認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の症状と軽度認知障害という判定基準 (B-67)

2016-09-15 | 記憶障害は発病の原因ではなくて結果

    本を書く 猫も杓子も 認知症

    読めば読むほど 泥沼に落ち bY  KINUKOTOTADAO   

 

& 「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

生来的にその人に存在した「遺伝子の異常」が原因で、30歳代から50歳代までの若い年齢の人達のみを対象として発病し、極めて短期間に症状が急速に進行していく若年性の「アルツハイマー病」とは異なり、脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちが意識的に何かをしようとする際になくてはならない働きをしている「前頭葉」を含む脳全体の機能が、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」の継続、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の下で、使われる機会が極端に減ったことに起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により【情報を伝達する神経細胞が、器質的な病態を発現してくること又は廃用性の萎縮を起こすことにより、「記憶機能」が低下することが発病の原因なのではなくて、使われる機会が極端に少ない生活習慣の下で神経細胞の再生が弱まり、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能からなる「前頭葉」の三本柱の機能を中核として、各種の認知機能自体が廃用性の機能低下を起こしてくることが発病の原因であると私たちは考えているのです】、60歳を超える年齢の「高齢者」のみを対象として発病する老年性の「アルツハイマー型認知症」は、症状が何年もかけて、徐々に段階的に緩やかに進んでいくのが特徴なのです。

その最初の段階が、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階なのです。なお、どこかのテレビ局の報道番組で、『30歳代から50歳代という働き盛りの若い年齢の人達の間で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人が増えてきている』と題する番組がありますが、「アルツハイマー型認知症」のことが分かっていない、誤った内容なのです。新しい記憶が入ってこない重度の「記憶障害」の症状の発現を特徴とする「側頭葉性健忘症」を代表として、「緩徐進行性失語」や「緩徐進行性失行」や「うつ病」といった「アルツハイマー型認知症」と紛らわしい病気と混同しているだけなのです。

「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルにある条件の下で認知症の症状が発現してくるのが「アルツハイマー型認知症」であるのに対して、混同されているそれらの病気の場合には、「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルにある条件の下で重度の記憶障害その他の症状が発現してくるのが特徴なのです。両者を区分け、鑑別する指標が「前頭葉」の機能レベルが正常であるか、異常であるかだということを知らないので、或は、鑑別に必要な「前頭葉」の機能レベルを判定する為の手技を持たない学者や医師達の誤った見解の受け売りの報道に過ぎないのです。

   

& 回復の可能性の視点から区分する「三段階の症状」

○ 「アルツハイマー型認知症」の症状の三段階

発病の原因が分からないし、治すことが出来ないと言われている「アルツハイマー型認知症」の本質は、廃用症候群に属する単なる生活習慣病(情報を伝達する役目の神経細胞に生じた器質的な病態が発病の原因なのではなくて、日常の生活面で使われる機会が極端に少ないことに起因して、単に、廃用性の機能低下により「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが異常なレベルに衰えてきている事のアウトプットとしての認知症の症状の発現)に過ぎないので、「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳全体の活性化が目的となる)を実践して、脳の使い方としての「生活習慣」を改善させることにより「治すことが出来る」ものなのです(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに改善させることが出来る)。

「脳のリハビリ」(脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」の機能を活性化させる脳の使い方としての「生活習慣」の改善)により「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに回復させることが容易な「小ボケ」の段階が最初にあって、次いで、回復させることが未だ可能な「中ボケ」の段階があって、最後に、末期の段階であり回復させることが困難な「大ボケ」の段階があるのにそのことに、世の中に溢れかえる程の数がいる「アルツハイマー型認知症」の専門家とか称している学者や研究者や医師達が全くのこと無知なのです。回復の可能性と言う意味で、正常なレベルに回復させることを主たる目的とした「小ボケ」及び「中ボケ」の段階にあるお年寄りの「家族介護」は意味があると考えるのですが、回復させることが困難な「大ボケ」の段階にあるお年寄りの介護を目的とする「家族介護」は政策としては誤りであり、制度化すべきものではないのです。
認知症の専門家とされる人達は、「アルツハイマー型認知症」は治すことが出来ないものと誤解しているので(根本的で、且つ重大な誤り。末期の段階である「大ボケ」の段階のことしか知らない上に、「脳のリハビリ」により「小ボケ」や「中ボケ」の段階のお年寄りを正常な機能レベルに回復させた経験が無い人達なのです)、私たちのような区分はしていません。ボケてるかいないかだけにしか関心がないのです。然も、彼らが「ボケているお年寄り」というのは、末期の段階の更に後半になってしか発現が確認できない極めて重い症状である「失語、失認又は失行等の症状」の確認が為されているお年寄りという条件がつけられているのです。

とは言え、  昨日まで正常だったお年寄りが、一晩寝たら、突然自分の家が分からなくなったり、同居している孫娘の顔も分からなくなったり、シャツを自分で着られなくなったりはしないのです。「アルツハイマー型認知症」はその本質が廃用性の機能低下であるが故に、高度な機能から順番に徐々に衰えていくという条件下での「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウト・プットとしての症状が発現してくるものなので、何年もかけて緩やかにしか症状が進行していかない(重症化していかない)ことが特徴でもあるのです。私たちの区分にみるように、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」という極めて幅が広い「三段階の症状」があるのです。その中でも、「大ボケ」の段階の症状の幅が特に広く、期間も長いのです。

症状の各段階の期間の目安

自分なりの「テーマ」についての自分なりの「目標」があり、自分なりの生き甲斐や喜びを覚えることが時にはある「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢のお年寄りに、或る日突然、それまでのイキイキした生活を維持していくことが困難と当の本人が考えざるを得ないような「重大な出来事」の発生や「著しい生活環境」の変化に直面することになるのです。そうした「キッカケ」の発生を契機にして、現況を打開すべく立ち向かっていき、這い上がって乗り越えていこうとする意欲を本人が喪失してしまい、「生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない」ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続するようになって、早くて半年から遅くても1年が経過すると、廃用症候群としての単なる「生活習慣病」(食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣であることに留意」)を本質とする「アルツハイマー型認知症」を発病することになります(「キッカケ」の類型については、ここを「クリック」してください)。「キッカケ」が発生してから「アルツハイマー型認知症」を発病するまでの期間が、早くて0.5年から遅くて1年かかります。「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「小ボケ」の期間が3年間あって、次の段階である「中ボケ」としての期間が2年間あり、最後に末期の段階である「大ボケ」の段階が始まり、他の何らかの病気が原因で死を迎えることになるその時まで続くのです。各段階毎の脳の機能レベルの推移(各段階の症状の期間の目安)については、(ここを「クリック」してください)。特に、「大ボケ」の段階の症状が発現してきてからは、その幅が極めて広い「大ボケ」の段階の症状という枠組みの中で、身体が持つ限り続くという「大ボケ」の期間の問題があり、更なる症状の進行がみられることとなります。そして、単なる廃用症候群である「アルツハイマー型認知症」が原因で死ぬと言う事態は起きてこないので、他の何らかの病気が原因で死を迎えることになる時まで、「アルツハイマー型認知症」としての症状の重症化が続いていくことになるのです。この命題についての危惧があるからこそ、私たちは、「大ボケ」の段階に在るお年寄りの「家族介護」の制度化と言う政策に反対しているのです。そうした視点からも、「東日本大震災」の被災地の「高齢者」の状況を、私たちはとても心配しているのです。「大ボケ」の段階のお年寄りの介護の費用(診断、投薬、介護の全てを含む)が増大し続けていて、介護保険制度の維持が心配なのであれば、開きっぱなしになっている蛇口を閉めてしまえばいいのです。2015年単年度で15兆円を超えてしまう天文学的な規模に達しているそれらの費用の総額に驚き慌てることは無いのです。画期的な解決方法があるのですから。発病自体の予防と早期診断による回復を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」を制度化する政策を実行し、日本全国の市町村の津々浦々で実践すれば良いだけのことなのです。あっという間に、それらの費用は、天文学的ともいえる大規模な規模での減少に向かうことになるはずなのですから。

 

