議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

再委託基準に違反した場合の行政処分は?

2011年06月30日 23時10分48秒 | 通知等インデックス
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
 本ブログはメルマガでも配信しています。
 お申込、詳細についてはこちらをご覧ください。
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□

●問題です。
 「排出事業者の承諾を得ずに勝手に再委託した処理業者に対する
  行政処分は、どの程度か?」

このような、処理業者の違反行為に対して行うべき行政処分の軽重に
ついて決めている通知があります。
この通知が、今般の改正を受けて修正されています。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3等に係る法定受託事務に
関する処理基準について(通知)(環廃産発第110310002号 平成23年3月15日)」

 

改正点に関係する部分として、処理困難通知義務違反・虚偽通知をした
処理業者に対して、30日間の事業停止命令を出す、などと書かれています。
そんな業者は、既にどうしようもない所まで来ている可能性が高いので、
それに対してさらに30日間の事業停止なんて、ちょっと笑えます。
まぁ、こういった規定は珍しくないですが。

上記問題の答えも、この通知に載っています。

●正解は、「許可取り消し」です。

もし、ある処理業者さんが適正処理をやっていて、施設管理もしっかりして
いる場合でも、廃棄物処理法をきちんと理解していない(講習会を受けて
いるので、そんな言い訳はとおりませんが)又は再委託基準なんて面倒
くさいからやっていない、ということもありますよね。
「適正処理していれば、少々廃棄物処理法の違反をしていても・・・」と
思う業者は、よくはないですが、だからと言っていきなり取り消しに
すべきでしょうか。

もちろん、これは環境省から自治体に対する通知(アドバイス)であり、
これより厳しくてもいいですし、これより甘くても構いません。

実際、行政の方も、さすがに厳しすぎると考えるのか、再委託基準違反で
「90日間の事業停止」という行政処分をよく聞きます。

いずれにせよ、この表をご覧になれば、環境省がどの違反をどれくらい
重く見ているのかが分かります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
昨日、メルマガの読者の方々とお会いして色々とお話しました。
「メルマガの読者」などと偉そうにいっていますが、私よりずっと
大先輩です。

まったく業界が違う方との情報交換も面白いですが、微妙に業界が違う
方との情報交換は、話題も合いますし、刺激があり、とても有用でした。
実は、上記「再委託の行政処分」のテーマも、ここであった話題から
触発されて取り上げました。

お忙しい中お時間を頂き、ありがとうございました。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福島県外の廃棄物の放射能規制基準

2011年06月23日 22時59分19秒 | コンサル日誌
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
 本ブログはメルマガでも配信しています。
 お申込、詳細についてはこちらをご覧ください。
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□

ご存知のように、放射能に汚染された廃棄物について、取り扱い方針が
色々と出てきています。

東日本大震災:福島県内の汚染がれき、環境省が焼却容認 「高濃度灰」結論先送り

今のところ、基準という意味では、
 1.福島県内の廃棄物については、上記のように色々と検討されている
 2.汚泥や焼却灰については、放射性セシウムが1キロあたり
  8000ベクレル以下なら、、、という基準が出ている
 3.処理施設での作業員の被爆管理についても、基準が出ている
といったところです。公表されている基準については、関連の資料を見て
いただくとして、ここでは、公式には語られていない問題である
「福島県外の廃棄物全般」について取り上げます。

■福島エリア外での廃棄物の一般的な基準はない
もちろん、汚泥や焼却灰など特定のものについては上記のような基準が
あるとしても、それ以外のものについての一般的な基準は設けられて
いません。
つまり、福島県外の廃棄物全般についての規制はない、ということです。

規制がない、ということは、「これ以下だったら大丈夫」という安心基準も
ないということです。現時点では、そういった数値基準を設ける予定はない
とのことです(環境省に電話で確認しました)。

とはいえ、被災地から廃棄物を受け入れる自治体としては、周辺の住民同意を
得るために、安心・安全基準があったほうが説明がしやすいというのも事実でしょう。

そうは言っても、本当に基準を設けてしまうと、あちこちの現場で測定が必要に
なりますし、「その基準は妥当なのか??」という不安の声も上がるでしょう。
そのため、福島県というエリアで区切ってしまったほうがよいのかもしれません。

■自主規制で行きましょう
ここは、福島県外のものは基本的には問題ないとしつつも、処理施設搬入までに
測定して安全性を確認する、という方法がよいのかもしれません。国に対して
「基準作って!!」と要望して、実際にできてしまうより、自主規制のほうが
よほど運用しやすいですから。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

蒸し暑いです。。。

でも、今の節電(省エネ)が当たり前になったら、気候変動対策としては
有効ですよね。
そして、省エネだけでなく、省資源、リサイクルも進めていきましょう。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

建設工事の発注者は排出事業者になれるのか

2011年06月15日 09時13分22秒 | コンサル日誌
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
 本ブログはメルマガでも配信しています。
 お申込、詳細についてはこちらをご覧ください。
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□

