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アイルランド・ハイスクール・ダイアリー「Vol.18/ミュージカル・ナイト」

2006-03-10 05:55:25 | アイルランド・ハイスクール・ダイアリー
 2月、St. Andrew’s(セント・アンドリュース)の生徒によるミュージカル「レ・ミゼラブル」が学校のシニアホールで上演されました。レミゼは日本でも大人気のミュージカルですよね。原作はフランスの文豪ヴィクトル・ユゴーの小説。フランス革命前夜の混乱したフランスの社会で、歴史に翻弄されながらもそれぞれが理想のために生きようとする人々の姿を描くドラマです。

チケット完売!
開演前。オーケストラ、音響機器など本格的。
 チケットは数日前からすべて完売という大人気ぶり!! 運良く私はチケットを先生に手配していただき、初演を見に行きました♪

 ピアノ、バイオリン、フルート、クラリネット、ドラム、トランペット、チェロ・・・オーケストラによる生演奏もあるから高校生ミュージカルでも本格的。パンフレットも販売。
 舞台には赤いやぐら、左右には巨大な木製のコイル巻きが二つというシンプルなセット。

 19:30開演―

[ACT 1 –第一幕-]
―時は19世紀前半のフランス。

 オープニングは牢獄のシーン。舞台に置かれた木製のコイル巻きを、重そうに囚人たちが押していく。「死ぬまで出られない」と囚人たちの重苦しいコーラス、スモークがたかれ埃っぽい牢獄の労働シーンが演出される。舞台の左右に設置された鉄格子に希望なくしがみつく囚人。鉄格子には、地名と年代を表す文字が、一文字一文字、掲げられていく―1815,DIGNE

 パンを盗んだ罪で19年間の獄中生活をおくる主人公ジャン・バルジャン役は背の高い青年。中年の役の割には声が高いけど、よく通る声でヴィヴラートを響かせながら、辛い牢獄生活を情感を込めて歌う。一方、バルジャンを生涯追い続ける刑事ジャベール役は、抑揚のない低い声。黒い長いコートに、立派なもみあげ、ロングヘアーを束ねて、法に忠実な刑事らしい冷酷な威厳が漂う。

 仮釈放で牢獄から外の世界に出たものの、ジャン・バルジャンに対する世間の風は冷たい。そんな彼に食事を与えてもてなし、警官からかばってくれた司祭の家では、コイル巻きは横に倒されてテーブルに変身。限られた舞台装置をとても上手に生かしたアイディア!

 司祭の暖かさに触れ、人として正しく生きようと決意したバルジャンは、名前を変え、やがて市長及び工場主となって成功する。

 工場労働者を演ずる女の子たちのコーラスは、1月の保護者面談のときに練習が聞こえていたけど、とても迫力! 気が強そうで、タフな条件を生き抜いている強いフランス女たちを、凛とした声で力強く歌う。それぞれのソロ・パートも、みんな堂々と歌いこなす。

 女工の一人、ファンティーヌ役の女の子が、とてもよく伸びる声で、田舎に残してきた幼い娘を想って悲しみを切々と歌う。泣き出しそうなソロは感情の表現がとても豊か、会場から拍手が起こる。

 田舎の隠し子のことが発覚し、工場を追い出されたファンティーヌを助けるのは、弱きの味方、赤いマフラーの市長ジャン・バルジャ~ン。

 死の床につくファンティーヌに、バルジャンは娘のコゼットの面倒をみると誓う。この時、木製のコイル巻きは再び横向けに倒されベッドに変身。やぐらからは白い布が垂れ下がり、天に召されるファンティーヌの最期を演出。キャストが場面に応じて、上手に大道具、小道具を使い回すアイディアは見ていて楽しい!

