一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「女流」の肩書きは付けるべき

2012-04-23 02:56:55 | 将棋雑考
あれは中村真梨花女流二段と岩根忍女流初段の、第2期マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦の模様を書いたときだから、2009年の夏ごろだったと思う。「将棋ペン倶楽部」編集部の統括幹事だった湯川博士氏から、私宛に手紙が届いた。
その将棋、私は懸賞金スポンサーになり、当日は一日、東京・将棋会館にいた。対局室に赴き観戦をする機会にも恵まれ、感動、感激した私は、そのときの模様を「将棋ペン倶楽部」に投稿し、幸い、2009年夏号に掲載された。
その直後に湯川氏から、手紙をいただいたというわけだった。私は恐る恐る中を読むと、棋士の敬称についての、湯川氏の考えが書かれてあった。
要約すると、観戦記では敬称を外す。ただしプライベートの記述のときは「さん」を付ける、場合によっては段位を付けるべし、などと、温かみのある文章で綴られていた。
今後私が将棋観戦記を書くようになったとき、ヘタな呼称を付けて恥をかかないよう、配慮してくれたものであった。
そしてもうひとつ、「将棋ペン倶楽部」内において、女流棋士に対する段位の呼称についての、注意があった。
誌面の中で私は、女流棋士の段位を、「女流○段」とせず、たんに「○段」としていた。これはいかん、と湯川氏は書いていた。
「女流二段」を「二段」とすれば、これは通常、奨励会の二段を表わす。通の将棋ファンなら問題ないが、中には誤解してしまう将棋ファンもいる。それは避けるほうがよい、という教戒であった。
ただ、それは私も承知していて、私だってできれば「女流○段」と書きたかった。しかし漢字四文字はいささかうるさいし、原稿には文字制限もある。そこで私は、最初だけ「女流○段」と書き、次に出てくるときは、たんに「○段」と書いていたのだ。事実、ほかの編集部員氏は、私の考えも分からぬではない、と、後日賛同してくれたものである。
むろん湯川氏もそのあたりの事情は察していたが、それでも省略できるものとできないものがあり、段位の省略は不可、との主張であった。
言われてみればそのとおりだった。昨年、奨励会の加藤桃子さんが女流王座を獲得したが、彼女は「奨励会1級」である。私の論理でいくと、彼女は貞升南さんや香川愛生さんらと同じ肩書きになってしまい、それはやっぱりおかしい。
湯川氏の主張はもっともだと私も同意し、結果、その後の将棋ペン倶楽部では、必ず「女流」を付けるようにしたのだった。
余談ながら、2009年4月から始めた当ブログも、最初は「○段」と記していたが、同様に「女流○段」と改めた。
さてここまで書いて、賢明な読者はお気づきであろう。LPSAのホームページは、「女流」を省いた「○段」のみの表記が散見される。LPSAの公開対局を見にいっても、女流棋士の紹介は、「女流」を省略して呼ぶ場合がほとんどだった。これはいただけない。
「女流四段」は「四段」にあらず。言っちゃあなんだが、両者は天と地ほどの差がある。彼女らは「棋士」ではなく、「女流棋士」なのだ。
ホームページでの肩書きも、口頭での紹介も、簡単に修正が利くものである。LPSAスタッフの気持ちも分からなくはないが、ここはスタッフの勇断に期待したいところである。
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3 コメント

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付けない方が自然 (L)
2012-04-23 15:37:23
私は「女流○段」の呼び方にとても違和感を感じている者です。なぜなら将棋の世界で「女流」の呼称は差別的に扱われています。湯川氏は女性差別主義者で有名な方ですので、彼の助言は聞き流した方が、文章表現がより現代的なものになると思います。第一将棋に男性も女性もないでしょう、呼び名は統一が自然だと感じます。
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女流 (さわやか風太郎)
2012-04-23 22:29:15
必要でしょうね。これを省略して五段だ六段だいうのはどうでしょうか。
日本将棋連盟がそういう肩書きを冠しているので、湯川氏のアドバイスは的確かと思われます。
ただ段位の統一をしてもらえるといいのかなと思います。プロ何段とかアマ何段とかではなく。
いや、そうなると免状収入に影響するか。
道場四段でも級扱いになって、免状料が目茶目茶安くなってしまう。
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一理ある (一公)
2012-04-24 00:29:10
>Lさん
女流の呼称が差別的に扱われているとは思いませんが、Lさんのおっしゃることも一理あります。本来は「女流」などないほうがいいと、私も思います
湯川先生は女性差別者なんですか? 私はちっとも耳にしたことがありませんが。湯川先生は話も面白く、真部先生とともに、私の文章の師だと捉えています。

>さわやか風太郎さん
なるほどプロアマ統一の段位ですか。上は名人、下は何十級。
これに私を当てはめたら、8~9級というところでしょうか。
しかしこれじゃあ、免状を申請しよう、っていう気はなくなってしまいますね。
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