廃棄物処理法の改正で新設された法第21条の3では、今改正の目玉でもある
「建設廃棄物の排出事業者は元請業者である」という規定をしています。

一応引用します。
***************
土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する
工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によつて行われる
場合にあつては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についての
この法律(第三条第二項及び第三項、第四条第四項、第六条の三第二項
及び第三項、第十三条の十二、第十三条の十三、第十三条の十五並びに
第十五条の七を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者
から請け負つたものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負つた
建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負つた建設工事を他の者に
請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下
「元請業者」という。)を事業者とする。
***************

記事のタイトルにあるとおり、この改正案が出た段階から「発注者が排出事業者
になることはできないのか?」という質問をいろいろな方から頂きました。
私も環境省で質問したのですが、「そんなことを考える発注者もいるのか」
と少し驚いているようでした。
そのときの質問は文書で行い、「検討してください」と伝えたうえで、
施行通知が出るタイミングで再度同じ質問をしたのですが、、、どうも課題
として認識されていなかったようです。

理由としては、
・取るに足らないレアケースと考えられていた
・現場の声を改正内容に反映する仕組みが不十分だった
・忙しすぎて、検討できなかった
が考えられるでしょうか。

途中で担当も変わりましたしね。

担当の方が悪いとは思いません。しょーがないでしょう。
部長さんや課長さんが悪いとも思いません。
ただ、現場の声をしっかりと集める(届ける)仕組みがまだまだ不十分なのでは
ないかとは思います。

■見解
ま、それはともかく、環境省としては公式見解はないはずです。
最近あまり情報交換していないので分かりませんが、非公式見解もたぶん
ないと思います。

個人的見解としては、工事契約のなかで、特定の排出物について「勝手に
処理委託しないで、現地においておく」旨の取り決めがあれば、当然その場合
の排出事業者は発注者になると思います。

廃棄物処理法は、民間の契約内容についてまで制限するわけではないので
すから、この契約で問題ないはずです。

また、「発注者が処理委託しても廃棄物処理法違反にはなりませんよね」
ということは環境省に確認しています。例の、他人の廃棄物を処理委託しても
何の違反も問われない(規制がない)というやつです。この場合でも、
元請業者が責任を問われる可能性がないわけではない(たぶん事実上ないと
思いますが)ですが、そうであっても罰則や行政処分の対象にはなりません。

そう考えると、建設工事の発注者が、建設廃棄物の排出事業者として処理を
しても、実際には問題は発生しないのではないかと思います。

みなさん、どう思われますか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
廃棄物管理の法と実務セミナー(現地確認編)の研修を7月26日に予定しています。

今年は、「処理施設に訪問して現地確認の練習をする」というタイプの出張研修
のご要望が多く、法改正の影響が明らかに出ているようです。

研修では、座学はもちろんのこと、ヒアリングの演習を実施することで
単に現場に行くだけでは身に付かない、実践的なノウハウを得ることができます。
アンケート結果を見ると、「そんなに人気が高いのか」と思ってしまう、なぜか
いつも評価が高い演習です。

よろしければ是非ご参加ください。
コメント (12)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

住友商事さん、IHIさんで実施したセミナー、コンサルのご紹介

2011年06月01日 12時51分38秒 | コンサル日誌
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
 本ブログはメルマガでも配信しています。
 お申込、詳細についてはこちらをご覧ください。
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□

すみません、すこし体調不良で、サボっていました。

今日は、少し古いですが、住友商事さんで現地確認セミナーをやったときの
レポートを発見しましたので、ご覧ください。実際に処理業者さんの
ところに訪問しています。

この類のセミナーを公表していただいているケースは少々珍しいので。
ご協力いただいた有明興業さん、ありがとうございました。
http://www.sumitomocorp.co.jp/society/topics/200710.html

また、IHIさんでリスク診断をやったときの例です。リスク診断を
公表していただいているケースも少ないので、貴重な事例紹介です。
http://www.ihi.co.jp/csr/report/pdf/2010/IHI_CSR2010.pdf

ついでに、IHIさんでは2011年の報告書でも、廃棄物管理者向けセミナー
の実施について紹介していただいています。
http://www.ihi.co.jp/csr/report/pdf/2011/IHI_CSR2011_environment.pdf

そういえば、とある県の協会さんで、廃棄物処理法改正の講演の
依頼を頂いたのですが、少し前に他の方を呼んで、同じテーマのセミナーを
実施されたようなのです。私の場合は、排出事業者目線に特化しているなど、
人によって視点や切り口が違うので、有用なんだとは思いますが、熱心ですね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

建設業界での廃棄物処理法改正への対応が、どうも進んでいません。
これまでどおり、現場を任せている下請け業者に持ち帰ってもらって、
下請け業者の廃棄物として処理委託してもらっていることが多いようです。

いつか誰かが行政処分を受けるなり、逮捕されるなり、するのでしょうか。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする