議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

定額減税を「給付金」で

2008年10月31日 05時34分22秒 | ベーシックインカム
 2兆円一律で給付する方向だそうですね。「減税ということは、税金を払えていない低所得者には恩恵はないのか?」と残念に思っていたのですが、一律給付なら低所得者にも行き渡ります。

■減税するなら、低所得者層へ
 金持ちに減税しても貯蓄に回る可能性がありますが、低所得者であればほとんど使い切ることになる(消費性向が高いってコトですね)ので、この方が効果も高いはずです。

■ベーシックインカム普及の第一歩
 とはいえ、景気対策としてどれほど効果があるか疑問、単なるバラマキという批判もあります。確かに景気対策としては他にすべきことがあるのかもしれません。
 一方で、ベーシックインカム普及の観点からするとよい動きだと思います。なにせ、低所得者層への配慮、事務負担の軽減というベーシックインカムと共通の利点を理由としつつ、政府から国民に一律で給付されるということになるわけです。我々日本人がベーシックインカム的な発想を受入れるひとつの下地になるはずです。それに、今回の給付は1回だけだと思いますが、将来の消費税増税のときに「給付金もセットでやろう」という流れになれば、小規模なベーシックインカムになりますね。

 ちなみに、高速料金をどこまで行っても最高1,000円というのは、反対です。CO2の排出量を減らそうというときに、これでは困ります。もっと公共交通機関を使ってもらう必要があるのに。。。
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WDSに印紙は必要か?

2008年10月29日 05時32分48秒 | コンサル日誌
 WDS(廃棄物データシート)をご存知でしょうか。環境省が契約書の法定記載事項である「廃棄物情報」の提供のための雛形として公開しているものです。詳しくはこちらをご覧ください。

■WDSに印紙は必要か
 さて、WDSには印紙の貼付は必要なのでしょうか。どうやら「とりあえず200円貼っておこう」という判断をされていることがあるようです。排出事業者と処理業者の社名が記載されているため、なんとなく必要な気がしたのかもしれません。

■不要と思われます
 しかし、印紙税は全ての合意文書・契約書に貼付しなければならないというものではありません。印紙税については「印紙税の手引」をご覧ください。WDSは、委託する廃棄物の中身が何であるかについて、排出事業者と処理業者の双方が確認、合意するためのものです。「印紙税の手引き」を見る限り、このような文書には印紙税の貼付は不要と思われます。貼付されてしまった方は、税務署に行けば還付してもらえますので、一度相談してみてください。
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いわゆる逆有償の場合の売却先の条件

2008年10月28日 05時32分29秒 | コンサル日誌
 運賃により逆有償になる場合の取引については、この記事でその方法をまとめています。これに関連する規制改革通知についてですが、以下の点に注意してください。

■売却先の要件
以下、通知から抜粋します。
***************
再生利用をするために有償で譲り受ける者による当該再生利用が製造事業とし
て確立・継続しており、売却実績がある製品の原材料の一部として利用するもので
あること。
***************

つまり、「製品の原材料の一部」であることが条件で、例えば「燃料」として購入というのは当てはまらないということです。「製造業が行うマテリアルリサイクル」という範囲に絞りたかったのでしょうか?
ただ、この一文は「なお」として始まっており、判断する上で特に留意すべき点とされているので、あくまで考慮すべき点の一つに過ぎない(絶対条件ではない)と思います。

ということですので、一応注意してください。

え?知らなきゃ良かったですって??

いやいや、もちろん最高裁判所が支持する総合判断説の方がこの通知より優先します、というより通知にもそう書いてあります(Q&AのQ10参照)。したがって、この通知をあまり気にせずに「総合的に判断して廃棄物ではない」という判断に基づいて運用することも可能です。実際私はそのような例を沢山知っています。
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ecoカップ

2008年10月27日 05時49分38秒 | ウィークリー・トピックス
 先週は終日セミナーが3本と、練習(しなければならない少々特殊なセミナー)が1日あり、ほぼそれでつぶれてしまいました。今週は資料作成に追われそうです。

 さて、日清食品さんのカップヌードルのecoカップが日経エコロジーでも取上げられていました。紙のカップとなり、地球に優しいとのことです。しかし、ご存知のように先週防虫剤成分の検出で問題になりました。どうも紙に変わったことで外部からの臭気に弱くなったということです。

 環境配慮という改良が別の面での問題を引き起こしてしまうことは、当然ありうることで、予測することも難しかったのかもしれません。悪意があったわけでもなく、そこは早急に対応されるのだと思いますが、私は別の点が気になりました。

■紙は発泡スチロールより環境にやさしいのか
 「紙はカーボンニュートラル」という説明がありました。しかし当然ながら紙の作り方に大きく左右されます。森を皆伐して得られる木材が原料であれば、逆に問題です。発泡スチロールのほうがマシかもしれません。
 この辺りのLCAデータが欲しいところですが、そこまで行かなくてもせめて紙の原料をどのように調達しているのかを知りたいところです。古紙なのか、FSCなのか・・・。

