北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

ハンマーダルシマー演奏会

2013-10-05 23:41:47 | Weblog

 "ハンマーダルシマー"という楽器をご存知でしょうか。

 台形状の箱に、全部で70本以上の弦を張ったもので、これを二本の軽いバチで叩く楽器です。

 いわゆる打弦楽器と呼ばれる種類のもので、ピアノの先祖などとも言われているようです。

 紀元前3500年頃のアッシリアの壁画に原型の絵があるとも言われますが、今の物は10世紀前半頃の中東にその原型が誕生し、それがヨーロッパや中国などに次第に伝わっていったと言われているそう。

 中世ではイギリスなどで大流行し、19世紀になるとリスト、コダーイ、ストラビンスキーなどのクラシック作曲家にもこれを用いた作品があると言います。

 しかし実際は極めてマイナーな楽器で、まだ日本にも奏者と呼ばれる人は数えるほどしかいません。


       ◆


 私の場合は、以前知人の家を訪問した際にこれが置いてあって、「これなあに?」と訊いたのが最初の出会いでした。

 弦は一本に見えてマンドリンのように同じ音が出る二本の弦になっています。

 しかも、左右の糸巻軸の間に和琴のようにブリッジが置かれていて、このためにその左右で違う音が出ます。

 
 【複雑に斜めに張られた弦が分かりますか?】

 
 【こんな風に軽くたたいて音を出します】

 複雑な音階構成なので慣れないととても弾けそうにありませんが、ちょっとだけいたずらさせてもらったところ、チェンバロに似たような中東というかアイリッシュというか、不思議な異国情緒漂う音色に心が癒されました。

 とても印象的に感じていたところ、その奏者としての第一人者でありしかも34年前に日本にハンマーダルシマーを紹介したカレン・アッシュブルックさんが、札幌のそれも琴似地区の小さなコミュニティスペースでミニライブをしてくれるという情報が例の知人から届きました。

 これは面白そうだ、と思って今夜のライブに妻と二人で参加してきたのですが、実際にその演奏を聴いてとても楽しく、また心の温まるような音楽でした。

 
 【カレン・アッシュブルックさん】

 
 【小松崎健さん】

 ライブには、日本における数少ない演奏家である札幌在住の小松崎健(こまつざき・けんじ)さんが、ハンマーダルシマーの模範演奏とともに、カレンさんとの共演で参加者に様々なスタイルのダルシマーの曲を聴かせてくれました。

 実は小松崎さんも初めてダルシマーの演奏を見たのが、カレンさんが34年前に来日した際の演奏だったそうです。

 当時はブルーグラスフェスの中で演奏されたそうですが、カレンさんをはじめとする演奏家たちは、そこにとどまらずクラシックや世界の民謡、ポップスなども題材としながら演奏の幅を広げてきました。

 
 今日は午後に、演奏指導を受けるワークショップを開き、夜からの演奏会。

 会場は約50人ほどの聴衆が集まって、二時間の演奏を堪能しました。

 
 

 ライブはダルシマーだけではなく、フィドルやアイリッシュフルートなども交えてバラエティ溢れるもので、カレンさんは日本の民謡から"五木の子守唄"を日本語で歌ってくれるなどサービス精神も旺盛でとても楽しいものでした。


 カレンさんが今回来日したのは、10月9日から台湾の台北で開かれる「世界打弦楽器大会」に参加する直前を狙って、日本のミュージシャンとの旧交を温めることが目的なんだそう。

 
 地域のちょっとしたミニコンサートで、こんなのがさっと弾けたりすると注目されること請け合いです。

 友人との付き合いから繋がった、不思議で素敵な楽器との出会い。

 "ハンマーダルシマー"

 もし耳にしたら思い出してみてください。


【小松崎健さんのホームページ】 
  http://kenjikomatsuzaki.jimdo.com/ 

 

 

コメント
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