認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の早期診断による回復及び発病の予防を目的とした住民参加型の地域予防活動の提言(C-23)

2019-03-17 | 定年後の第二の人生をどう生きるか

(プロローグ)様々な種類が数有る認知症の内の90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」について、認知症研究の専門家とされる人達から『発病の原因が分からないし、症状を治せないし、発病自体を予防することも出来ないタイプの認知症である』とされていて、科学的な根拠がなく、憶測の類に過ぎない4つの仮説が横行しているだけで、加えて、世界中の製薬会社による薬の開発がことごとく失敗に終わっている状況の中で、何等の対策が実施されないことに因り、末期の段階での発病の診断、効きもしない薬の処方と投与並びにセルフケアにも支障が出てきていて日常生活面での介護が不可欠なお年寄りの介護費用等の総額が、天文学的な規模になってきているのです。

アルツハイマー型認知症」について、『早期診断により治せるし、発病自体を予防できるタイプの認知症である』ことを私たちが疫学的方法」により実証してきているのです。私達には権威もなく、情報の発信力にも乏しいのですが、「脳機能データ」の精緻さと「症例数」の多さ及び市町村での「実践による主張内容の立証」という点では、世界にも例がないレベルであり、近い将来に私たちの主張内容(『二段階方式』の考え方)が「世界標準」になると自負しているのです。「第二の人生」を送っていて、物忘れが気になるとはいえ、未だ「前頭葉」の機能が正常なレベルを保てていて、もし興味と時間があるお年寄りは、このブログを読んで、実践して頂きたいと思うのです。

(「提言書」内容の概要の説明)【政府に提出した『提言書』の内容は、分量が余りにも多いので、概要のみを此処に載せてあります】

&1 医師達が見つけている段階が『遅すぎる』だけ

(1) 認知症の診断が専門の医師から「治すことが出来ない」とされている「アルツハイマー型認知症」は、性質それ自体として治すことが出来ないタイプの認知症ではない。『治すことが出来ない』のは、見つけている段階が遅すぎるだけ(末期の段階で見つけている)

(2)米国精神医学会が策定した診断基準である『DSM4』の内容を鵜呑みにしていて(現在の「DSM-5」は、定義自体をあきらめたかのような曖昧で適用基準とはならない代物)、「第二要件」が規定する失語失認又は失行の症状を確認して初めて、「アルツハイマー型認知症」の発病診断する為

(3)「第二要件」が確認を要求している失語失認失行の症状は、30点が満点のMMSEの得点が一桁になる「お年寄りだけに確認される症状、『極めて重度の症状』。極めて重度の症状である失語や失認や失行の症状を出発点としていて、それ等の症状よりも更に重い症状だけが、「アルツハイマー型認知症」の症状だと考えている。そのこと自体が、重大な誤り。アルツハイマー型認知症の症状は、いきなり、失語や失認や失行の症状が発現してくる訳のものではない。もっと軽い段階の症状、『脳のリハビリ』により回復させることが可能であり、私たちの区分で言う本当の意味での早期の段階の症状、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の症状があることを知らないだけ。その上、「アルツハイマー型認知症」研究の専門家と言いながら、科学的な根拠がなく、発病との間の因果関係の立証もない、憶測に基づいただけの『仮説の類』(アミロイドベータの沈着により生じた老人斑の持つ毒性が、情報を連絡する役割を担っている神経細胞の大量死を惹き起こすことにより記憶障害が惹起される為に発病するとの仮説であり、現在の学界の通説であるアミロイドベータ説を筆頭に、タウ蛋白説、脳の萎縮説及びアセチルコリン説が主張されている)を追い掛け回しているのです。

&2 実際は、『早期診断』により治すことが出来るのです

アルツハイマー型認知症』は、早期診断(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」早期の段階発病を見つける)により、『脳のリハビリ』(「前頭葉」を含む脳全体が活性化する生活習慣、脳の使い方としての生活習慣の改善)を実施することにより、症状を治すことが出来るのです(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに引き戻すことにより、「アルツハイマー型認知症」の症状が消滅する=治る)。

&3 発病のごく初期の段階である小ボケ」(軽度認知症)の段階の症状

(1)「小ボケ」の段階を脳の機能面から定義すると、MMSEで判定される左脳及び右脳正常な機能レベルに在るのに対して、私たちが独自に開発した手技である『かなひろいテスト』で判定される『前頭葉』の機能だけが既に異常な機能レベルに在るのです。

(2)『前頭葉』は、脳全体の司令塔の役割を担っていて、左脳右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車の『御者』が「前頭葉」という脳機能。意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す世界の要である『意識』を創出し、構築し、支配し、統合し、統括していて、脳全体のコントロールタワーの役割を担っているのが『前頭葉』(「前頭前野」を言う)という脳機能。従って、手足の役割でしかない左脳右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルに在ろうとも、司令塔の「前頭葉」の機能が異常なレベルに在る「小ボケ」の段階の症状は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの直接の反映であるアウトプットそれ自体が認知症の症状、「アルツハイマー型認知症」の症状となるのです。

)『小ボケ』の段階の症状は、単なる老化現象ではないし、一部の学者が提起しているような単なる行動の不活発病とか揶揄されるべきものではない。MMSEで判定すると左脳及び右脳の機能は正常なレベルであるものの、『かなひろいテスト』を実施してみると、『前頭葉』の機能が異常なレベルに在ることが確認できるのです。前頭葉の機能レベルが正常であるか異常であるかを、精緻なレベルで判定しさえすれば容易に鑑別できるものを、MMSEだけでお茶を濁しているから判別できないだけなのです。

&4 正常から認知症へと徐々に移り変わる関連領域を詳細に分析

(1)  厚労省精神科を持つ大病院だけを『老人性痴呆疾患センター』に認定した為もあり、当時は「アルツハイマー型認知症」が精神疾患と考えられていたこともあって、精神科が診断を行ったのです。唯一の例外が、浜松医療センター脳外科だったのです。私たちは、脳外科を専門として出発し、脳外科でありながら、途中から、認知症の診断を行うようになっていったのです。それが原因で、日本中から、軽い症状の人達から重い症状の人達までもが、雪崩を打って、訪れてきたのです(日本中の患者を桁違いの数、極めて多数診断)。その結果、ごく初期の症状に目が行き、その段階を精緻に判定できる手技を開発し、正常な機能レベルに引き戻す(アルツハイマー型認知症の症状を治す)というテーマを追求し、最初は、施設の入居者であった中ボケのお年寄りを対象とし、最終的には市町村での地域予防活動(小ボケ及び中ボケという早期の段階で発病を見つける早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした活動)へと進化していったのです。

(2)私たちは、極く初期の『軽い症状』の患者の場合の観察として、『器質的な原因病変が存在していない』こと、『記憶障害の症状が確認されない』こと及び『「注意の分配機能」に支障が起きた症状であることが特徴的』であることに注目したのです(正常から異常に移行する境界を含む早期の段階を中心に研究したのです)。『DSM4』の規定や『4つの仮説』が極めて重度の症状に関心を持ち出発点としたのとは正反対に初期の段階の軽い症状に関心を持ったのです。

(3)初期の症状関心を持ち、『前頭葉』の機能に的を絞ったからこそ、発病及び症状の重症化が進行する原因である単調な『生活習慣』の継続に起因した廃用性の機能低下という核心的な要因に気づくことが出来たのです。更には、『「治す」ことが出来ないし、発病自体を「予防」することが出来ない』とする学説の主張内容が重大な誤りであり、『「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症こそが、早期診断により治せるし、発病を予防することが出来る』ことを、世界で初めて解明し疫学的に実証することが出来たのです。

(4)「二段階方式」が市町村に導入され実践されるケースが相次ぎ、北海道から九州までの全国規模での導入と実践展開が急速に広まっていったこともあり、保健師さんに実践してもらう為、内容をより深く体系的なものに改訂しつつ、より使い易い物へと変化させていき、実践の手引きとなる『マニュアル』を何度も改訂したのです。

(5)DNAの98%が同じとされるチンパンジーと人間を区分けるのは、『注意の分配力』の機能の有無なのです。『前頭葉』の個別認知機能が実際に働き及び十分な機能を発揮するには、意欲、注意の集中力の機能は勿論のこと、『注意の分配力』の機能が存在し、正常に機能することが絶対的な条件となるのです(実行機能の発揮度を左右する二重構造の問題)。

(6)現在置かれている状況を分析し、理解し、判断するにも、その時の状況判断に沿った「テーマ」を発想するにも、発想した「テーマ」の実行内容を企画し、計画するにも、実行した際の結果の洞察推理シミュレーションをするにも、シミュレーションの結果に基づいた選択を行って、最終的な実行内容を決定するにも、『注意の分配力の働き無しには、それらのいずれをも無し得ないこととなるのです。『加齢』による老化の際も、更には、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下が進行する際も、この『注意の分配力』の機能が真っ先に衰えを開始していくのです。

&5 脳の使い方としての生活習慣に起因した廃用性の機能低下

(1)アルツハイマー型認知症」の発病原因は、一つには加齢起因した機能低下という要因であり、もう一つ別の要因は、脳の使い方としての「生活習慣」なのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下という要因、異なる二つの要因が同時に存在し充足される条件下で、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性加速度的異常機能低下を進行させていくことが発病を惹き起こし及び症状の重症化進行の直接の原因であることを突きとめ、「脳機能データ」の解析により理論的に解明し、『マニュアル』の作成により実務化し、市町村による住民参加型の『地域予防活動』として疫学的方法により実証してきているのです(北海道から九州に跨る市町村、累積数で452の市町村での実践指導による実証)。

(2)廃用性の機能低下が必須要因である「アルツハイマー型認知症」の場合、症状は、徐々に緩やかにしか進行していかないのが特徴。最初の段階、ごく初期の段階を捉えるには、「前頭葉」の機能、就中、『注意の分配力』を中核とした(意欲及び注意の集中力)の機能レベルを精緻に判定する「手技」が要求されるのです。『小ボケ』の段階を判定するには、PETでも無理なこと。機器の活用で医療機関が見つけているのは、『脳のリハビリ』により回復させることが可能な「早期の段階」(小ボケ中ボケの段階)ではなくて、回復させることが最早困難であり、末期の段階である「大ボケ」の段階なのです(発病という「レッテル張り」以上の意味のない診断なのです)。

&6 回復させることが未だ可能な中ボケ(中等度認知症)の症状

(1) CTやMRIやPET等の機器を使用することにより、高額の診察料を稼ぐことは出来るのですが、回復させることが可能な早期の段階である「小ボケ」や「中ボケ」の段階で見つけることは出来ないのです。肝心要の「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定出来るのは、世界中を見渡しても、私達の「かなひろいテスト」しか存在していないのです。

(2) 「アルツハイマー型認知症だけを対象として(特化して)、それに対する早期診断と回復並びに発病の予防を目的とした活動の指導、市町村が実践する、「二段階方式」の考え方に基づき及び「二段階方式」の手技の活用による住民参加型の『地域予防活動』では、CTやMRIやPETの機器の使用が不要であるだけでなく、薬の処方も不要となるのです(全ての業務が、医師法が規定する医行為を含まないので、医師でない保健師さんが全業務を担当し管理できることが、『二段階方式』の手技活用の大きなメリットなのです。その上、費用が極めて安価で済むのです)。

(3) 全国452の市町村で実施された、「二段階方式」の考えに基づき、「二段階方式」の手技を活用した、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の地域予防活動保健師さんが業務として実施することについて、医師や、医療機関からクレームが提起されたことは皆無なのです。

(4)アルツハイマー型認知症に特化して、更には、脳のリハビリにより回復させることが可能である早期の段階(小ボケ及び中ボケ)の発見(早期診断)及び生活習慣の改善の指導並びに発病の予防だけを活動及び業務実施の対象としていて、アルツハイマー型認知症の末期の段階(大ボケの段階)並びにアルツハイマー型認知症以外の認知症及び認知症と紛らわしい他の病気であることが確認される場合は(「二段階方式」の手技により判定することが出来るので)、全て、関連する病院に紹介することがマニュアル化されているのです(両者の棲み分けによる共存の関係が構築できるのがメリット)。

 &7 回復させることが困難な「大ボケ」(重度認知症)の症状

重要なことは、「大ボケ」の症状が確認されるまでに、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが低下すると、最早治すことは出来なくなるのです。『DSM-4』の第二の要件の規定に依拠して診断を行う医師達は、失語失認失行の症状と言う「大ボケ」の更に後半にならないと発現が確認されない極めて重度の症状』の確認待って初めて「アルツハイマー型認知症」の発病と思い込んでいる為、『「アルツハイマー型認知症」は治らないもの』と信じ込んでもいるのです (そのこと自体が、『重大な誤解』だとも知らないで)。

&8「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

(1) 第一の人生では、左脳が主役となります。ところが、左脳が専管する「仕事」とは無縁となる『第二の人生』を送っている60歳を超える年齢の『高齢者』(私たちが定義する発病の「第一の要件」)が、何かを「キッカケ」にして、何事に対しても意欲』を喪失してしまい、『前頭葉』を積極的に使わない(前頭葉の出番が少ない)ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」を継続していると(私たちが定義する発病の「第二要件」)、出番が極端に少なくなり使われる場面が大幅に減った前頭葉」が、廃用性の機能低下を進行させていき、異常なレベルに機能低下が進行していきます

(2) 『加齢』の進行に起因した脳の老化(機能低下)という『第一の要因』に加えてナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』が継続されることによる「廃用性」の機能低下の進行という『第二の要因』の加重により、『前頭葉』を含む脳全体の機能の老化(機能低下)が加速され、働きが急速に衰えていきます。異なる二つの要因が同時に存在し、充足される相乗効果により、『前頭葉』を含む脳全体の機能が廃用性加速度的異常機能低下を進行させていくその先に、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行が待っているということなのです(即ち、何等の「器質的な原因病変」は存在していないし、「DSM-4」が第一要件で確認を要求する「記憶障害」が発病の原因でもないし、「4つの仮説」が発病原因と主張する内容と発病との間に『因果関係』が存在していないのです)。

)『第二の人生」を送っていることが発病の要件となるのです。高齢者であっても、『仕事」が現役である(肩書だけを除く)お年寄りは、アルツハイマー型認知症を発病することは無いのです。「仕事の遂行」と言うテーマがある(奥深い山中での畑仕事でも同じこと)ので、『注意の分配力』の機能の出番が多い生活になるのです。

(3)私たちが主張する「二段階方式」の主張内容(「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する老化廃用型の「生活習慣病」であり、早期診断により治せるし発病自体を予防することが出来る)は、北海道から九州に跨る全国452の市町村での先駆的な活動である住民参加型の「地域予防活動」の実践展開により、疫学的に証明済み

(4)「加齢」に起因した機能低下(正常老化)のカーブ(下記左側の図)とナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下(異常な機能低下)加重された廃用性の加速度的で異常な機能低下のカーブの図(下記右側の図)を参照。

加齢に起因した『老化のカーブ』とは、全く異なるカーブであり、小ボケ、中ボケ及び大ボケの各段階の症状の根底には、「前頭葉」を含む脳全体の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下という要素が、核心的な要因として横たわっている(私たちの主張の根拠は、14689例の「アルツハイマー型認知症」発病者の『脳機能データ』)。

☆加齢による機能低下のカーブ ☆廃用性が加重された機能低下のカーブ

       

)『加齢』に起因した「前頭葉」機能の機能低下のカーブの場合は、それだけでは、異常なレベルにまでは衰えていかないのが特徴。加齢に起因した機能低下の要因と廃用性の機能低下の要因という、両者の同時存在により、加速度的で異常な機能低下のカーブとなる。

