yamanba's blog

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五ヶ山の歴史~伊能忠敬隊が測量した道

2018-04-18 08:44:22 | 五ケ山ダム

那珂川町の最南端に位置する五ヶ山。現在は多くのものがダムの底に沈んでしまい、かつての姿を見ることはできなくなってしまったが、その歴史は興味深い。昨年、色々と調べていたところ、大変貴重な資料を見つけたので、少し紹介したい。

そもそも五ヶ山という名は、(すでにダム湖の底に沈んでしまったり、ダム施設のため造成された)五箇村(網取、道十里、桑河内、東小河内、大野)に由来している。標高は約500m前後、背振山や九千部山を源流とする那珂川の上流域にあり、山紫水明の自然豊かな場所だった。風土記には、五ヶ山の風土を「筑前・肥前の境にあり、山中境内は狭く、田畑も少ないが、人家は多く、茶を多く植えて、家産」と記してある。

ここは、佐賀県吉野ヶ里町(旧東背振村)に接しており、かつて筑前博多(福岡)と肥前神崎(佐賀)を結ぶ「肥前・筑前街道」が通っていた。平安末期、肥前神崎にあった皇室領の荘官となっていた平忠盛が博多港へ年貢米を運ぶため、この道を使ったと言われている。戦国の世になると、五ヶ山は博多の権益を狙う武将達の戦場となった。そのため山中に城郭が多い。江戸時代には、背振山頂をめぐり筑前藩と肥前藩との間で10年に及ぶ激しい国境争いが起きた。それで街道沿いには国境石(くにさかいいし)が多く見られる。

興味深いのは、1813年9月28日、江戸幕府の測量方だった伊能忠敬隊(※別手組)がこの「肥前・筑前街道」を測量していたことである。資料を見ると、一行は、佐賀県小城から背振坂(現在の坂本峠)を越え、五ヶ山から市ノ瀬~山田(肥前・筑前街道の起点・終点)を通り、福岡道から福岡城へと至っている。街道沿いには多くの史跡が残され、平成8年、文化庁から「日本歴史の道100選」に選定されている。翌9年、「那珂川町郷土史研究会」がこの道を研究調査しており、「肥前筑前街道背振坂越」という資料を出している。見ると、伊能忠敬隊が測量した足跡が詳細に記されており、一部、国道385号線として使用されているところもある。ただ残念ながら、五ヶ山では大半がダム湖になってしまったため、伊能忠敬隊が通ったとされる道を歩いてみることはできない。(下図参照)

※伊能忠敬測量隊は佐賀県小城で2手に分かれて出発。一つの組は三瀬峠~曲淵を通り、早良街道から福岡城へ入っている。

 

ところで、今年10月、那珂川町は「那珂川市」へと変わる。そのため町では市政施行記念行事が目白押しである。「NHKのど自慢」もやって来る。また、五ケ山ダムに多くの観光客を誘致しようと、ダム周辺ではキャンプ場などの整備が進んでいる。今月11日からは、五ヶ山エリアの愛称募集もはじまった。そこで、この地を離れて行かれた人達の思いを込めて提案をすることにした。那珂川町にメールを送ると、早速、返事が返ってきた。発表は来月中旬だと。果たして、思いは届くだろうか。

 

 

 参考にした資料(那珂川町図書館所蔵)

 

 

 

 

 

 伊能忠敬測量隊が通った道を記した地図 修学院から五ヶ山まで (地図は「肥前筑前街道背振坂越え」より) 

 

 

 

 

 

下の平面図をもとに五ヶ山ダムを描いてみた 黒線は伊能忠敬隊の通った道 (地図は「那珂川町の街道をゆく」より) 

 

  こちらは五ヶ山ダム平面図(現場用) 

 

  

肥前街道は写真左の山中にあったとみられる 写真中央は385号線(2016年7月撮影 坂本峠から大野)

 

 

 

こちらは先月の様子(同上場所) 貯水量は少なく目標水位までおよそ20m(4月16日時点)そのため併用開始は1年遅れ

  

 

 

《関連資料》

那珂川町HP。那珂川町の最南端 五ケ山エリアの愛称を募集します。(2018.4.11)

《関連記事》

那珂川町のアウトドアスポーツの拠点 五ケ山地区の愛称募集(西日本新聞 2018.4.18)

 


高島市長、来年夏の参議院選に立候補!?