○『DSM-4』を診断基準にしていることの問題点
「軽度認知症」(「小ボケ」)の次の段階を私たちは、「中等度認知症」(「中ボケ」)と呼んで、末期の段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階と区別しています。認知症の専門家達は、末期の段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階にならないと「アルツハイマー型認知症」の発病とは認めていません。米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の規定を疑うこともなく信望していて、それに依拠して診断している為に、「大ボケ」の段階の更に後半になってからでないと(満点が30点であるMMSEの得点が一桁にならないと)その発現が確認されることがない症状である「失語、失認又は失行」といった症状を確認出来ないと、「アルツハイマー型認知症」の発病とは診断しないからなのです。「小ボケ」の段階のお年寄りであれば、「脳のリハビリ」の実践により簡単に治すことが出来るのです。MMSEの得点が20点以上ある「中ボケ」の段階のお年寄りであれば、集団で(「中ボケ」の段階のお年寄りばかりを集めて、集団によるメニューを実践させるのでも)治すことが出来るのです。MMSEの得点が20点を切る(19点以下15点までのお年寄り)「中ボケ」の段階のお年寄りであれば、個別で(「中ボケ」の段階のお年寄り一人一人に、その人に見合った個別で特別のメニューを実践させることにより)治すことが未だ可能なのです。「大ボケ」の段階(MMSEの得点が14点以下0点まで)のレベルにまで「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えてきてしまうと、回復させる(治す)ことは、もはや困難となるのです。「DSM-4」の規定をむしろ「錦の御旗」に掲げて(いわば、奇禍として)、肝心の「前頭葉」の機能レベルの判定には役に立たないのに、「保険点数」が高いので極めて高額の診断費用が稼げるという理由で、CTやMRIや、果てはPETまで総動員して、治すことが困難な末期の段階で見つけて、おまけに効きもしない薬を、「アレが駄目ならコレ、コレが駄目ならアレ」と言う姿勢で何種類も処方して、売り上げを稼ぐことだけに腐心しているのが、医療現場の実態なのです。

2011年3月の「東日本大震災」の被災から6年の月日が経過して7年目に入る2017年の秋~冬頃になると(3月の被災から、0.5~1.0年経過後には「アルツハイマー型認知症」を発病しているはずなので)、症状の進行が速い人の場合には、そろそろ末期の段階である「大ボケ」の段階の人達が大量に出現してくることになるので、私たちは、被災地の60歳を超える年齢の「高齢者」達の状況に注目しているのです。ところが、上述したように、我が国の学会も医療の現場も、「DSM-4」の規定を金科玉条として尊重し、敬っているので、末期の段階である「大ボケ」の段階の症状が発現してきていても、気づかないで居て、見逃してしまうのではないかと危惧しているのです。「大ボケ」の段階に入ってきてはいても、「DSM-4」の規定が確認を要求している「失語や失認や失行の症状」が発現してくる迄には更に数年間という時間の経過が要求されることになるからなのです(失語や失認や失行の症状は、30点が満点であるMMSEの得点が一桁にならないと発現が確認できない極めて重度の症状なのです)。私たちの14689例にも及ぶ「脳機能データ」の解析により得られている「MMSE下位項目の項目困難度」の指標は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの衰えに起因して出来なくなっていく項目の厳密な順番を示しているのです。失語や失認や失行の症状が確認される人達の症状の程度がどれほどに重いものなのかを脳の機能面から示してくれているのです。

このことに関連して、ここで見過ごしてはならない事実としての基準があるのです。「軽度認知症」(小ボケ)の段階であれば、「脳のリハビリ」を実践させることにより「回復させることが容易」であり、「中等度認知症」(中ボケ)の段階であれば、「脳のリハビリ」を実践させることにより「回復させることが未だ可能」であるのに対し、「重度認知症」(大ボケ)の段階になると「回復させることは困難」になるということなのです。回復させることが困難な末期の段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)で、更には、「失語や失認や失行の症状」が出てきて「アルツハイマー型認知症」を見つけることに何の意味があるのかと言いたいのです。せめて、マスコミが速く気付いて欲しいと願うばかりなのです。激しく警鐘を打ち鳴らして、社会に問題提起し、「アルツハイマー型認知症」の「予防」と早期診断による「回復」を明確な目的とする住民参加型の「地域予防活動」の全国展開という「テーマ」を取り上げて、国民的な議論を展開して欲しいと願うばかりなのです。

   

 & 「アルツハイマー型認知症」の症状とその分類(区分)の仕方

認知症の専門家とされる人達の間で流行しているのが、「アルツハイマー型認知症」の症状を、「中核症状」(脳の神経細胞の障害により起こる症状が「中核症状」とされている。発病者の全員にみられる症状であって、代表的なものが、数分前に起きたことさえも忘れてしまうことを特徴とする「記憶障害」の症状で、他には、筋道を立てた思考ができなくなる「判断力の低下」、時間や場所、家族の名前等が分からなくなる「見当識障害」、計画的な行動が出来なくなる「実行機能障害」等が挙げられている)と「周辺症状」(中核症状によって惹き起こされる症状のことを「周辺症状」と言い、発病者の一部の人達だけにみられる症状であって、異物を口にしたり、暴力的になったり、徘徊したりなどの「行動の問題」或いは、うつや不安感、無気力、幻覚、「物盗られ」妄想を含む妄想、不眠といった「心の内面の問題」が現れてくるとされています。なお、「周辺症状」は、性格や生活環境、人間関係などが複雑に絡み合って起きると説明されている)とに区分する考え方です。但し、この区分には、如何にも意味がありそうでいて実は何の意味もないので、ここでの詳細な説明は割愛します。

私たちが「二段階方式」の手技を活用して集積してきた14689例にも及ぶ生きた人間の精緻な「脳機能データ」の解析と日本全国に行き渡る440を超える数の市町村での「地域予防活動」の実践の成果に基づいて、私たちが主張している廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であることを本質とする「アルツハイマー型認知症」の場合には、廃用性のものであるが故に、最も高度な脳機能から順番に衰えて行くことが特徴であり、「前頭葉」を含む脳全体の機能の衰え方の内容と程度とに対応する形で様々な程度及び態様の症状が発現してくることに専門家達が気づいていないのです。「小ボケ」までの段階では、「前頭葉」だけが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていき、「中ボケ」以降では、「前頭葉」の機能が廃用性の加速度的で異常な更なる機能低下を進行させていく中で、同時進行的に、左脳、右脳、運動の脳の順番に廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくことに厳密に対応する形で、「アルツハイマー型認知症」の症状が重症化していくことが分かるのです。

 ○ MMSE下位項目の項目困難度という指標

第二の人生を送っている60歳を超えた年齢の「高齢者」が、何かの発生を「キッカケ」として、立ち向かって乗り越えていこうとする意欲を喪失してしまい、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない単調な生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことになり、その先に「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです。その最初の段階が「小ボケ」の段階であって、発病を見過ごして、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を相変わらず日々続けていると、次いで中ボケの段階に入っていくことになり、最後は末期の段階である「大ボケ」の段階に入っていくことになるのです。その場合に、「二段階方式」の活用により「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを判定すると、MMSEの下位項目に明確な順序、衰えていく項目に厳密な順番があることが分かるのです。認知症の専門家とされながらその人達は、MMSEで判定されるその「下位項目」について、明確で厳密な機能低下の順番があることに気づいていないのです(極めて重要なノウハウなので、ここでは開示出来ません:この指標は、「アルツハイマー型認知症と他の種類の認知症との鑑別及び認知症と紛らわしい病気との鑑別の上で、極めて重要な役割を果たしてくれるものなのです)。

「アルツハイマー型認知症」に特有な認知症の症状の類型

以下に、私たちの区分である「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の順に各々の段階に「特有な症状」をまとめて順番に並べて表示します。

「アルツハイマー型認知症」の症状(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状、言い換えると、廃用性の機能低下により、働き具合が高度な脳機能から順次衰えてくる性質の症状)の進行具合が、明確に読み取れることと思います。「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の衰えに起因した「前頭葉」の個別認知機能だけが異常なレベルに衰えているそのアウト・プットとしての「小ボケ」の段階に始まり、「中ボケ」の段階以降は、「前頭葉」機能の加速度的で異常な機能低下の更なる進行と同時進行的に、左脳、右脳、運動の脳の順番に加速度的で異常な機能低下が進んでいくことに「対応する形での症状が発現してくる」ので、発現する症状も次第に重くなっていっていることが分かることと思います。

特に、末期の段階である「大ボケ」の段階になると、「前頭葉」の三本柱の機能の衰えに直接に起因して、状況の判断、テーマの発想、実行内容の企画と計画、シミュレーション、修正、工夫、理解、判断と決定等の「個別認知機能」の発揮度が低くなってしまい殆ど働かなくなってきているので、後述するような症状が発現してくることになるのです。ましてや、失語や失認や失行の症状が確認されるレベルのお年寄り達は、言葉の意味も分からず、動作の目的も意味も分からず、時や所や人の見当識さえも殆ど働いていない状況に在る(脳の機能レベルに在る)ことを理解すべきなのです。周りの働きかけと周囲の環境及び状況の中で、「前頭葉」の三本柱の機能が刺激され、特に「意欲」が刺激されて或る程度その機能が発現した際には(「大ボケ」の段階にまで「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えてきていると、「注意の分配力」の機能は、最も高度で且つ最初に衰えていく機能なので、働きが出てくることはないのですが)、昔取った杵柄という訳ではないものの、カラオケに通って歌いまくっていたような歌なら、周りの人たちに合わせて歌うことが出来たりすることがあるということなのです。認知症の専門家とされる人達が考えているような、アミロイド・ベータやタウ蛋白の蓄積によって脳内での情報を連絡する機能を担う神経細胞が侵されていくことにより(脳内での情報を連絡する機能を担う神経細胞の器質的な障害に起因して)、「アルツハイマー型認知症」の症状が重くなっていく訳ではない、その証左でもあるのです。