(5)「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳全体の機能が活性化する「生活習慣」の改善)による回復の可能性と言う視点から、私たちは、「アルツハイマー型認知症」の症状を『三段階』に区分しているのです。

「小ボケ」の段階 「脳のリハビリ」により治すことが、比較的容易

「中ボケ」の段階 「脳のリハビリ」により治すことが、未だ可能(但し、家族の密な関わりが不可欠)

大ボケ」の段階 「脳のリハビリ」により治すことは、最早困難

認知症の診断が専門の医師達は、末期の段階の大ボケの症状を基準に発病と診断するので(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階を見落としているので)、『治らないものと誤解している』のです。

&9 「DSM-4」及び仮説の提唱者に対する問題の提起

(1)世界中の認知症研究の専門家達が、『アルツハイマー型認知症』の発病原因についての『DSM-4』の第一要件の規定内容が正しいものとして受け入れ、加えて、第一要件の内容が正しいものとの前提に立脚した仮説、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウタンパク説及び脳の萎縮説の「4つの仮説」が提唱されて来たのです。私たちは、「DSM-4」の規定内容も、4つの仮説も、科学的な根拠がなく誤った内容であり、『憶測にすぎない』と考えています。その根拠は、私たちが集積した14689に上る「アルツハイマー型認知症」発病患者の「脳機能データ」の解析結果及び事象事実なのです。

(2)「前頭葉」の機能が最初に衰えて行き、小ボケの段階の症状は、前頭葉の機能障害に起因したものであり、記憶障害の症状ではない。

(3)「MMSE」で判定される左脳及び右脳の機能について、衰えて行く厳密な以下の順番が存在する。その順番は、どのケースでも必ず

    想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、図形の模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名となる。

(4) 発現する症状が「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに、厳密にリンクしたものとして、順次重いものになっていく

(5)症状を「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクさせると、小ボケ中ボケ及び大ボケの3つの段階に区分され、「脳のリハビリ」の実施による回復の可能性は、小ボケ(比較的に容易)、中ボケ(未だ可能)、大ボケ(もはや困難)となる

(6)「小ボケ」の段階の症状が発現する期間は大体3年間で、「中ボケ」の段階の症状が発現する期間は大体23年間という「滞留期間」について標準的な期間が存在する

(7) 「注意の分配力」の機能の高度な発揮が要求される立方体透視図の模写』の場合は、早々とできなくなっていく(中ボケの後半、MMSEの得点が20点を切ると、殆どの人が出来なくなる)のに対して、「注意の分配力」の機能が関わらない五角形相貫図の模写』の場合は、「中ボケ」の末期までは出来る人の方が多く、「大ボケ」に入って初めて(MMSEの得点が13点以降の人達から)出来ない人の方が多数派となっていく。

(8)上述の事象事実として確認される(2)乃至(7)の内容を、科学的に、合理的に、体系的に、論理的に、且つ、矛盾なく説明できるのは、『「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「老化廃用型の生活習慣病」であり(但し、食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣病」であることに留意する)、早期診断により治せるし、発病を予防することが出来る』と主張する私たち独自の考え方、『二段階方式』の考え方だけなのです。4つの仮説のいずれもが、事象事実としての上記(2)~(7)を合理的に説明することは不可能なのです。

二段階方式』の考えは、権威がないことと情報の発信力に乏しいだけであり、全国規模での展開、北海道から九州にまたがる452の市町村において、『「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」』として実践展開されてきている中で、主張内容の正しいことが、疫学的に実証されてきているのです。

&10 アルツハイマー型認知症の症状からの回復及び介護の予防

(1)   さて、『治すには、どうしたらいいのか』。第一の条件は、『早期診断』なのです。『脳のリハビリ』により回復させることが可能である本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「小ボケ」(治すことが比較的容易)及び「中ボケ」(治すことが未だ可能)で見つけることが大前提なのです。末期の段階である「大ボケ」で見つけて居たのでは、「治すことはもはや困難」なのです。権威が言うことを鵜呑みにしないでいただきたいのです。『アルツハイマー型認知症は、性質それ自体として治すことが出来ないものではない』のです。「DSM-4」の規定の第二要件を鵜呑みにして、失語や失認や失行の症状と言った、(30点が満点のMMSEの得点が一桁になるまでに『前頭葉』を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきている)極めて重度の症状の確認を待って初めて発病と診断していることが重大な誤りなのです。治すことが出来ないのは、見つけて居る段階が遅すぎるだけなのです』。MCI(軽度認知障害)という考えも、憶測であり、客観的な基準ではないのです。

(2) 早期の段階で見つけたとして、治すということについての具体的な処方箋はあるのかということなのですが、普遍的な表現を借りれば、発病前の本人が日々行っていた『元々の生活習慣』に引き戻すということが、その人のその症状を治すための「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに戻すための)処方箋なのです。

(3)『自分なりの「生き甲斐」や喜びがあり、それなりに時間が経つのを忘れて打ち込むことが出来るような、何等かの趣味や交遊や運動を自分なりに楽しみ、或いは、居住地域での地域活性化活動に関わり、自分なりの「目標」がある日々の暮らし方』という、『元の生活習慣』に引き戻すことが、治す為の『処方箋』になるのです(保健師さんによる脳の使い方としての生活習慣の改善指導が不可欠となる。発病前の本人の暮らし方を詳しく聞き取り、現在置かれている状況の下での「最善策」を探り、実行させるのです)。

1)発病及び症状重症化の進行のメカニズムから言うと、症状を治したり、症状の進行を遅らせたり、或いは、発病を予防する効能を有するが開発されることは、未来永劫有り得ない事なのです。

2)最近になって、AI技術の駆使による主張である、カロリンスカ研究所やランセット委員会や、我が国で言うと、国立精神・神経医療研究センターが唱えだした内容、「生活習慣」がアルツハイマー型認知症発病の危険因子であるというのが正しいのです。

(4)『治す為の条件』を、脳の機能面から説明すると、「前頭葉」を含む脳全体が活性化する『生活習慣』を取り戻し、継続させることなのです。ナイナイ尽くしの単調な生活が始まる『キッカケ』となる「生活状況」が発生する以前に営まれていた脳の使い方としての生活習慣、『その人の発病前の「生活習慣」を取り戻してあげる』ことなのです。「前頭葉」の出番が極端に少ない「生活習慣」が原因で廃用性の機能低下が進行した逆を行くのです。「キッカケ」の発生前に営まれていた、その人なりの生活習慣、脳の使い方としての『元々の生活習慣』を取り戻させることが『有効な対策』となるのです。

(5)『自分なりの生き甲斐」や喜びがあり、それなりに時間が経つのを忘れて打ち込むことが出来るような、何等かの趣味交遊運動自分なりに楽しみ、或いは、居住地域での地域活性化活動に関わり、自分なりの目標」があった日々の暮らし方』という、『元々の生活習慣』に引き戻すことが、症状を治す為の『処方箋』になるのです(保健師さんによる脳の使い方としての「生活習慣」の改善指導が不可欠となる。発病前の本人の暮らし方を詳しく聞き取り、現在置かれている状況の下での「最善策」を探り、実行させるのです)。

何らかの事情により、元々の生活習慣を取り戻すことが困難な状況にある場合は、それに代わり得るもの(趣味、遊び、交遊、運動、社会活動)を出来るだけ早く見つけることが有効な対策となります。

(6)『脳のリハビリ』により前頭葉を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに引き戻すことが出来る(「アルツハイマー型認知症」の症状を治すことが出来る)のは、「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階のお年寄りなのです。「アルツハイマー型認知症」も、普通の疾患と同じこと。『早期発見、早期治療』が不可欠となるのです。小ボケ及び中ボケの段階で見つけることが出来た場合は、上述のように、「脳のリハビリ」を実施することにより、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに引き戻すことが可能であり、そのことによって、「アルツハイマー型認知症」の症状を治すことが出来るのです(「前頭葉」を含む脳全体の機能が正常な機能レベルに回復することにより、「アルツハイマー型認知症」の症状が消滅する)。

(7) 何等かの理由や状況により、「脳のリハビリ」を実施しても治すことが出来なかった場合は、末期の段階である「大ボケ」の段階にまでは落とさないことが重要な目標となります。中ボケ(家庭生活にも支障)までの段階で留めておくことが出来れば、介護は不要なので、『介護の予防』という大きな成果を獲得することが出来るからです。『脳のリハビリ』を実施したにも拘らず何らかの理由で治すことが出来なかった場合でも、「大ボケ」(セルフケアにも支障)にしないことにより『介護の予防』という成果が得られるのです。

&11 「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する方法

ⅰ)発病を予防する為の「生活習慣」の構築「五ヶ条」  

①   熱中し夢中になれる、趣味や遊びをできるだけたくさん体験し;

②   趣味や遊びを通じて、できるだけ多くの仲間と交わり;

③   趣味や遊びや人付き合いや地域活動に、「生き甲斐」や「目標」や「喜び」を見つけて;

④   精神的な張りと緊張感のある毎日を過ごしながら;

⑤   速足の散歩やラジオ体操など、毎日、運動するのです。

ⅱ)発病の予防に関心を向けさせる為の鈎となる「交流の駅」の設営

(1) 早期診断(本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で発病を見つけること)により、実際に治して見せることが極めて重要なのです。『「アルツハイマー型認知症」は、仕事とは無縁となる「第二の人生」での脳の使い方としての「生活習慣」が、発病させたり、症状を治したり、発病を予防する上で、唯一絶対的な要因である』ことを地域住民に対し情報発信していくのです。「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて(早期診断)、『脳のリハビリ』(「前頭葉」を含む脳全体が活性化するための「生活習慣」の改善とその継続)としての「生活習慣」の改善により実際に治して見せる事が、発病自体の『予防』というテーマに関心を喚起することとなり、更には、『発病の予防』対策、即ち、『「前頭葉」を含む脳全体が活性化する「生活習慣」の構築とその実践』という「テーマ」に対しても関心を喚起し、努力させることに繋がるのです。

(2)その為の効果的な方法が、出来るだけ小さな『地域単位』で展開する住民参加型の『地域予防活動』の密な展開ということなのです。出来るだけ大きな効果を獲得するには、お年寄りが歩いて行き帰りできる距離に、頻繁に活用できる「交流の場」と「交流の機会」を提供する為の『交流の駅』を建設し、設営することが、反復し、継続するという重要な条件獲得上不可欠となるのです。その場にいること自体が、「他人との交流」を促し、必然的に、「前頭葉」の出番を多くすることに直結するのです。第二の人生を送っていて、暇を持て余しているお年寄り同士の交流、カクシャク老人との交流、若い世代との交流の場を提供するのです。家族間の、世代間の交流さえも少なくなってきている状況の打破にもつながり、お年寄りが多い地方の地域の活性化を呼び起こすのです。『人的な交流の活発化が、物的及び金銭的な活発な流れをも引き出し、地方の地域の活性化による「地方の創生」にもつながる』と考えるのです。 

注1)全国452の市町村の指導を副所長独りで担当という状態下では、『二段階方式』の手技を活用して『地域予防活動』を推進する保健師さんに対しての十分な『個別指導』を為し得なかったとの反省から、「二段階方式」の手技による『個別事例の判定と脳の使い方としての「生活習慣」改善の指導』及び『ボケ予防講演会』の講師を担当できる『女性の専門職集団』を養成したいと考えるのです。

注2)認知症の専門家達から『発病の原因が分からないし、症状を治せないし、発病を予防することが出来ない』とされている「アルツハイマー型認知症」について、早期診断による回復及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の『地域予防活動』の全国展開の為の要石として、女性の専門職集団が活躍することにより、『女性が活躍する社会』を実現する牽引車となり、更に、「早期診断により、症状を治す」ことが、「発病の予防」に直結して、現状においては、要介護に陥った場合の自己費用の負担を心配して、日常行動を抑制し、費用の出費を抑制し、貯蓄に走る「お年寄り」の行動を転換させ、家に籠り勝ちの生活から家の外に出て行く生活に変えさせることにより、「交流の駅」を拠点にして、交遊し、獲得した仲間と共同して行う、地域の催事や祭りの復活等の地域興し活動が『地方創成』にも貢献すると考えるのです。

注3)お年寄りが居住地から歩いて行き来できる程の場所に、間伐材と竹で構築した平屋建ての家を建設し、開放するのです(閉鎖された学校の再活用策も有効)。交流の促進を目的とした『交流の駅』を建設し、更に、『お年寄りの脳のイキイキ度チェック』を恒常的に実施し、早期診断による回復と発病の予防を徹底する制度の国策化を検討して頂きたいのです。丁度、血圧や体重を何時でも簡便に測定できるのと同様に、お年寄りの「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを「二段階方式」の手技の活用により簡便に/精緻に判定し(脳のイキイキ度チェック)、必要な場合は、脳の使い方としての「生活習慣」の改善の指導が行える場所にしたいと考えるのです。『発病自体を予防し及び早期診断により回復させる』ことが先決となるべきなのです。

(3)二段階方式」の手技を活用した市町村による「地域予防活動」を展開するすべての市町村が体験することが有ります。「前頭葉」が活性化する「体験教室」として運営される『脳イキイキ教室』への参加者が、異口同音に発する言葉があるのです。『こんなに声をあげて笑ったことは、これ迄何年間も体験しなかったこと。教室に参加して、皆さんといろいろな世間話をするのが楽しくて、私の脳が生き返ったような気がする』という共通の認識であり、言葉なのです。「仕事」とは無縁になる「第二の人生」では、何か特別の「テーマ」というものが無くて、暇を持て余す日々。『時間だけは余る程有るのに、することが無い』毎日を過ごして暮らすことになり、『家に籠り勝ちの生活』が続くことになるのです。実は、そうした生活、暮らし方、脳の使い方としての『生活習慣』が、ボケの予備軍の創出、「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」(私たちが規定する、「アルツハイマー型認知症」発病の「第一の要件」)達の「生活環境」或いは、「生活習慣」を「アルツハイマー型認知症」を発病し易い生活状況に導き、落とし込んで行っているのです。

ボケの予防対策、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する第一歩となるのが、「家に籠り勝ち」のお年寄りを家の外に追い出して、他人と交わる場に出かけさせて、他人と交わる機会を与えることなのです。そこで必然的に「社会生活」に遭遇することとなり、「前頭葉」機能の出番、就中、『注意の分配力』の機能の出番が増えてくると言うことなのです。

(4)老化による脳の機能低下であれ、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下であれ、最初に衰えを開始してくるのは、注意の分配力の機能なのです。そうした視点及び問題意識により提案するのが、『交流の駅』の建設であり、運営なのです。交流の駅の運営費用は、市町村が負担し(原資となるのは、「介護関連の総費用」の金額の減額により獲得される資金)、運営は、地域に居住するボランティアが(自己のボケ予防対策ともなるので)主導しつつ保健師さんと協働するのです。その場合、当の保健師さんは、「二段階方式」の考え方に基づいて、「二段階方式」の手技を活用して、教室参加者であるお年寄りの『脳のイキイキ度チェック』(必要な個別のケースでは、「生活習慣」改善の為の具体的な指導を行う)が主たる業務となるのですが、運営も協働することが、『「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とする住民参加型の「地域予防活動」事業』の円滑な運営に寄与することにもなると考えるのです(交流の場と機会を与える『交流の駅』の建設は、空き地、廃校の活用、空き家の借り上げ)。

