36)七叶一枝花の抗がん作用

図:七叶一枝花は茎の上端に7片の長楕円形の葉が輪生するユリ科の薬草。中国では、その根をがん治療に多く使用している。


36)七叶一枝花の抗がん作用


七叶一枝花(シチヨウイッシカ:学名 Paris polyphylla)は中国各地に分布しているユリ科の多年草です。高さ30~100cm、直径約1cmの直立の茎の上端に、通常7片の長楕円形の葉が輪生し(写真)七葉一枝花とも書きます。
薬用部位の根茎は古く「蚤休(そうきゅう)」と呼び「神農本草経」や「本草綱目」などにも記載されています。「草河車(そうかしゃ)」とも言います。

薬理作用として、強い
抗菌・抗炎症作用(清熱解毒、消腫)を持ち、様々な細菌やウイルスに対して強い抗菌・抗ウイルス作用を発揮し、炎症を抑え、腫れを軽減する効果があります。さらに、抗がん作用、鎮咳・去痰作用、喘息を緩和する作用、鎮静作用・抗痙攣作用などが報告されています。このような薬効により、がん治療の他、肺炎、気管支炎、喘息、脳炎、腫れもの、蛇咬傷、小児の熱性痙攣などの治療に使用されています。

煎じ液には通常3g~15gを使用し、がん治療には15~30gを使用しています。
ただし毒性もあり、過量に服用すれば悪心、嘔吐、頭痛がみられ、ひどければ痙攣が現れると言われています。

主成分のステロイド様サポニンの
ポリフィリンD(Polyphyllin D)には、様々ながん細胞に対してアポトーシスを誘導する効果が報告されており、肺がん、乳がん、消化器系のがん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、脳腫瘍、白血病など多くの悪性腫瘍に対して効果が報告されています
がん治療における科学的研究として以下のような報告があります。

○ がん治療で使用される15種類の生薬について、消化器系のヒト培養がん細胞(胃がん、大腸がん、肝臓がん、食道がん)を用いて、抗腫瘍活性を検討したところ、七叶一枝花の抽出エキスが最も効果が高く、培養がん細胞の増殖を半分に抑制する濃度は10~30 マイクログラム/mlであった。Phytother Res. 2007 Jul 18; [Epub ahead of print]

○ 七叶一枝花の根に含まれるディオスゲニル・サポニン(diosgenyl saponin)類にはマクロファージを活性化し、免疫増強作用がある。Bioorg. Med. Chem. Lett. 17(9):2408-2413, 2007

○ 中国では七叶一枝花は肝臓がんの治療に使用されている。七叶一枝花の根に含まれるPolyphyllin Dは、培養肝臓がん細胞のアポトーシスを誘導した。また、抗がん剤感受性を高める効果もある。Cancer Lett. 217: 203-211, 2005

○ 七叶一枝花の根に含まれるPolyphyllin Dは乳がん細胞に対して細胞死(アポトーシス)を誘導する効果がある。乳がん培養細胞を使った実験では、5μMの濃度で48時間処理するとがん細胞の半分がアポトーシスで死んだ。
Cancer Biol Ther 4(11): 1248-1254, 2005


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