認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症と介護の予防、発病の予防及び正しい治療の方法(E-07)

2020-07-07 | 仕事とは無縁になる「第二の人生「」をどう生きるか

                 
(プロローグ)
書店に行くと、『アルツハイマー型認知症』について、数多くの本が出版されていることが分かります。学者が書いたもの、医師が書いたもの、介護の従事者や体験者が書いたものなど、いろいろです。それらの書物はほとんどを読んだのですが、全てが、誤った内容のものであることに驚かされるのです。特に、『アルツハイマー型認知症』の本態、発病のメカニズム、症状が重症化するメカニズム、症状の治療、更には、発病の予防等の項目について記述された内容は、その全てが単なる憶測や推測に基づいただけのもので、科学的で、客観的な内容のものが存在しないのです。根拠となるデータの添付さえないのです。発病及び重症化が進行する原因には、私たち人間だけに特有な『前頭葉』という脳機能の顕現である『意識』(意識的な世界)とその廃用性の機能低下の進行という機能構造の問題が関わっていることに気づいていないのです。その上、海馬の萎縮と重度の「記憶障害」の症状が確認されるものの、『前頭葉』の機能が正常である「側頭葉性健忘症」とを区別する手技さえ持たないで、両者を混同しているのが彼らの実力レベルなのです。


&1『アルツハイマー型認知症』の症状は、三段階に区分されるのが特徴

様々な種類が数ある認知症全体の90%以上を占めているのがここに取り上げる『アルツハイマー型認知症』と言うタイプの認知症なのです(権威とされる機関の予測数値には、末期の段階のお年寄りの数だけが対象となっていて、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階のお年寄りの数が含まれていないこと及び25%を占めるとされている血管性認知症の内の20%分は、アルツハイマー型認知症を混同したものなので、割合が60~70%程度になっているのです)。その上、『アルツハイマー型認知症』については、世界中の認知症の専門家達(学者や研究者や医師達)から、「発病の原因が分からないし、治すことが出来ないし、発病を予防することが出来ないもの」とされているのです。発病の予防については、誰もが考えてもいないのです。早期診断による症状の回復についても誰もが言及していないのです。一旦発病すると、介護が必要になるのが当然のこととして、疑われてもいないのです。それでいて、末期の段階で「アルツハイマー型認知症」の発病を見つける診断と効きもしない薬の処方と投与とに、天文学的な巨額の税金が垂れ流しにされているのです。診断とは名ばかり。回復させることが困難な末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階で、発病を見つけているだけ。「アルツハイマー型認知症」と言う病名を貼り付けるだけの診断がまかり通っているのです。
 私たち『二段階方式』は、『「アルツハイマー型認知症」の本態は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」であり、本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つければ、「脳のリハビリ」により治すことが出来るし、『前頭葉』を含む脳全体を活性化させる「生活習慣」(食生活ではなく、脳の使い方としての「生活習慣」を言う)の構築と継続的な実践により発病自体を予防することが出来ると主張し、市町村での「地域予防活動」を実践指導することにより、主張の内容が正しいことを疫学的方法により実証してきているのです。累計者の総数が100万人を超えているとされ、我が国で大きな社会問題となっている「介護離職」は、或る意味、作り出されているのです。二段階方式を活用して(But,医療機関にとっては、必要な売り上げを稼げないので、活用できない)、発病自体を予防し、早期の段階で見つけて回復させれば、『介護』が必要な「末期の段階」(大ボケ)にまで症状が進むお年寄りの数を激減させられるからです。
※『アルツハイマー型認知症』の症状について、世の中の専門家とされる人達は、中核症状と周辺症状(随伴症状)とに区分するのが普通です。何処の誰が最初にこの区分を持ち出したのか知りませんが、『区分する意味が無い』、意味不明の区分としか言いようがないのです。自己満足の程度でしかないのですが、誰でもが、この区分を持ち出すのが不思議なのです。その人達が取り上げている症状と言うのは、「記憶障害」に起因する症状を中核としていて、全てが外観的な症状の観察に過ぎないのです。彼等は、アルツハイマー型認知症の症状が発現するメカニズムについて無知なので、様々な程度と態様とで発現してくる症状を区分する客観的な意味の有る基準を確立できていない為に、「主観的な区分」を行っているに過ぎないのです。

さて、「アルツハイマー型認知症」という病名がつけられているように、認知症である以上、『認知機能の障害』の確認が必要とされ乍ら、専門家と言われる人達は、認知機能のレベルを判定出来る手技自体を持っていないのです。どんな大病院であれ、認知機能のテストと言い乍ら、MMSEテストしか実施していないのです。MMSEテストは、脳の後半領域の働き具合、左脳及び右脳の働き具合を判定するテストであり、『前頭葉』の働きを判定することは不可能なのです。私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」、『意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す世界』の脳の働きの関係を簡潔に表現すると、左脳、右脳及び運動の脳の三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車の「御者」の役割を担っているのが、『前頭葉』の機能(前頭前野)なのです。認知機能の障害が主命題なのに、肝心要の『前頭葉』の機能レベルを判定出来ていないのでは、認知症の発病の有無及びその程度を客観的に、科学的に、精緻に判定することは不可能なのです。『前頭葉』の機能レベルを精緻に判定することが出来る手技を持ち、「アルツハイマー型認知症」の発病の有無及びその程度の実際の判定に活用しているのは、世界中で、私たち『二段階方式』だけなのです。
私たち二段階方式は、北海道から九州に跨る全国452の市町村を活動の場として、有償の「使用許諾契約」の締結(導入先の事情により、名目的な使用のために、賃貸借契約又は請負契約の名称を使用することもあります)に基づき、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復、介護の予防及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の『地域予防活動』の展開を実践指導してきたのです。二段階方式の主張の基礎には、14689例にも上る『アルツハイマー型認知症』発病患者の『脳機能データ』があるのです。全ての「脳機能データ」には、発病者の年齢、男女の区分、「アルツハイマー型認知症」の発病の段階区分(症状の類型の該当項目を含む「小ボケ」、「中ボケ」又は「大ボケ」の三段階区分)、脳の使い方としての生活習慣の内容に関わる生活歴、MMSEのテスト結果、前頭葉の機能レベルを判定する為の「かなひろいテスト」の実施結果とその詳細が記録される仕組みとなっています。ここ迄精緻な「脳機能データ」は、世界中を見渡しても、私たちのデータ以外には、存在していないのです。
 私たちは、「二段階方式」と言う精緻な神経心理機能テストを活用して、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状並びに脳の使い方としての『生活習慣』と言う「生活歴」の把握に基づく14689例ものケース事例を解析することにより、『前頭葉』を含む脳全体の廃用性の加速度的で異常な機能低下が、『アルツハイマー型認知症』の症状の発現の真の原因であることを突き止めているのです(主張の詳細をブログで公開してもいます。⇒ kinukototadaoと入力して、検索してください)。
私たち『二段階方式』が世界で初めて解き明かし、疫学的方法により主張内容が正しいことを実証したように、廃用性症候群に属する老化・廃用型の『生活習慣病』が真の本態である『アルツハイマー型認知症』の症状は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクしており、「脳のリハビリ」の実施に因る回復の可能性の有無及びその程度により、三段階に区分されるのが特徴です(世界中の権威は、末期の段階の症状しか見ていない)。
「軽度認知症」(小ボケ)の段階の症状      治すことが、比較的に容易
「中等度認知症」(中ボケ)の段階の症状   治すことが、未だ可能
「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状       治すことは、もはや困難
『新型コロナ』との共生による経済活動の復活という命題の追求の下で、『3密』の回避が社会的にも強く求められる生活が必要とされ、第二の人生を送っている60歳を超える年齢の『高齢者』達に実行されているのです。脳の使い方としての生活習慣という視点からは、『3密』の回避という生活習慣の追求と継続は、アルツハイマー型認知症の発病及び重症化の進行にとって温床となってしまうのです。その一方で、末期の段階の症状が発病の初期症状であると未だに誤解している権威達には、危機意識が芽生えることは無いのです。
 私たちの区分で言う「小ボケ」や「中ボケ」の段階の症状が発現するお年寄りが続々と増え続けてきていても、『アルツハイマー型認知症』の本当の意味での早期の段階回復させることが可能な段階と言う意味)であることにも気づかないで居て、「不活発病」とかの無意味な名前を冠するだけで満足していて、或いは、「老化現象」だと勘違いして放置していて、学者も医師もマスコミも、全くのこと注目してはいないのです。
生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するようになってから発病までに半年、「小ボケ」の期間が3年、「中ボケ」の期間が2~3年、その後は末期の段階である「大ボケ」の段階に入っていくというのが標準的な期間なのです。認知症の専門家とされる医師達は、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が出てきて初めて、「アルツハイマー型認知症」を発病していると騒ぐだけなのです。見つけている段階が遅すぎ、「治せる病気」を治すことができないマンモスに仕立て上げているのです。 「小ボケ」及び「中ボケ」の段階について、標準的な滞留期間が存在する(事象事実)ことを取り上げてみても、アミロイドベータ説やタウ蛋白説を含む『4つの仮説』の主張内容が誤りであることの科学的で客観的な証拠資料が存在するのです。