(5)日常的に他人と交わる機会を持つことが、『ボケ予防』の第一歩(の発病の予防)となるのです。

1)「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて(早期診断)、『脳のリハビリ』(「前頭葉」を含む脳全体が活性化するための「生活習慣」の改善)により実際に治して見せる事が、発病自体の『予防』というテーマに地域住民の関心を喚起することとなり、更には、『発病の予防対策』ともなるのです。即ち、『「前頭葉」を含む脳全体が活性化する「生活習慣」の構築』という「テーマ」に対しても、地域住民の関心を喚起することに直接の効果として繋がるのです。『発病自体の予防の制度化、早期診断による回復及び介護の予防の制度化』を政策課題としてご検討頂きたいのです。

(6)最も効果的な一次予防対策となるのが、出来るだけ小さな『地域単位』で展開する「アルツハイマー型認知症」対策に特化した住民参加型の『地域予防活動』の密な展開ということなのです。

1)『発病自体を予防し及び早期診断により回復させる』ことが先決となるのです(介護関連の総費用の減額について、回復と予防による効果が極めて大きい)。最優先の政策課題として頂きたいのです。何らかの理由で「大ボケ」の段階にまで症状が進んだお年寄りについては、その全員を対象としての「介護保険」制度の全面的な適用により、「老老介護」、「認認介護」、「介護離職」と言った超高齢社会で初めて発現した社会悪一掃することが可能と考えるのです。

2)その場合、当の保健師さんは、「二段階方式」の考え方に基づき、「二段階方式」の手技を活用して、予防教室参加者であるお年寄りの『脳のイキイキ度チェック』(必要な個別のケースでは、「生活習慣」改善の為の具体的な指導を行う)が主たる業務となるのです(「アルツハイマー型認知症」の発病について、原因不明とされたままで放置されていることにより、介護関連の総費用の額が増大する一方であり、『早期診断による回復及び発病の予防』が喫緊の課題)

&12早期診断による回復と発病の予防を目的とする「地域予防活動」

(1)国が指定し、当事者が望む組織と私たちとが共同して、例えば、東日本大震災の被災地であった市町村50と被災しなかった日本海側の市町村50とを併せた100の市町村で、『二段階方式』の考え方に基づき、「二段階方式」の手技の活用による『「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」の実践』を3年間行うこと。「二段階方式」の考え方が正しいことの検証並びに「二段階方式」の手技の活用により、早期診断により治せること及び発病自体の予防が可能であることを検証する為のPRJである『検証PRJ』 の実施が有益。

(2)検証PRJの実施により、「二段階方式」の考え方が正しいことが実証され、権威ある機関との共同作業の実施により検証されることにより、『地域予防活動』展開の要となる保健師さんが自信を持って活動できるだけでなく、『地域住民自身』も積極的に活動に参加することとなり、地域予防活動の展開を支える役割が期待される『地域のボランティア』が参画してくれる下地が出来ると考えるのです。

(3) 早期診断(本当の意味での早期の段階である小ボケ及び中ボケの段階で発病を見つけること)により、実際に治して見せることが極めて重要なのです。『「アルツハイマー型認知症」は、仕事とは無縁となる「第二の人生」での脳の使い方としての「生活習慣」が、発病させたり、症状を治したり、発病を予防する上で、唯一核心的な要因である』ことを多数の地域多数例により実際に治して見せることによって、地域住民全体に対し情報発信するのです。治して見せることが、『脳の使い方としての生活習慣』が発病の唯一で核心的な危険因子であることのインパクトある説得力を生むのです。

&13「地域予防活動」全国展開の為の『Model 事業PRJ』の実施

『Model事業PRJ』の実施により、簡便に実施する手法の工夫と改善及びそうした手法のパターン化及びモデル化(標準化)を徹底させることが、この先導入市町村が急速に拡大していく上で不可避的に起きてくる実施品質のバラツキを抑制し、早期診断による回復及び発病の予防についての成果のバラツキを抑制することにも繋がると考えるのです(過去の体験が示す重要な視点)。実施地域が増えていくにつれて、二段階方式の手技を実施する保健師さんの質の低下が不可避的に起きてくるので、質の低下を補うためにも、パターン化及びモデル化が重要な対策となるのです。

 本著作物「Cー23」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。このブログ中の内容の一部を引用する際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします。

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アルツハイマー型認知症の発病原因、症状からの回復、介護の予防及び発病の予防を脳の機能データ面から実証【C-22】

2019-03-11 | 定年後の第二の人生をどう生きるか

第1章 脳の老化と加速のデータが示すアルツハイマー型認知症発病のメカニズム

Ⅰ.脳の働きとそのアウトプットである行為や行動(異常な「症状」)との関係

1.    脳の各部の機能とその概要

頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す運動の脳があります。脳卒中で、半身麻痺になる人がいます。運動の脳の左の部分が壊れると、右半身麻痺が起きます。右の部分が壊れると、左半身麻痺が起きます。

脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする為の左脳があります。左脳は、言葉や計算や論理や場合分けなどのデジタルな情報を処理しているのです。

脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあい等を楽しむ為の右脳があります。右脳は、色や形や空間の認知、或いは、感情の授受や表出などアナログな情報を処理しているのです。

額のところには、『前頭葉』(前頭前野)という脳機能があります。「前頭葉」には、自分が置かれている状況を分析し理解したり、当該状況下での為すべき「テーマ」を発想したり、実行の計画をしたり、実行の仕方を工夫したり、実行の決断をしたり、注意を集中したり、注意を分配したり、感情を抑制したり、感動したり等色々な働きが詰まっているだけでなくて、もう一つ、脳全体の『司令塔の役割』という大事な働きがあります。

2. 脳全体の『司令塔の役割』を担うのが「前頭葉」

周りの状況を分析し、理解し、判断して、どのようなテーマをどのように実行するのか、運動の脳をどのような目的の為にどのように働かせるか(身体を動かすテーマ)、左脳をどのような目的の為にどのように働かせるか(言葉や計算や論理や場合分けなどのテーマ)、右脳をどのような目的の為にどのように働かせるか(色や形や空間や感情などのテーマ)、全ては司令塔の『前頭葉』が判断して決めているのです。

老人会でゲートボールを楽しむ時も、お茶を飲みながら友達と趣味や遊びや政治問題等の世間話に花を咲かせる時も、家の周りに樹木を植えたり草花を咲かせたりして楽しむ時も、脳全体の司令塔の「前頭葉」が、周りの状況を判断して「テーマを発想し、何をどのようにするのかを決めて、必要な指令を出している」のです。これが、『意識的な行為や行動』の世界における脳の働き方のメカニズムなのです。実は、このメカニズムこそが、「アルツハイマー型認知症」の発病と密接不可分の関係にあることが見落とされている(気づかれないでいる)のです。

言い換えれば、左脳、右脳、運動の脳が牽引する三頭建ての馬車をあやつる「御者」の役割をしているのが『前頭葉」なのです。三頭の馬を十分に働かせられるのも、不十分にしか働かせられないのも、「前頭葉」の働き次第ということになるのです。御者が馬をあやつれなくなったら、どうなりますか?・・・馬はどこへ行ったらいいのか分からなくなってしまうでしょう。「前頭葉」を含む脳全体の働きが異常なレベルに衰えてきて、社会生活や、家庭生活やセルフケアにも支障が起きてくるのが「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症なのです。脳の司令塔の「前頭葉」がちゃんと働かなくなった時点で、ほんの少し前に食事をしたばかりなのに、そのことさえ思い出せないような重度の記憶障害の症状が出てくるようになる段階、それよりもはるか前の段階で、『アルツハイマー型認知症』はもう始まっているのです(認知症としての症状が発現してきている)。「アルツハイマー型認知症」の原因を見つけるにも、早い段階(小ボケ及び中ボケの段階)で見つけて治すにも、介護の予防及び発病の予防にも、「脳の働きという物差し」が不可欠になるのです。

Ⅱ.加齢による正常老化と「アルツハイマー型認知症」の発病による段階的症状の発現

1.    「前頭葉」の老化曲線(「正常老化」の曲線)

脳全体の司令塔で、状況を分析し、理解し、判断したり、状況判断に沿った「テーマ」を発想し、実行する為の計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の個別認知機能(『実行機能』と総称される)、中でも、『実行機能』を正常に機能させる上でとりわけ重要な働き、実行機能の発揮度を左右し、下支えしている機能である(実行機能の機能発揮上の二重構造の問題)「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能には、以下に示すように(「意欲、注意集中力と注意分配力」のグラフのカーブが存在)、「加齢」の進行とともに働きが老化し、衰えていく(機能が低下していく)という性質があるのです。

18歳から20歳までがピークで、20歳を過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくのです。 「第二の人生」が始まる60代後半にもなると、「前頭葉」の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳の頃に比べて、働きが半分以下になっているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、前頭葉の働きがさらに衰えていく、正常な機能範囲内とはいえ、どんどん低空飛行になっていくという性質(「正常老化の性質」)が確認されるのです。

様々な種類が数ある認知症の内の大多数、90%以上もの割合を占めていて、皆さんが日常よく目にしている『アルツハイマー型認知症』の正体は、脳の老化という問題が基本にあるのです。「脳の老化」という問題が基本にあるから、アルツハイマー型認知症は、若者には関係なくて、お年寄りだけが発病の対象になるのです

2.    アルツハイマー型認知症の三段階(廃用性の加速度的で異常な機能低下)

(1)   厚生労働省の発表によると、認知症のお年寄りの数は2018年12月末現在で600万人超といわれています。600万人超もの認知症のお年寄りとは、自分が住んでいる家が分からなかったり、同居の家族の名前や顔も分からなかったり、ズボンを頭から被ってみたり、トイレの後始末も自分でできないで、セルフケアにも介助が要る、アルツハイマー型認知症の末期段階の人達、エイジングライフ研究所の区分で言う重度認知症(「大ボケ」)の人達だけの数なのです。アルツハイマー型認知症の早期段階として私たちが問題にしている軽度認知症(「小ボケ」)と中等度認知症(「中ボケ」)は、その数に入っていないのです。

(2)   認知症とは、「一旦完成された脳機能が、何らかの原因で全般的に機能が低下し、社会生活や家庭生活やセルフケア等に支障が起きてくる病気」と定義されています。つまり、もともとは正常な社会生活を営んでいた人に起きてくるものである以上、現在セルフケアもおぼつかなくなっている人であっても、過去に遡れば正常であった時期があり、発病後に症状が次第に重症化していった結果だということなのです。

(3)「アルツハイマー型認知症」は、症状が徐々に段階的に進むのが特徴なのです。昨日まで正常だった人が、発病した途端に、同居の家族の名前や顔も分からなかったり、ズボンを頭から被ってみたり、トイレの後始末も自分で出来ないで、セルフ・ケアにも介助が要るようにはならないのです。前頭葉を含む脳全体の働き具合を「二段階方式」テストで調べてみると、軽いほうから順に、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の三段階に分かれていることが分かります。

3. 脳の機能レベルを調べて確認される認知症の三段階を示すデータ

 私達が問題にしているのは、「大ボケ」に先立つ「小ボケ」と「中ボケ」の段階の症状が見落とされていることなのです。年のせいと言われたり、不活発病の名前を冠せられたり、MCI(軽度認知障害)という極めて曖昧な基準の判定対象にされていたりする「小ボケ」と「中ボケ」とをあわせると「大ボケ」の2倍から3倍にもなるのです。

4.「アルツハイマー型認知症」の発病の場合の上記三つの段階における脳の機能と生活実態との関係の概要を整理すると、以下の表のようになります。

脳機能

生活実態

レベル

正常レベル

正常

正常

前頭葉のみ異常なレベルに低下

 

社会生活面のみに支障

(指示待ち人)

小ボケ

前頭葉低下+後半領域やや低下

家庭生活面にも支障
言い訳のうまい幼稚園児

中ボケ

前頭葉低下+後半領域大幅低下

セルフケアの面にも支障
(脳の寝たきり児)

大ボケ

注)脳のリハビリ」の実施により、「小ボケ」は正常なレベルへの回復(認知症の症状を治すこと)が比較的容易であり、「中ボケ」の段階になると家族の献身的な協力を前提として回復させることが未だ可能であるが、末期の段階である「大ボケ」の段階になると「中ボケ」のレベルに回復させることさえも困難となります。

 5.  「アルツハイマー型認知症」の年齢別発生頻度

エイジングライフ研究所がこれまで蓄積してきた多数のデータの分析によると、発病の対象である「第二の人生」を送っているお年寄りの内で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の年齢別の発病割合は、年をとるにつれて、どんどん増加していきます(特定地域の全数調査による概算を基礎とした推定値)。「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の全部を含めた「アルツハイマー型認知症」の人達全体の年代ごとの割合は、第二の人生が始まったばかりの60代で12%もの高い割合を示します。60代のお年寄りが100人集まったら、12人はもうアルツハイマー型認知症を発病しているのです。「小ボケ」、「中ボケ」又は「大ボケ」のどれかのレベルになっているのです(厚労省の発表数値は、「アルツハイマー型認知症」の発病者の内の「大ボケ」の段階だけの数)。加齢が進行するにつれてこの割合は更に多くなり、70代で30%、80代で50%、90代で75%、大台の100歳代では97%もの人がアルツハイマー型認知症を発病しているのです(認知症の90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めることに注意。レビー小体型認知症は、若年性アルツハイマー型認知症と同様、認知症ではない病気を認知症と誤解しているだけなのです)。

※1   上述のデータから、次の三つのことが分かるのです:

①『アルツハイマー型認知症』の発病は、50歳代以下の若い人達には関係がなくて、『60歳代以降の「お年寄り」だけが発病の対象になる』のが特徴なのです。

② 年をとる程、認知症の人の割合がどんどん増えていき、身体も限界の100歳代では、殆の人(97%)が「アルツハイマー型認知症」を発病しているのです。

③アルツハイマー型認知症の発病者のお年寄りの年代ごとの割合が、北海道、東北、関東、東海、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州と日本のどの地域をとってみても、どこも殆ど同じで、基本的に「地域差が認められない」のです。

※2更に、もう1つ重要なデータがあります。その詳細はⅤで説明している、「症状の期間と脳の老化のスピード差をもたらす要因」についての多数のデータです。 極めて多数の症例に基づくこのデータは、「脳の使い方」と言う視点から言う『生活習慣』が、「アルツハイマー型認知症」を発病した人達の症状の更なる進行、進行の抑制、又は認知症の症状からの回復と密接な関係があることを示しているのです。『アルツハイマー型認知症』の発病の要因と考えられるもので、上記4つの条件が全てあてはまるものは、食べ物でも金属の摂取でもない、ましてやアミロイドベータとかタウ蛋白とかの蓄積ではなくて、後述するように、「脳の老化」という問題及びナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続という二つの要因が確認されるのです。

加齢による「脳機能の老化」がアルツハイマー型認知症の発病の第一の要因であり、ナイナイ尽くしの「単調な暮らし方」と言う要因、脳の使い方としての単調な生活習慣の継続による廃用性の機能低下が発病の第二の要因であるとエイジングライフ研究所は考えています。第一の要因に第二の要因が加重されることに起因して、『前頭葉』を含む脳全体の機能が、廃用性加速度的異常機能低下を進行させていくことが発病及び症状の重症化が進行していく真の原因であると考えているのです。即ち、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する老化廃用型生活習慣病であると考えているのです。この故に、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防したり、症状の進行を抑制したり、症状を治す効能を有する薬が開発されることは、未来永劫起こり得ないことと主張しているのです。

この考え方は、世間では未だ認知されていませんが、エイジングライフ研究所が開発した「二段階方式」の手技に基づいて北海道から九州まで日本全国の450を超える数の市町村で展開した「アルツハイマー型認知症の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の地域予防活動」の実践展開によるデータが、はっきりとこのことを証明しているのです(疫学的な手法により実証されている)。

