感染症診療の原則

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「水ぼうそう 治ってよかったね」のその後で

2012-02-13 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
現在、各地で水痘が猛威をふるっています。
中には感染させたい保護者も存在したりするのですが、そこまで極端ではなくても「え?みんなフツウになるもんじゃないの?」と思っている人は(日本では)たくさんいます。

米国SDで10年間、小児感染症専門医として活躍されたS先生は、現地の10年間で水痘は診たことがない、しかし帰国して都内S区の病院でたくさん診ることになりびっくりしたーというのは研修会で聞いたお話。で、参加者(日本の医療者)がびっくり
(・・まあ、医療ドラマのERでも、外来で麻疹の診断できずに困るシーンとかありましたしね)



世界で使われている水痘ワクチン。開発をしたのは日本人


子どもの水痘ワクチン接種は現在、任意の枠なので、1回8000円前後払うことになります。
発症して病院で抗ウイルス薬・・ということになれば無料です(選挙公約がらみでね)。

かゆみ症状はみていてかわいそうです。ブツブツのあとが残ってしまう人もいます。

そして、人生後半で帯状疱疹の痛みに苦しむ人がこのなかから一定数出ると思うと切ないです。

保護者会などで説明するとよくわかるのですが、「水痘に一度なったら、症状が治ったあとも、ウイルスはずーっと体の中にいて、免疫がさがったりすると再度症状が出てこまることがある」ことはあまり知られていません。

もっとも、お子さんが帯状疱疹でイテテテテという頃に親はこの世にいないかもしれませんが。


つまり、「水ぼうそうは10日ほどで治りますが、実は、その治った瞬間が帯状疱疹の始まりとも言えるのです」(某番組ふれこみ)




実際、こどもふれあい広場というコーナーで帯状疱疹の対策として水痘の自然感染を避ける、ということが助言されています。
読者はどれくらい理解するのだろう。


「痛み」「イタイ」と書いてあっても、人間想像するのは今まで経験してきたことのある痛みなわけですが。
病院で患者さんの痛がりよう(個人差あり)をみてたり、いつまでも痛みがとれずペインクリニックに通う方をみるにつけ、ブツブツは仮にがまんするとして痛みはなんとかしたいと思うのであります。

ファイザー/エーザイが扱っているリリカはどれくらい効くのだろうか。自分で知ることになるのかもしれません。

水痘ワクチンを成人に接種する選択肢を知っている人たちはどれくらいいるのでしょう。
(青木編集長はさっさと水痘ワクチンを57歳で接種)
今後、予防接種情報が見直されるときに、成人の帯状疱疹の話も出てくると期待しています。



おおもとの水痘の話にもどります。
よく聞のですが、水痘を発症した子どもと一緒に遊ばせている親御さんもいます。「ブツブツにさわらなければ平気だよ!」という誤解からです(まちがっています)。


空気感染ですので、一緒にいるとうつります。(2週間後くらいに発症)

かさぶたになるまで子どもを自宅隔離しておくのも保護者にはかなりたいへんなことです。本人はもっと苦痛でしょうが。

「かさぶた」の話の続きへ

水痘ワクチンチームの作業報告書

帯状疱疹とその予防に関する考察
感染症学雑誌 第84巻 第 6 号
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2 コメント

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そのあとで、という意味では (小児科鈴木)
2012-02-13 16:49:47
水痘罹患後の脳梗塞というものが、ときどき見られています。
よく引用されているものでは、発症頻度は6500人に一人、ともされているようですので、決して少ないものではないように思われます。

小児での脳梗塞というのは診たくないものです。
返信する
水痘後の脳梗塞 (編集部)
2012-02-25 18:56:31
成人とちがうリスク因子があるのですね。
勉強になります。ありがとうございます。
追加で記事にしたいとおもいます。
返信する

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