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アイリング「Vol.4/池田真紀さん:自然に学ぶアイルランドの毎日」

2006-06-27 00:35:14 | アイリング
 アイルランドにゆかりのある人たちがコラムでつながる友達の輪。勝手に略してアイリング。松井ゆみ子さんの紹介からはじまるアイリング、アイルランドを愛するいろんな方のコラムをお楽しみください。記念すべき松井さんからのご紹介おひとり目の方はアイルランド食文化研究家としてご活躍中の池田真紀さんです!

池田さんのホームページ:My Ireland マイ アイルランド

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自然に学ぶアイルランドの毎日

 アイルランドで長々と学生をしていたこの私だけど、以前はダブリンのアパートに住んでいたせいか自然とのつながりはそれほど深く感じることは少なかった。

 よくアイルランドで地方の人たちがダブリンっ子のことを「アイルランドの中の外国人」っていうけれど、それが最近になってちょっとわかった気がする。

 以前ならせいぜい植木鉢をテラスで育てるとか、マーケットに行って旬の食材を買って来て料理を楽しんだりするのがやっとだったし、周りもダブリン出身の人ばかりだったからかもしれない。

 ところが最近、私はすっかりアイルランドの田舎づいてしまっている。昔からアイルランドの田舎で暮らすのが夢だった。特にそうすることを求めて何かをしてきたわけではないのだけれど、今ではちょっとずつ自然とそうなってきている。アイルランドに滞在する期間が毎年グングン延びてきて、そしてなぜか田舎からいろいろなオファーがくる。

 海外に数ヶ月行くから猫の面倒を見ながら留守番して欲しいとか、部屋が空いたからちょっと留守番してくれないか、等々。日本ではのんびりモードの湘南以外では暮らしたことがないこの私でさえ、隣の家が見えない田舎なんてどんなもんだろう? と始めのうちは不安だったんだけれど、慣れとは恐ろしいもので、アイルランドの家も1000坪くらいないとちょっと隣が気になってね~…、なんて思ってしまう自分が怖い。

 私が最近よく滞在しているのは、Co. CavanのVirginiaという町にある友人の家。ダブリンから車で1時間ちょっとくらいでニューグレンジやタラの丘と同じ、ボイン川の遺跡エリア内に位置する。お陰でこのところやけに遺跡マニアになってしまって、暇さえあれば地域内のさまざまな遺跡探検にでかけているというオメデタイ毎日。昔ダブリンに住んでいた時には知らなかったことを、田舎生活を通して日々学んでいる気がする。

 この友人のお家は約1000坪ほどある敷地にあり、お庭も広いのでガーデニングもできる。じゃがいもや玉ねぎ、にんじん、トマト、レタス、キャベツ、ハーブ類…等々、何でも自家菜園で育てるので、八百屋さんのお世話にならないでも済む。卵もお隣さんのジルの家で毎日フレッシュなものをもらえる。ここはMidland(内陸部)なので、お肉はもう、それはそれは新鮮で質の高いものを売っている。特に町のお肉屋さんで売っている牛肉とソーセージ類、ラム肉なんかは絶品だ。今までの人生でこんなに肉が美味しいと思ったことはないほど!

 すっかり肉好きになってしまった。シーフードも週に1回Donegalの漁港から簡易のシーフード・ショップがやってくるので、とってもリーズナブルにフレッシュなシーフードも買えちゃう。 

とれたてのじゃがいもとキャベツ、そして近所のお肉屋さんの絶品・ベーコンで作った「ベーコン&キャベッジ」。マスタードソースをちょっと添えてみて。アイルランドの初夏は結構気温も上るし、日差しも強い。喉が渇くので、庭のミントを摘んではミントティーを作って、冷たくして飲んでるのだけれど、もうこれを飲むと気分爽快!庭に咲き乱れるたくさんの花々の中でも、この子が結構お気に入り! こうやって一生懸命キレイに咲いてくれるこの子を見上げながら青空を見てると、アイルランドの夏も捨てたもんじゃないと思う。まだ人が手を入れて5年目の庭。5年前は雑草だけの土地で、パンケーキのようにまっ平らだったというけど、今ではちょっとずつ庭らしくなってきた。あと10年もしたら、今は赤ちゃんの木々もグンと背が伸びて、青々と茂ってくる予定!人の庭とはいえ、私もその成長振りが楽しみ。


 ここでの生活では、近所づきあいの中で大抵のものはタダでもらえてしまうから驚きなのだ。卵がたくさんとれたらお隣からおすそ分け。そしてこちらからも野菜をおすそわけ…といった具合。

 この「助け合いシステム」はアイルランドで昔からある習慣で、アイルランド語でmeithil(“メイヒル”と発音する)と言う。これは助け合うという意味合いがあり、今でもこの単語はそのまま英語の文章に入れて使う人が田舎には多い。ダブリンではなかなか聞けない言葉だけど、とってもアイルランド的! 物々交換といっても野菜や卵の交換だけでなくて、お互いの目的に合えば、土地や家もこの“メイヒル”が成立し、交換だって何だってしてしまうというから驚きだ。好景気に沸くこの現代のアイルランドで、いまだにこんなシステムが成り立っているのは素敵なことだとつくづく思う。

 さてさて、私が暇つぶしにちょっとずつ手入れしてとれる自家製の野菜や卵も、味が濃くてとっても美味しいんだから! この味を味わってしまうと、外で買っているものが一体どの程度の品質のものなのか簡単に想像ができてしまうほど。改めて、アイルランドの豊かな自然に感謝の念でいっぱいになっちゃう。

 そんな卵やフルーツで作るケーキはとっても味が濃くて美味しいし、新鮮な野菜で作るサラダやシチュー、チャツネなど、もうこの田舎生活にすっかりハマってしまった。

 まさか鉢植えであのホクホクのアイルランドのじゃがいもが育てられるとは知らなかったんだけど、これも可能だということが分かった。そして自然のサイクルと合わせて生活することを基本としたアイルランドの田舎生活の知恵の一つ一つを知る度に、感動に似た驚きがある。

これは古くなったじゃがいもを植えたもの。これから白い花が咲く。花が咲いて2週間くらいしたら食べごろ。それ以上経つとスカスカになってしまう。waxy(ほくほく系でない)なニューポテトがとれる予定!この野菜は何でしょう?ちょっとだけそれらしくなってきたニンジン君です!


 いろいろなアイルランドの知恵袋があるのだけれど、その中の1つは、その夏のお天気の予測の仕方。アイルランドの農家の人たちは、毎年1月25日の天気を基準にしてその年の夏の収穫を見込むのだという。例えば、1月25日がお天気ならば、その年の6月25日も同じような天気になると言われていて、同時にその夏の天気全体を予測することができ、その天気に合わせた種蒔きができるらしい。

 今年の1月25日はアイルランドの冬らしならぬ良いお天気で青空だった。なので今年は絶対に暑い夏になるぞ! と言われていたが、実際に今のところとても良いお天気が続いているし、やはり自然と共に生活してきた農家の人がいうことは、結構真実かもしれないと、私も最近思うようになった。

 その夏の天気を予測するこの1月25日のお天気、結構面白いから来年から日本や他の国でも通用するかチェックしてみようと思ってる。このブログをアイルランド以外で読んでいる人、ぜひぜひご自分の居る国でチェックしてみて頂きたい。


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