こうした視点からエイジングライフ研究所は、2011年3月11日に起きた東日本大震災の被災者となった、60歳を超える年齢の高齢者の生活状況に、大きな関心を寄せています。この被災体験を「キッカケ」にして、「第二の人生」を送るお年寄り達の多くが意欲を喪失、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、単調な日々の暮らし方/脳の使い方としての生活習慣)に陥っていったのではないかと、危惧しているのです。「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の高齢者の多くが、「アルツハイマー型認知症」を発病し、重症化が進行してきている可能性が高いと考えているのです。今日は、震災後8回目の3月11日。マスコミも行政機関も医療機関さえもが、道路や箱モノの復興ばかりに目が向いていて、肝心要の「生活習慣」の復活に無関心なのです。自分なりの遂行すべき「テーマ」が有り、目標が有り、趣味や遊びや交遊や運動や、地域の催事や行事への参加の機会が有り、自分なりの生き甲斐や喜びが得られる「生活習慣」があった震災前の「生活習慣」を取り戻せていないお年寄り達の多くが、発病し、症状の重症化が進行しているはずなのです。大ボケの後半に発現する失語や失認や失行の症状が初期症状と誤解している認知症の専門家達は、気が付かないのです。

Ⅲ.『アルツハイマー型認知症』を発病するメカニズム(機序)

1. 『意識的な世界』(思索や行為や行動の面)における「前頭葉」の役割

「意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す」ことは、三頭建ての馬車を動かしていくようなものであり、御者なくしては、どんなに立派な馬をつないだところで、馬車は動きようもありません。御者の働きが「前頭葉」の働きだと考えると、分かり易いと思います(「意識」の機能構造と「前頭葉」の機能構造の理解が不可欠)。

●   脳全体の司令塔としての役割を担うのが「前頭葉」の機能なのです。馬車が動くときいつも、御者が手綱を引いて馬を制御しているように、毎日の具体的な生活の場面で、「意識的に何かをしようとするとき」は、必ず前頭葉がテーマを発想し、理解し、何をどのようにするのかを判断し決定しているのです。意識的に何かのテーマを実行する場面では、「前頭葉」が脳全体の司令塔の役割を担っているのです。

  左は、「正常老化曲線」のデータ 

2. ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続とアルツハイマー型認知症の発病

前頭葉の働きには、加齢とともに機能が低下(老化)していく性質があり、正常な老化の場合でも、65歳頃になると働き具合が20歳の頃に比べて半分程度にまで衰えてきているのです(「二段階方式」の手技の活用により集積した脳機能データが根拠)。「第二の人生」を送る60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢のお年寄りが、脳を積極的には使わないナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」(生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや交遊もなく、運動もせず、地域の催事や行事への参加の機会も無い単調な暮らし方)を日々続けていると、廃用性の機能低下が惹起され、『前頭葉』を含む脳全体の機能の老化が加速されて、働きが加速度的に衰えていくことに因り、『アルツハイマー型認知症』を発病し、症状の重症化が進行するのです。

3. 「アルツハイマー型認知症」の重症度分類(「三段階」に区分される症状)

前述のように「アルツハイマー型認知症」は、日々の脳の使い方としての視点で言う『生活習慣』、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続が発病及び症状の重症化の進行を左右する最も重要で核心的な要因である「生活習慣病」なのです。「加齢に因る脳の老化」と「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続による廃用性の機能低下の進行」という「異なる二つの要因」が重なる(同時に存在し、且つ、充足される)ことに因り、その相乗効果によって、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させることに起因して発病し、症状の重症化が進行していくと考えられる「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体の機能の衰え方にも明確な特徴があるのです。その「特徴」となるのは、

① 最初に、「前頭葉の働きだけ」が異常なレベルに衰えていく(小ボケ)

②次いで、前頭葉の更なる機能低下の進行に同時並行して「左脳と右脳と運動の脳の働き」が異常なレベルに衰えていく(中ボケ→大ボケ)

③更に、MMSEで判定される高次機能には「衰えていく厳密な順番」があります。

従って、脳の機能がどこまで衰えているのか及びその脳の機能レベルでは、どんな症状を特徴的に示すのかを調べることで、「アルツハイマー型認知症」を発病している人の認知症のレベル(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」)を判定することができるのです。

※エイジングライフ研究所が開発した「二段階方式」の手技は、御者の働きをする「前頭葉」の働き具合を『かなひろいテスト』で判定し、馬の働きをする左脳と右脳の働き具合を『MMSE』で判定し、両者の機能レベルを総合的に判定することにより、『アルツハイマー型認知症』の重症度を判定することが出来ます。更には、回復が困難で介護するだけのレベルである「大ボケ」と回復可能な早期の段階の「小ボケ」と「中ボケ」とを区別して、脳の機能レベル毎に適切な対応ができるように工夫されているのです。

 4.  ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が始まる契機としての「キッカケ」の存在

「アルツハイマー型認知症」発病の「第一の要因」である「加齢による脳の老化」という条件は誰にでも共通した条件なのですが、「第二の要因」である「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続」という条件は、「第二の人生」を送る個々人によって違います。ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が始まる基礎としての『意欲の喪失』を惹き起こす原因である「出来事、又は、生活状況」の発生としての「キッカケ」を要約し、分類すると、次の2点のとおりです(詳細については、マニュアルBのP122以下を参照してください)。

(1)  本人の生きる意欲を支えてきた「それまでの生活習慣を継続できなくなる」こと

    〇 趣味も遊びも交友もなく、「仕事一筋の人生」を送ってきた人の定年退職、

    〇 趣味だけが生き甲斐の人が、その趣味を中止せざるを得なくなること、

    〇 親や兄弟、子や孫、友人、ペットなど大事な人や動物との別離

(2)    生きる意欲をなくしてしまう「状況の発生」に直面し、その状態が継続すること

 〇 自身の重い病気や大きなけがなど肉体的に困難な状況

 〇 子供の失業や借金問題、孫の不登校など家庭内に重大な問題が発生

 〇 配偶者や家族の看病や介護に追われるだけの毎日の暮らし方

とはいえ、同じような状況になっても、一人一人の生活習慣(日々の脳の使い方)は、それぞれに違います。以下のように、具体的に考えると理解しやすいでしょう。

例えば、退職して3年もたつと見る影もなくボケてしまう人もいれば、退職後に楽しく生き生きと生活していく人もいます。よく言われるように、夫を亡くしたおばあさんは、半年もたつと楽しげに生活をエンジョイするようになることが多いのに、同じように妻を亡くしたおじいさんの多くは、元気をなくしていくことが多いのです。

従来どおり、趣味や遊びや交遊の機会を自分なりに楽しみつつイキイキとして生活していく人と、キッカケを契機に何事に対しても意欲を喪失してしまい、元気をなくしていく人との差を理解するには、毎日の「生活習慣」(脳の使い方)を、その人に沿って、具体的に考え、確認する必要があります。前者と後者とを分けるキーポイントは、人生の大きな出来ごとの発生や生活環境の大きな変化が起きた状況で;その人の前頭葉を使う場面が従来どおり多い生活が継続しているのか、又は、その人の前頭葉を使う場面が極端に減ってしまった生活に変わってしまっていくかどうかなのです。『キッカケ』を契機にして、何事に対しても意欲を喪失し、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続していたことの確認が不可欠の作業となります。

 Ⅳ.単調な「生活習慣」に入っていく「キッカケ」の類型的な事例

人によって日々の生活習慣(脳の使い方)は異なりますが、大まかに言えば、上述のような状況が起きれば、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」に陥る可能性が高いと言えるのです。とはいえ、その状況変化により、その人の脳の使い方としての「生活習慣」がどのように変わっていったのかは、その状況に対する当の本人の受け止め方次第という重要な要素が存在しているのです。どのように受け止めるかは、その人の「前頭葉」の機能に内在されている『評価の物差し』(対象に対する捉え方、感じ方、観方、考え方の基準となるもの)が、個々人毎に異なるからです。その結果、同様の状況に遭遇した場合であっても、其れまでと変わらない「生活習慣」(「脳の使い方」としての生活習慣であることに留意する)を続ける人がいれば、意欲を喪失してしまい、「前頭葉」の出番が極端に少ない単調な生活習慣、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣に変わっていく多くのお年寄り達がいるのです。「キッカケ」の発生後から検査時に至るまでの期間の生活実態を具体的に聞き取り、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が継続されてきたことを確認し、「二段階方式」のテスト結果が示している「前頭葉」を含む脳全体の機能について、脳の老化が加速されてきた結果としての現在の状態(脳の機能レベル及びその反映としての症状)について、本人や家族に対し明確にさせることが、今後の生活改善(「前頭葉」を含む脳全体の活性化の達成を目的とした「脳のリハビリ」)の実施指導のスタートでもあり、生活指導の根幹をなすものでもあるのです。

二段階方式」の実施の目的と意義は、早期診断による回復(小ボケ及び中ボケの段階で発病を見つけて、脳のリハビリの実践指導により、「アルツハイマー型認知症」の発病患者を治して見せること)の実績を積むことに因り、介護の予防(症状を「大ボケ」の段階にまで進行させない事)だけでなく、第一次予防となる「発病自体の予防」という「テーマ」について、地域住民、当該市町村の首長、更には、国政に携わる官僚や政治家たち、最終的には、国民全体に情報発信していき、我が国が国策として実施すべき命題であることを理解させ、努力させることにあるのです。早期診断に基づいた「脳のリハビリ」の実践の指導により、実際に治して見せることが出来ないで、発病の予防の為の「脳イキイキ教室」を運営しているだけというのでは、不十分というしかないのです。

大抵の医療機関が現在行っているやり方、末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけて、効きもしない薬を処方しているだけという実態(単なる「レッテル張り」)と大した差異は無いと考えているのです。『一定規模の売上高を稼ぎ出すことが至上命題』である医療機関には、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復を目的とする業務も、発病自体の予防を目的とする業務も、両業務共に、医療機関には期待することが出来ないという問題を認識していただきたいのです。医療機関が発病の診断と称して使いまくっているCTやMRIやSPECTやPET等の機器の使用が、早期診断に不必要であり(「二段階方式」という神経心理機能テストの活用だけで早期診断が可能)、薬の処方も要らない(「脳のリハビリ」の実施のみが、症状を治すことが出来る唯一の方法であり、廃用症候群に属する老化廃用型生活習慣病が本態であるアルツハイマー型認知症の場合は、症状を治したり、症状の進行を遅らせたり、発病を予防することが出来る効能を有するが開発されることは未来永劫有り得ない事)のです。早期診断による回復の業務も、発病自体の予防業務も、両者共に、売り上げを稼ぎ出すことが命題とならない市町村の業務となるべきものであり、その実践の指導(私たちが政府に提言している、「二段階方式」の考え方に基づいた及び二段階方式の手技を活用した、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」の実践展開)を担うことが出来る人達は、市町村の保健師さん達しかいないのです。このことを理解し、強く自覚してほしいのです。

Ⅴ.症状の継続期間と「脳の老化のスピード差」をもたらす生活要因

「キッカケ」が起きて意欲を喪失し、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が開始され、半年から1年の経過で発病します。発病から3年の間が『小ボケ』の期間、次いで、2~3年の間が『中ボケ』の期間となります。即ち、発病から5~6年経つと『大ボケ』になる」が大原則です。この基準期間に適合しないケースは、下図のプラス要因とマイナス要因の質と量とが脳に働いて、「アルツハイマー型認知症」の症状の更なる進行や回復に影響を与えているのです(『特有な性質』)。ブログの字数枠との関係で、図は省略。

Ⅵ.『アルツハイマー型認知症』発病患者の脳機能の衰え方とその特徴

1.アルツハイマー型認知症は、「加齢による脳の老化」と「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性の機能低下」という、異なる二つの要因が重なることによる相乗効果としての「廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行」に因り、前頭葉を含む脳全体の機能が衰えていく際に、「4つの特徴」が確認できるのです。

① 最初に、前頭葉だけにつき加速度的で異常な機能低下が進行する「小ボケ」

② 次いで、前頭葉が機能低下を継続する中で、左脳と右脳と運動の脳も同時に並行して、加速度的で異常な機能レベルに衰えが進行していく「中ボケ」

l③ 最後は、前頭葉並びに左脳及び右脳と運動の脳の加速度的で異常な機能の低下が同時に並行して進行し、身体が持つ間機能低下が進んでいく「大ボケ」

④ MMSEで判定される「下位項目」の機能には、衰えていく「厳密な順番」が認められる。

※1 MMSEで判定する下位項目について、『脳機能低下の厳密な規則性が存在』している

以下のグラフは、かなひろいテスト(前頭葉の機能テスト)とMMSE(左脳と右脳の機能テスト)を同時に施行した約15,000人のテスト結果の分布を示しています。

 

※2 かなひろいテストの成績良好群には、MMSEの成績が悪いケースは無いのです。他方、かなひろいテストの成績が悪くなっていくと、MMSEの成績には満点から0点まで大きな幅が見られます。このグラフから直接には見え難いのですが、MMSEが30点満点でも、かなひろいテストが0点のケースでさえ数多くみられるのです。このことはとても重要なことなのです。なぜなら、通常使われているMMSEのような知能検査だけでは、前頭葉機能の衰えは発見できないことを意味しているのです。言い換えると、「前頭葉」の機能テストを実施してみないと、脳機能の老化が加速された初期の状態(回復可能な早期の段階)をキャッチすることが、出来ないということなのです。

2.「MMSEテスト」を実施した場合に確認される『下位項目の低下順』の規則性

次に示すのは、「MMSEで判定される高次機能の働きには、衰えていく厳密な順番が認められる」という、「衰え方の規則性」の存在のことです。

以下は、各『下位項目の項目困難度』を示す指標である完全正答率50%(各下位項目について、満点をとる人が50%になる時のMMSEの総得点)のグラフです。

50%の横軸とクロスする点が、右に行くほどその項目は難しく、左に行くほど易しいことになります。

注1) このデータの意味するところは、脳の老化が加速された「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳の機能がこの項目の順番に衰えていく(できなくなっていく)という厳密な規則性が認められるのです(アミロイドベータの蓄積とは無関係)。

注 2) 「MMSE各下位項目別の得点別分布グラフ」はマニュアルAのP129以下を参照してください(字数枠の関係で、此処では省略)。

※1 項目困難度の順番は、次の通り。即ち、想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名

※2 「想起」、「注意と計算」から出来なくなっていくのは、この項目には、前頭葉の「注意の分配力」の機能の高度な発揮が要求される為です。

※3 下位項目の衰え方がこの順番でないケースは、アルツハイマー型認知症の発病ではないのです(アルツハイマー型認知症の場合だけに特有で、極めて厳密な順番)。

第2章 「二段階方式」のテスト実施のアウトライン及び実施上の留意点

Ⅰ.「二段階方式」の活用と個別の生活改善(「脳のリハビリ」)の指導

1.  個別の生活改善指導のフローチャートブログの字数枠との関係で省略

 2. 「二段階方式」の導入の意義

「二段階方式」を介護予防及びアルツハイマー型認知症の早期診断による回復と予防のツールとして市町村に導入する場合、以下の目的が考えられます。

(1)    事業の費用対効果を考慮して、認知症の重症度に応じた施策へ繋げる。

(2)    正常下限、「小ボケ」及び「中ボケ」に対する個別の生活改善指導に用いる。

(3)    早期段階の相談窓口(早期診断による回復と進行の防止=介護の予防)。

(4)    共同参画事業から、地域での自主活動(介護の予防及びアルツハイマー型認知症の発病の予防並びに生きがい創造活動)への推進とその拡大を図る。

(5)    幅広い年代の住民に対する「脳の健康」をテーマとした啓蒙活動を行う。

 3.  個別テストの実施と個別生活改善指導

アルツハイマー型認知症の予防活動というと「予防教室」がクローズアップされ勝ちです。「予防教室」と銘打っては居ても、どこででも行われているデイサービスとはちょっと違うということをアピールするために、集団でかなひろいテストをやってお茶を濁すのでは、「二段階方式」を正しく導入したことにはなりません。