 一方、再生発泡スチロールや植物由来のプラスチック(日本バイオプラスチック協会を参照)もあります。本当によい方法は何なのでしょうか。産業界のこれからのテーマでもありますね。
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79歳女性の通り魔事件

2008年10月24日 07時02分45秒 | ベーシックインカム
 あちこちに記事がありますが、とりあえずココにリンクを貼っておきます。
 通り魔事件を起こせば「福祉施設よりももっといいところ(=刑務所)に長くいられると思った」そうです。「踊る大捜査線」で大晦日に暖かい留置所で過ごすために軽犯罪を犯すホームレスがいたのを覚えていますが、この方は福祉施設に入っているので状況は違うはずですが。。。
 今の福祉施設はそんなに居心地が悪いのでしょうか。しかも福祉施設には「長くいられ」ないようです。これでは相当な不安と不満を持っていたであろうことが容易に想像できます。一体我々の社会は福祉をどう考えているのでしょうか。

■犯罪抑止力としてのベーシックインカム
 この問題は福祉施設のあり方を含めた福祉政策全般の問題だと思います。快適な福祉施設に好きなだけ入所できるのであれば、こんな事件は起こらなかったはずです。しかしもし、ベーシックインカムという制度があったら、この女性はこんな事件を起していたでしょうか。おそらく、収入が保証されることによる安心感が、抑止力として働いたことと思います。秋葉原の通り魔事件も、犯人は派遣契約の打ち切りを恐れていたそうですから、これも起こらなかったかもしれません。
 これから雇用がさらに不安定になるでしょう。ベーシックインカム論議をもっと盛り上げていきたいと思います。
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経営層への廃棄物処理法セミナー

2008年10月23日 05時59分20秒 | コンサル日誌
 「目の前に常務とかがいるのに、よく緊張せずに堂々と話せますね~」とはセミナーをご依頼いただいたある方からのコメントです。
 セミナーや研修のタイプにはいろいろありますが、経営層を対象としたセミナーも実施しています。その場合は常務などの取締役、部長クラスの方ばかりが対象となります。ですから、1~2名役員がいたところで緊張してられません。感覚が麻痺しているのかも知れませんが・・・。

 実際のところ、廃棄物のセミナーの対象者の種類にはかなり幅があります。マニフェストを実際に交付している方々、営業先から「廃棄物もついでに引き取ってくれ」と言われることがある方々、総合商社で関連の事業会社を管理している方、その他工場長、総務部長などなど。セミナーニーズがあるということは、裏返すとそこまで周知しきっていないということですね。

 廃棄物に限った話ではありませんが、何をするにしても経営層への浸透が最大のポイントですね。お忙しい経営層の方々のために、30分や1時間の短時間のセミナーも実施していますので、是非お声掛けください。
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中間処理と最終処分について

2008年10月22日 06時06分59秒 | コンサル日誌
 中間処理と最終処分の区分けをしっかり理解している方が結構少ないようです。長期間にわたり廃棄物管理に携わっている方でも、ここが混乱していることがあります。

以下、いずれも法第12条第3項の抜粋、引用です。
○最終処分
 埋立処分、海洋投入処分又は再生をいう。以下同じ。
○中間処理業者
 発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう。以下同じ。

 つまり、最終処分とは最終処分場での埋立だけでなく、再生(売却できる状態に処理すること)を含むということです。
 一方中間処理は、最終処分以外の処分を指しているようです。

 問題は、再生の方法です。一般に中間処理だと考えられている破砕をした場合でも、破砕後のものが売れる=再生(最終処分)という場合があります。
 したがって、埋立は最終処分にしかなりませんが、それ以外の処分については、最終処分(=再生)になるか中間処理になるかは、ケースバイケースとなります。ですから、よく見かける「中間処理業の許可」というのはおかしいのです。その処理は場合によっては最終処分(=再生)になることもあるのですから、あくまで「処分業の許可」とすべきです。

 この考え方にのっとり、契約書やマニフェストの最終処分の場所など、最終処分関連の記載事項を埋めるようにしてください。
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特別管理産業廃棄物帳簿と電子マニフェスト

2008年10月21日 05時41分11秒 | はみ出しアドバイス
 少々古い話題で恐縮ですが、、、
 教えてアミタさんで「廃棄物処理法の「帳簿」とは何のことですか?」という記事があります。廃棄物処理法では3種類の帳簿がありますが、それぞれについて簡単に説明してあります。