 

☆ 以下に、「二段階方式」の区分の仕方である「小ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

  [ 小ボケのチェックリスト](「前頭葉」の機能が異常なレベルにあることを前提として、以下の4つ以上の症状に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 異なった複数のテーマに注意が分配できなくなり、3つの用事が同時にさばけない

□ 状況判断力の低下により機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、何も思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対しても感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪く、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくて、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞こうとしない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ 以前なら楽しんでいたはずの趣味や外出や旅行を嫌がる   

☆ 以下に、「二段階方式」の区分の仕方である「中ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

  [ 中ボケのチェックリスト](「前頭葉」の機能が異常なレベルにあることを前提として、小ボケに該当する症状が4つ以上あることに加えて、以下の4つ以上の症状に該当していると、「中ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 何度教えても日付けがあいまいになる

□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる)

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の整理、食後の片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る。裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着る)

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたままとかする

□ 周りを汚しても流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)

□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着ている)

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある

☆ 以下に、「二段階方式」の区分の仕方である「大ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

  [ 大ボケのチェックリスト](「前頭葉」の機能が異常なレベルにあることを前提として、小ボケ及び中ボケに該当する症状が各々4つ以上あることに加えて、以下の3つ以上の症状に該当していると、「大ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)

□ 自宅に居ても落ちつかず、家の外に出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)

□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる

□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする          

コーヒー・ブレイク) 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被るとか;自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になるとか;同居してる家族の顔も分からないとか;失禁した服を平気で着ていたりしたら、自信を持って、その人はボケてる(認知症)と皆さんは思うのではないでしょうか。正確に言うと、これは実は、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の症状のことなのです。こうした症状が出てくるもっと前の「軽い段階」(「二段階方式」の区分で言うと「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)があることを認知症が専門の精神科医でさえ見落としているのです。そのような誤った診断、重大な誤診が医療の現場で行われている最大の原因は、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の規定の存在にあるのです。「DSM-4」の規定内容自体が重大な誤りを犯していること、すなわち、MMSEの得点が一桁という「アルツハイマー型認知症」の末期の段階の更に後半の段階にならないと発現を見ることが出来ない極めて重い症状である失語、失認又は失行といった症状の確認を「アルツハイマー型認知症」の発病の診断に要求していることが、取り返しのつかない重大な問題を惹き起こしているのです。私たちの脳機能データである「かなひろいとMMSEの散布図」(前出の図)での、「前頭葉」の機能の衰え方のカーブに注目してみてください。MMSEの得点が一桁になるお年寄り達の「前頭葉」の機能レベルはと言うと、「かなひろい」テストの得点が限りなく零点に近い(「前頭葉」の機能が殆ど働いていない機能状態に在る)ことが読み取れるのです。

本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけさえすれば、「脳のリハビリ」によって治すことが出来る性質のものであるのに、規定内容自体に重大な誤りがありながら、そのことが疑われることもなく、逆に「DSM-4」の規定自体に世界的な権威があるがゆえに、回復させることが可能な早期の段階が見過ごされている結果として、「アルツハイマー型認知症」は治すことが出来ないタイプの認知症であるとの誤解が世間(世界中)に蔓延しているというのが現状なのです。

  

&「軽度認知障害」(MCI)という判定基準の問題点

認知とは、人間がいろいろなものを見たり聞いたり触れたりして、それが何であるかを理解したり判断したりすることです。「軽度認知障害」(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは、欧米などでも広く認知されているその定義によると、MCIの状態の人は、認知機能(理解、記憶、理由づけ、決定、実行など)のうち1つのカテゴリーに問題がみられるが、日常生活面においては自立した状態にあるとされているのです。正常な状態ではないが、「アルツハイマー型認知症」とは診断されない状態のことで、ちょうど両者の境目にある状態であるということのようなのです。すなわち、「認知症」を発病した状態ではなくて、あくまでも認知症になる前の段階(認知症の「前駆状態」)という考え方のようなのです。それでいて、正常ではない状態であるとも主張しているのです。その「判定基準」自体を含めて、「分かったようで、分からない、極めて曖昧で中途半端な考え方」の提唱と言う他ないのです。

どのような根拠データが数字の基礎となっているのか知りませんが、MCIの状態にあると判定された人達は、5年以内にその内の半数が、「アルツハイマー型認知症」を発病する可能性があるとも言われているのです。「軽度認知障害」という概念を主張する人達も、アミロイド・ベータというタンパク質が「アルツハイマー型認知症」の発病の原因であるかもしれないと主張しているのですが(アミロイド・カスケード仮説)、その考えによると、アミロイド・ベータが10~20年もかけて脳の中に蓄積された後に、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現するという考え方でもあるようなのです。アミロイド・ベータが神経細胞に蓄積して老人斑を沈着させ神経細胞を犯すことが原因で認知症の症状として発現してくる「記憶障害」の症状並びに当該「記憶障害」の症状に起因した症状としての「失語や失認や失行」といった症状を発現させるという「仮説」なのです。そうした視点に立脚しているので、「軽度認知障害」は、アミロイド・ベータが脳内に蓄積されることにより発病する「アルツハイマー型認知症」の発病の途中の段階であるという見解でもあるようなのです。従って、「軽度認知障害」というのは病名ではなく、或る状態のことをいうものとされているのです。然も研究者の予測では、我が国には、「軽度認知障害」のお年寄りが600万人ほど存在するとの研究報告が為されてもいるのです。仮にその予測数値が正しいものであるとしても、「小ボケ」と「中ボケ」とを併せた数は、「大ボケ」の数の数倍にはなるという私たちのデータからすると、驚くにはあたらない数値なのです。

注)漏れ聞く「軽度認知障害」の判定基準とは、以下の通りです。

1.本人や家族から「記憶障害」の訴えがある
2.年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害がある
3.日常生活を送る上では、特段の支障は認められない
4.「認知機能」は、全般的に、おおむね正常である
5.「アルツハイマー型認知症」を発病した状態ではない

上記5項目の全てに該当したとき、MCIであると判定されるようなのです。

 

& 物忘れ」は、認知症の始まりなのか Q/A Room(A-46)

2012-06-14 (私の過去のブログからの引用です)

Q:70歳になる父がたびたび「物忘れ」をするので、病院に連れて行って診てもらったところ、診察を受けた精神科医から「軽度認知障害」だと言われました。認知症の前駆的なものであり、4~5年後には「アルツハイマー型認知症」を発病する可能性が高いと言われました。「アルツハイマー型認知症」は、発病の原因がわかっていないので、打つ手はないということでした。  

A: 認知機能が軽度に低下した状態を「軽度認知障害」(Mild Cognitive Impairment : MCI)と呼び、認知症でも正常でもなく、「認知症」への「前駆的な状態」を言うものと定義されています。「脳の機能レベル」との関係の定義ではなくて、「症状」を基準とした診断基準であり、然も「記憶に関する訴え」を要件にしていたり、或いは、「客観的な認知障害があること」を要件にしているのです。

客観的な認知障害と言われても、例えば「物忘れ」を例に取り上げればわかるように、「脳の働き」との関係で規定され且つその「程度」が限定されていないのでは、言葉の遊びに過ぎないのです。意識的に行われる行為の世界をテーマとして取り上げる以上、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の機能及びその機能レベルとの関係が定義され且つその発現としての症状が程度と態様とを限定して定義されていない限り、感覚的な内容にすぎず、「客観的な基準」として使用できない欠陥があると言わざるを得ないのです。 

私たちは、専門家達が認知症ではないとして見逃している「アルツハイマー型認知症」の早期の段階、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)及び中等度認知症(中ボケ)について、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル及びそれぞれのレベルで「特異的」(限定的)に発現する「認知症の症状」という面からこれらを定義しています。このような定義がなされて初めて、「客観的な指標」となりうるのです。   

 「MCI」などと言われるといかにも専門的な響きがありますが、「認知機能の軽度な低下」を示す客観的な基準もありません。脳の機能という側面から言うと、「前頭葉」を脳全体の司令塔として、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」との共同により「認知」が行われるのです。状況を判断し、テーマを企画し、実行する内容を組み立て、結果をシミュレーションし、必要な修正を加えて、最終的な内容を決定し、実行の指令をする。これらはすべて脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の重要な機能(個別の認知機能)なのですが、それぞれの過程には、個別の「認知機能」が常になくてはならない機能として係わっているのです。

置かれている状況を判断し、その判断に沿った「テーマ」を発想し、テーマの実行内容を企画し及び計画し、実行結果についての事前のシミュレーションを行い、シミュレーションに基づいて必要な修正を加えて、最終的な実行内容(実行の程度及び態様を含む)を決定し、脳の各部に実行の指令を出す世界、私たち人間だけに「特有」である「意識的な行為」における「前頭葉」の個別「認知機能」の働き具合とそのアウト・プット(内心の意思、言動、行為及び行動)には、極めて多くの種類と程度と態様があるので、問題とされる「認知機能の軽度な低下」がどの過程で起きるどのような種類のもので且つどの程度のものなのか或いは、どのような態様のものなのかを客観的な基準で定義することが出来ていない(限定できていない)のです。従って、「判定基準」であると言いながら、「前頭葉」を含む脳全体の機能面からではなくて、機能レベルのアウト・プットである症状に頼ったものになってしまっているのです。「軽度認知障害」の定義のレベル自体が、「判定基準」と言えるような程度には程遠いものというしかない、内容のものなのです。    

