JA6VQA 日々新たに

趣味のアマチュア無線で海外との交信や写真などを中心に、日々感じることを書き綴ってみます。
 

山根一真著「アルマ」の創造者たち

2017-09-06 18:13:26 | 読書
 ようやく読了しました。
 標高5000mのチリのアンデス山脈に電波望遠鏡をつくる苦労話の
ノンフィクションです。読み応えがありました。
 お金を出さない日本の政府、そのために欧州と米国に蚊帳の外に追いやられ
科学的予算の貧弱な国家予算で、置いてけぼりになりそうななか、遅ればせながら
ついた予算で欧米を懸命に追いかけ、追い越した日本チーム。
 大きさ的には12mと7mのパラボラですから、野辺山に設置された45mに比べれば
そうなんでしょうが、温度変化による伸縮の許容誤差が桁違い。
 構造部の対温度変化対策の苦労などすごいです。

 電波で楽しんでいるものにとっても、はるか宇宙のかなたから飛んでくるノイズ
交じりのミリ波さらに短い波長のサブミリ波を最大66台の電波望遠鏡で集め、
か細い電波をまとめて、増幅してノイズと区別するスーパーコンピューターと
30万行にも達するソフト。
 アマチュア無線にもようやく耳にするようになったFPGAですが、さすがプロ
15年も前にそのプログラムと格闘していたんですね。
 マイクロ波に興味のある方には結構面白い興味のあることが沢山出てきます。

 宇宙を見るのは光学式の望遠鏡というのは昔の話なんですね。いまどきは
沢山の人工衛星に取り付けられている、ガンマ線、X線、紫外線、赤外線、そして
電波を観測することに変わってきている。
 ですから天文学もマイクロ波研究者の領域でもあるわけです。

 アロマの電波望遠鏡に威力はこの写真を見れば納得です。

 アルマのHPにあった写真をコピペしたのですが、ハッブル宇宙望遠鏡では
この程度しか見えなかった、新しい星が誕生していると見られているおうし座のHL星
の円盤。赤く色付けされた円盤は高速で回転しており、宇宙のちりが次第に収束
して惑星の誕生に向かっている過程を始めてみることができたノーベル賞ものの
写真だそうです。
 アルマのHPを見ると最新の研究成果が沢山見ることができます。

 山根さんのノンフィクションは前回は「はやぶさの大冒険」も楽しく読みましたが、
この「アルマ」も渾身の作です。生命の誕生とか宇宙の誕生に興味のある方には
お勧めです。







https://alma-telescope.jp/news
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