  (「前頭葉」の正常老化のカーヴ) 

&2「軽度認知症」(小ボケ)の段階の典型的で類型的な症状 

□ 発想が乏しくなり、画一的な行動が目立つようになってくる
□ 何事をするにも億劫で、何かをやろうという意欲が見られない
□  同じ食材を買ってくることが多く、献立の単調さが目立つ
□ 一日や一週間の計画が立てられず、テーマを自分で思いつかない
□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと昼間に居眠りしている
□ これまでなら感動していたことにも感動しなくなる
□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔が見られない
□ 根気が続かず、中途半端な繰り返しや、やりかけの家事が目立つ
□ ぼんやりしていることが多く、何もしないが指示されるとできる
□ お化粧や髪の手入れや服装など、おしゃれに無関心になる
□ 自分に自信がなくて、何かにつけて他の人に頼ろうとする
□ 歩くとき前屈みの姿勢になり、小股でトボトボと歩く
□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情になる
□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更が効かない
□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかないでいる

&3 「中等度認知症」(中ボケ)の段階の典型的で類型的な症状
□ 何度教えても、日付けがあいまいになる
□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をして、やたらと小銭がたまる)
□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ
□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の整理、食事の後片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)
□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している
□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない
□ 入浴時の温度管理が出来ず、身体を洗わないとか、石鹸が身体についたまま
□ 服の着方に無頓着で重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る;裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着る)
□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない
□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)
□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)
□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない
□ 季節が分からなくなる(夏にセーター等、季節違いの服を着る)
□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう
□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為が見られる

&4 末期の段階である「重等度認知症」(大ボケ)の段階の典型的で類型的な症状
□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている
□ 風呂に入るのを怖がり、嫌がる
□ 服を正しく着られなくて、ズボンを頭から被ったり、上着に足を通したりする
□ 家族の名前を間違えたり、自分の子供を配偶者と間違えたりする
□ 食事や挨拶をしたことなど、直前に起きたことを直ぐに忘れてしまう
□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)
□ 自宅に居ても落ちつかず、外に出て行きたがる
□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れに隠すようなこともあります)
□ 自宅の方向が、たびたび分からなくなる(そのまま、徘徊することにもなる)
□ 同居している家族の名前も顔も、分からない(家族かどうかも分からない)
□ 昼なのか夜なのかが分からなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)
□ 傷んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする
□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ
□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする  

「アルツハイマー型認知症」を発病し、徘徊するお年寄りの数が、『我が国では、昨年度は、17479人に上った』との報道が有りました。徘徊するのは、末期の段階(大ボケ)の後半であり、「所の見当識」の得点が0点で、MMSEの総得点が10点以下のお年寄りに見られる症状なのです。専門家とされる人達は、『重度の記憶障害の症状である』として、片づけてしまうのです。専門家と言いながら彼等は、『脳の機能面』からの説明が出来ないのです。最も肝心な要因というのは、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されてきたことが原因で、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により、『注意の分配力」の機能がほとんど機能し得なくなってきていることにあるのです。「注意の分配力」の機能が殆ど働かない(比較、検索、シミュレーションができない)為に、自分が現在住んで居る住居(場所)の検索と認知が出来なくなってきているので、何キロも先まで歩いて行かなくて、目の前に家が建っていても、そのことが理解できなくて、「徘徊」してしまうことになるのです。「記憶障害」の症状と短絡的に片づけないで、『前頭葉』の機能障害、就中、『注意の分配力』の機能の機能障害に起因した症状であるとの深い理解が必要となるのです。言葉を操るにも、道具を操るにも、『注意の分配力』の機能が不可欠となることに、専門家達が気付いていないだけなのです。