「二段階方式」を導入するとき最も重要なことは、「二段階方式」による脳の機能テストを個別の生活改善指導(脳のリハビリの指導)に活用することなのです。「二段階方式」を個別で活用できるようになると、おのずから集団での使用方法にも変化が生まれてきます。脳機能テストの目的や使い方がはっきりするので、適切な使い方ができるようになり、住民と保健師さんの双方が納得したうえで、テストに臨むことになるからです。その意味で、早期診断の結果を回復につなげることが極めて重要なのです。治して見せることが、発病の予防にも繋がるのです。

 「予防教室」の参加者に対する個別の脳機能テストの実施とその結果に基づく生活改善指導が行われて初めて、地域住民のアルツハイマー型認知症に対する理解と関心が高まります(正常な機能レベルのお年寄りは、正常なレベルのままに保たせ、小ボケ及び中ボケレベルのお年寄りに対しては脳のリハビリの指導により実際に治して見せることが極めて重要なのです)。予防教室に参加するお年寄りの脳が元気になる理由が参加者や家族に理解され納得されることによって、日常生活面での脳の使い方としての『生活習慣』に、実質的な変化と効果が出てくるようにもなるのです。

そうしたバック・グラウンドがあることが、地域住民の参加による自主的な地域予防活動の展開、アルツハイマー型認知症の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の地域予防活動の拡大展開にもつながっていくことになる。地方の地域の小さな隅々にまで、展開実施していくのです。

4.    前頭葉を含む脳全体の機能レベルと症状とのリンクが「二段階方式」の特徴

「二段階方式」においては、アルツハイマー型認知症を三つの側面から理解:

①   二つの神経心理機能テストによる『脳機能レベル』の判定(以下、「A」と言う)及びMMSE下位項目の低下順の通りであるか否かの判定が必須の作業。

② 「30項目問診票」による『生活実態』(三段階区分による具体的な症状)の確認と把握(以下、「B」)

③   過去数年間における脳の使い方としての生活習慣という視点からの『生活歴』(「キッカケ」の発生の確認作業及びその後のナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続の確認)の聞き取り(以下、「C」)という3つの側面をリンクさせ総合的に判定、鑑別することが、他に例のない特徴となります。

※脳の機能レベルAと生活実態Bとが一致して、更にそれを説明でき得る生活歴の存在Cの確認ができた場合のみアルツハイマー型認知症の発病と判定することになり、初めて個別生活改善(脳リハビリ)指導の対象となります(その割合は、90%を超えることになります:殆どのケースが、アルツハイマー型認知症)。      

「二段階方式」を使うということは、依拠する多数の症例により集積された脳機能データに基づいて、A・B・Cの各々が意味するところが、相互に一致するかどうかを「確認していく」作業であるともいえます(「判定の手順」が確立されている)『アルツハイマー型認知症の発病であれば、必ずA=B=Cになるのです』。

「二段階方式」では、ベースとなるのは前頭葉を含む脳全体の脳機能レベルです。脳機能テストは、教示の一つ一つ、用紙の提示方法、ヒントの出し方等すべての面で、マニュアル通りに実施します。その理由は、簡便な検査だからこそ、状況を統一しておいて、結果として生じる小さな差異も脳が機能した結果だと考え、テスティーの脳の機能レベルの内容理解に役立てたいからなのです(マニュアルAのP73参照)。

※MMSEのテスト実施結果としての「下位項目の低下順」が、老化が加速される場合の低下順とは異なっている場合は、アルツハイマー型認知症ではないことになります。

 ※脳機能テスト(A)をマニュアル通りに忠実に実施していく間に、「この脳機能レベルならば、生活実態(B)は、大体~位だろう」という予想を立てることも重要です。

そして、(A)と(B)とが一致するかどうかを確認していく姿勢が必要です。正常老化と老化が加速されたアルツハイマー型認知症の場合は、必ずA=Bになるからです。

更には、被検査者の大半のケースが、アルツハイマー型認知症の発病だからです(様々な種類が数ある認知症の90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占める)。

そして、A≠Bの場合は、前出の表に当てはまらないことを確認できたら、何故その状況が起きているか(「防衛的」な態度の反映なのか、「家族関係」の悪さの反映なのか、他の種類の認知症なのか、認知症と紛らわしい他の病気なのかなど)推理を働かせます。それも生活改善指導の一要素になります。そして最後に、現在の「脳機能レベル」にまで衰えさせてきている原因である「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続」の確認を、「生活歴(C)」の聴取で行います。

この過程で、「日々の生活は、左脳、右脳、運動の脳を前頭葉が支配し、統括し、管理しながら営まれている」こと及び「『キッカケ』発生後に、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」に入っていき、「脳を不十分にしか使わない生活習慣が継続していた」ことを確認していくことにより、本人や家族が、「アルツハイマー型認知症」の発病に至る経過を納得していきます。これが、生活改善指導(「脳のリハビリ」指導)の基礎になります。

※その為には、A・B・Cの各段階でなすべきことが、テスターに十分に、正しく理解されていなくてはいけません。またその結果が意味することを深く解釈できていなくてはいけません。「二段階方式」の実施の目的と神髄は、早期診断(小ボケ及び中ボケの段階で見つけること)により、実際に治して見せること(早期治療)にあるのですから。

特に脳機能テストAに比べて軽視されがちな、生活実態Bの確認と、生活歴Cの聞き取り作業における、「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続」とその「キッカケ」の確認とは、個別の生活改善指導の内容を組み立てる上で、重要な基礎となるという認識が不可欠となるのです(マニュアルBの関連個所に習熟してください)。

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化廃用型の生活習慣病なのです(但し、脳の使い方としての生活習慣であることに注意)。「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の高齢者だけが、発病の対象となるのです。発病の「第一の要件」は、『加齢』に起因した脳の機能低下(脳の正常老化の性質に起因)であり、マスコミが騒いでいるような30~50歳の年齢の若年層が発病することは起きてこないのです(正しい診断が行われたならば、『側頭葉性健忘症や緩徐進行性失語症や神経症や老年期うつ症状』との診断がなされるべきものを誤診しているだけなのです)。更には、60歳を超える年齢であっても、仕事が現職である場合は(肩書だけの場合を除く)、「アルツハイマー型認知症」を発病することは起きてこないのです。

発病の「第二の要件」は、キッカケを契機に何事にも意欲を喪失したことが端緒となり開始されたナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行なのです。その先に発病及び症状の重症化の進行が待っているということなのです。アルツハイマー型認知症は、「小ボケ」の段階に始まり、次いで、必ず「中ボケ」の段階を経て、最後に、末期の段階である「大ボケ」の段階という三つの段階に区分されるのです。三つの段階に区分する理由は、小ボケ及び中ボケの段階で見つけて、「脳のリハビリ」を実施することにより症状を治すことが出来るのであり、「大ボケ」の段階で見つけたのでは、治すことが出来ないからなのです。 

 追加テーマ 『生活歴の聞き取り方のポイント』については、以下の内容を良く理解して実施してください。

 &Ⅰ.「ナイナイ尽くし」の単調な「生活習慣」が開始されることになる「キッカケ」(個別事例判定マニュアルBのP122~P144を参照)の存在の確認

ⅰ)(その1)自分なりの目標を持って、自分なりに頑張って、自分なりに楽しみながら「第二の人生」を生きていこうとする上での「意欲」を支えてきた生活がなくなってしまうこと;

ⅱ)(その2)自分なりの目標を持って、自分なりに頑張って、自分なりに楽しみながら「第二の人生」を生きていこうとする上での「意欲」をなくしてしまうような状況が発生し、継続すること

2. その人のこれまでの生活を具体的に振り返り、何時、何を「キッカケ」に「意欲」を喪失したのか並びにキッカケを契機に開始された単調な生活習慣、脳の使い方としての「生活習慣」が変わってしまい、『前頭葉』の出番が極端に少ない「ナイナイ尽くし」の単調な「生活習慣」が継続されてきたのか(左脳・右脳・運動の脳の出番が極端に少ない生活=脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の出番が極端に少ない生活習慣が始まり、継続されてきたのか)を具体的に確認して、脳の老化が加速され、異常なレベルに衰えてきている現在の状態を本人や家族に対し明確にさせることが、「生活改善指導」(「脳のリハビリ」の指導)のスタートでもあり、『生活改善』指導の根幹をなすものでもあるのです。『生活歴』の聞き取り方は、こうした視点から行うことが要求されるものなのです。

&Ⅱ.「生活歴」の聞き取り方の手順と要点

1.「キッカケ」の発生時期の確認

ⅰ)「キッカケ」は何時頃起きたのか、「脳機能テスト結果」から推定します。

①   個別事例判定マニュアル-Bの(P133~P135)の解説及び表を参照してください。

②   ところが、現実の生活の中では、個別事例判定マニュアル-BのⅢ-06に記載の「症状の期間と脳の老化のスピード差をもたらす生活要因」に説明してありますが、日々の生活には色んな出来事が起きてきたり、生活環境も著しく変わるのが常なのです。その中で、脳の老化を更に加速させる出来事が重なったり、逆に、脳の老化の進行を止めたり、或いは引き戻したりするようなことも起きてくるものなのです。

ⅱ)上記1)により推定された「キッカケ」の発生時期が、実態と合致しないときは、「老化のスピード差」の問題を考慮して、推定された発生時期を修正していくことになります。

2.「キッカケ」となった出来事や状況の発生の内容の聞き取りと確認の仕方

「それまでの生活で、自分なりに生き甲斐を感じて、自分なりの目標や喜びや楽しみがある生活習慣があって、意欲をもって、自分なりに頑張って生きてきていた本人が、何事に対しても「意欲」を喪失してしまい、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い「ナイナイ尽くし」の単調な「生活習慣」に陥っていく契機となった出来事や状況の発生、或いは、状況の継続が、「今から(~年前頃)〔テスト結果から推定される時期〕に起きていませんか?」という風に尋ねます。

3. 「ナイナイ尽くし」の単調な「生活習慣」の継続の確認

ここでの作業は、「キッカケ」の発生を契機にして、何事に対しても『意欲を喪失』してしまい、脳を積極的に使わない「ナイナイ尽くし」の単調な「生活習慣」が開始され、更には、継続されてきたことにより、脳の老化が加速されて(廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行)、異常な機能レベルに衰えてきていることを反映した症状が発現していることを本人〔家族〕に確認し、説明し、納得させることが必要で重要な作業となります。

1)     「キッカケ」発生前の生活ぶりについて、「前頭葉」を生き生きと働かせる原動力となっていた生活習慣とは、どんなものであったのかを聞き取り、確認すること(趣味、遊び、交遊、運動、行事、祭事、催事、農業、地域興し等を確認すること)。

2)     その生き生きとしていた生活が、「何」をキッカケにして、脳を積極的に使わない「ナイナイ尽くしの」単調な「生活習慣」の開始と継続に変わっていったのかを、具体的に聞き取り、確認しなければなりません。

注)廃用性の機能低下を惹き起こさせた、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」がこのケースの場合は、何であったのかを具体的に聞き取ることが命題なのです。

3)     最後に、趣味も遊びも人付き合いも楽しまない、運動や散歩もしない、「ナイナイ尽くしの」単調な「生活習慣」の継続が、脳の老化を加速させて、異常なレベルに衰えさせてきたことを本人〔家族〕と共に確認するのです。

4)     老化廃用型の「アルツハイマー型認知症」の場合は、症状(脳の機能低下)が徐々に進行していくことが特徴。中ボケレベルは、前頭葉の機能が異常なレベルにあるだけでなくて、大脳後半領域の機能レベル(左脳及び右脳)も異常なレベルになってきているのです(マニュアルBのP81を参照してください)。

ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続していくことに因り、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進んでいき、前頭葉を含む脳全体の機能レベルを落としていき、大脳後半領域の働きも不合格、脳全体の機能が異常なレベルに衰えてきたのが「中ボケ」レベル

4.「キッカケ」の発生から現在までの、ここ(~年間)の被検査者の生活ぶりを見たとき、日々の生活が、「アルツハイマー型認知症」を生じさせる可能性の高い生活状況、即ち、生き甲斐や喜びや楽しい時間を過ごすこととなる体験や目標設定の対象となる趣味や遊びや人付き合いや運動や行事や催事への参加等の生活習慣が極端に少ない、「ナイナイ尽くし」の単調な「生活習慣」の継続であったこと、そうした単調な生活習慣に陥っていく「キッカケ」の発生(意欲を支えてきた生活がなくなってしまうこと;意欲をなくしてしまうような状況が発生すること)があった事を確認していく作業が必要不可欠なのです(これを基にして、「脳のリハビリ」(生活改善)指導の具体的な内容が組み立てられるからです。

&Ⅲ「脳のリハビリ」(生活改善)の実践のための指導

「アルツハイマー型認知症」の発病であり、「小ボケ」又は「中ボケ」のレベルであることが確認され、『生活歴』の聞き取りにより、「キッカケ」の発生時期及びその具体的な内容が確認され、「ナイナイ尽くし」の単調な「生活習慣」の継続が確認されたら、被検査者本人の脳の活性化を図る為の、「脳のリハビリ」の指導〈生活習慣の改善指導〉を行います。

1. 本人の現在の脳の使い方としての「生活習慣」の問題点を把握して、脳の活性化、即ち、「前頭葉」を含む脳全体が活性化する「生活習慣」への改善の為に、出来るだけ具体的で、実施可能な「脳のリハビリの処方箋」を提示することが目的。

2. 「前頭葉」が活性化するテーマは、個々人によって異なります。「評価の物差し」が異なる上に、人生体験自体が異なるからです。第二の人生を送っていた発病前の本人の脳の使い方としての「生活習慣」の具体的な内容を聞き取り、本人なりに継続して実践することが出来、テーマを実践することに因り「意欲」が湧いてきて、「注意の集中力」が継続するようになり、「注意の分配力」の機能の出番が多くて、発想し、工夫し、洞察や推理する機能、『実行機能』と呼ばれる「前頭葉」の個別認知機能が活性化して良く働くような「テーマ」を見つけ実践の指導をすることが、必要不可欠となるのです。継続されて、生活習慣化することに因り始めて、本人の「前頭葉」を含む脳全体の活性化に繋がるものだからなのです。

3. 実践のテーマは、原則として、趣味、遊び、人付き合い、運動、行事や催事などの地域興し関連のテーマへの参加が対象となります。本人が、関心や興味を覚えることが出来て、継続して実践することが出来て、実践し易いものであることが重要なのです。農作業の手伝いや台所作業の手伝いが始まりであっても良い。そこから、次第に実践のテーマと目標値を上げていけば良いのです。「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルがそこまで衰えてきているということは、言い換えると、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能がそこまで衰えてきているということなのです。考えることであれ、行為や行動を起こすことであれ、一定レベルでの意欲の発揮が出発点となるのであり、更には、注意の集中力の発揮の一定レベルでの継続が要求され、「前頭葉」の活性化が達成されるには、注意の分配力の機能(分析、理解、洞察、推理、シミュレーション、選択、感動等の実行機能を働かせる上で不可欠の機能)が、一定レベルで発揮されていることが不可欠となるのです。