その上「軽度認知障害」の考えでは、「アルツハイマー型認知症」への移行率が取り上げられていて、この考えが提起された当初では10%から15%の数値が、現在では50%という数値が取りざたされているのです。「アルツハイマー型認知症」の発病原因も不明であるとしつつ(アミロイド・ベータ説は、単なる仮説であって、未だに、肝心の「因果関係」が立証できていないのですから)、「アルツハイマー型認知症」への移行率を数値化する主張には賛成できません。

「軽度認知障害」の判定基準自体が極めて曖昧模糊とした内容のものである上に、「軽度認知障害」以外の要因の影響が有るのか無いのか、有るとしたらどの程度の影響があるのかも分析されていないのでは、そもそも「軽度認知障害」と呼ばれる病状から「アルツハイマー型認知症」の発病に至る「因果関係」そのものが不明確と言わざるを得ないからです。医学会という世界では、どうして(何故に)「因果関係」という極めて重要なテーマについて、極めて「雑」なのか、不可思議と言うか、理解しがたいのです。

 「DSM-4」の規定の問題点を含め、医療の現場における、「アルツハイマー型認知症」の診断基準自体が種々の問題を抱えていることについては、このブログでこれまでに詳しく説明してきた通りです。「軽度認知障害」という判定基準についても、判定基準というには、余りにお粗末すぎる内容と言わざるを得ないのです。「アルツハイマー型認知症」の診断基準と同様に「軽度認知障害」の判定基準も、  私たち人間だけに特有な世界、「意識的」な思考や思索や言動や行為や行動における脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能及びその機能レベルとの関係が見過ごされているところに最大の欠陥があるのです。何時まで、マウスとやらが迷路で餌を探し回る動きばかりを追っているのですか。私たち人間だけに特有である「意識的な世界」を支配しコントロールしているのは、左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬を支配しコントロールする機能を担っている「前頭葉」という機能、三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」という人間だけに備わっている機能なのです。肝心の「前頭葉」という機能は、マウスには備わっていないのです。

我が国の現状で言えば、認知症全体の90%以上を占めていて、その発病の診断、投薬、介護に関わる費用の総額が、年度単位で15兆円を超えるところまで来ていながら、未だに世界中の研究者や学者や医師達の間で、発病の原因(メカニズム)が分からないし、治すことが出来ないし、発病を予防する方法も分からないとされているのが「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症なのです。

2012年の3月以来、167回にも及ぶブログ記事を公開し、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因その他「アルツハイマー型認知症」に関わる様々なテーマについて、このブログで詳細な説明を度々してきていて、その「総字数が400万字を超える」ところまで来ているのです。「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」である(脳の使い方としての「生活習慣」に起因して発病する)という私たちの主張は、主張の根拠となる14689例にも及ぶ精緻な「脳機能データ」、440を超える数の市町村での実践の成果等についても、他の追随を許さないかけ離れたレベルにあると自負してはいるのですが、いかんせん、肝心の権威がないので、世の中に浸透するところまでには至っていないのです。とはいえ、回復させることが可能であるという意味での本当の意味での「早期の段階」である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の「お年寄り」と回復させることが困難な「大ボケ」の段階のお年寄りが果てしもなく増加していく状況が放置されているのです。末期の段階でしか発現が確認できない症状である「失語、失認又は失行」の症状の確認を要求している「DSM-4」という「アルツハイマー型認知症」の診断基準を、学者や医師達が疑うこともなく信望し続けていること並びに「アルツハイマー型認知症は、発病を予防することが出来ない」タイプの認知症であるとの誤解が我が国には定着していて、発病自体の予防と早期診断による回復を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」の全国展開という我が国の将来にとって重要なテーマがマスコミにさえ取り上げられていないのです。発病の原因ではなくて発病の結果でしかないアミロイド・ベータ説に拘泥し、何時まで、迷路におけるマウスの行動ばかりを追い続けるのですか。

「器質的な病態」が「アルツハイマー型認知症」の原因に違いないとの大前提、「記憶障害」が「アルツハイマー型認知症」の中核の症状だとの外的な観察に基づく思い込み、そこに重大な落とし穴が潜んでいるのです。両者共に誤りなのですから。「アルツハイマー型認知症」は、器質的な原因ではなくて機能的な原因で発病するタイプの認知症、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の加速度的で異常な機能低下に起因して認知症の症状が発現してくるものなのだという私たちの主張に、早く目を向けてほしいのです。「記憶障害」に起因した症状として「アルツハイマー型認知症」の様々な症状が発現しているのではなくて、「前頭葉」の機能障害に起因した症状として「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状が発現しているだけのものなのです。

注)本著作物(Bー67に記載され表現された内容)に係る著作権は、 (有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

   エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

 

   脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

老化の物忘れとアルツハイマー型認知症の記憶障害の鑑別(B-66)

2016-09-01 | 物忘れの正体とそのメカニズム

      年取れば 気になる障り 物忘れ

   アレよアレよと 言葉を知らず By kinukototadao

 記憶は、記銘、保持、想起の機能から構成され、「加齢」によって想起の機能が最初に衰えるのです

 & 原因不明と言われる「アルツハイマー型認知症」の正体とは

生まれつき特定の遺伝子に異常が認められる人だけが対象となり発病し、若年発症(30歳代から50歳代の「若い年齢」の人だけが発病の対象となる)を特徴とする狭義の「アルツハイマー病」とは異なり、60歳を超える年齢の「高齢者」だけが発病の対象となる老年発症を特徴とする「アルツハイマー型認知症」は、我が国を含め世界中の認知症の専門家とされる人達(学者、製薬会社などの研究機関の研究者及び医師達)から、発病の原因(メカニズム)が分からないし、発病を予防することが出来ないし、治すことが出来ないタイプの認知症とされてきているのです。なお、我が国では、学者や医師やマスコミの一部の間で、「アルツハイマー病」と「アルツハイマー型認知症」をまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ人達がいますが、両者は発病の原因も、発病後の治療の可能性も更には発病自体の予防の可能性と言う点でも全く異なるし、そもそも認知症全体に占める割合についても前者が僅か1%程度であるのに対して、後者は90%以上を占めているのです。その人達は、一見関係がありそうで実は発病の原因ではなくて結果でしかないアミロイド・ベータとかタウ蛋白とかに拘泥していて、肝心の脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちの意識的な世界を支配し、コントロールしている「前頭葉」と言う脳機能に目が向かない結果、「アルツハイマー型認知症」については殆ど何も知らない人達と言っても過言ではないのです。社会生活や家庭生活、或はセルフケアの面で、意識的に何かをしようとする際に、脳が壊れてもいないのに(器質的な原因が確認されないのに)様々な程度及び態様の認知症の症状が発現してくる、それが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。「前頭葉」という脳機能について及び「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症について、私たちのような客観的な「脳機能データ」の集積もなく、発病の予防及び早期診断による回復を目的とした「地域予防活動」の実践の体験もなく、わずかな症例をベースにその症状の概観を基礎として想像してみた程度のこと以外には何も知らないのに、「アルツハイマー型認知症」に関する本を書いてみたり、テレビに出てきて物知り顔に発言したりもする、厚顔無恥の人達が多いのです。私の手元にそうした類の書籍が何冊か有るのですが、読んでいて哀しくなるほどの内容、驚く程ひどい内容の物ばかりなのです。老人斑の沈着とか神経原繊維変化とか、或は脳の萎縮とか、「アルツハイマー型認知症」発病の結果であって原因ではないのに、原因だと誤解している人達なのです。そうした主張が世に出てきてから、既に何十年もが過ぎているというのに、いまだに、原因だと主張しているそれぞれの説と発病との間の因果関係が立証されてもいない、単なる「仮説」に過ぎないのです。そもそも、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の第一の要件とされる「記憶の障害」の症状が「アルツハイマー型認知症」の中核となる症状だとする考え方自体が重大な誤解だということに気付いてもいないのです。「DSM-4」の第二の要件とされる「失語や失認や失行」の症状が発現してくるのは、末期の段階でも更に後半の段階、「前頭葉」が殆ど機能していない上に30点が満点のMMSEの得点も一桁になってからということにさえ気づいていないのです。そうした末期の更に後半の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけて居て、「治すことができないとか、発病を予防する方法がないとか」言った、誤った情報を世の中に流し続けているのです。内容的には重大な誤りであって、世界を牽引している源は権威だけという「DSM-4」に見切りをつけて、宗旨替えすべき時だと思うのですが。頭も心も硬すぎて、まだ気づかないのですか。

