一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

中井広恵と行く稚内ツアー(第3手)・湯上がりの女神

2012-06-15 00:44:33 | 将棋イベント
中井広恵女流六段は、ピンクのTシャツにジャージ姿だった。腰には何か巻いている。湯上がりのようで、頬もほんのりピンクに染まっている。髪はもちろんアップである。秩父合宿での、温泉旅館の浴衣姿もよかったが、全身ピンクもグッドだ。
な、な、なんてかわいいんだ中井先生!!
そう叫びたいのを堪えて、私は中井女流六段を招じ入れる。W氏がいるのがちょっとアレだが、贅沢はいえない。
しばし談笑していると、大野八一雄七段も来た。やはりこの部屋がフリースペースになりそうである。
しかしいつも思うのだが、私のようなただの将棋ファンが、こうしてプロ棋士と交流を図れるのは、身に余る光栄である。人間の持つ運が平等ならば、私は相当、運を使っているだろう。
やがて植山悦行七段、お父さん、His氏、Hon氏らも見えて、いっそう賑やかになった。大矢順正氏とミスター中飛車氏は、自室で酒のようだ。
W氏が近くのコンビニにタバコを買いに行くことになった。それならと、私たちは「カツゲン」を頼む。カツゲンとは、北海道限定販売の乳酸菌飲料で、スーパーやコンビニなどで、ふつうに売られている。中井女流六段にその存在を教えてもらい、2月に雪まつり旅行に行った際初めて飲んだが、癖になる味だった。今回またカツゲンが飲めるとは、うれしいことである。
W氏が大量のカツゲンを提げて戻ってきた。ありがたくいただき、ゴクゴク飲む。ああ、この独特の味、なつかしい。
お父さんは、温泉から戻ってきたKub氏と将棋。娘に将棋を教えただけあって、お父さんも将棋が大好きなのだ。
せっかくの機会だからと、His氏が紫煙をくゆらせて、中井女流六段に指導対局を申し込んだ。今回は稚内支部との交流が主なので、棋士の指導も稚内支部中心になる。よって、指導を仰ぐチャンスも限られているのだ。
私は中井女流六段の対局姿を鑑賞する。中井女流六段、スッピンに見える。しかしそれが妙になまめかしい。
W氏は温泉に入りに行った。目の前に湯上がりの女神がいるのに、そこを中座する神経が分からない。
お父さんはKub氏に快勝。もうだいぶ夜が更けているが、気分よくもう一局、となった。お父さんもやっぱり、将棋バカなのだった。
中井-His戦は中井女流六段の勝ち。△8二金の遊び駒が痛かったが、それでよく勝てたものだ。やはりプロの懐は深い。
His氏の感想戦は長い。W氏も戻ってきて、ふたりの感想戦を聞いている。と、そのW氏が、
「ああっ!!」
と、頓狂な声を上げた。「Hisさん、タバコ!! 畳、焦げてるよ!!」
見ると、対局に熱中していたHis氏がタバコを落としたのに気付かず、そのまま畳を焦がしてしまったのだ。
「ナニをやってんのよナニを!!」
His氏は関東から参加の最年長で敬わなければならないが、さすがに私は憤った。しかし、怒っても畳は元に戻らない。後の処理はHis氏に任せた。
それにしても、タバコを落としたのに気が付かないほど将棋に熱中するとは…。その集中力がうらやましくもあった。
お父さん-Kub戦の2局目は、またもお父さんの勝ち。腕に歳は取らせない、というところ。
将棋合宿ならばここから佳境に入るところだが、あすは早い。午前0時を12分過ぎたところで、初日はお開きとなった。
宴のあと、私はW氏に人生相談。と言っても、自分自身の悩みは自分で解決するしかないので、きょうは弟夫婦のことで、愚痴めいたものをこぼした。人生、楽しいことばかりではない。つらいことも同じくらいあるのだ。