■特管帳簿と電子マニフェスト
 中でも特別管理産業廃棄物を排出している場合は、帳簿を作成しなければならないことになっています。一方、電子マニフェストを使用している場合は、帳簿作成の手間が少し省けることについても説明があります。詳しくはJW-net(電子マニフェストの運営団体)から、「電子マニフェストを利用した場合の帳簿作成等について」の説明をご覧ください。ここに環境省からの通知が紹介されています。

 要は、電子マニフェストに入力する情報では帳簿の記載事項としては足りないことがあるので、それに情報を追加しないと帳簿としては不足ですよ、ということのようです。

■で、要望です。

(1)そもそも「面倒な説明を抜きにして帳簿不要にしてよ!!」と思うのですが、いかがでしょうか。

(2)もうひとつ、この通知が環境省のHPにいまだにないのは問題です。昨年12月19日の通知ですが、JW-netや各自治体のHPにしかありません。この分かりにくい法律をちゃんと周知したいのであれば、せめてワンストップで情報提供すべきと思うのですが、環境省にはそんな意図は今のところないようです。きっと優先順位低いんでしょうねぇ。
この通知に限らず、発出後すぐにHPにアップし、環境省メルマガで一般国民に告知して欲しいものです。
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セミナーの効果測定

2008年10月20日 05時36分08秒 | ウィークリー・トピックス
 先週はセミナー資料の作成がわんさかとありました。少々うんざり・・・。なかでも火曜はセミナーの打合せのために出っ放しで、17時から打合せを開始したクライアントもありました。終わったのは確か20時半。「この時間に社外の人と打合せするのは珍しくない」うえ、「今日は、まだまだ帰れません」だそうですが、新婚間もないこの方のワークライフバランスが気になりました。とっても立派な会社なんですけど。

■セミナー効果で点数アップ!!
 この会社では、各サイトの担当者の方にテストをしていただいております。1回目は1年弱前にセミナー直前に実施、そして今回も実施しました。ちなみにこのテストはインターネット経由で行われるもので、各サイトで好きな時間に受けていただくことが可能です。問題は入れ替わるため、複数回受験してもOKです。
 さて、今回の点数は前回に比べて大幅に向上。1回目は各サイトの平均が業界平均(各業種の廃棄物担当の方の平均点)に10点近く及ばなかったのが、今回はちょうど10点アップしました。やはりセミナーの効果なのでしょうか、レベルアップしていることが分かるというのは良いですね。でも気になったのは30点台の方から80点台の方まで大きく開きがあるということ。まだまだ底上げが必要です。

 この会社のセミナーは今週あります。みなさんの顔を見るのが楽しみです。
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変革のための生活保障(セーフティネット)

2008年10月17日 06時00分33秒 | ベーシックインカム
衆議院の予算委員会のやり取りでちょっと気になったものがあります。
毎日jpより

*************
~前略~
 長妻氏 センターは作らせない。センターの年間予算は10億円。なぜ官僚はこんな恵まれたところで(再就職先を)探すのか。一般国民と同様にハローワークで探すべきだ。

 行革相 民間は雇用保険があるが、公務員に失業給付はない。官僚は日本国の貴重な経営資源で、生活の保障が途切れる期間がないようにする方がいい。
~後略~
*************

 センターとは、官僚の再就職先を斡旋するセンターのことです。
 公務員には失業給付がなくても、類似のものがあるという噂を聞いてはいますが、、、それはさておき、「生活の保障が途切れる期間がないようにする」のであれば、センターを作るのではなく、ちゃんと生活保障をすればいいと思います。そんなこと言っていたら、公務員改革なんてできないでしょう。話がすり替わっています。

 似たような話で、どこかの審議会で「そんな規制緩和をしたら、全国ン万人が失業するのでやめて欲しい」という意見を聞いたことがあります。失業対策のために規制緩和をしない、というのはやはりおかしな話です。

■恐怖が変革を阻む
 既得権を守る人が、社会変革を阻んでいます。既得権を守るとは、今の仕事を続けたい、収入を確保したいということでもあり、根底には仕事を失うことへの恐怖があると思います。ベーシックインカムはその恐怖を緩和します。もちろん、ベーシックインカムがあっても減収はありえるので、完全解決にはつながりません。しかし、ベーシックインカムがある=完璧なセーフティネットが存在するため、社会が「安心」という空気で満たされるのではないでしょうか。社会変革には失業がどうしても伴います。安心できる社会では、人々はそれを受け入れやすいのではないでしょうか。

■北欧では
 話題のH&M、NOKIA、エレクロトラックス、IKEAなど世界企業を生み出している北欧を特集するテレビ番組で、労働者が「失業は怖くない」と言っているのを見たことがあります。北欧は失業者に対する給付が手厚いからです。でも、そのほうが競争力のある柔軟な社会を築けるのではないでしょうか。北欧は政府債務が大きいといっても、日本のほうがよっぽどひどい状況にあるのでは?

 既得権へのしがみつきを弱めるためにも、ベーシックインカムを導入すべきと思います。
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