二段階方式」と言う精緻な神経心理機能テストを開発し、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル(働き具合の程度)の判定とその機能レベルに厳密に対応した認知症の症状並びにその背景となる脳の使い方としての「生活習慣」としての生活歴(「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下の張本人)についての14689例と言う極めて多数で且つ精緻な「脳機能データ」の集積とその解析並びに440を超える市町村での「地域予防活動」の実践の成果に基づく帰結として、私たちは、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の本質は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」(食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣」に起因する病気)であって、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」自体が活性化するような脳の使い方としての「生活習慣」の構築とその実践により発病自体を予防することが出来るし、本当の意味での早期の段階(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルと言う客観的な指標に基づいて、私たちが三段階に区分するその早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で発病を見つけて、「脳リハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)を実践することにより正常なレベルに回復させることが出来る(治すことが出来る)ものなのです。 

 &「アルツハイマー型認知症」の症状が発現するメカニズム

認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、日常の生活で何かの「テーマ」を実行しようとするとき、脳がちゃんと働かない(正常レベルで機能しない)ことがそのまま、認知症の「症状」として出てくるところに特徴があるのです。その発病の原因となるのは、「二つの条件」の充足にあります。「第一の条件」は、60歳を超える年齢の「高齢者」であることです。私たち人間の「前頭葉」、就中、「前頭葉」の三本柱の機能と私たちが名付けている意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能には、生来的な性質として、言い換えると、脳が活性化されるどのような内容の「生活習慣」を継続していようとも、加齢とともに「前頭葉」の「三本柱」の機能が衰えていき(「正常老化の性質」)、65歳頃には機能の最盛期である20歳代前半頃の半分以下のレベルにまで衰えてくるという性質が存在しているという問題なのです。そして「第二の条件」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という問題なのです。悠々自適とはいかないまでも、それなりに「自分らしさを追求する」自分なりの「テーマ」と達成すべき「目標」とがあり、日々の生活の中でそれを実行し、実現していくことによって、自分なりの生き甲斐や喜びを覚える出来事や人との出会い等が時折訪れてくる平穏な日々を送っていたあなたの「第二の人生」で、これまでのそうした生活が維持できなくなり、頑張って生きていこうとするその「意欲を喪失」してしまうような出来事の発生や環境の変化に、或る日突然遭遇することになるのです。その際に発生した出来事や環境の変化が「キッカケ」となり、何かをしたり、何かに立ち向かったりする意欲を喪失してしまう結果として、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、継続していくことになるのです。脳の使い方という視点でのそうした単調な「生活習慣」が日々継続していくことにより、出番が極端に少なくなった「前頭葉」を含む脳全体の機能が、使われる機会が少ないことに起因する廃用性の機能低下を起こしてくることになるのです。すなわち、脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちが意識的に何かをしようとする際になくてはならない働きをしている「前頭葉」を含む脳全体の機能が、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」の継続、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の下で、使われる機会が極端に減ったことに起因した加速度的で異常な廃用性の機能低下の進行により【情報を伝達する神経細胞が、器質的な病態を発現してくること又は廃用性の萎縮を起こすことにより、「記憶機能」が低下することが発病の原因なのではなくて、1つの要因としては加齢による機能の劣化がもう1つの要因としては使われる機会が極端に少ない生活習慣の下で神経細胞の再生が弱まってしまい、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能からなる「前頭葉」の三本柱の機能を中心として、各種の認知機能自体が廃用性の機能低下を起こしてくることの2つの要因が同時に充足される相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の加速度的で異常な機能の衰えが進むことが発病の原因であると私たちは考えているのです】、60歳を超える年齢の「高齢者」のみを対象として発病する老年性の「アルツハイマー型認知症」は、症状が何年もかけて、徐々に段階的に緩やかに進んでいくのが特徴なのです。その最初の段階が私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、ついで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階があり、最後に末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階があるのです。認知症の専門家とされる人達は、中核症状とか周辺症状とかに区分するのが通例なのですが、その区分には何の意味もないのです。「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、この「三つの段階」を順次経由して、身体がもつ限り、何年もかけて、徐々に緩やかに症状が進行していくところに特徴があるのです。末期の段階である「大ボケ」の段階が始まると(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが、ここまで低下してくると)、治すための唯一の手段である「脳リハビリ」による回復の可能性が閉ざされてしまい、その人の身体がもつ限り、言い換えると何らかの他の病気が原因で死を迎えることになる時まで、更なる症状の重症化が進行していくことになるのです。「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階であれば、「脳のリハビリ」により正常なレベルに回復させること(治すこと)が可能なので、家族による介護の負担もさほどのものでない上に、介護自体に喜びが得られるのですが、「大ボケ」の段階にまで「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えてきてしまうと、介護しても回復の見込みはない上に、セルフケアにも重大な支障が出てきて、その程度が更に進行していく状況の下で、介護する家族の社会生活自体が脅かされ、「介護離職」という社会問題へとつながっていくことにもなるのです。家族介護と言う政策はとるべき政策ではないのです。発病自体の予防と本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つけて治すことを明確な活動目的とした住民参加型の「地域予防活動」を全ての自治体で、且つ出来るだけ小さな地域単位で密に実践することを制度化すべきなのです。私たちがこれまでに市町村で実践の指導をしてきた「地域予防活動」の展開による成果に鑑みれば、蛇口を開きっぱなしにした状態で居て、介護の為の総費用(診断、投薬及び介護の為の総費用)が年間で15兆円を超す額と言う天文学的な規模となっていて、この先増大する一方と予測されているその「介護のための総費用」を劇的に減少させることが可能となるのです。その効果による減少分を「地域予防活動」の更なる拡大展開に投入していけば(「地域予防活動」を展開する対象地域の規模が小さい程密な活動となり、発病自体を予防する効果が上がることになる)、「介護の為の総費用」が減少する成果の下で、「大ボケ」のレベルにまで症状が進行した「お年寄り」全員の介護は、現行の「介護保険制度」で十分に賄うことが出来るようになり、「介護離職」と言う現役世代にとっての重大な社会問題は消滅していく方向に向かうことにもなるのです。

 &「アルツハイマー型認知症」の症状を治す方法とは

 脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちが意識的に何かの「テーマ」を考えついたり、考え付いたテーマを「実行」しようとする際に、左脳、右脳及び運動の脳と協働し、且つそれらを支配し、コントロールしている「前頭葉」の働き具合を中核とした、且つ「前頭葉」を含む脳全体の働き具合(「脳の機能レベル」)のアウト・プットそれ自体が、認知症の「症状」となって発現してくるのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。三段階に区分される「脳の機能レベル」の衰えの進行に付随して、その機能レベルの衰えに厳密に合致した「三段階」に区分される「認知症の症状」が発現してくるのです。 ここで、最初に理解して欲しいのは、私たちが意識的に何かのテーマを実行するときの、脳の働き方の仕組みです。脳の働き方の仕組みは、「脳が壊れた人」をたくさん調べると、そのメカニズムの概要が分かります。脳は場所によって働きが異なり、「機能の分担をしている」ことが分かるのです。

運動の脳」の左の部分が壊れると、右半身麻痺になり、右の部分が壊れると、左半身麻痺になります。「運動の脳」が、身体を動かしているのです。左脳」が壊れると、言葉が出てこなくなり、計算が出来なくなり、論理を操れなくなり、場合分け(ケース・シミュレーション)することが出来なくなります。「左脳」は言葉の脳とも言われ、言葉や計算や論理や場合分け等(「デジタルな情報」の処理)を担当しているのです。右脳が壊れると、色や形や音や空間や感情等の認知が難しくなります。「右脳」は感性の脳とも言われ、色や形や音や空間の認知や感情等(「アナログな情報」の処理)を担当しているのです。額のところにある前頭葉」(「前頭前野」のことを言うものとする。以下、同じ)は、脳の最高次の機能です。運動の脳、左脳、右脳を統括し、支配し、コントロールしていて、脳全体の司令塔」の役割を担っているのです。

左脳」が「デジタルな情報の処理」を実行するときも、「右脳」が「アナログな情報の処理」を実行するときも、「運動の脳」が「身体を動かす」指令を出すときも、三頭立ての馬車(左脳、右脳、運動の脳という三頭の馬)の御者の役割をしている「前頭葉」の事前の指示なしには、勝手には働かない仕組みになっているのです。三頭の馬のどれかが働くときには、「前頭葉」からの事前の指示が必ずあるのです。言い換えると、「前頭葉」自体が三頭の馬を主導しつつ、同時に協働して働くというのが、「意識的な世界」(意識的な思考、言動、行為及び行動という面で、私達人間の脳が働くときのメカニズムの概要なのです。そのメカニズムにあるが故に、最初の段階である「小ボケ」の段階(「前頭葉」の機能だけが異常なレベルにあって、左脳も右脳も運動の脳も未だ正常な機能レベルにある段階)での、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウト・プットは、正常なものではなくて異常なもの、すなわち、「アルツハイマー型認知症」の症状として発現してきているということなのです。「軽度認知障害」(MCI)と言う考え方は、「DSM-4」の規定が余りにも重度の段階、末期の段階でしかア「ルツハイマー型認知症」を見つけることができないことに注目して、より早期の段階で見つけようとしているその発想自体には意味があると思うのですが、如何せん、上述の脳全体の司令塔としての「前頭葉」の機能というテーマに気づいていないで、「記憶障害」の症状を核としている上に、外観としての症状だけに着目した基準、極めてあいまいな内容であって、活用者の恣意的な運用を許す上に、そもそも「基準にはなり得ないレベルの代物」だということを指摘しておきたいのです。