4. テストの『やりっ放し』は、厳禁です。三ヶ月、更には半年が経過した時点で、二段階方式の手技を活用して、きちんと「脳の機能レベル」の変化を確認し、改善しているか否かを確認してください。改善の程度がさほどでない場合は、「脳リハビリ」の実践の内容と程度を確認し、必要な場合は、新たな「テーマ」を指導することが不可欠です。テストをやることが目的ではなくて、治すことが目的なのですから。

 注1)「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、器質的な原因病変が何等確認されないのに(存在していないのに)、意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す際に、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクして、それを反映するものとしての症状が発現してきて(私たちの区分で言う、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の三段階に区分される症状が発現してきて)、様々な場面での(高度な順番からいうと、「社会生活」面、「家庭生活」面、「セルフ・ケア」の面)支障が出てくるようになる病気なのです。その核となる要因が、一つには、加齢に起因した脳の老化であり、もう一つの要因が、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下という要因なのです。

注2)『生活歴の意聞き取り』とは、廃用性の機能低下を惹き起こしている原因であるナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の具体的な内容の聞き取りと確認の作業であり、『脳のリハビリの指導』とは、検査時に判定された前頭葉を含む脳全体の機能レベル(「小ボケ」又は「中ボケ」)を基礎とし、且つ、対象として、発病前の状態(前頭葉を含む脳全体の機能が正常なレベルに在った元の状態)に引き戻させる為に、脳の使い方としての「生活習慣」の改善を目的とした、具体的なテーマの設定、目標値の設定、生活実施上の注意点についての指導を行うものなのです。目的はあくまで、元の正常な機能レベルに引き戻すこと(アルツハイマー型認知症の症状を治して見せること)にあるのです。そのことが、地域住民を発病の予防に向かわせることになるのです。

注3)趣味や遊びや人付き合いや運動、或いは、行事や催事や地域興し等の活動への参加など、自分なりに興味や関心が持てるテーマについて、自分なりの『目標の設定』が出来て、その目標を設定したり、遂行したり、達成する過程及び結果の獲得により、自分なりの生き甲斐や喜びや達成感が得られるような生活(脳の使い方としての「生活習慣」)が継続できている『お年寄り』であれば、「アルツハイマー型認知症」を発病することは無いのです。『前頭葉』の個別認知機能である状況の分析と理解、「テーマ」の発想、実行の計画、洞察、推理、シミュレーション、比較と選択、更には感動等の『実行機能』を動かす核心的な機能である『注意の分配力』の機能の出番が多い「生活習慣」の実践が、発病の予防には最も効果的なのです。専門家とされる人達が憶測だけを根拠に主張している「仮説」の類、アミロイドベータ説、タウ蛋白説、脳の萎縮説及びアセチルコリン説は全て、「アルツハイマー型認知症」の発病原因とは無関係、発病との間に因果関係自体が存在していないものなのです。

 本著作物「Cー22」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。このブログ中の内容の一部を引用する際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします(今回のブログ記事は、個別事例判定マニュアル使用の手引きからの抜粋により作成しています)。

    エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

      脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

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アルツハイマー型認知症の初期の段階(脳のリハビリにより治せる早期の段階)の症状並びに発病自体の予防(C-21)

2019-03-01 | 定年後の第二の人生をどう生きるか

専門家もマスコミも、『アルツハイマー型認知症』の発病のメカニズムや症状についての記述や診断や報道の内容が、無神経に、余りにも誤りが多すぎるのです。様々な種類が数ある認知症のうちの90%以上もの割合を占めていて、老々介護とか、認々介護とか、介護離職とかの重大な『社会悪現象』創出の元凶となっている『アルツハイマー型認知症』(老年性アルツハイマー病とも呼称されるが、生まれつき特定の遺伝子に異常が存する人だけを対象として発病するものであるアルツハイマー病とは発病のメカニズムも、症状の進行速度も回復の可能性の有無も発病の予防の可能性も、全ての面で、全く異なる性質のもの)について、認知症研究の専門家達でさえ、ほとんど無知に等しい状況が続いているのです。何等の器質的な原因病変が存在していないのに、意識的に何かのテーマを発想し、実行しようとする際に、様々な支障が生じてくる、『アルツハイマー型認知症』としての症状が発現してくるのです。そのアルツハイマー型認知症は、第二の人生を送っている60歳を超える年齢の高齢者」(私たちが定義する「発病の第一要件」)だけを対象として発病することについて、認知症研究の専門家とされる人達は、その原因さえも知らないのです。私たち人間だけに特有な意識的な世界、意識的に何かのテーマを発想し実行に移そうとする様々な段階で(自分が置かれている状況の分析、理解、判断、状況判断に沿ったテーマの発想、テーマの実行内容の企画や計画、実行した場合の結果についての洞察、推理、シミュレーション、シミュレーションの結果に基づく選択、変更、実行の決断と言った場面で)様々な程度及び態様による支障が出てくるのが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。その発病の原因(メカニズム)については、憶測に基づいた4つの仮説(アミロイドベータ説、タウタンパク説、アセチルコリン説、脳の萎縮説)が存在し、何十年もの長きにわたって、不毛の主張が継続されているのです。『木を見て森を見ず』の諺を地で行くかのような、権威を傘に着ただけの「憶測の類」が横行し、幅を利かせているのです。新年早々に、そうした類の新説が出てきてもいるのです。専門家でありながら、『発病の原因であると主張する内容と発病との間の因果関係の確認』について、何故か杜撰で無頓着と言うしかないのです。

〇権威がなくとも、疫学的に実証済みである私たちの主張内容に、専門家も政府も目を向け耳を傾けるべきなのです

昨年の12月25日になって『認知症対策の強化』に向けた関係閣僚会議の初会合が開かれ、官邸主導で、新薬の開発や予防方法の研究などの取り組みを強化することが決定されたのですが、マウスにアミロイドベータを注入しただけの「アルツハイマーマウス」を研究対象にしているからと言って、或いは、アミロイドベータ説を先導してきたハーバード大学や東京大学が、アミロイドベータが僅かでも確認された段階で脳内から除去する方法の研究による『治療方法の研究から予防方法の研究』へと方針を大転換したからと言って、目論んでいる成果を挙げることは期待できない相談なのです。そうしたテーマや方法は、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(メカニズム)とは無関係のものだからなのです。発病との間に肝心の因果関係が存在していないものについて、どれだけ人材や時間や税金を投入しようとも、成果を挙げることは出来ないのです。『アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化廃用型の生活習慣病』であって、『第二の人生』での脳の使い方としての「生活習慣」の在り方、脳の機能面からいうと、『日々の暮らし方』に於ける、「前頭葉」の機能、就中、「注意の分配力」の機能の出番がどのようにして、どの程度確保されているのか否か、そのことが発病するかしないかを決定づける核心的で決定的な要因であることに気づかない限り、無駄骨に終わるだけのことなのです。分かってみれば、コロンブスの卵程度のこと。『第二の人生における脳の使い方としての「生活習慣」が、発病するかしないかを左右する核心的で決定的な要因である』という私たちの主張(実証済み)に目を向け耳を傾けない限り、何時まで経っても、先は見えてこないのです。

〇 権威が有る人達とはいえ、学者も医師も誤りだらけのでたらめな主張内容が横行している世界

『アルツハイマー病』という呼称を使って、生まれつき特定の遺伝子に異常がある人だけを対象として発病するのが特徴であり、且つ、若年発症が特徴である「アルツハイマー病」(若年性アルツハイマー病ともいう。認知症全体の1%程度を占めている)と第二の人生を送っている60歳を超える年齢の高齢者だけが発病の対象となる「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病ともいう。認知症全体の90%以上を占めている)とを同列に扱うのです。おまけに、若年性アルツハイマー型認知症なる実態が存在しない病名を冠して、働き盛りの若い年齢での発症が最近増えてきているなどと徒に世間を騒がせていたりもするのです。肝心の『アルツハイマー型認知症』についての無知が、このような不毛の情報発信を行わせているのです。視聴率が高いことに注目したのかどうか知りませんが、若年性アルツハイマー型認知症をテーマとしたドキュメンタリーめいた/ノンフィクションめいたフィクションのドラマがテレビ映像化されていたりするのです。情報収集元の医師や学者が、側頭葉性健忘症temporal amnesia感覚性失語症(sensory aphasia)について無知であるが為に、(重度の記憶障害の症状が中核となっている)を基礎として考え出した実在しない病気、『若年性アルツハイマー型認知症』について語っていたりするのです。廃用症候群に属する老化廃用型の『アルツハイマー型認知症』は、脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能が最初に加速度的で異常な機能低下を進行させていくのを特徴とするのに対して、『側頭葉性健忘症』は、新しい記憶が入っていかない(脳の変性に起因したものであり、高度な記銘力障害と海馬の萎縮を特徴とする)ものの、前頭葉の機能が正常な機能レベルに在るのが特徴なのです。「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定してみれば、両者の鑑別は容易に行えるものなのです。そうしたことにも無知というしかないのです。

〇アルツハイマー型認知症こそが、早期診断により治せるし、発病を予防できるタイプの認知症なのです

超高齢社会の真っただ中にあって、高齢化率が更に上昇して行っている中で、アルツハイマー型認知症を発病するお年寄りの数も年々増加して行っているのです。にもかかわらず、世界の学説状況はというと、『4つの仮説』が相変わらず発病との間の因果関係を未だに立証出来ない儘に、迷走している状況にあるのです。その上、相変わらず、『アルツハイマー型認知症は、発病の原因が分からないし、症状を治すことが出来ないし、発病を予防することが出来ないタイプの認知症である』とされた儘なのです。身の回りにも、「アルツハイマー型認知症」を発病していて、介護施設に入所することになったお年寄りの話とか、徘徊が日常茶飯事になってしまったお年寄りを抱えた家族の話とか、認々介護とか、介護離職とかが大きな話題になる中で、役場の拡声器が、毎日のように、徘徊して行方が分からなくなったお年寄りを探す放送を流し続けているという状況なのです。『第二の人生』を送っている『高齢者』にとっては、心許ないというか、明日は我が身かもしれないとの不安にかられる毎日という状況にあるのです。

 私たちが、北海道から九州に跨る全国452の市町村での地域予防活動の実践指導を通じて疫学的な方法により実証してきているように、『アルツハイマー型認知症は(こそが)、早期診断により治せるし、発病を予防することが出来るタイプの認知症』なのです。医学会が迷走しているだけなのです。医学会の迷走を止め、早期診断(早期の段階で発病を見つける)による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」を国策化する為に、どこへ話(対策の『提言書』)をもっていけばいいのか、思案中なのです。昨年の11月に政府自民党に対し具体的な対策方法を『提言書』という形で提示したのに何の反応も来ないのは、このままの状況を放置しておいた方が都合が良いとの何等かの背景が存在するのでは等と勘繰りたくもなるのです。他方で、肝心のマスコミが、相も変わらず(それと知らないでとは言え)、間違った情報を流し続けているので、国民的な関心を喚起することも出来ないでいるのです。『正しいことであれば、世の中が変わる』などと考えている訳ではないのですが、この重大な国民的な課題に取り組もうともしないでいて、この先、この国はどうなるのでしょうね。1100兆円を超える規模の国家債務が存在していることから比べれば、十数兆円規模の社会保障費の増加など大した問題ではないというのでしょうか。『猫の首に鈴をつける』のは、私たちだけの役目なのでしょうか。

私のブログを読んでくださっている皆さん。私たちには権威もなく、情報の発信力もありませんが、私たちの主張内容は、仮説ではなくて、疫学的に実証されているのです。あと数年が経過すれば、私たちの主張が世界標準になると確信しているのです。信じて、実践してみてください。権威がある人達が主張しているからと言って、その主張内容が正しい訳ではないのです。特に、このアルツハイマー型認知症の分野がそうなのです。発病との間の因果関係が証明されていないから、『仮説』の儘なのですから。千里の道は、思っていたよりも遠く、時には心が折れそうになるのですが、頑張ります。『アルツハイマー型認知症』こそが、早期診断により治せるし、発病自体を予防できるものであることを地方の小さな地域の隅々に迄も行き渡らせる日の到来を信じて頑張ります。

 (14689例の「脳機能データ」の解析結果が示す、「MMSE下位項目の項目困難度」の指標となるグラフ)

&1三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状の類型

(1)  様々な種類が数ある認知症の内の大半の部分、90%以上を占めているのが、『アルツハイマー型認知症』というタイプの認知症。アルツハイマー型認知症については、世界中の認知症研究の専門家達(学者、研究者、医師)が、『発病の原因(メカニズム)が分からないし、症状を治すことが出来ないし、発病を予防することも出来ない』としているのです。発病の原因については、『4つの仮説』が提起されてはいるものの、それらの何れも、発病の原因と主張する内容(仮説)と実際の発病との間に存在するはずの因果関係については、未だに、立証することが出来ないでいるのです。その上、実は、アルツハイマー型認知症の「症状」自体についても、良く分かっていないのです。もっと詳しく説明すると、末期の段階になって初めて発現が確認される「極めて重度の症状」についてしか知らないという状況が続いているのです。従って、『アルツハイマー型認知症』の診断の専門家とは言え医師が発病と診断している基礎にある症状は、米国精神医学会が策定したアルツハイマー型認知症の診断基準である『DSM-4 』が「第二の要件」で確認を要求している症状、極めて重度の症状である失語、失認又は失行の症状が早期の段階の症状だと誤解していて、それよりも更に重い症状だけが、発病と診断する基礎にされているのです。笑い話ではなくて、実際にそうなのです。言い換えると、本当の意味での早期の段階の症状については、無知(結果として、見落としている)ということなのです。どうしてなのか。発病の原因(発病のメカニズム)について無知であることに加えて、早期の段階の症状を鑑別する手技を持っていないからなのです。ある意味で、ほとんど何も分かっていないのに、専門医として診断し、『発病のレッテルを貼っているだけ』ということなのです。末期の段階で発現する重度の症状が確認されるお年寄りを抱えた家族の大変さをまじかに目にし、その恐ろしさを強く感じている人達は、治せないものと医師から言われると、信じてしまい、ただ恐れるばかりということになるのです。専門の医師が知らないなどと想像することさえできないのです。ところが、ほとんど何も分かってはいないというのが真実の実態なのです。医師はというと、治せなくて、予防する方法を知らなくても、末期の段階の症状の確認によって発病と診断し、効きもしない薬を処方するだけであっても、CTやMRIやPETを使用して、おまけに薬迄処方していれば、十分な売り上げを稼ぐことが出来るのです。その結果、『発病の原因が分からないし、治せないし、予防することも出来ない』というお題目を唱えているだけで、そのことに問題意識を持つことが無いのです。『売り上げを稼ぐ』対象となる市場の規模は、年々拡大する一方なのですから。

