、お時間とお金に余裕のある方はぜひともご覧ください。

サントリーホールなのだからお酒を飲みましょう

2015-02-06 11:47:23 | Weblog
先日、サントリーホールで休憩時間にドリンクコーナー近くのホワイエでウイスキーを飲んでいたら、2人の知人にちょっと白い目で見られた。(笑)

私「サントリーホールですよ。お酒屋さんホールですよ」
A「何、飲んでいるの?」
私「白州12年。これ美味いんですよ」
A「なんか、量が多くない?」
私「これで800円は安いっすよね」
B「ワイン(600円)よりお得な感じですよね」
私「絶対にお得だと思います」
B「この量だと、バーなら1杯1200円はしますもんね」
A「私も今度頼もうかなあ」
私「頼むなら1階だとおじさんに、2階だとおばさんに頼むように」
A「スケベ心出して綺麗なお姉さんに頼んじゃダメなんですね」
私「はい」
B「バイトの子だと量を計ってから入れるから少ないんですよね」
私「白い目で見た割には、Bさん、よく知っているんじゃないですか」(笑)

以上、内密の話でした。