2018-04-16 17:35:50 | 福岡市政

福岡市長選まで8か月を切り、選挙選の動向が気になっていたところ、今朝、新たな情報を目にした。地元情報誌「HUNTER」によると、県政界内で、高島市長を来年夏の参院選に自民党公認で出馬させ、定数3の福岡選挙区で2議席確保を狙う動きがあるという。国政進出を後押ししているのは、高島市長が後ろ盾としている麻生副総理。同誌によると、先週末、香港で行われていたラグビーの国際大会を視察した小川県知事一行の関係者が、香港のシェラトンホテルで高島市長と中村明彦県議(自民党県連会長代行で麻生副総理の側近)が話し込んでいるのを目撃したのだと。もちろん公務ではない。

麻生副総理は、改選議席3の福岡選挙区で2人の公認候補を擁立するというのが持論らしく、一人は現職の松山政司参議院議員、そして、もう一人の候補者というのが高島市長。すでに一部のメディアもこの話を確認しているらしい。当の本人も「市政に飽きた」ということのようなので、出馬の可能性は高いのではないかと。まったく、何のために市長をやっているのかと思ってしまうが、当初から国政進出の噂はあったので、市長はそのための踏み台にすぎなかったのだろう。それくらい、市民に寄り添わない市政が続いている。

そこで気になるのが、次期市長候補。「HUNTER」によると、今年4月からKBC九州朝日放送などでコメンテーターを務めている元厚生官僚の武内和久氏が噂されているという。武内氏のプロフィールをみると、出身は福島県で福岡市内の小学校から久留米大附設中学・高校に進み、現役で東大法学部に入学。卒業後、厚生省(現 厚労省)に入省、医療、福祉など社会保障政策の企画立案に携わるとある。外資系企業に出向するなど異色の経歴で知られ、数年前には、自民党福岡市議団が勉強会に講師として招いている。なかなかのキャリアの持ち主だが、政令市の首長としてはどうなのだろうか。

ところで、自民党福岡市議団といえば、福岡空港出資問題以降、高島市長と対立していたが、昨年6月会長に就任した森議員(親高島派)が、会派の合意を得ずに高島市長との協調路線にかじを切ったため、所属議員の不満が噴出し、今月、執行部全員が辞任に追い込まれるという異常事態に。現在は、南原議員(中立派?)が会長に就任し、落ち着いているようだが、高島市長に対する反発は根強い。それゆえ、仮に、高島市長が3期目の出馬を決めたとしても、今の自民党福岡市議団が支援することはないだろう。そうなると、ますます高島市長の国政への転換は現実味を帯びる。いずれにしろ、市民の声に耳を傾ける市長が誕生してほしいと思うのは、私だけではないと思うが。

 

 

今月1日、福岡城鴻臚館まつりで初代福岡藩主黒田長政に扮する高島市長 殿の心中はいかに

(写真:高島市長ブログより)

 

 

《関連記事》

高島福岡市長周辺で参議選擁立の動き ちらつく麻生財務相の影(HUNTER 2018.4.16) 

高島市長、職責果たすより国会議員バッジが欲しい?(NET-IB News 2018.4.16)

「参院選 福岡で2人」麻生副総理、複数擁立に前向き(産経ニュース 2018.4.16) 

「対市長」巡り会派亀裂 自民福岡市議団会長辞任 若手議員らに不信感(西日本新聞 2018.4.7)



新燃岳噴火 噴煙8000m! 登山道は開放したまま?