ところで、脳の司令塔の役割を担う「前頭葉」にはいろいろな機能があります。その「諸機能」とは、状況の判断、「テーマ」の発想、「テーマ」を実行するための実行内容の組み立てにかかわる創意、企画、工夫、構成、計画、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、忍耐、修正、整理、機転、興味、関心、創造、感動、判断及び決断等の個別の認知機能(A)、個別の色々な認知機能を発揮する上での「機能発揮度」の基礎となる三本柱の機能」としての「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」(異なった複数のテーマを同時に並行して、意識的に処理する働きのこと)の機能の働き具合(B)並びに最終的な実行内容を選択し決定する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての「評価の機能」(C)などです。

 「脳を使う」ということは、私たちが意識的に何かの「テーマ」を思いつき、それを具体的な形で実行することを意味します。その意識的に何かの「テーマ」を実行しようとする際の「脳の機能レベル(働き具合)を考えるには、「前頭葉」の(A)、(B)及び(C)の機能が「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」を常に支配し、コントロールしながら、且つ協同し、働いていることに注意を向ける必要があるのです。

「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが「アルツハイマー型認知症」の「症状」として発現してくる程度、或いはその態様は、(Bに下支えられたA及びCの働き具合)としての「前頭葉」の個別認知機能と左脳、右脳及び運動の脳の各々との協働による相乗効果としての機能レベルに直接、且つ厳密に起因して発現しているものだからです。「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが正常であれば、そのアウト・プットは適切、或いは的確な「思考や言動や行為や行動」となり、「脳の機能レベル」が異常であれば、そのアウト・プットは不適切、或いは異常な「思考や言動や行為や行動」(即ち、「アルツハイマー型認知症」の三段階に区分される段階的な症状)となるのです。その意味で、私たちの区分で言う「小ボケ」の段階は、脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」の機能自体が廃用性の機能低下を原因として異常なレベルに衰えてきているので、左脳、右脳及び運動の脳のすべてが正常な機能レベルにあろうとも、意識的な世界におけるそのアウト・プットは、異常な症状、「アルツハイマー型認知症」の症状なのです。「前頭葉」の「三本柱の機能」と私たちが名付けている意欲、注意の集中力と注意の分配力の機能(B)と「前頭葉」の個別認知機能(A)との関わり方について、ここで分かりやすい例を挙げて説明しておきましょう。

自分が好きで興味が湧くとか、自分にとって必要で重要だと考えるような「テーマ」であれば、その実行の内容及び実行の仕方などを考える際に、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能【(B)の機能】の発揮度が高くなり、結果として(A)の個別認知機能の発揮度が高くなるという関係にあるのです。「二段階方式」の手技を活用して集積した、極めて多数の「脳機能データ」の解析により、私たちは、世界で初めてこの性質と関係に気付いて、「前頭葉」の個別認知機能の発揮にかかわる「二重構造」の存在と命名し、具体的なケース事例の判定により、「前頭葉」を含む脳全体の機能の廃用性の機能低下についての研究を深めてきたのです。この「二重構造」の問題に気付かないで居る限り、「前頭葉」の廃用性の機能低下と言う視点を持つことが出来ないので、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム並びに症状の程度を軽減させ、或は「治す」方法及び発病自体を「予防」する方法の解明に迫ることは「出来ない相談」だということを指摘しておきたいのです。ましてや、どのようなタイプのマウスをつくりだそうとも(アミロイド・ベータを人為的に注入した「アルツハイマー・マウス」を含む)、そもそも「前頭葉」という脳機能が備わっていないのでは、迷路の中を闇雲にうろつき回り餌を探して動き回るマウスの行動を何時まで追い続けていようとも、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを解明することも、回復させることが可能な早期の段階を見つける方法を解明することも、ましてや発病自体を予防する方法を解明することも、すべてが無駄なこと、期待値はゼロなのだということを指摘しておきたいのです。

私たちが開発し、これまでの累積で440を超える市町村において「地域予防活動」という形で、且つ「住民参加型」の実践活動の基礎となっている「二段階方式」の手技の場合は、「脳のリハビリ」(脳の使い方としての生活習慣の改善)の実施による正常なレベルへの脳機能の回復の可能性という視点から、「アルツハイマー型認知症」の症状を「三段階」に区分します。その最初の段階であって、「脳のリハビリ」により正常なレベルに回復させること(治すこと)が容易な段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、左脳も右脳も運動の脳も全てが正常な機能レベルにあり、脳全体の司令塔の役割を担っていて、三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えてきているのです。従って(それが故に)、「小ボケ」の段階で発現が確認される「認知症の症状」の全てが、「前頭葉」の機能障害に起因する症状だけということになるのです。「小ボケ」の段階で発現が確認される特有な症状も、「中ボケ」の段階で発現が確認される特有な症状も、「DSM-4」が「第一の要件」に掲げてその確認を至上命題として要求している「記憶障害」に起因する症状ではないのです。私たちが「二段階方式」の手技を活用して集積した14689例にも上る生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクした「アルツハイマー型認知症」の症状に関する「脳機能データ」が意味することからも、「アルツハイマー型認知症」の発病の有無の診断に際して、「記憶障害の症状」を「第一の要件」として規定している米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の規定は、重大な誤りを犯していると言わざるを得ないのです。更には、「失語や失認や失行」といった、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「大ボケ」の段階の更に後半にならないと発現がみられない症状の確認を「第二の要件」として要求している「DSM-4」の規定は、「百害あって一利なし」の規定の代表なのです。本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つければ、「脳のリハビリ」の実行により治すことができるタイプの認知症であるものに対して、治らないと誤解させている張本人でもあるのです(「小ボケ」の段階で見つけて、「脳のリハビリ」に励めば容易に治せるし、「中ボケ」の段階で見つけて、「脳のリハビリ」に励めば未だ治すことが可能なのです。「大ボケ」の段階で見つけているから治せないだけなのです。その上、「アルツハイマー型認知症」の本質が廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」(脳の使い方としての意味で言う「生活習慣」に起因する病気)であることにも気付かないで居て、「更なる症状の進行速度が緩やかになることが期待できるかもしれない」という謳い文句で、効きもしない「薬」を飲ませているだけの対応というのが、医療現場の実態なのです「DSM-4」の規定の「第一要件」の内容も、「第二要件」の内容も、更には、全体としても、根本的に誤った内容であるのに、絶対的な権威があるがゆえに、ただそれだけの理由で、世界中の認知症の専門家達の判断を誤らせていて、皆さん自身を惑わせてもいるのです。更に付け加えて言うと、「アルツハイマー型認知症」こそ、治すことも出来るし、発病自体を予防することができるタイプの認知症の代表となるものなのです。

   

& 三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状

二段階方式」による症状の区分

「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接のアウト・プットそれ自体が「認知症」の症状として発現する「アルツハイマー型認知症」の場合は、「脳のリハビリ」により治すことができる(「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに回復させることができる)のです。「脳のリハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)により回復させることの可能性及び困難さの程度という視点から、私たちの「二段階方式」の考え方では、「三つの段階」に区分します。

○「二段階方式」による区分と定義

「二段階方式」の考えでは、最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが次のように定義されています。

「前頭葉」の機能レベルだけが異常なレベルにあって、左脳、右脳及び運動の脳の全ての機能が正常なレベルにあること(MMSEの換算値が24点以上であること)。猶、「前頭葉」の機能レベル及び左脳と右脳の機能レベルは、それぞれ、「かなひろいテスト」とMMSEにより判定され、各々の機能レベルは、数値化された客観的な基準値に基づいて判定されます。

また、「二段階方式」の考えでは、最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階での特有な発現が確認される認知症の症状は、次のように類型化されています(字数制限の関係で割愛します。「小ボケ」の段階の症状については、ここを「クリック」してください)。

○「二段階方式」の考えでは、次の段階である「中等度認知症」(ボケ)の段階は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが次のように定義されています。

「前頭葉」の機能レベルが廃用性の機能低下の進行により「小ボケ」のレベルのそれよりも更に異常なレベルにあって、左脳、右脳及び運動の脳の全ての機能も異常なレベルに衰えてきていること(MMSEの換算値が23点以下15点までの範囲にあること)。猶、「前頭葉」の機能レベル及び左脳と右脳の機能レベルは、それぞれ、「かなひろいテスト」とMMSEにより判定され、各々の機能レベルは、数値化された客観的な基準値に基づいて判定されます。

