字が上手になりたいと思い10年前、工房に先生に来ていただいて習字教室を開いた。
6、7人の小規模のものでしたが4年ぐらい続いた。仕事が忙しくなり、通信にしていただき、その2年後に辞めてしまった。残念でした。
墨をすっている時間は特別の空気が流れていて、心が落ち着き、お習字は大好きでした。とはいえ、仕事と、娘の出産などが重なり時間が取れなくなった。でも、それは言い訳かもしれない。月に5、6時間の時間はとれた筈・・・、と、今にして思えば言えます。
仕方ない、その時はもう、いっぱいいっぱいでした。また少し時間が出来たらやります、やりたいのです。確かに字が変わってきました。
字がきれいにこしたことはありません。私でも、少しはお利口に見える筈と。
母がとてもきれいな字を書いていました。「丁寧に書けばきれいなのに」と、折に触れ言ってくれました。いつもそんな風に励ましてくれた母でした。
大正生まれの母は、友達と旅行に行くわけでもなく、自分の趣味に生きることもしないで、家族の為だけに生きた一生でした。私は、母には自分の時間を持ってもらいたかった。でも、それも今思えば、私の勝手な思いなのだが・・・。
「いつまでも自由に飛び回っていたあなたのことが気がかりで、そんな気になれなかったわ」と苦笑している事だろう。(申し訳ない気持でいっぱいです)
私は41歳で結婚して、42歳で母になった。母に孫を見せられたことが、私の唯一の親孝行で、それだけでチャラにするには、あまりにも母の愛情は深く、尊いものでした。
切なく、懐かしく母を思うのです、逢いたい。