2018-04-05 21:11:22 | 山・火山

今回は山は山でも火山の話題、今日未明に噴火した新燃岳について少々。気象庁によれば、5日3時31分新燃岳で爆発的噴火(気象庁でいう空振を伴う噴火、火山学的にはブルカノ式噴火)が発生し、噴煙は火口上5000mまで上昇、大きな噴石は火口から1.1kmまで飛んだ。その直後、同3時45分には2回目の噴火が発生し、噴煙は2500mで雲の中へ。噴煙量は2回目の噴火のほうが多く、高原町や小林市などで多量の火山灰が降った。一方、東京航空路火山灰情報センタ(VAAC)のほうは、今日の噴煙の高さをFL330(約10Km)としている。新燃岳の標高は1421mだから、こちらだと8000m以上は上がったことになる。どちらが正しいのか。

(と思っていたら)先程、気象庁が午後8時に解説情報を発表。2回目の噴火について「噴煙高度を精査した結果、気象衛星データの解析により火口縁上約8000mまで上がった」と。つまり、噴煙の高さは8000mだったと修正したのだ。(このあとNHKが報道)

新燃岳の噴火活動がはじまったのは、先月3月1日(2017年10月17日以来)。その後も灰噴火が続き、3月6日には爆発的噴火が7年ぶりに発生した(2011年3月1日以来)。火口内には溶岩が確認され、9日には北西側の火口縁を越えて流出した。さらに、10日1時45分の爆発的噴火では噴煙が火口から4500mの高さまで上がり、大きな噴石が火口から1.8km飛んだ。そのため、気象庁は新燃岳の警戒範囲を3kmから4kmに拡大した。ところが、その後は活動が低下傾向にあるとして、ふたたび警戒範囲を3kmに縮小した。おまけに御鉢も噴火警戒レベル1に引き下げてしまった。それで霧島山登山道の一部が開放されたわけだが。(下噴火図参照)

気がかりなのは、先月末に規制解除された高千穂峰への登山道。3月28日には鹿児島県が高千穂河原からのルート、同29日には宮崎県が霧島東神社と夢ヶ丘登山口からのルート、4月1日には高原町が皇子原公園からのルートを解除した。鹿大井村准教授によると(昨夜、先生とツイッターでやりとりしたところ)、高原町の解除が遅れたのは、登山届のシステムに時間をかけたためとのことだった。高原町は2011年の噴火で多くの被害があったところだけに、解除には慎重な姿勢だったとみられる。高千穂峰への登山道は、警戒範囲が4Kmに拡大されれば規制がかかる。しかし、今のところその動きはない。(下登山規制図参照)

山行記録共有サイト「ヤマレコ」を見てみると、規制解除後に高千穂峰へ登った人は数名。中には新燃岳の噴煙を見て危険を感じ、下山した人もいる。今日の噴火では大きな噴石が1.1Km飛んだ。小さな噴石だとさらに遠くまで飛んでいるだろう。登山道の飛散の可能性も十分ありうる。もしも昼間に噴火が起きていれば、それこそどうなっていたかしれない。御嶽山や草津白根山の教訓はどこにあるのだろうか。自然は人間の思うようにはならない。だから規制は必要だと思うのだが、二度と死者を出さないためにも。

 

 

1回目の噴火から2回目の噴火まで(画像は気象庁監視カメラより)

 

このあと2回目の噴火がはじまる

 

噴煙は2500mで雲の中へ このあと8000mに達する

 

こちらは噴火直前の様子 穏やかな状態からいきなり噴火(一番上の写真へ) 

 

 

さかのぼること3時間半(午前0時ごろ)、噴気は多かった

 

 

 

2011年の噴火から今回の噴火まで(鹿児島大井村准教授のツイッターより)

 2011年と違うのは、準プリニー式噴火が起きないうちに溶岩が流出したこと(井村准教授) このまま終息するか、、

 

 

 

霧島山の登山道規制図(4月4日更新)宮崎県HPより

規制が解除された登山道(緑色)は規制範囲3Kmのすぐ外、本当に大丈夫? (こちらは新燃岳噴火警戒レベル判定基準表) 

