議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

ベーシックインカムで仕事との関わり方が変わります

2008年06月13日 06時05分56秒 | ベーシックインカム
ベーシックインカムについて引き続き・・・

前回の最後の問いかけは、つまるところ「ベーシックインカム導入後に、働き方はどう変わるか」ということです。

 まず、所得保障の額によりますが、最低限生活できるだけの収入は確保されているので、失業を恐れなくてよくなります。これはベーシックインカムのコアとなる重要な点です。いやな職場だろうが、きらいな仕事だろうが、長時間労働だろうが、体を壊そうが、心を壊そうが、過労死しようが、何とか食べるために無理をして働く必要がなくなります。

 トニー・フィッツパトリックという方がベーシックインカムについて本を書いていますが、そのタイトルは「自由保障」です。これは生活保障をすることで、非人間的な労働から人々が解放される=自由を獲得できる、という意味です。無理して働かなくてもよくなるのです。精神的な安心感はとても大きいと思います。
 これが実現すれば、失業の恐怖と社会への不満のために、秋葉原で通り魔事件を起そうと考える人は出てこないのではないでしょうか。

■ワークスタイルの変化
 「失業が怖くない」
 これにより働き方に大きな変化が生じます。例えば、うまくいくかどうか自信がない場合でも、思い切って起業する方が増える、社会が活性化するでしょう。同様に転職も増え、社会全体として人材のより有効な活用ができるようになるでしょう。やりがいがあっても、給与水準が低くやめざるを得なかった仕事、例えば介護、NPO活動、その他社会貢献活動を続けることができます。
 長時間労働は文化の問題があると思いますが、少なくとも今より労働者は拒否しやすくなるはずです。過労死や自殺も減るのではないでしょうか。
 もちろん、ワーキングプアは収入面で相当救われるでしょう。

 産廃の不法投棄をするような会社には、人材は集まらないはずです。誰だって本当は不法投棄なんかしたくないはずですから(一部の例外はあるかもしれませんが)。

 そう、悪い仕事が減って、少々儲からなくても社会的意義が高い仕事が増えるのです。なかなかよい社会だと思いませんか。

 では本題?の「環境配慮型ライフスタイル」は推進されるのでしょうか。次回まで少し想像してみてください。

■オマケ
 上記で少し触れた本の紹介です。
 ベーシックインカムは、社会主義だけの考え方ではなく、自由主義、フェミニズム、エコロジーなど様々な立場からの支持を集めています。それぞれの立場が支持する理由、主な反対論への回答がまとまっています。少々難しいところもありますが、ベーシックインカムについて勉強するなら、非常に役に立つ一冊だと思います。
高いので、図書館で借りるのがいいと思います。
自由と保障―ベーシック・インカム論争
トニー・フィッツパトリック,武川 正吾,菊地 英明
勁草書房

このアイテムの詳細を見る

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 森林でできたアイス | トップ | ミスが起こるメカニズム »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
究極的な社会保障 (じゅん)
2008-06-13 20:13:24
ベーシックインカムは、究極的な社会保障のあり方だと思う。キューバは、農業について買取保障をしており、生活に必要な分は国の買取保障というところでベーシックインカムになっているようだ。しかし、何もしなくても保障されるというのではなく、作れば、相場に関係なく、仲買人に搾取されることなく、生活が保障されるということなので少し違う。
何もしなくても食べられる、というのは、違和感がある人が多いと思う。我慢するとか競争するということに、慣れ、それを受け入れてきたので、もう我慢も競争もいらないよ、と言われると、今までの人生はなんだったのか、そんなことあり得るのか、と真面目な人は思うでしょうね。私も半分そう思う。発想が貧困なのか、現実主義なのか。社会保障というからには、官僚が管理するのでしょうが、官僚制度に対する不信感もあるし。
返信する
自由が保障されるということ (堀口昌澄)
2008-06-15 23:35:17
じゅん様

きっと、競争する自由も、しない自由も残るのだと思います。ベーシックインカムは共産主義か社会主義のように思われることもあるようですが、その反面個人の自由を究極まで保障する制度でもあります。我々は本当の意味での自由主義をまだ知らないから、(私も含めて)戸惑ってしまうのかもしれません。

制度の運用についてです。
今の後期高齢者医療制度は、一部自治体がシステム構築が間に合わず、開始当初には運用できなかったという例があるほど、ややこしいシステムになっています(準備時間が足りなかっただけか?)。

そこへまた、収入が低い方に対する負担軽減措置をくっつけるとか、、、制度が複雑すぎて、その運用にコストがかかってしまいます。まるでどこかの法律みたいです。

ベーシックインカムは、その点単純な仕組みになると思います。社会保険庁の職員の数は減るでしょうし、取りすぎ、支払いもれ、ということも少なくなると思います。
返信する

コメントを投稿

ベーシックインカム」カテゴリの最新記事