国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

【提案】400字シリーズ

2006-12-24 09:01:12 | 国語
小論文のネタの本って、まとまり過ぎ(辞書っぽい)か、まとまりなさ過ぎ(長すぎる)で、どう利用するかがわかりにくいことが多いような気がする。また、丸写しをしてしまうせいで、受験生のオリジナリティがなくなることを助長する一面もある。

で、だ。

400字シリーズというのはどうであろう。ある特定のテーマについて400字の小論文を示すというやつだ。

例えば、以下のような感じである。


【地域医療】
 地域医療における問題点は、単に医師がいないということとその地域に提供される医療の質や種類に偏りがあることである。しかも、現在、高齢社会が進行している。その結果、医療の偏りがある上に、その地域を高齢であるがゆえに身体的な事情で離れられない、そして、故郷への愛着で離れたくない患者の数は増えていくだろう。私は患者のQOLに配慮しつつ、現状を少しでも改善するための方法が主に三つあると考えている。
 まず、多くの分野を診療できる総合医の数を増やすことで偏りを是正させることである。次に患者のQOLを減らさぬために他の地域の医師を患者の元へ移動できるようにすることである。最後に遠隔医療である。今後、IT技術の発達を考えると離れた所からの治療も向上するだろう。法制度、医師の数など現状ですぐにできることではないが、昨日よりいい医療を地域に提供できるよう医師だけでなく社会で取り組むべき課題である。





イメージは↑のような感じで。こういうものから要素を減らし、新たな要素(特に具体例)を足せば、受験生のオリジナリティが出しやすいと思う。

また、ある尊敬する先生に話したところ、400字というのも応用が広そうですねと言われた。関連するテーマを組合せれば、600字やら800字にも応用がきくだろうとのことであった。当然、組み合わせはオリジナリティを生み出すわけだ。(まあ、それ以外にも面白い話も出たんだが、ちょっと割愛)

先ほどの例はメディカル系だったが、【Web2.0】でも【公正】でもかまわない。こういうのがまとまった本があったらいいだろうなあと思う。むろん、使い方の解説(小論文一般の話はもちろん、例えば、先の「地域医療」を利用して「遠隔医療」を説明するやり方とかね)も詳しく書かれた本ね。

さて、と。

賛同者(あと、賛同社)、求む。


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6 コメント

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賛同者その1 (弟子)
2006-12-25 00:18:45
確かに「この型で書けば大丈夫」というような参考書がやたらと出ている気がします。ニーズがあるということもあるのでしょうけれど。しかし、それだと結局のところ応用力がつかず、自分が見たこともない(あるいはそう思い込んでいる)課題がでると、手も足もでなくなってしまう。生徒に文章を書く力がなくなってきており、かつ、今後さらに小論などの試験が増えると思われる現在ですから、簡潔で応用力のつく参考書が出れば良いなあ、と思う今日この頃です。
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サンキュ♪ (国語屋稼業)
2006-12-26 21:12:11
詳しくは後ほど。
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本にすれば (迷亭)
2006-12-29 16:17:21
クオリティのかなり高いものが作れそうですね。
ただ、それを咀嚼して、応用できますかね。
そもそも、受験において文章力を試すことは必須だと思うのですが、採点がめんどいし、実際においても、要素を捕らえてさえいれば受かるようなものばかりなきがするのですが。実情がよく解らなくて、申し訳ないのですが。
僕は小論文を全く勉強しないまま、センター利用に小論文がある某馬鹿田大学に入学したので、かなり疑問を持ってるのです。当日時計も忘れたし。
むしろ、入試から離れた文章力をつけるためのものとして、良いような気もします。
あ、参考までに。→ほぼ日刊イトイ新聞の小論文です
http://www.1101.com/essay/index.html
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んとね。 (国語屋稼業)
2006-12-31 10:55:22
>要素を捕らえてさえいれば受かるようなものばかりなきがするのですが

そのために400字一要素って文章が見本として有効になると判断しています。

また、要素を捉えていることを表現できている文章を書くのが、多くの受験生の場合できていないなと現場の私は感じているわけです。

>僕は小論文を全く勉強しないまま、センター利用に小論文がある某馬鹿田大学に入学したので、かなり疑問を持ってるのです。

どのような受験勉強をしたかにもよるのですが、多くの国立大学を受験しようとした人の場合、論述力はあるし、センターでそこそこ取れる人の読解力は小論文で使えるはずだし、現代文を多く解いてきた人は大学人が気にしている主要なテーマ、そして、大人の文章の型を見てきているわけです。また、センターでそこそこ取れる人は要素を捉えることは得意ですしね。

したがって、小論文を全く勉強していないで合格できる人は確かにいます。

問題はそこまでの受験勉強をしていないORできない人のための本ですね。

小論文も一般の科目と同じでレベル差があります。

極端な話、暗記やらパターンで済むものもあります。そして、教養やら知識の不足は、多くの受験生の前に確かにあるわけです。発想力を作るためにも基本的な教養は必要なわけです。

また、高いレベルで総合力を問われるもの=咀嚼して、応用する力を問われるものもあります。

どちらにとっても、はじめの一歩になりえる本を作ってみたいという欲求があるわけです。

「入試から離れた文章力」については良質の本・サイトが多くあります。ご紹介された山田ズーニ氏のも含めてです。

ですが、入試小論文を前に初めて文章力について考える人は多くいるでしょう。なので、とりあえずの私が選ぶ戦略としては入試に即しておこうと考えています。

まずは本とかを考えず、コツコツとやっていくしかないかあとは思っています。

刺激になるコメントありがとう。


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ついでに、あけましておめでとうございます♪ (yabu)
2007-01-03 12:31:17
> 問題はそこまでの受験勉強をしていないORできない人のための本ですね。

意欲的な構想だと思います。そういう読者層を想定なさるところが、実に国語屋先生らしいし

そういう層を想定するなら、通常の書籍の形を取るのではなく、ある種のワークブックみたいな形を考えてよいのではないでしょうか。彼らは、こういっちゃぁ失礼だけれど、原稿用紙一つ用意するのも面倒臭がる傾向、なきにしもアリアリだったりしますもん。

そういう体裁なら、高校なんかでもまとめて導入しやすいなんてことはないでしょうかねぇ。
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そうかあ。 (国語屋稼業)
2007-01-03 20:40:23
やはり思いつきでも書いてみるもんですね。ネットでは。

ワークブックという形式にする手を教えていただきましたし。
読者層の設定は迷亭氏のおかげもありますし。

今年もよろしくご教授ください。>yabu氏

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