現在開発され使用されている4種の薬は、あくまで対症療法薬に過ぎないのです。その効能は、症状の発現の程度を変えるだけのものであり、症状を治すことも、症状の進行を遅らせることも出来ないものなのです。症状の発現の仕方が介護する側の者にとって或る程度の意味があろうとも、その間にも廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくので、症状自体の重症化は進行していくのです。付言し、指摘しておくと、早期診断回復させることが可能な早期の段階での発病の判定)には、CTやMRIやPETの使用は不必要な事であり、症状を治すには、薬は不必要であって(発病及び症状が重症化するメカニズムに鑑みて、症状を治すことが出来たり、症状の進行を遅らせることが出来たり、発病自体を予防することが出来る効能を有する薬の開発に成功することは、未来永劫、有り得ない事なのです)、「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳全体が活性化する生活習慣の構築と実践)だけが唯一無二の有効な治療方法となる事(事象事実であり、私たちが疫学的方法により実証済み)を考えると、アルツハイマー型認知症の早期診断、症状を治したり、症状の進行を遅らせるための治療、更には発病自体の予防(「前頭葉」を含む脳全体が活性化する脳の使い方としての生活習慣の構築と実践)について、『医師にその役割を期待すること自体が誤りである』ことを政府も国民も理解し、認識すべきなのです。その役割を担うことが出来るのは、『売り上げを稼ぐことが至上命題とされない』市町村だけであり、必要な業務実施の中核を担うことが出来るのは市町村の保健師さんだけなのですから。大ボケの段階の症状が発現してしまうと、『脳のリハビリ』による治療の効果は期待できないこととなり、大ボケの範囲内で症状の重症化の更なる進行が、身体が持つ限り続いていくことになるのです。その結果、「介護ビジネス」の市場の拡大が継続されていくことにもなるのです。『脳は持たなくても、身体が持つ』のが、「アルツハイマー型認知症」の特徴でもあるのです。

(2)アルツハイマー型認知症は、治すことが出来る可能性の程度により「三つの段階」に区分されるのであり、更には、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクしたものであり、その機能レベルの区分を反映した三段階に区分される段階的な症状を示すのです。三段階の症状の類型の概要は、以下のようになります。

ⅰ)小ボケ(軽度認知症)の段階の症状の類型  [ 小ボケのチェックリスト10項目](10項目中4つ以上の項目に該当していると、「前頭葉」の機能が異常な機能レベルにあることの確認を条件として「小ボケ」のレベルであることが高い精度で疑われることになります)。猶、各段階における症状発現の順番は、旧東京都老人総合研究所が私たちが提供した「脳機能データ」を解析して導き出してくれたものです。基本的には、このような順番で症状が発現してくることが多いという意味(この先症状がどのように進んでいくことになるのかの一つの指標となる)。

□3つ以上の用事を同時に並行して処理できない(内容が異なる複数の「主題」に対して、同時に並行して注意が分配できなくなっていることの証:車の運転)

□ 同じことを繰り返し話したり、尋ねたりする(注意の分配機能の異常な低下)

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられなくて、何も思いつかない様子(注意の分配力の異常な低下)

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない(注意の分配力の異常な低下)

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ(注意の分配機能の異常な低下)

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ(注意の集中力の異常な低下)

□ 自分なりの目標がある生活が送れず、何事かに生き甲斐を覚えることが無い

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 唐突に、一方的に言いたいことを言い、相手の話しを聞こうとしない

□ 目の光がどんよりとしていて、顔つきが無表情となり、感動することが無い

〇ここに挙げた症状は、「DSM-4」の第一要件が規定している「記憶障害」の症状或いは、記憶障害に起因した症状なのではなくて、全てが、前頭葉の機能障害に起因した症状だけなのです(『実行機能』の発揮度を左右し、下支えている機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因して、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して異常な機能レベルに在ることの直接の反映)。「DSM-4」の策定に関わった権威ある豪華なメンバーを含めて、更には4つの仮説の提唱者達を含めて、彼ら全員が、私たちに分かっているこの程度のことさえも知らない儘なのです。小ボケの段階の症状は全てが、左脳、右脳および運動の脳の全てが正常な機能レベルに在るのに対して、脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能だけが異常な機能レベルに在ることを直接的に反映した症状が発現してくるのです。このことを分かり易く表現しておきましょう。左脳、右脳、運動の脳という三頭の馬が牽引する『三頭立ての馬車』の御者が前頭葉と言う機能なのです。三頭の馬がどれほど元気溌剌の状態に在ろうとも、御者が(眠気を覚えているような状態や、時折り居眠りしかかるような状態や、眠り込んでんでしまっている)状態下では、馬車は道を間違えたり、脱輪したり、溝にはまって倒れてしまうでしょう。『小ボケ』の段階で、既に、『アルツハイマー型認知症』を発病していることを理解すべきなのです。

〇 脳の機能レベルと「小ボケ」の段階の症状との関係

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階であり」、「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる「生活習慣」の改善とその実践)により正常な機能レベルに改善させる(認知症の症状を治す)ことが比較的に容易な段階である「小ボケ」の段階を脳の機能の面から定義すると、『左脳も右脳も運動の脳も正常な機能レベルに在るのに対して、脳全体の司令塔の役割、左脳、右脳及び運動の脳が牽引する三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」の機能だけが廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により異常なレベルに機能低下してきている』のです。加えて言うと、「小ボケ」の段階の症状は、その全てが、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続が原因で進行してきた廃用性の機能低下に起因した「前頭葉」の機能障害(直接的には、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の機能障害に起因しての「実行機能」の機能障害が起きてきている)が原因であることを直接反映した症状(『アルツハイマー型認知症』の発病としての症状)であるのが特徴。このことについてもまた、アミロイドベータ仮説を含む上述した全ての仮説の類は、合理的な説明が不可能だということを指摘しておきたいのです。『前頭葉』という機能は、私たち人間だけに特有な世界である意識的な世界意識的に何かの「テーマ」を発想し、実行に移す世界(自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断して、その状況判断に沿ったテーマを企画し計画し、実行結果をシミュレーションして、必要な修正を加えた上で、最終的な実行内容を決定し、実行の決断を下して、脳の各部【左脳、右脳および運動の脳】に対して実行の指令を出す世界)において、脳全体の司令塔の役割を担っているのです。世間では、専門家とは言うものの、肝心の前頭葉の機能レベルを精緻に判定する手技を持たないので、左脳と右脳の働き具合を判定するだけのMMSEの実施でお茶を濁していて、空想や憶測をベースに語るだけなのです。

〇第二の人生とは言え、来る日も来る日も、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない日々の暮らし、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣」(脳の使い方としての生活習慣)の継続(私たちが定義する「発病の第二要件」)に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が直接の原因となって、『前頭葉』を含む脳全体の機能が異常なレベルに衰えて行くことの直接の反映としての「アルツハイマー型認知症」の症状が、例示したような症状となって発現してくるのです(中ボケ及び大ボケの段階の症状も同じメカニズムで発現し、重症化が進行してくるものなのです)。

加えて、それらの症状の発現は、アセチルコリンの不足とか、アミロイドベータの蓄積とか、タウタンパクの蓄積とか、脳の萎縮とかの「仮説」の類が、発病を引き起こす原因として主張(憶測)している内容とは、無関係のものであることを強調しておきたいのです。「4つの仮説」の主張内容と『アルツハイマー型認知症』の発病との間に肝心の因果関係自体が存在していないのです。失語や失認や失行といった極めて重度の症状に焦点を当て、それらの症状がアルツハイマー型認知症の初期症状であるとの想定自体が重大な誤りなのです。ところが策定者達に極めて高い権威があったがために、世界中の専門家達を迷走させる元凶となってしまったのです。本来為すべきは、私たちが辿ってきたやり方、正常から発病へと移り変わる極く初期の『軽い段階の症状』に焦点を当てるべきなのです。更に言えば、マウスなどではなくて、生きた人間の意識的な世界を構築し、支配し、統合し、統括し、コントロールしている脳全体の司令塔である、『前頭葉』の機能に焦点を当て、『前頭葉の機能レベル』を精緻に判定出来る手技の開発に照準を定めるべきなのです。アルツハイマー型認知症の発病の原因(メカニズム)は、「前頭葉」の機能構造、「注意の分配力」の機能構造、それらの廃用性の機能低下というテーマに焦点を当て、それらを理解することが出来ない限り、何時まで、どれだけの優秀な人材や多額の税金をつぎ込もうとも、解明することは不可能なのです。治療も予防の方法も同じことが言えるのです。

ⅱ)中ボケ(中等度認知症)の段階の症状の類型 中ボケのチェックリスト】(小ボケの項目に4つ以上該当していて、中ボケの項目に4つ以上該当していると、『前頭葉』の機能が異常な機能レベルにあることの判定を条件として「中ボケ」のレベルであることが高い精度で疑われます)。

□ 何度教えても日付けがあいまいになる(今日が何日かが分からなくなる。時の見当識は、日、年、月、季節、昼夜の順に出来なくなる。季節が分からなくなるまでが「中ボケ」の段階。昼夜の区別が分からないと、末期の段階である「大ボケ」の段階)

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ(意欲、注意の集中力及び注意の分配力の異常な低下の反映)

□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる:注意の分配力の異常な低下を反映)

□ 2~3種類の薬の服薬管理が出来なくなり、家族が管理する必要がある:注意の分配力の異常な低下を反映)

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 入浴時の温度管理が出来なくなり、身体を洗わないとか、石鹸がついたままとかするようになる

□ 便器の周りを汚したり、流してない等、トイレの後始末がきちんとできない

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着るようになる)

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している

□ 昨日の出来事(起きたこと及びその内容の両者)をすっかり忘れてしまう

〇猶、中ボケの段階になると、発現している自分の症状について、本人自身の認識が出来なくなってきていて、同居の家族が⦅「30項目問診票」の小ボケの項目中の4つ以上及び中ボケの項目中の4つ以上に)該当しているとする主張に対し、本人がついていくことが出来ないのが中ボケの特徴なのです。この反応自体もまた、記憶障害に起因したものではないことを専門家達は知るべきなのです。『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの低下が、その原因となっていることに注意が必要なのです。

〇MMSEの下位項目の一つである「時の見当識」(日、年、月、季節、昼夜の順に出来なくなる)を例にとると、小ボケは満点の5点をとり、中ボケは1~4点をとり、大ボケになると0点となります。従って、中ボケの入り口の段階で、今日が何日かが分からなくなってきているのです。更に、昼夜が分からなくて夜中に騒ぐのは、大ボケに入ってから(時の見当識が0点)になるのです。

〇簡単な計算もしなくなり、お札ばかりで買い物をするので、やたらと小銭がたまるようになるのは、脳の機能面から説明すると簡単に説明できる症状なのです。11の項目から構成されているMMSEの下位項目のうち、注意と計算の項目は、想起に次いで難しい(早くに出来なくなる)項目なのです。ふつうのお年寄りであれば、買い物の支払いをするとき、必要な金額(例えば、3420円だったとしましょう)に対して、千円札3枚と500円玉1個(又は百円玉4個と10円玉2個)で支払いをするものでしょう。此処に例示した支払いの仕方を自分の脳内で実行するには、「注意の分配力」の機能が正常な機能レベルに在ることが要求されるのです。中ボケのお年寄りは、注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えていて、それだけの計算(支払い方の組み合わせ)を行うことが出来ないので(意欲も注意の集中力も、更には、肝心の、注意の分配力の機能を総動員することが出来ないので)、大きな金額のお札(5000円札とか10000円札)で支払いをするのです。小さなお札や小銭が財布の中に無い訳ではないのです。前頭葉を含む脳全体の廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してきているその結果としての対応の在り方(症状の発現)に過ぎないのです。

〇とは言え、中ボケまでの段階で発病を見つけることが出来れば、『脳のリハビリ』(前頭葉を含む脳全体が活性化する生活習慣の工夫と改善)の実施により症状を治すことが出来る(前頭葉を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに回復させることが出来、その結果として、症状が消滅する=治せる)のです。『家庭生活』面でも、様々な支障が出てくるようになる中ボケは、脳の機能のレベルで言うと、4~6歳児のレベルになります。家庭生活面で失敗ばかりしているのに、失敗しても口先だけでの言い訳とはいえ、言い訳の為のそれなりの言葉が出てくるので、前頭葉の機能レベルを判定する手技を持たない医師は、(日常の簡単な言葉を交わすことも出来なくなる失語が初期症状と誤解しているので)ごまかされてしまうのです。

アルツハイマー型認知症を発病していて、然も、中期の段階にあることさえ知らないでいるのです。彼らが注目するのは、症状がもっと進んだ段階、「脳のリハビリ」の実施により最早治すことが出来ない末期の段階、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の症状の確認、又は、「DSM-4」が発病と規定する基準である失語や失認や失行の症状の確認を待って初めて発病と診断しているのです。それでは、遅すぎる(診断の意味が無い)のです。病気は、早期診断が肝心、治してなんぼでしょう。

そうした『医療現場の診断の重大な誤り』により、早期診断により治すことが出来るタイプの認知症であるにも拘らず、治すことが出来ないものとされ、不条理にも放置された儘でいて、『要介護老人』が日々大量に生産され続けているのです。

ⅲ)大ボケ(重度認知症)の段階の症状の類型大ボケのチェックリスト】(小ボケの項目が4項目以上及び中ボケの項目が4項目以上並びに大ボケの項目の3つ以上に該当していると、『前頭葉』の機能が異常な機能レベルにあることの判定を条件として「大ボケ」のレベルであることが高い精度で疑われます)。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている(「DSMー4」が誤解に基づき主張する『「記憶障害」に起因した症状』ではない

□ 同居している家族の名前や関係が分からない(自分の子供を配偶者と間違える:『記憶障害に起因した症状』ではない

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする(記憶障害に起因しての症状、服の着方を忘れたことが、この症状が発現する原因ではないのです。廃用性の機能低下に因り、「注意の分配力」の機能がほとんど機能していないことが原因)

□ 居住している自宅の方向が、たびたび分からなくなる(「注意の分配力」の機能が全く働かない機能レベルに在ることが一番の原因。加えて、所の見当識も5点が満点のMMSEの得点が1~0点になるレベルに在り、自分が住んで居る場所さえもわからないのです。「記憶の障害」に起因した症状ではない)

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができなくなる(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります:「記憶の障害」に起因した症状ではない)

□ 家庭生活に全面的な介助が必要となる(食事、入浴、排泄、服の着脱)

□ 食事や挨拶をしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 身の周りには誰も居ないのに、「知らない人が居る」と言ったりする

□ 風呂に入るのを嫌がり、こわがるようになる(「記憶障害」が原因で起きている症状ではないのです。「前頭葉」の機能障害が原因で、何をどのようにしようとしているかの状況の理解自体が出来ない為に起きている症状なのです)

□ 意味不明の独り言や簡単な同じ言葉の繰り返しが目立つ

〇(医師が見つけている段階が遅すぎるのが、重大な問題なのです)

)服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被るとか;自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になるとか;同居している家族の顔も分からないとか;失禁した服を平気で着ていたりしたら、自信を持って、その人はボケている(「アルツハイマー型認知症」を発病している)と皆さんは思うのではないでしょうか。哀しいかな。認知症の診断が専門の医師達でさえ、実は、皆さんと同じレベルなのです。専門家ぶって、『それらの症状は、「記憶障害」に起因して惹起されたものである』と考えているのです(単なる推理、憶測の類)。それこそが、重大な誤解であることさえも知らないで居て。『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルがそこまで衰えてきていることの直接の反映としての症状であることを知らないし、そうした視点を持っていないし、それを検証することが出来る『手技』を持ってもいないのです。彼等の主張の背景には、『その道の権威であるとの自負』しか存在していないのです。

米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断基準である『DSM-4』の規定の権威に惑わされていて、内容を疑ってみることもしないで、その規定の内容こそが重大な誤りであることを知らないので、その規定のままに診断しているのです。規定の第二要件が確認を要求している失語失認又は失行の症状の発現が記憶障害に起因して発現してくるものと誤解していることに加えて、『アルツハイマー型認知症』の極く「初期の症状」であるとの規定が正しいものと信じていて、実際には、極めて重度の症状(11個もの項目から構成されていて、30点が満点のMMSEの総得点が一桁にしかならないまでに、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきているお年寄りだけにしか発現が確認されない極めて重度の症状)であることを知らないで、『そうした症状が初期の症状だと誤解』したままで、診断しているのです。正確に言うと、これは、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の症状(私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の後半になって初めて発現が確認される「極めて重度の症状」)なのです。こうした症状が出てくるもっと前の「軽い段階」(小ボケ及び中ボケの段階であって、『脳のリハビリ』の実施により治すことが出来る)があるのを専門家の精神科医達でさえ、知らずに見落としているのです。医師達は、権威に弱い習性があるので、「DSM-4」の規定の内容を疑うことをしないのです。

