碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「アメトーーク!」 偏愛芸人が教える豊かな人生のヒント

2017年06月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ朝日系「アメトーーク!」について書きました。


テレビ朝日系「アメトーーク!」
偏愛は生きる支えとなる

オトナの男が見たいと思うバラエティー番組はそう多くない。その意味で、「アメトーーク!」は貴重な一本だ。放送開始から14年。立派な長寿番組だが、がぜん面白くなってきたのは「○○芸人」という“鉱脈”を掘り当ててからだろう。

たとえば、つい商品を買いたくなってしまう、土田晃之などの「家電芸人」。細部へのこだわりに驚かされる、品川祐たち「ガンダム芸人」。また再現度がハンパじゃなかったのが、劇団ひとりや博多華丸の「海外ドラマ『24』芸人」だ。

「○○が好きだ!」という偏愛宣言と、「○○のここがスゴイ!」というウンチク披露。何より、いかにそれが好きかを語る彼らの偏愛は本物感に満ちている。しかもビジネスのためではない。好きなものと真摯に向き合い、突き詰めているのだ。

番組で語っているので、結果的にはビジネスになっているが、その本質は“無償の愛”だ。喜々として「○○愛」を語る彼らを見ていると、偏愛は人生を豊かにするだけでなく、時には生きる支えとなることがわかる。

物や趣味への偏愛ならば、自分だけの価値観で行動できる。また愛する対象から不当に傷つけられることもない。「○○芸人」はもちろん、「○○ビジネスマン」や「○○女子高生」も大いに結構。偏愛の井戸を深掘りすれば、人生はより楽しくなるはずだ。

(日刊ゲンダイ 2017.06.21)