&5「中ボケの段階」のお年寄り達の「脳の機能面」からの分析
(1) 「中ボケ」の段階の症状が発現しているお年寄り達の「脳の機能レベル」
『前頭葉』の機能レベルを判定することなく、外観から観ただけでは、比較的程度が軽い「記憶障害」の症状(記憶障害に起因した症状)が目立つように思えることが多い「中ボケ」は、認知症の専門家達からは、「老化現象」と勘違いされているのです。
「二段階方式」が典型的な症状として例示している「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階の類型的な症状を子細に観察してみれば、それ等が「記憶障害」の症状(記憶障害に起因した症状)ではなくて、『前頭葉』の機能障害(「前頭葉」の三本柱の機能の機能障害を第一次的な要因とし及び実行機能の機能障害を第二次的な要因とした、即ち、両者の機能障害)に起因した症状であることが分かるのです。その為には、脳全体の機能レベルの精緻な判定が不可欠となるのであり、認知機能の判定に際して、「MMSEテスト」しか実施しなくて、『前頭葉』の機能レベルの判定を行うことが出来ていない専門家達は、外観的な症状から、単に推測したり、単に憶測したりしているのが実態という訳なのです。
※ 『中ボケ』の記憶障害の特徴は、脳の機能面からこれをみると、新しい記憶は記銘度が低くて想起しにくいのですが、昔の記憶は(「前頭葉」の三本柱の機能が正常で在ったころの記憶なので、記銘時の記銘度が高くて、想起され易いので)比較的大丈夫なのが特徴なのです。『アルツハイマー型認知症』の診断や研究について、権威があるとされる人達は、末期の段階の症状についてしか研究していなくて、「中ボケ」の段階の諸症状について無知なだけでなく、「二段階方式」が世界に誇る「脳機能データ」である“MMSE下位項目の項目困難度”というデータについても無知というしかないのです。「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の全ての段階を含む14689例にも上る『アルツハイマー型認知症』の発病患者の脳機能データが示しているのは、『MMSEの下位項目には、出来なくなっていく、極めて厳格な順番が存在している』ということなのです。記憶障害が発病の要因であるとすれば、”MMSE下位項目の項目困難度のデータ“の存在、事象事実としての当該脳機能データを説明することが出来ないのです。言い換えると、記憶障害に起因して『アルツハイマー型認知症』の様々な症状が発現してくると想定した学説である『4つの仮説』及び『DSM-4』の規定が誤りであることの、極めて重要で、客観的で、科学的な証拠資料となるのです。
 こうした特徴からも、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルという視点が不可欠となるのであり、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状が発現するのが、『アルツハイマー型認知症』の特徴であるという考えに立ち、私たち『二段階方式』の場合は、先ずもって、「脳の機能レベル」を判定することになります。言うまでも無く、三頭立ての馬車の『御者』の働き具合及び馬車を牽引する「馬」の働き具合を判定するのです。御者である『前頭葉』の機能レベルについては、「二段階方式」独自のものである“かなひろいテスト”により、馬である左脳及び右脳の機能レベルについては、MMSEにより判定します。両者の総合的な働き具合により『脳全体の機能レベル』を判定して、且つ、『前頭葉を含む脳全体の機能レベル』に厳密にリンクしたものとしての『症状』(「30項目問診票」)を確認するのです。
⇒ 認知症診断の専門家とされる世界中の医師達は、『前頭葉』の機能レベルを精緻に判定出来る手技を持たないので、脳の後半領域の働きであるに過ぎない左脳および右脳の働き具合を判定する為の“MMSEテスト”を実施するだけでお茶を濁し、憶測に基づいた判定と診断を行っているだけなのです。彼等は、失語や失認や失行の症状、又は、それ等より更に重い症状を含む末期の段階の症状にしか関心が無くて、『脳のリハビリ』(「注意の分配力」の機能の出番が多くて、「前頭葉」が活性化する「生活習慣」)の実施により回復させることが可能である(認知症の症状を治すことが可能である)本当の意味での早期の段階の症状、私たち『二段階方式』の区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の症状の存在を知らないか、或いは、それらの段階について無関心というしかないのです。
(2)『中ボケ』の段階を「脳の機能面」から定義すると、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きが「小ボケ」のときよりも更に異常なレベルに衰えてきている上に、「小ボケ」の時は未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて(判定は、「二段階方式」の基準値による。以下、同じ)、「脳全体の働き」が異常なレベルに衰えているのです。『前頭葉』を含む脳全体の働き具合の衰えが「小ボケ」の時に比べ加速度的に速まるので、「症状」の出方の程度や幅も深く広くなります。「中ボケ」は、「小ボケ」(かなひろいが不合格で、MMSEの換算値は、24点以上)と大ボケ(かなひろいが不合格で、MMSEの換算値は、14点以下)の中間にあり、むしろ「中ボケの前期と後期とに区分」した方が「症状」も理解し易いのです。
MMSEの換算値が20点以上であれば、「集団の中での脳リハビリ」でも効果があるのに対して、20点を切ると手間暇コストの負担が相当に必要な「個別の脳リハビリ」でないと効果が期待できなくなるのです。20点以上と19点以下との間のたった1点の差なのに、脳のリハビリの実施に因る回復の可能性の程度という視点からは、ここに深い溝があるのです。「中ボケ」の脳の働きは、『6~4歳児』のレベルと考えて下さい。
※意識の覚醒度(意識状態)を左右する意欲、注意集中力と注意分配力が「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなります。左脳がらみの、言葉を介した論理的な思考、場合分け」(分析、洞察、推理、シミュレーション、検索)、計算或いは言葉に対する理解や分析力、更には、右脳がらみの色や形や時間や空間や場所等に対する認知度にも支障が出てきています。『アルツハイマー型認知症』の専門家とされる人達は、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の規定内容の重大な誤りに気づかないで居て、それに依拠している結果、「アルツハイマー型認知症」の様々な症状が「記憶の障害」が原因で起きてくるものとの短絡的な発想の下で、単に、誤解しているだけなのです。
正しい見方で言うと、『加齢』に起因した機能低下の進行という要因及び『第二の人生』を送る上でのナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、単調な日々の暮らし方)の継続に起因した廃用性の機能低下の進行という異なる二つの要因が同時に存在し、充足されることによる相乗効果に因り、『前頭葉』を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させて異常なレベルにまで衰えてきたことが直接の原因となって、状況の分析、理解、判断、行為や行動の計画、結果の洞察、推理、検索、シミュレーション、シミュレーション結果の比較と選択、決断、或いは抑制や感動等の機能が、「幼稚園児」の程度となる結果、『家庭生活面』でのトラブル(様々な支障)が起きてくるようになります。⇒『老化現象』としての症状であれば、『前頭葉』が正常な機能レベルにあることが不可欠の条件となるのです。
※『家庭生活面』での支障が起きてくるとは言え、食事、大小便、入浴等身の回りのこと(セルフ・ケア)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることは余り無いのです。家族も本人の年齢を考えて、老化現象と誤解し易いのです(年が年だから、こんなものと考え易い)。『中ボケ』の段階になると、食器の後片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできなくなります。「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「重度の記憶障害」の症状が出てきていないと、家族が病院に連れて行っても、『アルツハイマー型認知症』の発病とは診断されないのです。
(3) 『中ボケ』のイメージは、「家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんと出来ないのに、口先だけは一人前」、「言い訳ばかりしている幼稚園児」が特徴です。
⇒『前頭葉』の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、『小ボケ』には、自覚があります。「意欲もわかないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・・・」と感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。ところが『中ボケ』の段階になると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなります。
自分の状態に対する自覚がないので(自覚できていない)、不安も全く感じていないのです。逆に、家族が「こんなところが、おかしいと」指摘しても、「そんなことはないよ。私は、ボケてなんかいない」と言い張り、自分のおかしな行動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのが特徴なのです。⇒ 介護に従事してきた人達が、「大ボケ」の段階の症状が確認されるお年寄りに対して、『その人らしく生きてもらう…』とか、『本人のプライドを尊重して意見に耳を傾ける・・』とか言うことが多いのですが、「前頭葉」の機能レベルについての無知からくる『良い加減な発言』でしかないのです。