また、「二段階方式」の考えでは、「中等度認知症」(中ボケ)の段階での特有な発現が確認される認知症の症状は、次のように類型化されています(字数制限の関係で割愛します。「中ボケ」の段階の症状については、ここを「クリック」してください)。

○ 「二段階方式」の考えでは、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが次のように定義されています。

「前頭葉」の機能レベルが廃用性の機能低下の進行により「中ボケ」のレベルのそれよりも更に異常なレベルにあって、左脳、右脳及び運動の脳の全ての機能も「中ボケ」のレベルよりも更に異常なレベルに衰えてきていること(MMSEの換算値が14点以下0点までの範囲であること)。猶、「前頭葉」の機能レベル及び左脳と右脳の機能レベルは、それぞれ、「かなひろいテスト」とMMSEにより判定され、各々の機能レベルは、数値化された客観的な基準値に基づいて判定されます。

また、「二段階方式」の考えでは、「重度認知症」(大ボケ)の段階での特有な発現が確認される認知症の症状は、次のように類型化されています(字数制限の関係で割愛します。「中ボケ」の段階の症状については、ここを「クリック」してください)。

 & 認知症の専門家達が掲げる「記憶障害の症状」としての「老化の物忘れ」と「認知症の物忘れ」との鑑別に関わる基準

『 食事のメニューでなくて、食事をしたこと自体を忘れている』というのが、認知症の専門家とされる人達が挙げる常套的な説明方法なのです。高齢者の生理的な老化現象による「物忘れ」の症状は、物を置いた場所を思い出せないなど、自分の体験の一部を忘れているにすぎないが、「認知症の記憶障害の症状」は自分の体験したことを丸ごと全部忘れてしまう病的な記憶障害だというのがその常套的な説明の仕方なのです。

では、働き盛りの未だ若い年齢のあなた方にお聞きしますが、何かをする用事を頼まれて、「どんな内容の用事だったか」を忘れたのではなくて、用事を頼まれたこと自体を忘れた経験は一度もありませんか。一度もないどころか、何度も有るでしょう。ゴルフの練習に出かけようとして、帰りにスーパーで豆腐と牛乳を買ってきてと頼まれていたのにすっかり忘れていたとか、最近開店した評判のイタリアン・レストランで友人達と食事するためピック・アップしようと友人宅に回って行く際に、途中で捨てるつもりでトランクに入れておいたゴミをそのまま持ち回ったこととか、心配事や急ぎの大切な用事があるとき、そのことが終始気がかりな状態下で(心がそのことに捕われている状態下で)、急ぎの用事でもない上に、些事の類に属する用事を頼まれたような場合であれば尚更のこと、忘れることはよくあることなのです。特に、心を占める気がかりなことがあって、「上の空」状態で用事を聞いているときはなおさらのことなのです。用事を頼まれたこと自体を思い出せなかったことは一度もないなんて言わせませんよ。「前頭葉」の三本柱の機能の一つと私たちが名づけ位置付けている「注意の分配力」の機能が加齢により総体として衰えてきた年齢の方であれば、日常珍しいことではなくて、しばしば起きてくることなのです。そのメカニズムを知らない人たちが、上述の説明を持ち出してくるのです。「老化の物忘れ」と「アルツハイマー型認知症」の症状としての「記憶障害の症状」とを区分ける方法、それは唯一、「前頭葉」の機能レベルが正常であるか、異常であるかが両者を鑑別する客観的な指標となるのです。認知症の専門家と称しながらも彼らは、基準の根拠となるべき物を持たないので、共通項を探し出してきて、それを根拠だと言っているにすぎないのです。上述した「DSM-4」の規定の「第二の要件」に規定されている失語、失認、失行の症状は、実は、私たちの区分で言う末期の段階である「大ボケ」の段階の、更に後半になって初めて発現が確認される極めて重度の症状、30点が満点のMMSEの得点が一桁の得点にならないと発現がみられない症状なのです。「第一の要件」と「第二の要件」は、同一人物の同一の時期(時間)に確認されることを要求しているのです。その為、「第一の要件」に規定されている「記憶障害」の症状も、極めて末期の段階で確認されるレベルの「記憶障害」の症状ということになるのです。その典型的な事例としてしばしば取り上げられる症状が、「つい先ほど食事をしたばかりなのにそのことさえも思い出せない」というレベルの記憶障害事例ということなのです。認知症の専門家とされる人達の上述の説明は、単なる後付けに過ぎないことがお判りでしょうか。

 & DSM4」の規定が確認を要求している二つの要件の問題点

○ ところで、第二の要件に規定されている「アルツハイマー型認知症」の症状である、「失語」の症状の態様とは(他人が話す言葉の内容を理解できない。自分の考えていることを上手く言えない。日常的によく使うものの名前や、言葉が思い出せない。)などであり、失認」の症状の態様とは(ものを見ても、それが何だかわからない。知っているはずの知人の顔がわからなくなる。自分が現在住んでいる家がそれだと分からない。近所で道に迷う。)などであり、失行」の症状の態様とは(包丁やハサミ等何時も使っていた物の使い方が分からなくなる。衣服を後ろ前や表裏に着る。人の動作を真似ることができない。)等の症状のことを言います。

それらの症状は、「二段階方式」の「神経心理機能テスト」で判定してみると、脳全体の司令塔の役割を担っていて、左脳、右脳、運動の脳と協働し、且つそれらを支配しコントロールしながら、私たち人間だけに特有な世界、「意識的な世界」を創出し、操っている三頭立ての馬車の「御者」の役割を担っている「前頭葉」の働き具合が殆ど機能しないレベルにまで衰えてきている状態に在る人たちのことなのです。自分が置かれている状況を的確に判断し、意識的に何かの「テーマ」を発想し、その実行すべき内容を企画し計画し、実行した場合のケース・シミュレーションを経て必要な修正を加え、最終的な実行の内容並びにその程度と態様とを決定し、左脳や右脳や運動の脳と言った脳の各部に実行の指令を出すという脳全体の司令塔の役割を担っているのが「前頭葉」なのです。その「前頭葉」の機能自体が、廃用性の加速度的で異常な機能低下によって、殆ど働くことが出来ない程度にまで衰えてきている状態に在ること、そのことに直接に起因して、「失語や失行や失認」の症状が発現してくるのであって、認知症の専門家達が考えているような器質的な障害に起因してそうした症状が発現してきている訳ではない、それが「アルツハイマー型認知症」の特徴、本質であることに早く気付くべきなのです。そのことにさえ気づかないで居て、アミロイド・ベータの蓄積による老人斑の沈着により脳内での情報を連絡する役割を担う神経細胞が破壊されて「記憶障害」の症状が発現してくると言う誤解、根本的な視点の誤りを継続している限り、アミロイド・マウスであろうと、どんな性質の状況をマウスに作り出そうとも、見えない的に向かってただやみくもに矢を射かけているだけと言う状況から何時まで経っても抜け出すことは出来ないのです。時間の無駄であり、税金の無駄遣いであり、若い有能な人材の無駄な消費にしかならないことを指摘しておきたいのです。我が国では、東大、京大、理化学研究所等がアミロイド・ベータ説の牙城であり、医学会や医療現場に与える影響の意味でも、或いは「地域予防活動」を推進する上での中核を担う役割の市町村の保健師さん等に与える悪影響の意味でも、その存在が並びにその考え方の帰趨が与える意味合いが極めて大きいのです。

