ハーレーの美女

きのうも夕食後に散歩に出て、３駅先のディスカウントストアに寄る。そしてこの日は向かいの本屋に入った。この本屋に入ると、いつもは将棋コーナーで将棋の本を30秒ほど立ち読みするのだが、この日はその手前で、あるバイク雑誌が目に入った。これはマジメな雑誌なのだが、表紙がビキニの美女で、雑誌の中ほどにその女性のピンナップカレンダーとグラビアがある。超官能的なサービスカットもあり、私はバイクにまったく興味はないが、時々グラビアだけ観賞しているのだ。
今回はその表紙の美女と目が合った。緑色のビキニがセクシーだ。しかしこの顔はどこかで見た気がする…が、よくわからない。しかし抜群のプロポーションと体の線には、確実に見覚えがあった。
まさか…!?　覚束ない手で中を繰る。…やっぱり!!
月見栞ちゃんだった。
グラビアの中には健康的すぎるカットがあり、観音開きになっているカレンダーを震えながら開くと、同じく健康的すぎるカットのほかに、ビキニを脱いでいく連続写真という、趣向を凝らしたカットもあった。
いつの間にか固くなっている自分自身に気付く。自玉頭に▲８七銀、と補強した感じか。まだ指せる、と思った。
雑誌名は「VIBES」（８月号）。前から目にしていながら、この名前は初めて知った。買っちゃおうか。しかし、表紙と数ページのグラビアのために、関心のないバイク雑誌を買うのはさすがに抵抗がある。先日、宮古島で購入した「ベストメイトDeLUXE」は、一応それ系の雑誌なので、表紙が月見栞なら十分に買う価値はあった。中身もそれなりに楽しめるからだ。これはつまり、いつもは買わない将棋専門誌だけど、表紙に山口恵梨子ちゃんが起用されていたから今月は買いました。講座も読んで勉強します、というのと同じ理屈だ。
しかし今回のバイク雑誌は違う。同じ山口恵梨子ちゃんの表紙でも、それがたとえば囲碁雑誌では、さすがに買う気が起きない。
迷った末、私はとりあえず「VIBES」の購入は見送り、別の本屋へ入る。ここでもあの雑誌が置いてある。ビニール掛けがしてあるので、中身は確認できない。価格を見ると980円！　海王社発行。ハーレーダビッドソン・ライフマガジン、と記されてあった。
「ハーレー」といえば中倉宏美女流二段である。和風美人の代名詞でもある彼女が、何故にハーレーに夢中なのか。ヒトの趣味は外見では判断できないものだとつくづく思う。
私が「将棋世界」「ＮＨＫ将棋講座」「週刊将棋」を毎号買っているように、中倉女流二段も、バイク系の雑誌を購入している可能性は高い。しかし「VIBES」はどうだろうか。ビキニ美女が表紙の雑誌を持って、中倉女流二段がレジに向かう姿が想像できない。こりゃ「VIBES」は買ってないな、と結論づける。
しかし、980円か…。ライダーカード欲しさに仮面ライダースナックを買った子どものころ…。あれは20円だったが、980円もかなりの額である。
某駅にある本屋へ入る。ここにも「VIBES」が置いてあった。あらためて表紙を見る。栞ちゃんはたしかに美人に写っているが、メイクがいつもと違う。栞ちゃんはわずかにタレ目だが、この表紙は目の端がマスカラで強調されていて、キツく見える。また髪の毛も茶髪に染められていて、ギャル系に見える。雑誌の性格もあると思うが、栞ちゃんは黒髪が断然似合う。彼女は自分のポリシーをもった、芯のしっかりした女性なのに、この表紙からは、それが感じられないのだ。
巻末を見ると、毎月11日発売、とあった。道理であっちこっちの本屋で見かけたわけだ。ともあれ、雑誌が店頭から消えるまで、まだ時間はかかりそうだ。必要なのは表紙とピンナップだけなので、購入するかどうかは、現在考慮中である。
今回ハーレー専門誌で栞ちゃんを見たことで、私の中で「月見栞⇔ハーレー⇔中倉宏美」という図式が出来上がってしまった。また中倉女流二段に、艶めかしいイメージがひとつ加わってしまったわけだ。
今日15日、たぶん私は東京・将棋会館で中倉女流二段を目にすることになるだろう。そのとき栞ちゃんがシンクロしたら、どうしよう…。