 

 

 

8000m!(宮崎日日新聞4月6日付朝刊より)  

   

 

《関連記事》

霧島・高千穂河原で夏山開き 登山者の安全願う(南日本新聞2018.4.10) ※とうとう山開き、、(4.11更新)

新燃岳噴煙8000メートル 11日ぶり爆発(宮崎日日新聞2018.4.6)

新燃岳の噴煙 8000mまで上昇か 一連の活動で最高(NHKニュース2018.4.5) 

噴煙5000m 新燃岳で爆発的噴火 大きな噴石や火砕流に警戒( NHKニュース2018.4.5)

新燃岳 噴煙の高さ 最高5000メートル (MBCニュース2018.4.5)

 

《参考資料》

気象庁。火山に関する情報の発表状況

東京航空路火山灰情報センタ(VAAC)

宮崎県HP。霧島山(新燃岳)の警戒範囲縮小及び御鉢の噴火警戒レベル引下げに伴う規制等の変更について 

 


筑後桜めぐり2018

2018-04-03 08:05:25 | 日記

今年、福岡では(平年より4日、昨年より6日早い)3月19日に桜が開花した。開花直後の気温は低かったが、その後一気に上昇したため、27日には早くも満開となり、先週末頃から散り始めた。これはもう遅いかなと思いつつ、筑後へ桜めぐりに出かけた。

4月1日、「流川の桜並木」(浮羽市)のソメイヨシノはすでにピークを過ぎていた。それでも十分見応えはあり、桜吹雪の中、多くの人が花見を楽しんでいた。桜並木の近くには果樹園が広がり、満開となった桃の花が花見に色を添えていた。

こうなると期待できるのが、「浅井の一本桜」(久留米市)の山桜。耳納連山の麓に位置し、開花も遅い。遠くからその姿が見えた瞬間、やったと思った。近くで見るとそれは見事な咲きっぷりで、まさに今が旬。昨年は3月末の気温が低かったせいか、4月8日に訪れた時、殆ど花は咲いていなかった。やはり今年は1週間~10日程度早いようだ。ちなみに、31日からはライトアップも始まっている。

そして、杷木町喜久宮の「夕月神社の桜」。昨年の九州北部豪雨により神社までの道が被災しているため、今年は近くまで行くことはできない。しかし、(相方にゆっくりめに走行してもらい)高速道路からはしっかり見ることができた。それはいつもと変わらず綺麗な姿で。朝倉の人達を元気付けようとしているのか、精いっぱい咲いていた。

 

撮影日:2018.4.1

流川の桜並木(浮羽市)

 

 

 

 

 散りはじめ

 

 

 

 

 桜のトンネル 

 

 

 

 

桃の花、満開!

 

 

 

 

 

 ここは標高38m、ちなみに浮羽道の駅は標高75m 

 

 

 

 

桜吹雪

 

 

 

 

浅井の一本桜(久留米市)

 

 

 

 

見事に咲く

 

 

 

 

 

山桜、樹齢100年余

 

 

 

 

 湖面に映る

 

 

 

 

桜模様 

 

 

 

 

 

春爛漫

 

 

31日、ライトアップの様子(写真は4月1日付西日本新聞より) ※ライトアップは3月31日から4月9日まで

 

 

 

夕月神社の桜(高速道路から走行撮影、以下3枚)

 

 

 

 

 

柿の木畑にも被害が

 

 

 

 

裏山は崩壊

 

 

 

 

被害が大きかった杷木喜久宮

 

 

 

 

浮羽道の駅からみた杷木町 写真中央右に「夕月神社の桜」 

 

 

 

昨年の「筑後桜めぐり」はこちら。 

 

《関連記事》

「逆さ桜」水面に映え 久留米の「浅井の一本桜」(西日本新聞2018.4.1)

 

《関連資料》

気象庁。3月の気候(2018年4月2日発表)

福岡管区気象台HP