〇 昨日まで、ゲートボールをしたり、町内会の旅行に参加して楽しんでいたお年寄りが、一夜明けたら、洋服が着られないとか、現在居住している自分の家が分からないとか、同居している家族の名前や顔が分からないとかにはならないのです。『アルツハイマー型認知症』は、脳血管性認知症とは対比的な症状の発現を示すのです。ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因して発病する性質のものであり、廃用症候群に属する老化廃用型の『生活習慣病』が本態であるアルツハイマー型認知症の場合は、最初に発現するのが小ボケの段階の症状であり、次いで、中ボケの段階の症状が発現してきて、最後に末期の段階の大ボケの症状が発現してくるものなのです。三段階に区分される段階的な症状が発現してくるのと症状の進行が緩やかであって、徐々に進行していくのが特徴なのです。「脳のリハビリ」の実施により回復させることが困難となる末期段階の「大ボケ」(重度認知症)の段階でしか、「アルツハイマー型認知症」を見つけられないでいる医療機関は、MCI(軽度認知障害)とかいう極めて曖昧な基準を持ち出して、そのうちの何割かが「アルツハイマー型認知症」を発病することになるなどと語るのです。彼らが見落としている小ボケの段階の症状が発現しているお年寄りは、やがては中ボケの段階に進むこととなり、中ボケの段階の症状が発現しているお年寄りは、やがては大ボケの段階に進むことになることさえ知らないでいるのです。そして、小ボケ及び中ボケの段階で見つければ、「脳のリハビリ」の実施により正常なレベルに回復させることが出来る(症状を治すことが出来る)ことを知らないで、末期の段階の大ボケの段階の症状が発現してきて初めて、『アルツハイマー型認知症』の発病であると診断しているのです(発病のレッテル張りをしているだけ)。「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、性質それ自体として治せないものではなくて、見つけている段階が遅すぎるが故に治せないだけなのです。一般的な病気と全く同じこと、『早期診断』(小ボケ及び中ボケの段階で見つけること)と『早期治療』(脳のリハビリを実施すること)が肝要ということなのです。

私達の主張は、「二段階方式」の手技を活用して集積した「アルツハイマー型認知症」患者の脳機能データと言う客観的な資料の解析を基礎としていて、更には、市町村での住民参加型の『地域予防活動』の実践指導により疫学的に実証してきているのです。『憶測』だけを基礎とした、専門家達の主張とは、次元が異なるのです。

&2 加齢に起因した機能低下(正常な機能低下=正常老化)に対して廃用性の機能低下が加重される機能低下(異常な機能低下=異常な老化)の世界

「第二の人生」を送っているお年寄りなら誰でもが、加齢に起因した脳の機能低下という問題を、日々実感し、深刻に受け止める状況にあると思うのです。その根底には、『二段階方式』の手技を活用して集積した、極めて多数の『脳機能データ』が客観的なデータとして存在しているのです。私たちが意識的に何かのテーマを発想し、実行に移そうとする上で不可欠の機能である『前頭葉』の個別認知機能(『実行機能』と総称される)の発揮度を左右し、下支えしている機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能について、「かなひろいテスト」を実施した年齢別の機能カーブが存在しているのです。そうした『加齢』に起因した脳の機能低下(誰の脳にも存在しているものであって、私たちが、「正常老化」の性質と名付けている性質)を日々実感しているお年寄りの中で、脳の使い方としての「生活習慣」の内容次第で、『アルツハイマー型認知症』を発病するお年寄りと発病しないお年寄りの『二者択一』の世界が存在しているのです。アルツハイマー型認知症は加齢の延長線上にあるなどと主張する学者もいますが、間違いなのです。脳機能データを持たない体験的な憶測のレベルの主張に過ぎないのです。「正常老化」の性質が示す曲線は、加齢が進行しようとも(100歳までの曲線が示す脳機能データ)それだけでは、異常な機能レベルにまでは、衰えていかないことを示しているのです。異常なレベルにまで衰えていくにはもう一つ別の要因が加重されることが必要不可欠の条件となるのです。その要因こそが、私たちが世界で初めて発見した、脳の使い方としての『生活習慣』という要因、第二の人生を送る中での日々の暮らし方という生活要因なのです。『キッカケ』を契機にして意欲を喪失した状態が継続していると、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない日々の暮らし、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因した廃用性の機能低下(異常老化)が進行していくことになるのです。正常老化の要因に異常老化の要因が重なる(加重される)ことこそが、「アルツハイマー型認知症」を発病させる決定的で、核心的な要因なのです。他に原因となるものは、存在していないのです。ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下という要因が、加齢に起因した脳機能の老化(正常老化)に加重されることの相乗効果により、『前頭葉』を含む脳全体の機能加速度的で異常な機能低下を惹起させることとなり、その機能レベルを反映したものとしての、三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」としての症状が発現してくる世界、単純なメカニズムなのです。それだけのことなのです。4つの仮説は、或る意味で、考え過ぎなのです。私たちの主張内容が正しいことは、全国452の市町村で実施してきた『アルツハイマー型認知症』の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の『地域予防活動』の実践により、事象事実として、疫学的に実証されてきているのです。

&3 「アルツハイマー型認知症」は、早期診断により治すことが出来るものなのです

(1)世界中の認知症研究の専門家とされる人達は、異口同音に、『アルツハイマー型認知症は、治すことが出来ない』と主張します。私たちは、『アルツハイマー型認知症こそが、治すことが出来るタイプの認知症である』と主張しています。

どちらの主張が正しいのか。どちらも正しいのです。実は、両者の主張を区分ける明確な基準が存在しているのです。専門家達は、末期の段階で発現して来る重度の症状だけ(「DSM4」が規定する失語や失認や失行の症状に始まって、それらの症状よりも更に重い症状だけ)が、「アルツハイマー型認知症」の症状であると誤解しているのです。私たちも、末期の段階の症状(私たちの区分で言う大ボケの段階の症状)が発現してしまうと、最早治すことは出来ないと主張しているのです。私たちが彼等と異なるのは、本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う小ボケ及び中ボケの段階の症状自体がアルツハイマー型認知症の症状であること並びにその段階で見つけることにより(早期診断)、脳のリハビリを実施すれば症状を治すことが出来ると主張している点なのです。もう一度指摘しておきます。彼等が、見つけている段階が遅すぎるだけなのです。とはいえ、本当の意味での早期の段階(「脳のリハビリ」の実施により治すことが出来る段階の意味)で見つけるには、CTやらMRIやらPETなどを使用したからと言っても、無理な相談なのです。それらの機器の使用では、肝心の、前頭葉の機能レベルを精緻に判定することが出来ないからなのです。左脳と右脳の働きを判定するのは、言い換えると、三頭立ての馬車を牽引する「三頭の馬」の機能レベルを判定しているに過ぎないのです。馬ではなくて、『御者』(脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」)の働き具合を精緻に判定することが出来ないのでは、小ボケ及び中ボケ段階での、「アルツハイマー型認知症」の症状の発現を判定することは出来ないのです。

私たちが意識的に何かのテーマを発想し、実行に移そうとする際に、何等の器質的な原因病変が存在していないにも拘らず、様々な支障が起きてくるのが「アルツハイマー型認知症」なのです。意識的な世界、場面で、『実行機能』(executive functioning)がしかるべく機能を発揮するには、私たちが『前頭葉の三本柱の機能』と名付ける意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が正常な機能レベルに在ることが、必要不可欠の条件となるのです。三本柱の機能が、実行機能の機能の発揮度を左右し、下支えているからです。三本柱の中で最も高度な機能が、『注意の分配力』の機能であり、マウスはおろか、DNAの98%が人間と同じであるとされるチンパンジーにさえもこの機能は備わっていないのです。『デュアル・タスクの実行により、脳が活性化される』とか言って、分かっているつもりになっていたのでは、注意の分配力の機能の神髄に迫ることは出来ないのです。『注意の分配力』の機能構造並びに当該機能の「廃用性の機能低下」というテーマに肉薄できない限り、『アルツハイマー型認知症の発病のメカニズム』に肉薄することは出来ないことを問題提起しておきたいのです。ついでのことに問題提起しておくと、どれほど進歩した革新的な機能レベルに在るAI技術を駆使しようとも、その分析対象となるデータの中身自体に、脳の使い方としての生活習慣」に関わるデータでない限り、正しい結論を導き出すことは出来ないのです。赤ワインを飲んだり、地中海料理を食する生活習慣が予防に効くとか言わないで頂きたいのです。寄席での笑い話とは違うのですから。

米国精神医学会が策定した『DSM-4』の規定の重大な誤りに気付かないでいて、その規定の要件を基礎とした診断を行い、『脳のリハビリ』により回復させることが最早困難な末期の段階、大ボケの段階の後半の症状である失語や失認や失行の症状の発現を確認して初めて発病と診断するのは、単なる発病のレッテル張りに過ぎないのです。診断する意味が無いのです。『早期診断により、治せるもの』なのだから、治して初めて、診断の意味があるのではないでしょうか。自分たちの診断方法(診断基準)自体に重大な誤りが有ることにも気づかないでいて、治すことが出来ないなどと誤った情報を発信しないで頂きたいのです。社会的責任を自覚し、世の中を惑わせるような行為をしないで頂きたいのです。

)世界中に何千万人もの発病患者がいるというのに、認知症研究や診断の専門家達から、「発病の原因が分からないし、治すことが出来ないし、発病を予防することが出来ない」とされてきているアルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化廃用型生活習慣病が本態なのであり、性質それ自体として治すことが出来ないものではないのです。医師達が見つけて居る段階が遅すぎるだけなのです。ナイナイ尽くしの単調な生活習慣に起因した廃用性の機能低下(使う機会が極端に少ないがために機能が老化していく)が原因で発病し、症状が重症化するものなので、日常の生活面で使う機会が出来るだけ多くなる生活習慣を工夫することにより(意欲、注意の集中力、就中、「注意の分配力」の機能の出番が出来るだけ多くなるような生活の仕方の工夫)、前頭葉を含む脳全体の機能が正常な機能レベルにまで回復してくることにより症状を治すことが出来るのです(発現していた症状が消滅する)。このことを言い換えると、仕事(左脳が専管)とは無縁になる『第二の人生』では、右脳や運動の脳をしっかりと使う生活習慣の構築と実践(趣味や遊びや人付き合いや運動の機会が多い生活習慣の構築と実践)により、「アルツハイマー型認知症」の発病自体を予防することが出来るのです。

注)「記憶の改善」に役立つ薬が、「アルツハイマー型認知症」の症状の治療薬になる可能性が有ると主張する最近の新説(仮説)は、推論の短絡に過ぎないのです。記憶の障害が発病を惹き起こす直接の原因ではないからです。新規のこの仮説もまた、従来の「4つの仮説」と同類と言うしかないのです。『アルツハイマー型認知症』の発病と診断する上で最初に確認すべき要件として「記憶障害の症状」の確認を、その「第一要件」で要求している『DSM-4』の規定の重大な誤りに気付かないで、それを正しい前提としての主張に過ぎないからなのです。記憶の障害の症状も、アルツハイマー型認知症の症状も、「前頭葉」の機能障害、より詳細なメカニズムを説明すると、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能について起きてくる廃用性の機能低下の進行により異常な機能レベルに機能が低下してきたことに起因して起きてくるもの(これこそが直接の原因)だからなのです。意識的な世界に着目し、『前頭葉(実行機能)』の機能構造に着目しない限り並びに『実行機能』の機能の発揮の度合いを支配し、下支えているのが意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能であること(機能発揮上の「二重構造発」の存在)に気づかない限り、発病のメカニズムの解明は不可能事なのです。更に言うと、発病及び症状が進行するメカニズム(ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下こそが直接の原因)に鑑みて、飲むだけで(貼るだけで)症状を治したり、症状の進行を遅らせたり、発病自体を予防する効能を有するが開発されることは、未来永劫有り得ない事なのです。

〇(効能を確認する簡単で確実な方法)二段階方式の手技の活用により「アルツハイマー型認知症」を発病していることが明確に確認されていて、発現している症状が中ボケの後半(前頭葉の機能レベルが異常なレベルに在ることが確認され並びにMMSEの総得点が19~15点の範囲に在るお年寄り)及び大ボケの前半(前頭葉の機能レベルが異常なレベルに在ることが確認され並びにMMSEの総得点が14~10点の範囲に在るお年寄り)にあるお年寄り達100人に対して、その薬を飲ませてみればいいのです。私たちの予測では、そのお年寄り達の症状が治るのでなくて、更なる症状の重症化が進行していくことになるはずなのです。ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』が継続されたままで居て、薬を飲むだけで(貼るだけで)、意欲注意の集中力及び注意の分配力の機能が活性化され、異常なレベルに機能低下が進行していた「前頭葉」を含む脳全体の機能が正常なレベルに回復されるとしたら、それは何らかの新規の「麻薬の類」でしか有り得ないのです。薬を飲めば、勝手に機能が活性化される訳ではないのです。脳の機能を意識的に使うからこそ、それにリンクして、情報を伝達する際に必要な神経伝達物質の放出が起きるという機序が存在しているはずだからです。

廃用症候群に属する老化廃用型の「生活習慣病」を本態とする「アルツハイマー型認知症」」に特有な特徴である『MMSE下位項目の項目困難度』のデータ(できなくなっていく厳密な順番)が示す事象事実(14689例にも及ぶ三段階の症例の解析結果)を、「DSM-4」の規定も「4つの仮説」も、両者共に合理的に説明することが出来ないのです。アルツハイマー型認知症の発病者に実施したMMSEのテスト結果は、小ボケ、中ボケ及び大ボケの各段階のデータを全て集めてみると、必ず以下の順番に出来なくなっていくのです(末期の段階である、大ボケの段階しか見ていないので、分からないだけなのです)。その厳密な順番は、想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名の順番となるのです(想起が最も難しい項目)。

〇発病の原因がアミロイドベータの蓄積に在るとする通説とは言え仮説に過ぎないアミロイドベータ説の考え方を支持しつつ、運動や交遊や脳トレがアルツハイマー型認知症の発病の予防に役立つ等と粗雑な論理構成で、誤った情報を政府やマスコミに流さないで欲しいのです。前頭葉の機能構造を知らないで、実行機能の機能発揮上の二重構造の問題を知らないで、更に言うと、生活習慣の改善と工夫による脳が活性化する機能構造も知らないで居て、物知り顔に語らないで頂きたいのです。自身が無知であることに早く気付いて頂きたいのです。『アルツハイマー型認知症は、「生活習慣病」である』というフレーズを持ち出すだけで専門家になったと誤解しないで頂きたいのです。もう一つの問題点を指摘しておきましょう。MCI(軽度認知障害)の基準自体が極めて曖昧な規定内容であり、杜撰な内容だということさえも知らないで居て、政府に取り入る術にだけは長けている方達のようなのですが、徒に世の中を混乱させないで欲しいのです。余りにも因果関係に無頓着な医師や学者が多過ぎるのです。

本著作物「Cー21」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。このブログ中の内容の一部を引用する際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします。 

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      脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

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