    

&6 「意識的な世界」を操る三頭立ての馬車の『御者』
(1) 意識的に何かの「テーマ」を実行する際の「前頭葉」機能の発揮度
意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、自発性、観察、分析、理解、考察、洞察、推理、推論、想像、判断、興味、関心、発想、連想、企画、計画、創意、工夫、予見、予測、シミュレーション、区別、比較、評価、修正、具象化、抽象化、整理、段取り、組み立て、機転、抑制、感動及び決断等、『前頭葉』の機能を構成している各種の高度な個別の認知機能群(『実行機能』と総称される=Executive Function)を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠なのです。認知度が一定レベル以下だと、例示した『実行機能』の各種個別の認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした個別の認知機能(実行機能)による「認知度」の高さ或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という『前頭葉の三本柱』の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とが共に、「三本柱」の機能の発揮レベルとリンクしている)。私たちが『前頭葉の三本柱』の機能と名付けている「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が、「三頭立ての馬車」の『御者』の役割(脳全体の司令塔の役割)を担っている『前頭葉』の構成要素の一角をなしている「個別の認知機能」による認知度及び機能の発揮度を左右し、下支えする働きを担っていて、個別の認知機能を十分に発揮するに際しての『二重構造の関係』が存在していることを、「二段階方式」を活用して集積した「脳機能データ」の解析によって、世界で初めて見つけ出したのです。
(2) 意識的な行為の世界と「実行機能」の働き具合を左右する『二重構造の仕組み』
 『前頭葉』を構築/監視/管理/支配/統合機能として、相互の有機的な連携の下に「左脳」や「右脳」や「運動の脳」も参加して、「前頭葉」を含む脳全体で何をどのように実行するのかを組み立てるには(自分が置かれているその状況を自主的に判断し、判断に沿って実行すべき「テーマ」をいくつか発想し、その中から1つを選択し、その実行内容及び実行の程度と態様とを組み立てるには)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」と「注意の集中力」の機能の継続的な発揮が不可欠になるのです。自分が現在置かれている状況と環境の判断をベースとして、様々な状況の変化を予測して考慮しつつ、いく通りかのケース・シミュレーションを経た上で最終的な実行内容及び実行の程度と態様とを選択して決定し、最終的に実行に移すには、必要な機能レベルでの「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能の継続的な発揮が不可欠となるのです。 『第二の人生』を送っている「お年寄り」の日々の生活にとって、自分なりのテーマも目標もない、『注意の分配力』の機能の出番が少ない(使い方が不十分な)生活習慣が継続することに因り、廃用性の機能低下が進行していくことに、注意が不可欠となることを指摘しておきたいのです。
発病の原因が不明とされている『アルツハイマー型認知症』の発病及び症状重症化のメカニズムを解明するには、状況の判断、テーマの発想、実行内容の企画や計画、行動や行為や言動のシミュレーション及び実行内容の比較と選択、最終的な実行の決断等を意識的に行う上で不可欠の脳機能である『前頭葉』を含む脳全体の機能レベル、就中、「前頭葉の三本柱」の機能の(一定の機能レベルの下での)働き具合(機能の発揮度)の影響要因の判定が不可欠となるのであり、それらの機能の働き具合を精緻に判定出来る『手技』の適用が不可欠となるのです。左脳を介した言葉によるコミュニケーションで言えば、相手の話の内容を理解しつつ、自分の考えを構想し整理するには、「前頭葉」の三本柱の機能の中核をなす『注意の分配力』の機能(異なる複数の「テーマ」を、同時に並行して選択的に処理/実行する為に不可欠の機能)が、正常なレベルで機能していることが不可欠となるのであり、認知症の症状が進み、言葉によるコミュニケーションに支障が出てくるのはその為なのです。『アルツハイマー型認知症』の症状の発現の根本原因は、『前頭葉』を含む脳全体の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因ることの理解が不可欠となるのです。
(3)「前頭葉」の機能の構成要素である「個別の認知機能群=実行機能」によるその認知度及び機能の発揮度を左右し、下支えする働きを担っていて、個別の認知機能を発揮するに際しての『二重構造』(「前頭葉」の三本柱の機能の機能レベル/発揮度が個別の認知機能の発揮度及び認知度を左右する構造)が存在していることの理解が、「アルツハイマー型認知症」の症状の発現及び症状の重症化の直接の原因が、器質的なものでなくて、機能的な変化に在ることを理解する上で不可欠となるのです。
 
