碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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【新刊書評2024】 『東京漫才全史』ほか

2024年03月04日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

北野圭介『情報哲学入門』

講談社選書メチエ 1980円

かつて近未来として語られ、今や完全に実現した「情報社会」。しかし、そもそも「情報」とは何なのか。そこにはどんな哲学的課題があるのか。メディア研究者である著者が解説していく。情報の概念や技術、そして知能の再定義。情報がもたらす政治や経済の未来像。さらに、社会だけでなく、「人間」も情報によってデザインされ得る時代にどう対応するのか。未知の「生存戦略」も提示される。

 

中央公論新社:編『50歳からの読書案内』

中央公論新社 1650円

50歳以降に読んだ印象深い本、あるいは今も読み返す大切な本は? その問いに50人の著名人が答えている。関川夏央が「大人を超えて老いに至ると、しみてくる」という森鷗外『じいさんばあさん』。永井荷風を繰り返し読む川本三郎が、同じく再読する野口富士男『わが荷風』。酒井順子を古典の世界へと導いたのは橋本治『桃尻語訳 枕草子』だ。本は常に「冒険」であり、また「途上」でもある。

 

神保喜利彦『東京漫才全史』

筑摩書房 2310円

江戸時代から関西で発展してきた「上方漫才」。大正時代に出現したのが「東京漫才」だ。本書はその歴史をまとめた労作である。戦前の東京漫才黄金時代。戦後のラジオと東京漫才の復興。やがてテレビの登場で漫才師のあり方も変化する。獅子てんや・わんや、晴乃チック・タックといった懐かしい名前から、現在も活躍する「ニュータイプ」まで、時代の縦軸と横軸で語られる東京漫才の正史だ。

(週刊新潮 2024.02.29号)