私たちが、「前頭葉」の機能レベルを測定し判定する際に使用する手技である「かなひろいテスト」の結果で言うと、失語や失認や失行などの症状が確認される人達は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが、「不合格」のレベルの人達の中でも末端のレベルにある人達のことなのです。「二段階方式」の活用により私たちが集積した「脳機能データ」(かなひろいテストとMMSEの相関図)が示しているように、意識的に何かのテーマを考え付いたり、考え付いたテーマの実行内容や実行の程度及び態様を組み立てる上でなくてはならない働きをする「前頭葉」の機能が殆ど働いていない状態にあることが及び発現してくる「アルツハイマー型認知症」の症状の程度及び態様に厳密にリンクしていることが、認知症の専門家たちに気づかれていないことが重大問題なのです。更に、私たちの「二段階方式」の判定基準としては、脳の後半領域(左脳及び右脳)の働き具合を測定し判定する際に使用する手技である「MMSEのテスト」の結果について言うと、「30点満点のテストで、一桁の得点しか取れない人達」のことなのです。私たちが集積し類型化している「大ボケ」の段階の人達の症状を、単に外観的にとらえるのではなくて、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルと言う視点から詳しく分析してみてください。例えば、〔 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている 風呂に入るのを嫌がる 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする〕と言った症状は、「記憶障害」に起因した症状なのではなくて、廃用性の加速度的で異常な機能低下に起因した「前頭葉」の機能障害を核とした且つ、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接のアウト・プットであることが理解できるはずなのです。「木を見て森を見ず」と言う現況から出来るだけ早く抜け出ていただきたいと願うのです。「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(メカニズム)、症状発現のメカニズム、段階的な症状の内容の理解等については、宇宙背景放射ならぬ、廃用性の機能低下により異常なレベルにまで、機能が低下した(殆ど働いていない状態に在る)「前頭葉」の働き具合の背景放射が基礎になっていると言う視点が不可欠となるのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状と言うテーマについても認知症の専門家とされる人達は、様々な程度と態様で発現してくる「アルツハイマー型認知症」の症状を挙げるとき、外観から見た症状を単に羅列するだけなのです。その場合、「中核症状」と「周辺症状」とに区分するのが常なのですが、何の意味もない区分なのです。私たちは、私たちが開発した「二段階方式」の手技に基づいて鑑別した「前頭葉」を含む脳全体の「機能レベル」に直接リンクした「アルツハイマー型認知症」の「症状」を、「脳のリハビリ」(脳の使い方としての生活習慣の改善)により回復させることの可能性と言う視点から、「三つの段階」に区分した症状の類型としての14689例にも及ぶ精緻な「脳機能データ」を保有しているのです。その「脳機能データ」によると、「DSM-4」が第二の要件に規定する失語や失認や失行の症状は、脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちが意識的に何かのテーマを実行しようとする際に無くてはならない働きをしている「前頭葉」の機能が異常なレベルに在って、且つ、MMSEで判定される左脳及び右脳の働き具合も30点満点のMMSEの得点が一桁の得点になるまでに脳全体の機能が衰えてきている人にしか確認されない症状なのです。然も、「アルツハイマー型認知症」の症状として発現してくる「失語や失認や失行」の症状は、器質的な原因を基礎とした記憶障害に起因して発現している訳でもないのです。廃用性の加速度的で異常な機能低下を基礎とした「前頭葉」を含む脳全体の機能低下に起因して発現している症状であって、且つ「前頭葉」の機能障害を核とした症状なのだということに気づいてもいないのです。

認知症の専門家とか言いながら(本を出版してみたり/テレビに出てきて、物知り顔に解説してみたりしてはいても)私たちのような「客観的な判定基準」を持たない人たちが、外観的な症状を主観的にとらえて、言葉で表現したもの、それが、昨日食事に行って何を食べたのかを覚えていない(想い出すことができない)のは、「物忘れの症状」であって、食事に行ったこと自体を覚えていない(想い出すことができない)のが、認知症の症状なのだとか、訳が分からない意味不明の説明をしているだけということなのです。

 物忘れの正体とそのメカニズム201244日に載せた私のブログからの引用です)

(夕御飯の支度をしている場面)冷蔵庫を開けたとたん、「あれっ・・・?」と思って、一瞬何をとるのかが思い出せない。(何をとるんだっけ?)。「あっ、豆腐だ!」)。

(トントンと2階に上がっていく場面) 部屋のドアを開けたとたん、「あれっ?」と思って、一瞬何をしにきたのかが思い出せない。(何をしようと思って来たんだっけ・・?)。「あっ!ハサミを取りに来たんだ!」)。   

年をとってきて、こうした「物忘れ」の起きる回数が次第に頻繁になってくると、気になってきます。(年のせいかな・・?)と思いつつも、ちょっと気になることがあるのです。何が気になるかというと、「認知症」です。「物忘れは、ボケの始まり」と、昔から言われてきたからです。その言葉が、心の隅に、引っかかるのです!

記憶は、「記銘」したものを「保持」して、それを「想起」してくると言う経路をたどります。「はっきりと記憶している」とか「すっかり忘れてしまった」とかいうことは、どの程度に記銘され、保持され、想起されるのかという個々の要素の機能レベルが影響している(個々の要素の相乗効果による)と私たちは考えています。

その中でも、「記銘」するときの記銘度が最も重要だと考えています。海馬に集められた認知内容の情報を記銘するとき、(記銘度が高いもの)であったなら、その記銘度に応じて「長期」に保存されるし、(記銘度が低いもの)であったなら、その記銘度に応じて「短期」にしか保存されないと考えるのです。「記銘」する(覚える)ときの「記銘度」が高い(よく記銘される)情報は、よく「保持」され、よく「想起」される(思い出される)のです。このことは、「記銘」した5分後に「想起」できる程度をチェックしてみれば、直ぐに分かります。「記銘度」が高い情報ほど、想起することが容易なのです。更に、よく「記銘」された(「記銘度」が高い)情報は、長期に記憶されるのです。専門家が言うような、(海馬が「選択」して、短期記憶と長期記憶とに区別している)からなどとは、考えられないのです。

「記銘度」は、記銘するときの状況(三本柱の機能の働きの度合い)に左右されます。記憶の対象となる認知情報を記銘する時、「意欲」が強く作用する内容であり、「注意の集中力」が深く作用する内容であり、「注意の分配力」が鋭敏に作用する内容であれば、「記銘度」が高くなるので、長期に保存され、想起しやすく、結果的に「長期記憶」となるのです。逆の場合は、記銘度が低くなるので、短期にしか保存されず、想起しにくく、結果的に「短期記憶」となるのです。もちろん、繰り返し海馬に送り込まれた同じような内容は、繰り返された回数が多いほど「記銘度」が高くなるので、其の分、より長期に記憶されることになるのです。

更に、私たちのデータによれば、MMSEの下位項目中、「前頭葉」の三本柱の機能の衰えを最も敏感に反映する項目である「想起」が、最も早く加齢により衰えていく項目なのです。そもそも、「記銘」自体が「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」という「前頭葉」の三本柱の機能の働き具合に大きく影響を受けます。そして、この三本柱の機能自体もまた「加齢と共に衰えていく」と言う性質を持っているのです(正常老化の性質)。そのため、年をとるにつれて、「覚える」こと(記銘)が難しくなっていき、「思い出す」こと(想起)も難しくなっていくことは、皆さん経験済みのことでしょう。加齢により衰えていくという両者の性質が、老化の物忘れと密接な関係があるということなのです。

「前頭葉」の三本柱の機能の一つに、注意の分配(いくつかの異なったテーマを同時に並行して処理すること)という機能があります。上述のように、老化の物忘れは、「記銘」するときの記銘度が低くなっていることに原因があります。その「記銘度」は、記銘するときの「注意の分配力」の働きの度合いに大きく左右されます。何かのテーマを記銘するとき、同時に心に浮かんでくる他のテーマ(心配事や関心事などの気になること)に注意がそれていたりすると、肝心のテーマの「記銘度」が低くなってしまうのです。「記銘度」が低くなった結果として、想起するのが難しくなる(思い出せない)、つまりは「忘れる」ことになるのです。これが、「老化の物忘れ」のメカニズムなのです。

「前頭葉」の三本柱の機能は、加齢とともに働きが衰えていく性質を持っているので(脳の使い方としての生活習慣の如何に関わらず、加齢とともに、機能が衰えていく)、記銘するときによほどそのことに集中できていないと(他のテーマに、より大きな注意が分配されていると)当該内容の記銘度が低くなります。そのメカニズムのもとで、年をとるほど、「物忘れ」が増えてくるのです。それが、「老化の物忘れ」なのです。ところで、「前頭葉」の機能レベルの判定と言う機会が持てないあなたに、簡便な指標を提供しましょう。そこで、一句 「物忘れ、反省と工夫が効けば、年のせい」 

「前頭葉」は、自分の置かれている状況を判断し、何をどのようにするかを組み立て対応する働きを持った脳の司令塔です。「物忘れ」が増えてきて、心配になったり、日常に支障が出てきたら、「忘れたらいけない大事なことは、メモする」という習慣を身につければいいのです。「アルツハイマー型認知症」が始まると、「前頭葉」の働きが最初に異常なレベルに衰えていきます。その「前頭葉」の機能が、正常な機能レベルであれば、自分の置かれている状況(度々物忘れすることで、支障が起きる)を判断して、そのことを反省したうえで、適切な対応を工夫をすることが出来るはずです(大事なことはメモをする)。これさえ出来るのであれば、物忘れがあっても、「認知症の物忘れ」ではなくて、「老化の物忘れ」にすぎないのです。

認知症の専門家とされる人達が言う「認知症の物忘れ」とは、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)のレベルで起きてくる記憶障害の症状のことを言います。重度認知症のレベルになると、「前頭葉」の機能は、殆ど働くことが出来なくなってきています。従って、自分が置かれている「状況を判断」することも、ましてや、反省に基づいた適切な対応の為の「工夫」をすることも出来なくなっているのです。「注意」が他にそれていなくても、廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきたことにより「前頭葉」を含む脳全体の機能が「大ボケ」のレベルにまで衰えてきていることに起因して、「記銘」すること自体が満足にできなくなっている為に起きてくるのが、専門家達が問題にしている「認知症の物忘れ」なのです。「上の一句」を何時もあなたの財布に入れておいて、「物忘れ」が気になったら、取り出して安心してください。

  注)本著作物(Bー66に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

  エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする