LPSAが2007年に設立されてから、女流棋士の実戦を見る機会が多くなった。
女流棋士の将棋には攻め合いが多い、戦いが直線的である、ということはよくいわれる。しかし私が如実に感じるのは、彼女らの投了の遅さである。
LPSAの中継対局で、ある女流棋士が中盤で、大駒をボロッと取られる。ふつうならそれまで、というところなのに、そこからけっこう指し継ぐのである。もちろん勝敗が入れ替わることはない。
最近の例を挙げる。昨年の11月11日に行われた、LPSA1dayトーナメント・HIAライフプランカップ、中井広恵女流六段と島井咲緒里女流二段の一戦。82手目、中井女流六段が△3八角成としたところで、駒割りは中井女流六段の金2枚得。先手はそれに代わる主張がまったくなく、ここで投了するのが自然である。
ところが島井女流二段はその後もズルズルと指し継ぎ、終了したのはそれから18手後。駒割りは金銀4枚と桂の交換という、さらにひどいことになっていた。
11月3日に行われた女流王座戦第3局(加藤桃子女流王座×本田小百合女流三段)は、後手の本田女流三段が最後の最後まで指し、投了図は詰み上がりだった。これも、終わりの数手はと金を引いていくだけで、むずかしいところは何もない。この直前、本田女流三段に逆転の一手があり、それを指せなかった本田女流三段が投げるに投げ切れなかったのは分かるが、それにしたってここまで指すことはないだろうと思った。詰め上がりまで指しては、終局の余韻がなくなってしまう。
11月18日の女流最強戦・上田初美女王対室谷由紀女流初段戦。中盤、パーフェクト室谷女流初段の緩手に乗じて、上田女王が攻めかかり、勝勢。ふつうならここで室谷女流初段の投了、というところだが、室谷女流初段も往生際が悪かった。▲3三銀以下無駄な王手を続け、8手後に投了した。
室谷女流初段はこの前、受けはないのに▲5九金と1枚入れている。受けがないのに自陣に手を入れ、その後敵陣に王手ラッシュをかけるのは、棋理に合っていない。我が室谷女流初段には、こんなことはしてもらいたくなかった。
同じ女流最強戦12月9日の、長谷川優貴女流二段と山口恵梨子女流初段の一戦。
中盤までは長谷川女流二段の必勝形だったが、山口女流初段が入玉を果たし逆転。駒数も山口女流初段が圧倒的にリードし、万に一つも長谷川女流二段の勝ちはなくなった。
しかしその後も長谷川女流二段は見苦しく指し続ける。最後は立会人の村山慈明六段が「タオルを投げる」有様で、ここで終局となったのだった。
長谷川女流二段はマイナビ女子オープンの挑戦者にもなった実力者である。それならば、その格に見合った投了をしてもらいたい…というところだが、女流棋士の投了の遅さは全般に渡っており、清水市代女流六段も例外ではない。まったく勝ち目のない将棋をズルズル粘ることが、よくある。
私がジョナ研などでこんなことを嘆くと、Fuj氏が決まって、「指しているうちに、相手が心臓マヒを起こすかもしれないから…」と茶化す。
あのねー、こんな30年前のジョーク、お笑いの聖地・関西出身のFuj氏が言いなさんなよ。
マジで返答すれば、もし相手の心臓マヒを願って将棋を指し継いでいるとしたなら、その女流棋士は大成しない。
女流棋士が投了しない理由、これについて某七段が、おもしろいことを言った。
(つづく)
女流棋士の将棋には攻め合いが多い、戦いが直線的である、ということはよくいわれる。しかし私が如実に感じるのは、彼女らの投了の遅さである。
LPSAの中継対局で、ある女流棋士が中盤で、大駒をボロッと取られる。ふつうならそれまで、というところなのに、そこからけっこう指し継ぐのである。もちろん勝敗が入れ替わることはない。
最近の例を挙げる。昨年の11月11日に行われた、LPSA1dayトーナメント・HIAライフプランカップ、中井広恵女流六段と島井咲緒里女流二段の一戦。82手目、中井女流六段が△3八角成としたところで、駒割りは中井女流六段の金2枚得。先手はそれに代わる主張がまったくなく、ここで投了するのが自然である。
ところが島井女流二段はその後もズルズルと指し継ぎ、終了したのはそれから18手後。駒割りは金銀4枚と桂の交換という、さらにひどいことになっていた。
11月3日に行われた女流王座戦第3局(加藤桃子女流王座×本田小百合女流三段)は、後手の本田女流三段が最後の最後まで指し、投了図は詰み上がりだった。これも、終わりの数手はと金を引いていくだけで、むずかしいところは何もない。この直前、本田女流三段に逆転の一手があり、それを指せなかった本田女流三段が投げるに投げ切れなかったのは分かるが、それにしたってここまで指すことはないだろうと思った。詰め上がりまで指しては、終局の余韻がなくなってしまう。
11月18日の女流最強戦・上田初美女王対室谷由紀女流初段戦。中盤、パーフェクト室谷女流初段の緩手に乗じて、上田女王が攻めかかり、勝勢。ふつうならここで室谷女流初段の投了、というところだが、室谷女流初段も往生際が悪かった。▲3三銀以下無駄な王手を続け、8手後に投了した。
室谷女流初段はこの前、受けはないのに▲5九金と1枚入れている。受けがないのに自陣に手を入れ、その後敵陣に王手ラッシュをかけるのは、棋理に合っていない。我が室谷女流初段には、こんなことはしてもらいたくなかった。
同じ女流最強戦12月9日の、長谷川優貴女流二段と山口恵梨子女流初段の一戦。
中盤までは長谷川女流二段の必勝形だったが、山口女流初段が入玉を果たし逆転。駒数も山口女流初段が圧倒的にリードし、万に一つも長谷川女流二段の勝ちはなくなった。
しかしその後も長谷川女流二段は見苦しく指し続ける。最後は立会人の村山慈明六段が「タオルを投げる」有様で、ここで終局となったのだった。
長谷川女流二段はマイナビ女子オープンの挑戦者にもなった実力者である。それならば、その格に見合った投了をしてもらいたい…というところだが、女流棋士の投了の遅さは全般に渡っており、清水市代女流六段も例外ではない。まったく勝ち目のない将棋をズルズル粘ることが、よくある。
私がジョナ研などでこんなことを嘆くと、Fuj氏が決まって、「指しているうちに、相手が心臓マヒを起こすかもしれないから…」と茶化す。
あのねー、こんな30年前のジョーク、お笑いの聖地・関西出身のFuj氏が言いなさんなよ。
マジで返答すれば、もし相手の心臓マヒを願って将棋を指し継いでいるとしたなら、その女流棋士は大成しない。
女流棋士が投了しない理由、これについて某七段が、おもしろいことを言った。
(つづく)
それはさておき、私が粘りをする理由としては下記のパターンがあります。
①相手がどのような決め方をするのかを今後の対局のために見てみたい。
②形勢判断ができていない。(はっきり負けとわかっていない)
③最後の最後まで勝つ道を探りたい。
④社団戦などはそうですが、あまり早く投了するとチームの士気に関わるから。
⑤切れ負け将棋になると、別のゲームになるので、粘りが最善手になる。
まあ、一番大きな理由は③ですが。特に24とかやっていると、ど必敗から相手が決め損なってトン死や逆転で勝つというケースは数多くあります。その体験に味をしめているのでしょうね。2011年の社団戦の最終日に自分が錯覚して必勝の将棋を投了してしまうという苦い経験もしているので、時間がない場面では、何が起こるかわからないというのもあるかもしれません。
とはいえ、棋譜が残るプロの場合は、万が一にも勝ちがない場面になれば、相手が決め手を放ったときに投了するのがいいのでしょうね。
ただし、最近の公開されている棋譜を見ると女流棋士だけでなく、男性棋士も最後まで指している棋士も増えているような気がします。
心臓マヒ云々は、鈴木輝彦先生の修行時代の逸話だったと思います。当人がそうしたかどうかは忘れました。
いろいろ書いてくださいましたが、今回私が述べた疑問は、女流棋士が丸負けの将棋を、なぜ指しているのか、です。不利な時の粘りとは別物でしょう。
とはいえFujさんの勝負観を否定するものではありませんから、これからもFuj流で頑張ってください。
>と さん
あけましておめでとうございます。
秒読みに追われて投げ時を見失ってしまう、これは考えられますね。つい駒に手が伸びてしまう。やむを得ません。
私はとくに辛口だとは思っていないんですが…。今年もマイペースでやっていきます。