議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

2022年頭にあたり

2022年01月04日 23時38分32秒 | 持続可能社会
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皆様、新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

2022年の最重要イベントは、4月のプラスチック資源循環促進法の施行
と言ってよいでしょう。
これをきっかけに、日本の資源循環が新しいステージに入るのではないかと
思って(期待して)おります。

何を大げさな、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
業界に大きな影響を与え得るのは、ここへきてサーマルリサイクルが
事実上この法律の目的から外され、マテリアルリサイクルより明らかに優先度が
低くなったという点です。

(第1条:目的より抜粋)
 「・・・プラスチック使用製品の廃棄物の~中略〜再資源化*を促進する・・・」
       *:再資源化には熱回収は含まれません(第2条第5項、6項より)

促進法ですし、直罰のある規定ではありませんので、誰も真面目に取り合わなければ
それまでなのですが、カーボンニュートラルの流れを追い風に、
何とかしてマテリアルリサイクルを進めようという動きが出てきているように
感じます。

私は、この法律の施行に合わせるようにして開業する、プラスチックの
マテリアルリサイクル工場の支援をしているのですが、そのような中で
各方面からのお問合せが来ています。

それも、新法にある通りライフサイクル全体、すなわち
 ①マテリアルリサイクルしやすい製品設計
 ②排出事業者としてサーマルリサイクルをマテリアルリサイクルにするための方法
 ③消費者から回収した自社製品のマテリアルリサイクルの方法
 ④バージン材からリサイクル材への切り替え方法
のように、プラスチックリサイクルに関係する各段階からのご相談です。

今後、この風がどうなるかによっては、リサイクル施設のスクラップアンドビルドや
再編が加速することになるでしょう。特に注目したいのは、④が進んでいくことで、
リサイクル業者を調達先として監査することが多くなり、そこでも淘汰が進む
可能性があるという点です。しばらくの間は調達する側もされる側も、暗中模索が続く
かもしれません。

ということでこの一年は、コロナ禍中にありながらも、どの程度まで風が強くなり、
①〜④を進展させ、どのような連携が進み業界地図が変わっていくのか、
(私は業界の渦中に身を置いて、風よ強くなれと団扇をあおぐ立場なのですが)
できる限り一歩引いた眼で見ていきたいと思います。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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プラスチック新法が、サーマルリサイクル、サーマルリカバリーを否定している
ととらえる向きもありますが、必ずしもそうではないと思っています。
「サーマルでもリサイクルなんだからいいじゃないか」と安易に流れていた
風潮にくぎを刺しているだけです。いや実際、サーマルリサイクルって、
結構簡単じゃありませんでしたか?
それに対し、少々手間でもマテリアルリサイクルをしようではないか、
どうしても難しい場合はサーマルリカバリーをしよう、という当然のことを
言っているだけなのです。

これまでのままでいると、いつしか外圧によりマテリアルリサイクル率の義務化
の動きに巻き込まれ、いつものように対応が後手後手になってしまいます。
そうなる前に無理のない、自主的な取組でレベルを上げていくべきでしょう。

この数年は、腰を据えてマテリアルリサイクルに注力していきましょう。
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