議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

プラスチック使用製品の自主回収

2021年04月21日 23時51分22秒 | プラスチックリサイクル
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皆様こんにちは。

プラスチック資源循環促進法の中の認定制度の一つに、
「自主回収・再資源化事業計画」の認定があります。

これにより、メーカーや小売店が商品の購入者/消費者から使用済み品を
店頭などで回収してリサイクルするスキームを組みやすくなると思われます。
これまでは、消費者から回収した不要物を扱うには、一般廃棄物収集運搬業や
処分業の許可が必要となることが多かったのですが、この認定を受けた計画
の範囲内では、収集運搬業や処分業の許可が不要となるからです。
特に、収集運搬業の許可が不要となることで、商品の納入車両を使用して
回収することができるため、運搬コストの大幅な削減につながります。

考えられるモデルとしては、GMSやスーパー、ホームセンター、百貨店、
SPAなどの製造小売業を回収拠点として、小売かメーカーが認定を受ける
形でしょう。
回収可能なのは、プラスチックを使用した製品で、日用品、雑貨、収納、文具
家具などです。

ただ、下記の条文にある通り、再資源化=マテリアルリサイクルが前提の
認定制度です。(熱回収は再資源化“等“に含まれます)。
したがって、マテリアルリサイクルが可能なリサイクラーと組まなくては
なりません。

■法第2条第5項
この法律において「再資源化」とは、使用済プラスチック使用製品
又はプラスチック副産物の全部又は一部を部品又は原材料その他
製品の一部として利用することができる状態にすることをいう。

私の勤務先は、国内最大規模のプラスチックマテリアルリサイクル工場を
建設中で、新法への対応もする予定です。また、国内初導入の技術を
採用し、再生プラスチックの品質を向上させることができます。

そのため、多くの企業からご相談を受けているところです。
来年4月の施行ですから、政省令が出る前の段階でも、既に具体的な
検討に入られています。

ご興味ある方は、お気軽にお問い合わせください。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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今後は折を見て、プラスチックリサイクルの取り組みの動向について、
差し支えない範囲(あくまで一般論)でご紹介していきたいと思います。

資源循環の業界では、現在最もホットな領域です。

乞うご期待!!
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廃棄物の定義

2021年04月19日 06時36分18秒 | コンサル日誌
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皆様こんにちは。

廃棄物の定義については様々な解説がされていますが、
ここでは、主要なサイト・資料を引用しつつ、
重要なポイントを補足説明したうえで、ケーススタディ
を行います。


廃棄物処理法第2条では、廃棄物について

「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、
廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、
固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて
汚染された物を除く。)をいう。」

と定義しています。

この条文の解釈として、通知で総合判断説が提示され、
最高裁判所もそれを支持したという経緯があるのですが、
現実には、総合判断説というあいまいな基準を日常実務で
使うことはできません。

そこで、通常は客観的な判断基準として
「有価売却できるかどうか」
が使われています。

この問題については、すでにウェブ上で解説記事が
沢山ありますので、いくつかご紹介します。(社名敬称略)

総合判断説他について

環境省がまとめた資料
(ここで紹介されている規制改革通知は古いので注意)
国立環境研究所の資料
アミタの資料
大栄環境の資料 
■佐藤弁護士の記事
 水戸木くず裁判について

また、買取価格より運賃のほうが高くなってしまい、
排出元にとってはトータルで支払いのほうが多くなることがあります。
これを手元マイナス、又は(産廃業界では)逆有償とも言います。

通知では、買取ってもらう業者のところに到着すれば有価物とみて
よいとしつつも、運搬時については特に言及していません。
したがって運搬時は、それこそ総合判断するしかないのですが、
これについても、解説記事をいくつかご紹介します。

手元マイナス(逆有償)について
アミタの資料
佐藤弁護士(アミタサイト)の資料
リバーグループの資料
手元マイナスと逆有償という表現について深堀


<<CASE STUDY>>

■事例 
ある業者Xに3tの有価物を10円/㎏で回収に来てもらう
ことになりました。運賃は2万円/車かかります。
10円/㎏×3t=3万円で売却すれば、運賃2万円を払っても1万円の
収入となるため、廃棄物という扱いをしませんでした。

ところが、Xが自社工場で計量、検品すると、予定より量が
少なく、しかも事前のサンプルより品質の悪い物が混入して
いることが判明しました。結果として、3万円ではなく1.5万円
での買取りになりました。

これを相殺すると、
1.5万円(買取)-2万円(運賃)=-0.5万円
と赤字になってしまいました。これは手元マイナスとして
運搬時だけでも廃棄物扱いとして、契約書とマニフェストを
さかのぼって締結すべきでしょうか。

■検討
<契約内容が変更になったと考えられないか>

この事例は、本来意図していた取引内容が変わり、契約内容が
変更になったと考えることができると思います。
当初は処理委託をしていたわけではありませんから、そこには
問題はありません。結果として金額に変動があったということで、
請求額が変わっただけ、という認識で問題ないのではないでしょうか。


<もし買取すらできない場合>

もしこれが、買取りすらできない(あまりに品質が悪い)ため、
処分費が必要となった場合はどうでしょうか。
このような場合は返品することが多いと思いますが、返品せずに
産業廃棄物として処理委託の手続きを踏むこともできるでしょう。

具体的には、まず当該"旧"有価物は業者Xの工場に置かせて
もらいます。必要であれば保管量を払います。業としてやっている
のではないので、倉庫業の許可もいらないでしょう。
契約がなければ処分委託契約書を作成し、
マニフェストを交付(運搬は終わっていますので、A,C1,D,E票だけ)
します。
マニフェストの交付事務代行を業者Xに委託する方法も考えられますが、
現物の確認も含めて自社の社員がXの工場で直接交付したほうが
望ましいでしょう。

その点、電子マニフェストなら現地に赴かずに登録できて
しまいますが、電子マニフェストでも現物と登録内容の
整合性チェックを求められています。状況が状況だけに、できれば現場へ、
少なくとも現物を写真でしっかり確認すべきでしょう。
 ↓電子マニフェストの規定
・施行規則第8条の31の2第4号
 当該産業廃棄物の種類~中略~が相違がないことを確認の上、、、

<恒常的な場合>
なお、この取引が恒常的となるのであれば、手元マイナス取引と
考えるべきでしょう。しかし、手元マイナスだからと言って、
通知に従って運搬時も廃棄物扱いするべきとは言えません。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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廃棄物の定義について、リンクを紹介し、事例の研究も含めて
まとめてみました。
廃棄物処理法の他の規定についても、少しずつ書いてみたいと
思います。
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