&7 私たちの眼前に同時存在するのは、多重で多層な『意識(意識状態)』の世界
(1) 私たち人間だけに特有な『意識(意識状態)』とは
お風呂に身を沈めて、ゆったりと朝の入浴を楽しみながら、この庭の景色をぼんやりと眺めているのです。その時、上の庭の全体像を私の目が捉えているのです。その全体像を一つの視野に入れた時、複数の様々な覚醒レベルでの「意識」と言うか、或いは意識とは二次元的な性質のものではなくて、三次元むしろ四次元的な意識状態と言うべきものであり、その「意識度」(個々の意識の覚醒の度合い)が異なる意識の世界が、複数存在していることに気づいていただきたいのです。「主題」となって意識されていない世界も、意識度は「主題」のそれよりは低いものの、別の意識の世界として、複数の意識の一つとして、存在しているのです。どれほどの過酷な修行をこなしてきた一流の修験者であろうとも、『単一の意識の世界』を意識的に体験することは、極めて困難なことなのです。私たち人間だけに特有な脳機能である『注意の分配力』の機能は、常に/通常の世界では必ず、『複数の意識を構築している』からなのです。即ち、『意識』が覚醒された状態下では、「意識の覚醒度」の差異に関わらず、多層で多重の『意識の世界』が存在していると考えられるのです。
(2)「主題」となる対象を庭の右奥のブーゲンビリアの木から、庭の中央に据え付けられているピザ窯に移したとき、主題こそ変わろうとも、同じように視野の中に捉えられている「意識度」が主題よりも低い『複数の別の意識の世界』が、そこに、存在しているのです。私たちの意識の世界は、基本的には、このような「複数の意識の世界の同時存在」と言う形で構成されているのです。それを可能にしている脳機能が、今日のテーマである、『注意の分配力』の機能と言うことなのです。思考することであれ、言動であれ、或いは行動であれ、意識的に行われるそれらの世界は、この『注意の分配力』の機能なしには存在し得ないのです。私が語っている、こうした『意識』の世界とそれを可能にしている『注意の分配力』の機能の働きについては、日本はおろか、世界中の哲学者も心理学者も脳科学者の誰一人として問題提起したことは無い、世界初の話なのです。この先、脳全体の司令塔の役割を担いながら、専門家達による研究が遅れていて、未知の領域に近い、『前頭葉』と言う機能の働きやそのメカニズムが明らかになるにつれて、今日の私の問題提起と説明が注目されることになるのです。私たちの意識的な世界と「前頭葉」の機能、就中、『注意の分配力』の機能(異なる複数のテーマを、同時に並行して、選択的に処理/実行する為に不可欠の機能)とは、切っても切れない関係にあるのですから。
私がこのテーマを今日持ち出すのは、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを理解する(解明する)上で、早期診断による回復(治療)の方法を開発する上で、或いは発病自体を予防する方法を開発する上で、「前頭葉」の機能、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能から構成される『前頭葉』の三本柱の機能の機能構造の理解が、必要不可欠のものだからなのです。
アミロイド・ベータを注入したアミロイド・マウスも、アミロイド・ベータを吸収させたアミロイド・米も、iPS細胞も、『アルツハイマー型認知症』の発病のメカニズム及び症状の重症化が進行する機序の解明に、とりわけ、「アルツハイマー型認知症」の治療薬/予防薬の開発に無関係だということを指摘しておきたいのです。何故なら、それらの説(仮説)が主張の根拠にしている、アミロイド・ベータの蓄積に因る老人斑の生成と『アルツハイマー型認知症』の発病との間には、何等の「因果関係」が存在しないからなのです。『アルツハイマー型認知症』の様々な症状は、『前頭葉』を含む脳全体の機能の器質的な変化が原因なのではなくて、機能的な変化、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が直接/唯一無二の原因で発現してくるものだからなのです。この極めて重要な要因が、世界中の専門家達に見落とされているのです。解剖所見に基づく誤解が、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムの解明の妨げとなり、逆に、その「誤解」に基づく研究方法への「拘泥」が迷路へと追い込み、彷徨いさせているということを指摘しておきたいのです。
(3)『アルツハイマー型認知症』と言うタイプの認知症は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の単なる『生活習慣病』(「第二の人生」を送る上での「脳の使い方」としての「生活習慣」に起因する病気)に過ぎないのであり、早期診断(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階で発病に気付いて、「脳のリハビリ」を実践させること)により回復させることが出来るし(治すことが出来る)、発病自体を予防することが出来る(脳の使い方としての「生活習慣」の改善と工夫に基づく、「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる生活の実践が不可欠の条件)病気なのです。⇒ 様々な程度及び態様により発現してくる『アルツハイマー型認知症』の段階的な症状は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される症状が発現してくるものなのです。このことを機能構造面からの視点で言うと、前頭葉の三本柱の機能及び実行機能の両者について、『加齢』に起因した機能低下とナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因した廃用性の機能低下という両要因が同時に存在し、充足される相乗効果により、『前頭葉』を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていき、異常な機能レベルに低下して行くことが直接の原因で、両者の総合的な機能レベルのアウトプットそれ自体が、『アルツハイマー型認知症』の症状として発現してくるものなのです(『二段階方式』独自の考え方としての主張=世界初の見解)。
世界中の権威のある人達や組織、学者や研究者や医師達は、「DSM-4」の規定に惑わされ、『アルツハイマー型認知症』の中核症状が「記憶の障害」(第一の要件として規定されている)であると誤解して、第二の要件が規定し確認を要求している失語、失認、又は失行と言った極めて重い症状(私たちが末期の段階として規定する「重度認知症」の段階でも、更にその後半の段階、30点が満点のMMSEの得点が一桁にならないと発現してくることが無い極めて重度の症状)が発現してきていないと、『アルツハイマー型認知症』の発病とは考えないのです。余りにも遅い段階、極めて重度の症状の確認に基ずいた発病の診断である為に、本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけて、「脳のリハビリ」を施せば治すことが出来るタイプの認知症であるにも拘わらず、治すことが出来ない病気にされているのです。
(4) 脳の使い方としての「生活習慣」、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」の継続こそが、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状進行(重症化の進行)の真の原因なのです。猶、ここで私たちが言う「単調な生活」の継続とは、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(生活習慣)のことなのであり、こうした「生活習慣」こそが、発病及び重症化の真犯人なのです。
それ故、廃用性症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」であるという本質から(発病のメカニズム)、症状の進行を遅らせる効能を有する薬も、治療の効能を有する薬も、発病自体を予防する効能を有する薬も、未来永劫開発されることは有り得ないことなのだということを指摘し、強調しておきたいのです。脳の使い方としての「生活習慣」の改善と工夫こそ、発病を予防する唯一無二の方法なのであり、『脳のリハビリ』の実践こそが、症状の進行を抑制し及び症状を改善させる唯一無二の方法となるのです。人間だけに特有な『意識』の機能構造が発病に関わる主たる要因である為、薬が開発されることは、有り得ないのです。
※ アミロイドベータの蓄積により生成される老人斑が持つ毒性により情報を連絡する神経細胞の大量死が持たらされることが原因で記憶障害が起きてくることに因り『アルツハイマー型認知症』の症状が発現するとする『仮説』であるアミロイドベータ説は世界的には支持者が急減した仮説であるにも拘らず、我が国だけ、アミロイド・マウスとか アミロイド・米とか、肝心の因果関係の立証が為されない儘に、意味不明の材料とデータを基礎にして、意味不明の主張が有力視されて(アミロイドベータ説は、東大、京大及び理化学研究所が牙城となっている)、税金と人材と時間とが無駄に使用されているのです。「マウス」の行動を研究材料にしてみたり、iPS細胞の活用による治療薬/予防薬の開発への挑戦等、私たち人間だけに特有な機能である『意識』の機能構造についての無知からくる奇妙奇天烈な主張/試みというしかないのです。⇒ 今日現在でさえ、長期記憶、短期記憶のメカニズム及びその差異を含む、人間の脳の記憶のメカニズムについて、世界的に解明できていないにも拘らず、「記憶障害」がアルツハイマー型認知症の原因と主張しているのが、「4つの仮説」なのです(「記憶」に関する仮説の上に、「記憶障害」という仮説を乗せた、屋上屋を架した憶測だらけの主張)。
アミロイドベータの蓄積による老人斑の出現(タウ蛋白の蓄積による神経原線維変化の出現)は、共に、「アルツハイマー型認知症」の症状の発現の原因ではなくて、発病の結果としての単なる副産物に過ぎないのです。肝心要の因果関係の立証がなされないままで居る単なる「仮説」であるにも拘らず、アミロイドベータを脳内から早期に除去することに因り、『アルツハイマー型認知症』の発病の予防が出来るなど言わないで欲しいのです(単なる「憶測の類」に過ぎない)。我が国で権威がある機関の主張/試みであるがゆえに、有力な主張/試みであるかのような誤解を世間に与えているのです。

&8 『アルツハイマー型認知症』の症状と意識の機能構造を含む『脳全体の機能レベル』
生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する「生活習慣」の下では、左脳も右脳も運動の脳も、全てが正常な機能レベルに在ろうとも、脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の働きが異常なレベルに衰えてくると、『前頭葉』の機能障害としての症状、言い換えると、発病の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の様々な症状が発現してくるのです。「アルツハイマー型認知症」は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される「段階的な症状」が発現してくるのが特徴なのです。皆さんは想像できないと思うのですが、そのことに、世界中の専門家で/権威あるとされる人達(機関も含め)が、未だに気づいていないのです。何時になったら、気づいてくれるのでしょうか。
「小ボケ」の症状が発現してきていても、それを認知症の症状だとは気づかないで、「不活発病」などと訳の分からない名前を付けるだけで放置して、それまで続いていたナイナイ尽くしの単調な生活習慣を継続させたままで居ると、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の更なる加速度的で異常な機能低下を進行させていくこととなり、私たちの区分で言うところの「中ボケ」の段階に入っていくことになります。
 『中ボケ』の段階になると、『前頭葉』の働き具合が「小ボケ」の段階のときよりも更に異常なレベルにまで衰えてきている上に、「小ボケ」の段階では、未だ正常な機能レベルにあった左脳や右脳の機能までもが異常なレベルに衰えてきているのです。『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルがそこまで衰えてくると、「小ボケ」の段階の症状(社会生活面に支障)よりも更に進んだ重い症状(家庭生活面にも支障)を発現するようになるのです。
以前にもこのブログ中で説明したことなのですが、「記憶の障害」の症状が発現してくるのは、「中ボケ」の段階からなのですが、「中ボケ」の段階(更には「大ボケ」の段階)での『記憶の障害』の症状(記憶の障害に起因した症状を含む)とみられている症状の根幹にあるのは、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続する状況下で、異常なレベルに機能が衰えてしまった『前頭葉』の働き具合【『前頭葉』の三本柱の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が異常なレベルに衰えてきたことを基礎要因(第一次的要因)とした『実行機能』(分析、理解、発想、企画、計画、洞察、推理、シミュレーション、比較、選択、決定、決断、抑制、感動等の諸機能)の発揮度が異常なレベルに低下してきたこと(第二次的要因)】に起因して、関係する脳機能が異常なレベルに機能低下を進行させてきたことを直接の原因として発現する(前頭葉を含む脳全体の機能低下のレベルを直接に反映した重症度区分に因る症状の発現が確認される)のです。このことを理解しておくことが、『アルツハイマー型認知症』の症状の発現及び症状の重症化が進行して行くメカニズム並びにその本質を正しく理解する上で極めて重要なことなのです。『アルツハイマー型認知症』の全ての症状は、「覚えていない」というだけの「単純なメカニズム」により発現してきている訳ではないのです。『意識』の機能構造の深い理解が、必要不可欠となるのです。⇒『アルツハイマー型認知症』の症状発現の一態様である 『記憶障害』(の症状)自体が、『前頭葉』の三本柱の機能及び『実行機能』の機能について起きてくる①「加齢」に起因した機能低下の進行及び②ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下の進行という要因、『両機能の機能障害』という要因に直接起因して発現してくるのです。