ピピピピピピピ!!
というけたたましいアラーム音で起こされた。時刻は早暁4時40分。さすが北海道だけあって、夜はすっかり明けていた。昨夜は1時すぎに床に就いたが、ウトウトしたものの、熟睡はできなかった。もっとも、枕が変わると眠れないのはいつものことだ。
きょうは礼文-利尻を1日観光したあと、夜に稚内支部主催の臨時懇親会が用意されている。だんだん中身が濃くなってゆく感じだ。
5時10分、1階の食堂に入った。こんな早い時間だから、おにぎりとみそ汁程度と覚悟していたのだが、焼き魚付きのしっかりした朝食が用意されていた。これはありがたい配慮で、食事もとても美味かった。
きょうの離島巡り参加は大野七段以下8人。中井女流六段は、午前はフリー。午後は金曜日組を空港まで迎えに行き、夕方までクルマで観光する。私たちの島巡りも期待大だが、中井女流六段のガイドによる市内観光も、かなりのプレミアムだ。
植山七段はホテルに残り、ご両親に孝行するようだ。
5時45分、私たちホテルを出て、ライトバンで稚内フェリーターミナルに向かった。
礼文行きのフェリーはこじんまりしたものかと思いきや、かなり大きなものだった。礼文・利尻の人気のほどが分かる。
しかし驚いたのはこれだけではなかった。乗船すると、二等席が満員で、座るスペースがないのだ。きょうは金曜日。といっても早朝だから、旅行者は木曜日に稚内入りしていたはずだ。それでこの乗客数とは恐れ入る。夏休みになったら、どれくらいの旅行者が離島巡りをするのか、想像もつかない。
私たちはデッキに出る。朝の寒さは覚悟していたが、耐えられる陽気である。
定刻の6時20分を2分遅れて、「ハートランド」は無事出航した。
礼文島までは1時間55分。鉄道の車窓風景と比べるとやや劣るが、それでも退屈はしない。
ところがこの船の上で、すでにヒマを持て余している猛者がいた。His氏とHon氏である。
ふたりはデッキにある喫煙コーナーのテーブルに布盤を拡げ、将棋を指し始めた。愛煙家のふたりには、絶好の対局場である。
しかし、稚内でフェリーに乗ってまで「将棋バカ」をやるとは…。まだ7時にもなってないぞ。私は呆れたが、これも将棋普及になると思えば、敬意を表したくもなる。
それを遠巻きに見ていると、何人かの野次馬が、その将棋を眺め始めた。
そうか、そうなるよなあ…。
私が苦笑していると大野七段も来て、その野次馬の中に、素知らぬ顔で混じった。さすがの野次馬連中も、そこにプロ棋士がいるとは思うまい。
私は「どっきりカメラ」を見ているようで、笑いを堪えるのに苦労した。
定刻の8時15分から9分遅れて、ハートランドは香深港に着岸した。ここが北限の楽園、礼文島である。
(つづく)
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3 コメント

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第一日目 (Fuj)
2012-06-15 07:51:45
稚内編の執筆お疲れ様です。木曜日の出来事が克明にわかり面白かったです。私は金曜日に行ったのですが、九人の乙女の記念碑と展示が印象的でした。いろいろな時代の背景や考え方があるとは思いますが、当時の9名の心境を考えると心が痛みました。一方でこうして楽しく旅行をできるわれわれはいろいろな悩みはあるにせよ、幸せな環境にあると思いました。
旅館の料理は良かったですよね。残すのはかなりの悪手だと感じました。
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陳謝 (不利飛車迷人)
2012-06-15 10:47:16
お恥ずかしい失態をしでかしました。

本当に申し訳ありませんでした。



Fuj氏はまだ合流前でしたね。
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視点の違い (一公)
2012-06-15 23:43:14
>Fujさん
みんなブログを持っていたら、今回のツアーを書けばいいんですよね。各自の視点が違って、面白い読み物になると思います。
こうやって将棋が指せて、合宿やツアーで各地に行ける。本当に私たちは幸せです。
ホテルの料理、植山先生は残すことはせず、W氏にあげていました。

>不利飛車迷人さん
タバコの件は、驚きました。
でもホテルの方が寛大で、ホッとしました。
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