 幼いコゼットが奉公する家は酒場のテナルディエ夫妻。夫妻はコゼットをいじめ抜く(お約束!)。金に目がなくてずるがしこいテナルディエの旦那を、細めの男の子が意地悪っぽく好演。ここはミュージカル中コミカルな場面で、夫妻のやりとりに会場から笑いが漏れる。かくしてコゼットは、バルジャンによってテナルディエ家から救われる。

第一幕ラスト。革命に燃えるパリの民衆たち。
 ―貧民であふれる混乱のパリ。
パリの学生マリウスは革命の理想を掲げる若者だが、美しく成長したコゼットに恋に落ちる。マリウスに恋する娘エポニーヌは、自分の満たされない想いに苦しみながらも、マリウスとコゼットを引き合わせる。


 ここはとても印象的な場面!
 マリウス役の男の子は、ボーイズバンドみたいにハンサムでとてもスウィ~トな声。舞台の左の階段から、やぐらの上にいるコゼットに向かって、「君の名前は?」と問いかける。コゼット役の女の子は、とても愛らしい声で答える。階段の上と下で愛を語らう二人はまるでロミオとジュリエット?? 一方、舞台の右袖では、エポニーヌが、想いが届かない辛さを歌う。3人のそれぞれの想いが重なり合うアンサンブルは、情熱的で本当にキレイ。

 若者の恋です、ハイ。三角関係です。
 3人ともとてもいいシンガーで、歌が観客の感情に響く。特に彼らの年代の役であるだけに若々しさが伝わってきます。
 胸キュンです(笑)。

 第一幕は、反乱の気運が高まるパリで、若い革命家たちの理想と情熱のコーラスで締めくくられる。高校生たちも“若者たち”だもの、革命に向けて盛り上がる民衆の歌声は、とても溌剌としていて勇ましかった!

[INTERVAL -休憩-]
 第一幕だけでも一時間たっぷり!学校の食堂ではコーヒー、紅茶、クッキーが観客に振舞われました。

[ACT 2 –第ニ幕-]
―混乱のパリは、まさに革命前夜。
反乱軍の決起を前に、マリウス青年はエポニーヌに、コゼットへ手紙を届けてほしいと託す。


 ここで歌われるエポニーヌのソロはミュージカル中一番有名な歌の一つ。彼がいつもそばにいると夢見ながら、本当は一人ぼっち、というかなわぬ恋の歌はすごく切なくて、シンガーの腕の見せ所。エポニーヌ役の女の子は、学校のクワイヤー(合唱団)やミュージック・フェスティバルでも常連の6年生で、やっぱり学校を代表する名シンガー。切ない歌声と演技に、会場からは大きな拍手と歓声!

エポニーヌの死
迫力の銃撃戦!
 マリウスと共に戦おうとバリケードに戻るエポニーヌは、途中撃たれて、彼の腕の中で息絶えるんです(涙)。

 そしてついに銃撃戦―
 民衆、反乱軍がテーブル、椅子、カゴなどを積み上げてバリケードを作っていく。バルジャンも反乱軍に参加する。

 バリケードの銃撃戦のシーンではスモークがたかれ、赤、白、青の閃光が点滅し、本格的な演出で銃撃戦の緊張感と迫力を再現。自由・平等・博愛の三色旗が振られる中の銃撃戦は、後のフランス革命の象徴のようで、美しいシーンの一つでもありました!

 ストーリーは、反乱の失敗、バルジャンとジャベールの対決(人情vs法律)…と続きます。それぞれのキャラクターが魅力的で、情熱が伝わってくるミュージカル。ストーリーに興味がある人は、ミュージカルを見に行ってみたり、本(「レ・ミゼラブル」又は「ああ無情」)を読んでみてね☆ 

 帰り道、ミュージカルのナンバーを口ずさんだり口笛を吹いている人…♪~

 後日、先生と電話でお話したときのこと。

「いやー、私のクラスにいる子も何人か出てたんだけど、本当に見違えたよ! すばらしいミュージカルだったよね!」と喜んでいらっしゃいました。

 アイルランドの高校生のセルフ・エクスプレッション(自己表現)は堂々としていて、とても印象的でした。男の子も照れずに、堂々と演技して歌うのよ♪演出もとてもアイディアに溢れ、衣装も豪華!

 是非、日本の高校留学生にも、こういう演劇や合唱、オーケストラに参加して、自己表現力を伸ばし、アイリッシュの生徒とも交わってほしいなーと思います。


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