&9『中ボケ』の段階で発現する症状について、脳の機能面からの分析と理解が必要

(1)『中ボケ』の段階になると、脳の機能としては、『前頭葉の三本柱』の機能である『意欲』、『注意の集中力』及び『注意の分配力』の機能が『小ボケ』の段階よりも更に加速度的に異常なレベルに機能低下が進行してきたことによる『実行機能』(「前頭葉」の各種個別認知機能群=Executive Function)の発揮度の低下に加えて、左脳や、右脳も異常なレベルに衰えてきているのです。『中ボケの段階の症状』は、そのトータルの脳機能レベルのアウトプットとしての症状(『アルツハイマー型認知症』としての症状)を示しているのです。
『アルツハイマー型認知症』の発病としての診断の為の要件として、「記憶障害」の確認を第一の要件とし、「失語、失認又は失行」の症状の確認を第二の要件と規定している『DSM-4』の規定内容には、根本的な理解の誤りと定義上の誤りとがあることに、世界中の『アルツハイマー型認知症』研究/診断に関わる専門家達が早く気づいて欲しいと願うのです。
(2)『4つの仮説』の主張者及びその支持者を含む世界中の専門家達は、「記憶の障害」の症状とみられる症状を含む『アルツハイマー型認知症』の諸症状が発現する根底にあるのが、『前頭葉』を含む「脳全体の機能レベル」に厳密にリンクして発現すると言う要因であることを見落としているのです。
『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの直接のアウトプットとして私たちが「二段階方式」を駆使して類型化した「中ボケ」の症状を例にとりながら、以下に説明したいと思います。こうした症状は、単なる記憶障害の症状と言うのではなくて、且つそれ以前に、『前頭葉』の機能が「小ボケ」の段階のそれよりも更に異常なレベルに衰えてきていることが直接の原因となっていることに視点を移すべきなのです。自分が置かれている状況の分析と理解と判断、状況判断に沿った「実行テーマ」の発想、テーマを実行するための計画、計画の構成内容の構想、展開の結果を見通す力、実行した場合の結果のシミュレーション、シミュレーションの結果に基づく比較、選択、修正、更には、実行の決断、或いは、抑制、感動等、『前頭葉』の各種個別認知機能(実行機能)自体が、「小ボケ」の段階時よりも、廃用性の加速度的で異常な機能低下が更に進行した結果としての『中ボケ」の段階の症状の発現として顕現しているのです。「記憶の障害」という憶測と推測だけに基づいた誤った要因に拘泥するのではなく、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状が発現してくることに注意を向けるべきなのです。「小ボケ」の段階で確認される典型的で類型的な症状、「中ボケ」の段階で確認される典型的で類型的な症状、「大ボケ」の段階で確認される典型的で類型的な症状について、『視点』を変えてみることに因り、正しい理解が得られると思うのです。
「DSM-4」の規定が『アルツハイマー型認知症』の診断基準としての「第一の要件」に「記憶の障害」の要件を挙げていて、その確認を要求している為に、認知症の診断の医療現場では、『前頭葉』を含む脳の機能レベルを判定していない(判定できていない)だけでなく、発現する症状を単に外観面だけから観察して、それらの症状が「記憶の障害」の症状(或いは、記憶の障害に起因した症状)だと早とちり(或いは、勘違い)しているのです。
(3) 以下、『中ボケ』の段階で発現してくる症状の発現のメカニズムについて、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルと言う『物差し』を判断材料にして、具体的に解説します。
☆ 『何度教えても「日付け」があいまいになる』
「二段階方式」を活用して私たちが集積した“MMSE 下位項目の項目困難度”のデータによると、『時の見当識』の項目については、日、年、月、季節、昼夜の順番に見当識が衰えていく(正解できなくなっていく)のです。これは、単に思い出せない順番なのではなくて、思い出すことが難しい順番がそうなのだということなのです⦅4点には、小ボケの後期と中ボケの初期が混在する)。
※そこで、思い出すことが難しい順番の原因とは、一体何なのかを以下に考えてみました。
「今日は何日?」と問われた時、あなたはどのようにして今日の日にちを思い出そうとしますか?日は毎日変化するので、第二の人生を暮しているお年寄りにとって、自分に関わる何か特別な出来事とか行事とかで無いと、今日が何日かを思い出せないものなのです。「12日」が、木曜日で太極拳がある日だとすると、それを起点にして「今日は、13日だ」ということにたどり着けるのですが、来る日も来る日も判で押したように単調な毎日だと、日にちが生活上の特別な意味を持たなくなり、「記銘」されにくいので「想起」できないのです。昨日は木曜日で、習い事の太極拳があって、その時お友達と、「明日は13日の金曜日ね、何か嫌なことが起きないと良いけどねって」話したから、今日は、13日よねと言う風に、生活上の出来事をきっかけにして日にちを思い出すことが出来るものなのです。但し、この作業には正常な機能レベルを有する強力な『前頭葉』の働きが必要となるのです。「今日の日にち」にたどり着くには、あれこれと手掛かりになりそうな出来事の記憶をたどっていくのに、意欲、注意の集中力及び(就中)注意の分配力(洞察、推理、検索、比較、シミュレーションする働き)の機能の継続的な発揮が不可欠となるからです。
『前頭葉』が異常なレベルに衰えてくると、何かの出来事や行事を手掛かりとして、「日にち」にたどり着くことが出来なくなってしまうのです。単に、「覚えているかいないか」と言うのではなくて、この作業ができる脳の機能レベル(「前頭葉」の働き具合)が正常な機能レベルに保持(維持)されているか否かが分岐点となるのです。「日にち」にたどり着くことがどうしても出来なくなっているとき、その脳の機能レベルは、『中ボケ』のレベルに入ってきているのです(二段階方式の『MMSE下位項目の項目困難度』のデータが根拠)。
そして、「年と月」とでは、日常の生活上、年よりは月の方が使われる機会に接することが多いということなのです。そのため、月の方が「記銘度」が高くてたどり着き易いということなのです。従って、年、月、日については、たどり着きにくい順番(「想起」しにくい順番)が『日、年、月』の順番となるということなのです。
季節と昼夜の場合では、「今の季節が何時なのか」を考えるよりは、たどり着くための判断要素が少なくて簡単な「今が昼なのか夜なのか」を考える方が容易(要求される「前頭葉」を含む脳の機能レベルが低くて済む)と言うことになるのです。
今の季節が何なのか(春なのか、夏なのか、秋なのか、冬なのか)が分からない時、その人の脳はすでに末期の段階であって回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の機能レベルを示しているのです。「覚えているか、いないか」と言うことではないことに注意して欲しいのです。
☆ 『簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる)』
私たちの「二段階方式」で採用している「MMSE」では、計算の項目の様式が、長谷川式とは明確に異なっていて、「100引く7」の計算の項目については、『前頭葉』(就中、「注意の分配力」の機能)が関与した計算の仕方を要求しているのです。「100から7を引いて、次に、その答えからまた7を引いて、その答えから更に7を引くというのを繰り返す」ことを被験者自身の「前頭葉」を含む脳の働きに要求しているのです。つまり、長谷川式のような単純な引き算ではなく、「前頭葉」(就中、「注意の分配力」の機能)が関与した計算、言い換えると、『注意と計算』と言う作業を要求していることが極めて重要なのです。
その結果、『前頭葉』を含む脳の機能レベルが「中ボケ」の段階になって来ている人たちは、5点満点で1点の人達が大半を占めることになるのです。つまり、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが「中ボケ」のレベルに衰えてきている人達は、買い物に行った時、簡単な計算さえも(自分でする上で必要となるレベルの意欲も注意の集中力も注意の分配力も持ち合わせていないので)出来ないのです(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる結果になるのです)。こうした症状は、単なる「記憶障害」の症状(記憶障害に起因した症状)の問題ではないということに気づいていただきたいのです。このことを理解し易いのが、『大ボケ』の段階で出てくる症状である{「服を正しく着られなくて、ズボンを頭から被ったり、上着に足を通したりする」、「自宅に居ても落ち着かず、外に出て行きたがる」、「大小便を失敗しても、後の処置が出来ない」、「傷んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする」}と言った症状を観察してみれば(こういった行為や行動は、「3歳児以下」の幼児には、しばしば観察されるものでもあるのですが)、単なる記憶障害の症状(記憶障害に起因した症状)と考えることが間違いなのです。最も重要で、核心的な要因【大ボケの後半の段階の症状が発現して来る迄に、『注意の分配力』の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきていることが主たる原因で、殆ど機能していない状態に在ること】に、世界中の権威とされる人達が気が付いていない(見落としている)だけなのです。
☆『 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ』
私たちが『前頭葉の三本柱』の機能と名付けている、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能には、「加齢」と共にその働き具合が衰えていくという性質があります。私たちは、この性質を、「正常老化の性質」(加齢により機能低下が進行しても、加齢という要因だけでは、異常なレベルにまでは機能レベルが低下して行かない性質のもの)と呼んでいます。
『アルツハイマー型認知症』は、廃用性症候群に属する老化廃用型の単なる「生活習慣病」なのです。『第二の人生』を送る60歳を超えた年齢の『高齢者』が、何かを『キッカケ』として(「キッカケ」に特定の類型はなく、意欲を喪失し、何事にも挑戦しようとしなくなる出来事や状況の継続のこと)、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』が継続されていると、(60歳を超える年齢の「高齢者」である場合は、20歳代の初期に確認される最盛期の半分以下のレベルにまで衰えてきた)『加齢』という要因による前頭葉機能の低下及びナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続という要因による前頭葉機能の廃用性の機能低下という異なる二つの要因が同時に存在し、充足されることに因る『相乗効果』により、『前頭葉』を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていく結果、『アルツハイマー型認知症』と言うタイプの認知症を発病することになるというのが私たち二段階方式の主張なのです。
発病して最初の段階が「小ボケ」の段階であり、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が継続されていると、「前頭葉」を含む脳全体の機能が更なる機能低下を加速させていき、「中ボケ」の段階に入っていくことになるのです。「前頭葉」を含む脳全体の機能が、『中ボケ』の段階にまで衰えてきているとすると、『記銘』する機能自体が極めて低いレベルにしかないことになるのです。⇒そもそも記憶は、「記銘」したものを「保持」して、それを「想起」してくる経路をたどります。「はっきりと記憶している」とか「すっかり忘れてしまった」とかいうことは、どの程度に記銘され、保持されていて、想起されたのかという、個々の要素の機能レベルが相乗的に影響している(個々の要素の相乗効果による)と私たちは考えています。中でも、『記銘』するときの記銘の度合い(「記銘度」)が最も重要だと考えています。海馬に集められた認知内容の情報を記銘するとき、(記銘度が高いもの)であったなら、その記銘度に応じて「長期」に保存されるし、(記銘度が低いもの)であったなら、その記銘度に応じて「短期」にしか保存されないと考えるのです。従って、「記銘」する(覚える)ときの「記銘度」が高い(よく記銘される)情報は、よく「保持」され、よく「想起」される(思い出される)のです。このことは、「記銘」した5分後に「想起」できる程度をチェックしてみれば、直ぐに分かります。「記銘度」が高い情報ほど、想起することが容易なので、よく「記銘」された(「記銘度」が高い)情報は、長期に記憶されるのです。
更には、保持/想起されやすいか否かを左右している『記銘度』は、「記銘」するときの状況(「前頭葉の三本柱」の機能の働きの度合い)に直接左右されます。記憶の対象となる認知情報を記銘する時、「意欲」が強く作用する内容であり、「注意の集中力」が深く作用する内容であり、「注意の分配力」(いくつかの異なったテーマを同時並行して処理する機能のこと)が大きく作用する内容であれば、「記銘度」が高くなるので、長期に保存され、想起しやすく、結果的に「長期記憶」となるのです。逆の場合は、記銘度が低くなるので、短期にしか保存されず、想起しにくく、結果的に「短期記憶」となるのです。もちろん、繰り返し海馬に送り込まれた同じような内容は、繰り返された回数が多いほど「記銘度」が高くなるので、其の分、より長期に記憶されることになるということなのです。
※私たちのデータによれば、MMSEの下位項目中、『想起』の機能が最も早く加齢により衰えていく項目なのです。「記銘」自体が「意欲」、「注意の集中力」、「注意の分配力」という「前頭葉の三本柱」の働き具合に直接的に大きな影響を受けるからです。
そして、「前頭葉の三本柱」の各々の機能もまた、上述したように「加齢と共に衰えていく」と言う性質を持っているのです。その為、年をとるにつれて、「覚える」こと(記銘)自体が難しくなっていき、「思い出す」こと(想起)も難しくなっていくのです。そうした正常老化の機能低下の進行下で見られる低下要因に加えて、加重要因であるナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因した廃用性の機能低下が「中ボケ」の段階にまで進んできた結果としての、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの直接のアウトプットそれ自体が、此処に取り上げたような「症状」の発現となっているものと私たちは考えているのです。
☆ 『家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の整理、食後の片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)』
説明するまでもなく、これは、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接のアウトプットとしての症状そのものなのです。これを「記憶障害」の症状だと勘違いするような人は、認知症の専門家とされる人達の中には居ないはずと思うのですが。
☆ 『お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している』
如何にも「記憶障害」の症状のように見えますが、実は、こうした症状が発現してくる真の原因は、『時の見当識』のところで説明した構造と前述した「ガスや電気の消し忘れ・・・」のところで説明した構造とが重複した原因構造と考えられる問題、症状の発現なのです。
☆ 『自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない』
これもまた、「記憶障害」が中核の症状ではないのです。薬を飲むこと自体/或いは飲み方を忘れているという以前に、「中ボケ」の機能レベルにまで衰えてしまった『前頭葉』の機能レベル(就中、注意の分配力の機能の低下及び実行機能の機能低下)の問題が中核の症状なのです。「物忘れ、反省と工夫が効けば、年のせい」と言うようなレベルの話では、もはやないのです。 『朝食の前後、夕食の前後、或いは、就寝前などの区分に因り、何回かに分けて、どんな種類の薬をどれだけの数毎に飲むことの目的も、意味も、内容の理解自体もが不十分/不正確/不適格な『前頭葉を含む脳全体の機能レベル』の下で、服薬管理を自分がしているという状況なのです。『記憶障害』で片付けられる問題ではないのです。
☆ 『服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る。裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着る)』
上述したケースと同じように、『服の着方を忘れた』ということではないのです。『前頭葉』を含む脳全体の機能(就中、『注意の分配力』の機能)自体が、服を着ることの意味や目的や状況や場面を理解できないレベルにまで、衰えてきているということの反映なのです。

