山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

現代農業は巨大な化学実験場か?

2012-09-22 | 農業

 古代から持続してきた農業は、この50数年で巨大な化学実験場と化してしまったのではないかと思ったりします。以前ご紹介した「生きている土壌」を読み返してみて、想像力を逞しくしてツラツラと考えてみたところです。

 現代農業以前の農業は、いわゆる循環型農業でした。私が小さい頃までは、化学肥料もありましたが、いわゆる下肥は貴重な肥料として用いられておりました。また家畜の糞尿等も稲藁や麦藁と混ぜて堆肥を作っておりました。

 その後、農薬や化学肥料が大量に使用されるようになり、確かに収量の増加や安定した生産が可能になりました。と同時にクリークに死んだ魚が大量に浮かんでいるのを見かけるようになりました。余談ですが、小学3年生の時の社会科見学で、大牟田市にある肥料工場を訪れました。薄暗い工場に真っ白に輝く尿素が富士山のようにうず高く置かれており、大型のブルドーザーのようなもので運搬車両に積み込んでおりました。これが物凄く印象的に残っていたとみえ、後日このことを図画工作の時間に描きました。これがどこが間違ったのか県展に入選してしまいました。このようなところにも高度成長時代が影響しているのでしょうか?

 農業の機能の一つとして自然環境を守ることが挙げられることがあります。従来農法のような循環型農業であれば、確かにそのような機能を認めることができるでしょう。しかし、農薬や化学肥料を大量に使用する現代農業に、そのような機能を認めることが果たしてできるでしょうか。大量の化学肥料を田畑に散布しますが、果たして全てが植物体に吸収されるでしょうか。不要の栄養素は土中に蓄積されるものもあるでしょうが、一部は地下水や放流水へ流れ出しているものと考えた方が合理的ではないかと思います。最終的には、河川や海に流れ込みます。赤潮の原因として合成洗剤のリン酸塩が疑われておりましたが、化学肥料が原因である可能性も捨て切れません。

 従来型の循環型農業は、過去数千年に渡って人類が繁栄してきたことからしても、その安全性が検証されたものと考えられます。しかし、現代農業は高々数十年の歴史しかありません。農薬や化学肥料を大量に用いることに対する副作用が誰も経験したことがないような形で現れるかも知れません。あるいは現れないかも知れません。

 ただ言えることは、従来型の循環農法の方が検証済みであることから、例え収量や安定生産が望めないとしてもベターであると考えます。私が目指す「自然農法」もその延長線上にあります。相当困難なことであろうとは思いますが、個人的に大変興味がありますので、試行錯誤を重ねて行きたいと思っております。

 50歳半ばに達した今、そんなに長くない人生です。百姓をしながら、風の吹くまま気の向くまま、気負わず、お気楽に過ごして行けることが願いです。


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