遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

micromanipulation

2009-09-15 20:14:52 | 大学生活
先日、英国の研究者から4年前に出した論文で使った酵母細胞の請求がきました。もちろん、送らなくてはなりません。これが科学のルール。ところがところが・・・彼が請求してきたのは3株なんですが、そのうちの最も重要な変異株が死に絶えてた。長期保存用にグリセロールストックを作ってたんだけど、重要な生命現象を司る遺伝子の変異株って弱いんだよ。いろいろな手を尽くして、細胞一個からでもいいから回復できないかやってたんだけど、回復不能。無理な回収をして採れた細胞は変なことが起こっている可能性もあるので、あまり深追いもできない。しょうがないので、細胞の構築をし直すことにした。幸い、失われた変異株と同じ遺伝子型の細胞を作れる二倍体細胞は生きていたので、こいつに胞子を形成させて分離することにした。言葉にすれば簡単なんだけど、もう僕は2年以上酵母から離れてヒト培養細胞を使った仕事をしているので、培地から試薬から何もかも新しく作り直し。今週胞子ができてたので、今日封印していたマイクロマニピュレーターを起動させて作業しました。顕微鏡下でマイクロメーター単位で針を動かして胞子をより分けて並べるこの作業は、理屈じゃなくて感覚的なものが大事なんですよ。普段やってないとスムーズに進まない。右腕から肩にかけて、ものすんごく余計な力が入って、作業が終わった頃には上半身がコリコリでした。さすがにプロなんでなんとかしましたが、かなり出来の悪い仕事になったなぁ。まあ、1匹でも期待どおりの遺伝子型を持った細胞が出来ればいいのですからなんとかなるでしょう。

治ったと思ってた左足なんですが、やはり日曜日のグライダー回収の後で感じた傷みが素直にひかず・・・治ってないかもという・・・。
アホですなぁ。反省。

本日のお酒:高知栗焼酎 ダバダ火振
コメント
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