ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

リヨン歌劇場の『ホフマン物語』

2014-07-10 00:11:50 | オペラ
昨日(9日)オーチャードホールで公演されていたフランス国立リヨン歌劇場公演『ホフマン物語』を観てきた。音楽はジャック・オッフェンバック。演出はロラン・ペリー。指揮は大野和士。管弦楽はフランス国立リヨン歌劇場管弦楽団。主な出演者は下記の通り。

 ホフマン:ジョン・オズボーン
 ミューズ/ニクラウス:ミシェル・ロジエ
 オランピア/アントニア/ジュリエッタ/ステッラ:パトリツィア・チョーフィ
 リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット:ロラン・アルバロ
 アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ:シリル・デュボア
 ルーテル/クレスペル:ピーター・シドム
 ヘルマン/シュレーミル:クリストフ・ガイ
 ナタナエル/スパランツァーニ:カール・ガザロシアン
 アントニアの母:マリー・ゴートロ
 合唱:フランス国立リヨン歌劇場合唱団

《15時00分開演、19時00分終演》休憩2回

町の酒場で詩人・ホフマンが報われなかった3つの恋を回想するという物語。1つ目は機械仕掛け人形・オランピアとの恋。2つ目は胸の病いを患うアントニアとの恋。3つ目は高級娼婦のジュリエッタとの恋。この3つの物語を演出のロラン・ペリーは、同一人物(パトリツィア・チョーフィ)に演じさせることによって、3つの恋を1つの恋、つまり現在の恋人ステッラとの恋として描く。このことによって、主演のオフマン以上に4役を演じるチョーフィの負担がかなり大きくなる。

ホフマン役がレオナルド・カパルポとのダブルキャストなのに対して、チェーフィは1日休みがあるとはいえ、7月5日・7日・9日と歌い続けなければならなかったのは少し酷ではないだろうか。それゆえに、オランピアでのコロラトゥーラはクレーンを使った演出に助けられたとはいえ、コロラトゥーラ特有の艶とうか透明感のある声は聴くことができなかった。また、ジュリエッタでは娼婦といった感じの演技は見受けられず、明らかに疲れが出ていて冴えがなかった。なんで彼女の役もホフマン役同様にダブルキャストにしなかったのであろうか。一方で、ホフマンの敵役4役を演じたロラン・アルバロはチョーフィほどの負担はないとはいえ、見事な歌いっぷりで観客を大いに魅了した。特にコッペリウスとミラクル博士のコワモテの演じ方は白眉。

ロラン・ペリーの演出はオランピアでのクレーンやセグウェイのような電動二輪車、またジュリエッタとのモニターを使った鏡などシンプルながらも現代的な演出は効果的で面白い。ただ、舞台美術、衣装、照明があまりにもモノトーンに統一されすぎていて面白みに欠ける。どこかでカラフルさを使っても良かったのではないだろうか。

さて、演奏であるが指揮の大野和士はオケおよび出演者たちに対して明快な指示をしながら、かなりゆったりとした音楽を奏でた。間奏曲はしっとりと聴かせ、歌曲では控えめな黒子的な伴奏に徹していた。ただ、こちらももう少し演奏を際立てもよかったような気がする。ということで、演出にしても演奏にしても、もう一ひねり欲しい。

最後に苦言というより苦情を1つ。写真にもあるように、終演時刻は18時35分のはずであった。ところが実際の終演時刻は19時00分で、なんと25分もノビノビになったのである。5分や10分終演時刻が延びるということは侭あるが、25分というの初めてだ。こんな掲示をする主催者および劇場はイエローカードだ。観客の多くは終演後の予定を組んでいる。レストランを予約していたり、友人と待ち合わせをしていたりする。そんなことは主催者も解っているはずなのに、このような掲示をするというのはセンスを疑うというか、誠意を疑うというか、人を欺く行為である。こんなデタラメの掲示のために、いつまでも拍手をしたくても席を立たざるをえなかったお客さんもいたはずである。今後はこんな掲示は絶対に止めてもらいたい。

なお、この日はNHKによるテレビ収録が入っていて、放映は9月の予定らしい。


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