前項の続きの話です。
教授に引率され、ニューヨーク、ワシントン、コロンバス、シカゴ、ロス
を17日間かけて巡った時のことです。
ある日教授から「私の教え子だった子が、シカゴに住んでいる。
今日は自由行動の日だから、彼の家を訪れるつもりだ。君も一緒に来るか?」
と声をかけられました。
一般家庭の様子も覗いてみたかったので、二つ返事でOKしました。
教え子氏はシカゴ市内のアパートに、可愛い奥さんと住んでいました。
アパートには、畳敷きの小部屋もあり、彼が日本贔屓であることが覗えました。
彼は東大留学時に、教授の指導のもとで博士号をとったそうです。
久しぶりの師弟再会に、おしゃべりは大いに盛り上がりました。
ところで、その時出されたのはコーヒーだけ。
別室にイチゴが少し準備されていました。
「イチゴが欲しい人は各自で取りに行ってください」と言われました。
はるばる日本から恩師がやってきたのに、ちょっと簡略な対応では?
と一瞬感じました。
しかし、久し振りのおしゃべりを教授と教え子夫妻が心から楽しんでいる姿を見て
これが本当の「お・も・て・な・し」かも、と感じました。
奥さんは無駄に出たり入ったりせず、ずっと旦那の横に座りっぱなし、
恩師とのおしゃべりを楽しんでいました。
ご馳走攻めでなく、簡素で合理的で、
しかし心のこもった「お・も・て・な・し」に出会えた一日でした。
(写真は30数年前のシカゴ郊外の住宅です。本文とは関係ありませんが・・・)