これら『中ボケ』の段階で発現してきている症状は全て、第一次的には異常なレベルに機能が低下した『前頭葉の三本柱』の機能障害が及び第二次的には異常なレベルに機能が低下した『実行機能』の機能障害が並びに第三次的には異常なレベルに機能が低下した「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の機能障害が、相互に影響しつつ、且つ、相乗効果的に影響して、発現してきているものなのです。

意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、判断、批判、想像、理解、了解、興味、関心、執着、発想、連想、空想、妄想、企画、計画、創意、工夫、予測、具象化、抽象化、シミュレーション、予見、比較、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び決断等の機能からなる『前頭葉』の個別認知機能(実行機能=Executive  Function )が正常なレベルで機能していることが不可欠なのです。『小ボケ』を通り越して、更に、『中ボケ』の段階にまで『前頭葉』を含む脳全体の機能が異常な機能レベルにまで衰えてきていることの「直接の反映」が、『中ボケ』の段階の症状として発現してきていることに認知症の専門家とされる人達が早く気づくべきなのです。単に、『加齢』に起因した機能低下の進行という要因だけを原因とするものであり、正常な機能レベルに在る『前頭葉の三本柱』の機能低下を要因とした『記憶障害』の症状とか、単なる『老化現象』という訳のものではないことを知るべきなのです。私たち『二段階方式』が提起する諸問題に、世界中の専門家達が早く気付いて欲しいと切に願うのです。左脳が専管する仕事とは無縁の日々の暮らし方となる『第二の人生』における脳の使い方としての生活習慣こそが、発病するか/しないかを区分けている核心的で/唯一の/真の要因なのです。

 本著作物「Eー07」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。 エイジングライフ研究所 (ホームページ) 

 

 

 

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